デイサービスでの血圧測定と介護職員の役割：看護師資格不要？Q&Aで徹底解説

デイサービスに勤める事となりました。施設長は生活相談員なのですが、アネロイド血圧計で利用者様の血圧を測っているようです。看護師の免許がなくても介護施設では介護職員がアネロイド血圧計を使用して数値を確認、記録しても良いのでしょうか？

この記事では、デイサービスにおける介護職員の血圧測定に関する疑問を、法律やガイドライン、そして現場の現実を踏まえながら詳しく解説します。看護師資格を持たない介護職員が血圧測定を行う際の注意点、適切な手順、そしてリスク管理についても具体的に説明することで、安心して業務に取り組めるようサポートします。特に、デイサービスで働く、またはこれから働く介護職員の方にとって役立つ情報を提供します。

1. 看護師資格がなくても血圧測定は可能？法律とガイドラインを確認

結論から言うと、看護師資格がなくても、介護職員がアネロイド血圧計を用いて利用者の血圧測定を行うことは、必ずしも違法ではありません。しかし、それは「無資格で医療行為を行って良い」という意味ではありません。重要なのは、業務の範囲と安全な実施です。

介護職員が血圧測定を行うことは、医療行為ではなく、介護業務の一環と捉えることができます。厚生労働省のガイドラインや各都道府県の条例では、明確に「介護職員は血圧測定をしてはいけない」とは規定されていません。ただし、測定結果に基づいて医療的な判断や処置を行うことは、資格のない者が行ってはならない行為です。

重要なのは、「誰が」「何を」「どのように」行うかです。介護職員は、医師や看護師などの指示の下、または施設の規定に基づいて、血圧測定を行うことができます。その際、正確な測定方法を習得し、異常値を適切に報告する必要があります。単に数値を記録するだけでなく、利用者の状態を総合的に観察し、異常があれば速やかに関係者に報告することが求められます。

例えば、血圧測定中に利用者が苦痛を訴えたり、異常な兆候が見られたりした場合、ただちに医師や看護師に報告し、適切な指示を仰ぐ必要があります。これは、介護職員としての責任であり、利用者の安全を守る上で不可欠です。

2. デイサービスにおける血圧測定：適切な手順と注意点

デイサービスで介護職員が血圧測定を行う際には、以下の手順と注意点を厳守することが重要です。

• 正確な測定方法の習得：施設内研修や外部研修などで、アネロイド血圧計の使用方法を正しく習得しましょう。正しい手順を理解していないと、誤った測定値を得てしまう可能性があります。
• 利用者への説明と同意：血圧測定を行う前に、利用者に対して測定の目的と手順を丁寧に説明し、同意を得ることが重要です。プライバシー保護にも配慮しましょう。
• 測定環境の確認：静かな場所で、利用者がリラックスできる環境を整えて測定を行いましょう。寒暖差や騒音なども測定結果に影響を与える可能性があります。
• 測定値の正確性：複数回測定し、平均値を記録することで、より正確な数値を得ることができます。測定値に異常がある場合は、速やかに医師や看護師に報告しましょう。
• 記録の正確性：測定日時、測定値、利用者の状態などを正確に記録しましょう。記録は、後から見直す際にも重要な情報となります。
• 異常値への対応：血圧に異常が見られた場合、ただちに医師や看護師に報告し、指示を仰ぎましょう。放置すると、利用者の健康状態が悪化する可能性があります。
• 定期的な機器点検：アネロイド血圧計は定期的に点検・校正を行い、正確な測定ができる状態を維持しましょう。施設の規定に従って、適切なメンテナンスを実施しましょう。
• 記録の保管と管理：測定記録は、適切に保管し、管理しましょう。個人情報保護にも配慮することが重要です。

3. 介護職員の役割と責任：医療行為との線引き

介護職員は、医療行為を行う資格を持ちません。血圧測定は、あくまで介護業務の一環であり、医療行為ではありません。しかし、医療行為と介護業務の境界は曖昧な部分もあります。そのため、常に「医療行為ではないか？」と自問自答し、適切な判断を行う必要があります。

例えば、血圧測定の結果に基づいて、薬の服用を指示したり、医療処置を行ったりすることは、明確に医療行為であり、介護職員が行うことはできません。このような状況では、速やかに医師や看護師に報告し、指示を仰ぐことが重要です。

介護職員は、利用者の健康状態を把握し、異常を早期に発見するための役割を担っています。血圧測定はそのための重要なツールの一つですが、その役割を適切に果たすためには、正確な測定方法と、医療行為との境界線を明確に理解しておく必要があります。

4. 施設の体制とリスク管理：安全な業務遂行のために

デイサービスにおける血圧測定の安全性を確保するためには、施設全体の体制とリスク管理が重要です。以下のような体制を整えることが求められます。

• 研修制度の充実：介護職員に対して、血圧測定に関する適切な研修を実施し、正確な測定方法と注意点、異常値への対応などを習得させましょう。
• マニュアルの作成と周知：血圧測定に関する手順や注意点などをまとめたマニュアルを作成し、全職員に周知徹底しましょう。マニュアルは、定期的に見直し、更新することが重要です。
• 医師や看護師との連携：医師や看護師と連携を取り、必要に応じて相談や指導を受けられる体制を整えましょう。緊急時にも迅速に対応できるよう、連絡体制を明確にしておくことが重要です。
• 記録管理システムの導入：電子カルテなどの記録管理システムを導入することで、記録の正確性と管理性を向上させることができます。また、データの共有もスムーズに行えます。
• 事故発生時の対応：万が一、血圧測定中に事故が発生した場合に備え、適切な対応マニュアルを作成し、職員に周知徹底しましょう。また、事故報告体制も整備する必要があります。

5. 成功事例と専門家の視点：現場からの学び

あるデイサービスでは、介護職員による血圧測定で、利用者の高血圧を早期に発見し、適切な医療機関への紹介につなげることができました。これは、職員の正確な測定と迅速な報告、そして医師との連携が功を奏した結果です。この事例は、介護職員による血圧測定が、利用者の健康管理に貢献できることを示しています。

一方で、血圧測定の誤りによって、誤診や適切な治療の遅れにつながるリスクも存在します。そのため、正確な測定方法の習得と、異常値への適切な対応が不可欠です。専門家である医師や看護師の指導を受けることで、リスクを最小限に抑えることができます。

6. まとめ：責任ある血圧測定の実践へ

デイサービスにおける介護職員の血圧測定は、適切な手順と体制の下で行うことで、利用者の健康管理に貢献できる有効な手段です。しかし、医療行為ではないとはいえ、利用者の安全と健康を守るという責任を常に意識し、正確な測定と記録、そして異常値への迅速な対応が不可欠です。施設全体の体制とリスク管理を強化し、専門家との連携を密にすることで、安全で安心な血圧測定を実現しましょう。