障害者手帳の申請は遡ってできる？医療費の負担を軽減する方法を徹底解説

今回は、障害者手帳の申請に関するご質問にお答えします。以下がご相談内容です。

父は６７歳、今年の3月に脳梗塞を発症、５ヶ月の入院、今は退院して、要介護１で週に２回デイケアに通っています。

毎月、父の診察代、薬代だけで２万円かかるという話を知り合いにしたところ、「障害者手帳の申請はしないの？だいぶ楽になるよ」と言われました。

実は母も２年前に脳出血を患い、歩けなくなり障害者手帳を持っています（父が申請しました）。母は薬代も診察代もほぼかからない状態なので、障害者手帳を持つ方がいいというのは知っていたのですが、父は要介護１で、高次脳機能障害はあるけど麻痺もなく歩けるので、申請は出来ないのかと思い込んでました。

知り合いから「遡って申請できるかもしれないから、やってみたら？」と言われたのですが、本当に出来るのでしょうか？ 両親のデイサービスやデイケアでかなり出費があり年金で賄うのが難しいので、もし父の医療費が安くなるならかなり助かるのですが…遡って申請はできるんでしょうか？

ご両親の介護と経済的なご負担について、大変な状況でお察しいたします。障害者手帳の申請や遡及申請について、ご不安な点が多いかと思います。この記事では、障害者手帳の申請に関する基礎知識から、遡及申請の可能性、医療費の軽減策、そして具体的な手続き方法まで、詳しく解説します。ご両親の経済的な負担を少しでも軽減できるよう、一緒に考えていきましょう。

1. 障害者手帳とは？取得のメリットと種類を理解する

障害者手帳は、障害のある方が様々な福祉サービスを利用するために必要な証明書です。取得することで、医療費の助成、税金の控除、公共料金の割引など、経済的な負担を軽減できる可能性があります。また、障害者雇用枠での就職など、就労の機会を広げることにも繋がります。

1-1. 障害者手帳の種類

障害者手帳には、主に以下の3種類があります。

• 身体障害者手帳: 身体的な障害がある場合に交付されます。肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、内部障害（心臓、腎臓、呼吸器など）など、対象となる障害の範囲が広いです。
• 療育手帳: 知的障害のある方に交付されます。知的発達の遅れや、日常生活における支援の必要性などを考慮して判定されます。
• 精神障害者保健福祉手帳: 精神疾患のある方に交付されます。統合失調症、うつ病、双極性障害など、様々な精神疾患が対象となります。

今回の相談者様のお父様は、脳梗塞による高次脳機能障害があるとのことですので、身体障害者手帳または精神障害者保健福祉手帳のいずれかの申請を検討することになります。どちらの手帳が適切かは、専門医の診断や自治体の審査によって決定されます。

1-2. 障害者手帳を取得するメリット

障害者手帳を取得することで、以下のようなメリットがあります。

• 医療費の助成: 医療費の自己負担額が軽減される場合があります。自立支援医療（精神通院医療）などの制度を利用できる可能性があります。
• 税金の控除: 所得税や住民税の控除が受けられる場合があります。
• 公共料金の割引: 公共交通機関の運賃割引、携帯電話料金の割引など、様々なサービスが利用できます。
• 福祉サービスの利用: 介護保険サービス、デイサービス、訪問看護など、様々な福祉サービスを優先的に利用できる場合があります。
• 就労支援: 障害者雇用枠での就職や、就労移行支援などのサービスを利用できます。

2. 障害者手帳の申請手続きと必要書類

障害者手帳の申請手続きは、お住まいの市区町村の福祉窓口で行います。申請に必要な書類や手続きの流れは、自治体によって異なる場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。

2-1. 申請の流れ

1. 相談: まずは、お住まいの市区町村の福祉窓口に相談し、申請に必要な書類や手続きについて確認します。
2. 診断書の取得: 身体障害者手帳の場合は、指定医による診断書が必要です。精神障害者保健福祉手帳の場合は、精神科医の診断書が必要です。
3. 申請書の提出: 申請書に必要事項を記入し、診断書などの必要書類を添付して、福祉窓口に提出します。
4. 審査: 提出された書類に基づいて、自治体による審査が行われます。
5. 手帳の交付: 審査の結果、交付が認められた場合は、障害者手帳が交付されます。

2-2. 必要書類

一般的に、障害者手帳の申請には以下の書類が必要です。

• 申請書: 申請書は、市区町村の福祉窓口で入手できます。
• 診断書: 指定医または精神科医による診断書が必要です。
• 写真: 本人の写真（サイズは自治体によって異なります）が必要です。
• 印鑑: 認印が必要です。
• その他: 住民票、マイナンバーカードなど、自治体によってはその他の書類が必要となる場合があります。

申請前に、必ずお住まいの市区町村の福祉窓口に確認し、必要な書類を揃えてください。

3. 遡及申請は可能？ 申請期間と注意点

障害者手帳の申請について、多くの方が気になるのが「遡及申請」です。遡及申請とは、過去の医療費やサービス利用料について、障害者手帳の交付後に助成を受けられるようにする手続きのことです。

3-1. 遡及申請の可否

結論から言うと、障害者手帳の遡及申請は、原則として認められていません。 障害者手帳の交付は、申請を行った日以降の医療費やサービス利用料に対して適用されるのが一般的です。

しかし、例外的に、自治体によっては遡及申請を認める場合もあります。例えば、申請が遅れた理由が、本人の病状や、情報不足など、やむを得ない事情による場合などです。ただし、遡及期間や対象となる医療費の範囲は、自治体によって異なります。

3-2. 遡及申請の可能性を探るために

お父様のケースで、遡及申請の可能性を探るためには、以下の手順で進めることをおすすめします。

1. 市区町村の福祉窓口に相談: まずは、お住まいの市区町村の福祉窓口に相談し、遡及申請が可能かどうか、どのような条件があるのかを確認します。
2. 専門医に相談: 脳梗塞の発症から現在までの病状について、専門医に相談し、診断書や意見書を作成してもらうことが有効な場合があります。
3. 申請書類の準備: 遡及申請が認められる場合、申請書や診断書に加え、過去の医療費の領収書や、サービス利用の記録など、様々な書類が必要となる場合があります。

遡及申請が認められる可能性は低いですが、諦めずに、まずは自治体の福祉窓口に相談し、専門医の意見を聞くことが重要です。

4. 医療費の負担を軽減する方法

障害者手帳の申請が認められなかった場合でも、医療費の負担を軽減する方法はいくつかあります。これらの制度を積極的に活用し、経済的な負担を少しでも減らすようにしましょう。

4-1. 医療費助成制度の活用

障害者手帳がなくても、利用できる医療費助成制度があります。代表的なものとして、以下の制度があります。

• 高額療養費制度: 1ヶ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。年齢や所得に応じて自己負担額が異なります。
• 自立支援医療（精神通院医療）: 精神疾患の治療にかかる医療費の自己負担額が軽減される制度です。精神科に通院している場合は、申請を検討しましょう。
• 難病医療費助成制度: 難病に指定されている疾患の治療にかかる医療費の自己負担額が軽減される制度です。
• 特定疾患治療研究事業: 特定の疾患について、医療費の一部を公費で負担する制度です。

これらの制度を利用するには、申請が必要な場合があります。お住まいの市区町村の福祉窓口や、医療機関にご相談ください。

4-2. 介護保険サービスの活用

要介護認定を受けている場合は、介護保険サービスを利用することで、介護にかかる費用を軽減できます。デイサービスや訪問介護などのサービスを利用することで、家族の負担を減らし、本人の生活の質を向上させることができます。

介護保険サービスを利用する際には、ケアマネージャーに相談し、適切なサービス計画を作成してもらいましょう。

4-3. その他の経済的支援制度

医療費や介護費の負担を軽減するために、様々な経済的支援制度があります。以下に、代表的な制度をいくつかご紹介します。

• 生活保護: 経済的に困窮している場合に、生活費や医療費などを支援する制度です。
• 年金: 障害年金や遺族年金など、様々な年金制度があります。
• 低所得者向け減税制度: 所得税や住民税の減税制度を利用できる場合があります。
• 医療保険付加給付: 加入している医療保険によっては、医療費の一部が給付される場合があります。

これらの制度を利用するには、それぞれ申請が必要な場合があります。お住まいの市区町村の福祉窓口や、社会福祉協議会にご相談ください。

5. 申請後の注意点と継続的なサポート

障害者手帳を取得した後も、定期的な更新や、制度の変更に対応する必要があります。また、様々な福祉サービスや支援を利用し、本人の生活をサポートしていくことが重要です。

5-1. 手帳の更新手続き

障害者手帳には、有効期限がある場合があります。有効期限が近づいたら、更新手続きを行う必要があります。更新手続きの方法は、自治体によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

5-2. 制度の変更への対応

医療費助成制度や、介護保険制度など、様々な制度は、法改正などにより変更されることがあります。定期的に情報を収集し、制度の変更に対応するようにしましょう。

5-3. 継続的なサポート体制の構築

障害のある方の生活を支えるためには、継続的なサポート体制を構築することが重要です。家族だけでなく、専門家や地域の支援機関と連携し、様々なサポートを受けられるようにしましょう。

• 医療機関との連携: 定期的に医療機関を受診し、病状の管理や、必要な医療サービスを受けているかを確認しましょう。
• 福祉サービスとの連携: 介護保険サービスや、デイサービスなど、様々な福祉サービスを利用し、生活の質を向上させましょう。
• 地域包括支援センターとの連携: 地域包括支援センターは、高齢者の総合的な相談窓口です。様々な相談に乗ってくれ、必要なサービスを紹介してくれます。
• NPO法人やボランティア団体との連携: 障害のある方の支援を行っているNPO法人やボランティア団体もあります。情報交換や、交流の機会を持ち、サポートを受けましょう。

これらのサポート体制を構築することで、ご本人だけでなく、ご家族の負担も軽減することができます。

6. まとめ：障害者手帳申請と医療費軽減への道

今回の相談者様のお父様のように、脳梗塞を発症し、高次脳機能障害をお持ちの場合、障害者手帳の申請を検討することは、医療費や介護費の負担を軽減するために非常に重要です。遡及申請は原則として認められていませんが、自治体に相談し、専門医の意見を聞くことで、可能性を探ることも重要です。また、障害者手帳が取得できなかった場合でも、高額療養費制度や自立支援医療など、様々な医療費助成制度を活用することができます。

ご両親の介護と経済的な負担は大変ですが、諦めずに、様々な制度を活用し、専門家や地域の支援機関と連携することで、より良い生活を送ることができます。今回の記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後に、今回の相談者様だけでなく、多くの方々が抱える悩みに対して、私たちができることがあります。それは、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスを提供することです。もし、あなたが障害者手帳の申請や、医療費、介護費に関する疑問や不安を抱えているなら、ぜひ私たちにご相談ください。あなたの状況を詳しくお伺いし、最適な解決策を一緒に見つけましょう。

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