親の介護問題：兄弟間の役割分担と財産管理、専門家が教える円満解決策

親の介護は、誰もが直面する可能性のある重要な問題です。特に、兄弟姉妹がいる場合、どのように協力し、親の生活を支えていくかは、大きな課題となります。今回の相談者は、親の介護が必要となり、兄弟間で役割分担や財産管理について意見の相違が生じている状況です。この記事では、介護における兄弟間の協力体制の構築、財産管理の適切な方法、そして、それぞれの負担を軽減するための具体的なアドバイスを提供します。専門家の視点から、円満な解決策を見つけるためのヒントをお伝えします。

病気の後遺症（高次脳機能障害、半身麻痺、言語障害）で親が要介護3となりました。まもなくリハビリ入院から施設入所となる予定です。

少し前に配偶者を亡くし単身で生活していた家はありますが、独居は不可能です。

兄弟ABCは皆独立、片道2時間～8時間の遠方で家庭を築いています。介護離職は全員選択肢にありません。

乳幼児を子育て中のCが、着工間際の家をプラン変更してバリアフリー化、親の部屋を増床して介護をすると言いました。子育てや共働き勤務の関係で、在宅介護ではなく施設入所させたうえ、外出外泊に対応するようです。設計図を確認、客間もないプランのようで、外出外泊対応をするには増床が必須のようです。

Aは隣県で夫婦賃貸暮らし、車なし、Bは遠方、義両親との敷地内同居、3子誕生間際で、引き取ることは不可能です。Aが介護する選択肢もありますが、施設入所となり外出外泊はなし、親の楽しみである孫とも日常的に会えなくなります。メンタル面で既往歴あり、定期受診中のAの配偶者への負担も出てくるため、Cは反対しています。

Cが主介護者として数ヶ月、毎日面会に行き、洗濯や諸手続等をやり、Cの配偶者も協力的なのはありがたいと思っています。ただ、増床費用を介護費として親に負担を求めました。親の預貯金はそれなりにあり、預貯金と年金で施設入所費用や生活費は賄えると思います。しかし、実家の維持管理費やABの帰省の交通費、宿泊費等今後の出費を計算すると、親の預貯金は取っておくべきと考えます。

また、通帳その他の管理も現在はCがやっていますが、暗証番号が不明のため、今は通帳記入のみです。各自が医療費や実家の維持費で多額の立て替えが発生しています。立て替えの精算をして介護保険負担限度額認定証の申請をするため、銀行で暗証番号の変更手続きが必要です。Cにまかせて万一使い込みがあってはいけないので、介護の実務と財産管理をわけるべきと考えます。

・監査役として、遠方で年2～3回しか会いに行けないBが財産管理する。カードや印鑑などの管理、出入金の会計簿、必要経費の兄弟への振り込み作業等。

・実家の維持管理の窓口はA。シルバー人材の手配（親の預貯金より支払い）、ストップしている親の遺産相続の事務代行等。

・Cは、主介護者として施設入所した親の世話をする。増床費用の負担については、親が明確に意思表示できるようになるまで保留。ガソリン代等の介護費用については、燃費を計算してBが親の預貯金より振り込む。領収書でその他の経費も振り込む。他にも負担があるだろうから、必要経費＋αも計算中。

このようにすれば、Cへの負担軽減になり、また財産管理面も万一のトラブルを避けられて、客観的で公正だと思うのですが、Cが「信用されていない。支払書類はCに届くのに、手間が増えて逆に迷惑」とBの財産管理に反対しています。「ゆうちょダイレクトの手続きをして常にABが口座のチェックができるようにする。親の発症から続けてきたように、毎日の経過報告や領収書の共有化を今後も続ける。紙上の会計簿をBが管理してくれれば負担が減ってありがたい。夫婦公務員という立場からも職を失う可能性がある使い込みはしない」と言うのですが、人は弱いもので流されていく可能性は誰にも否定できません。

Cは、今まで10年以上乗ってきた普通車には車椅子が乗らないため、次の買い換え時には1/3や1/5程度、自動車購入代を介護費用で援助してほしいとも言いました。確かに古くて走行距離10万km以上、そろそろ買い換えとも言っていました。しかし、週1回程度しか外出対応できないようなので、自動車購入費まで必要経費に含めるのはおかしいと思います。Bも子どもが増えるのを期に買い換えるようで、帰省時に親が乗れる車種を考えているようですが、費用の要求などしてきません。もしかしたらCにも3人目が今後生まれるかもしれないし、大型車を買って困ることはないはずです。それこそ財産目当てに介護を申し出たんではないかと。必要に応じて福祉タクシーやレンタカーを使用すべきと考えます。

さらには、家のプラン変更による構造計算のやりなおし、繋ぎローンの延長などの出費もかさんでいるから、実家は片づけを進め、数年をメドに賃貸に出すか売却するべきとCは言います。親が苦労して建てた家なので、時々は連れて行ってやりたいし、15年ほどで定年すればAが実家に引っ越して親を引き取ることもできます。増床費用はある程度親の預貯金で援助もいいと思っています。しかし、家を建てるのは建築費用だけでなく、照明やカーテン、エアコンなどの費用もかかると言っています。さすがに図々しい、実家のカーテンを使えばよいと思うのです。

実務と財産管理を分業化することで兄弟皆介護に関われるし、トラブル防止になると思います。皆さんはどう思われますか。

1. 介護における兄弟間の役割分担の重要性

親の介護は、一人で抱え込むにはあまりにも負担が大きいため、兄弟姉妹で協力し合うことが不可欠です。今回のケースでは、兄弟それぞれが置かれた状況が異なり、介護に割ける時間や能力も異なります。しかし、それぞれの得意分野を活かし、協力体制を築くことで、親の生活を支え、兄弟間の負担を軽減することが可能です。

介護における役割分担は、単に負担を分散するだけでなく、それぞれの専門性を活かし、より質の高い介護を提供するためにも重要です。例えば、医療に関する知識が豊富な兄弟がいれば、病院との連携や服薬管理を担うことができます。また、コミュニケーション能力の高い兄弟がいれば、親の精神的なサポートや、他の兄弟との橋渡し役を担うことができます。

2. 相談者の状況分析と問題点の整理

相談者の状況を整理すると、以下の点が問題点として挙げられます。

• 役割分担の不均衡： Cが主介護者として多くの負担を負っており、他の兄弟との間で負担の偏りが見られます。
• 財産管理への不信感： Cは財産管理を任されることに不安を感じており、兄弟間の信頼関係に溝が生じています。
• 費用の問題： 増床費用や自動車購入費など、介護費用の範囲や負担割合について、意見の相違があります。
• コミュニケーション不足： 兄弟間で十分な話し合いができていないため、誤解や不満が生じやすくなっています。

これらの問題を解決するためには、以下の3つのステップで進めることが重要です。

1. 情報共有と現状の把握： まず、親の状況や必要な介護の内容について、兄弟間で情報を共有し、現状を正確に把握します。
2. 役割分担の明確化： 各兄弟の状況や能力を考慮し、それぞれの役割を明確に分担します。
3. コミュニケーションの強化： 定期的な話し合いの場を設け、情報共有や意見交換を行い、相互理解を深めます。

3. 兄弟間の役割分担の具体的な提案

今回のケースにおける、具体的な役割分担の提案を以下に示します。

• C：主介護者
  • 施設との連絡調整
  • 親の身の回りの世話（面会、洗濯など）
  • 親の精神的なサポート

  Cは、親と最も近い距離にいるため、日々の介護に関する中心的な役割を担うことが適切です。ただし、負担が過度にならないよう、他の兄弟との連携を密にし、サポート体制を構築することが重要です。

• A：実家管理と情報共有
  • 実家の維持管理（修繕、清掃など）
  • シルバー人材の手配
  • 親の遺産相続に関する事務代行
  • 兄弟への情報共有

  Aは、実家が近いという利点を活かし、実家の管理や、親の遺産相続に関する事務代行などを担うことが適しています。また、兄弟間の情報伝達役として、円滑なコミュニケーションを促進する役割も期待できます。

• B：財産管理と費用管理
  • 親の預貯金管理
  • 介護費用の支払い
  • 会計帳簿の作成
  • 兄弟への費用報告

  Bは、遠方に住んでいるため、直接的な介護は難しいですが、財産管理という重要な役割を担うことができます。専門的な知識や経験がなくても、誠実に対応することで、兄弟からの信頼を得ることができます。

4. 財産管理における注意点と具体的な方法

財産管理は、介護において非常に重要な要素です。適切な財産管理を行うことで、親の生活を安定させ、将来的な不安を軽減することができます。

今回のケースでは、Cが財産管理を任されることに不安を感じているため、Bが財産管理を担うことが提案されています。しかし、Bが遠方に住んでいるため、どのように財産管理を行うかが課題となります。

以下に、財産管理における注意点と具体的な方法を示します。

• 透明性の確保： 財産管理は、常に透明性を保つことが重要です。定期的に収支報告を行い、兄弟全員が財産の状況を把握できるようにします。
• 記録の徹底： 財産の出入りに関する記録を詳細に残し、後で確認できるようにします。領収書や明細書は必ず保管し、会計帳簿を作成します。
• 専門家への相談： 必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けます。
• 口座の管理： 口座の暗証番号は、家族間で共有せず、Bが厳重に管理します。インターネットバンキングを利用して、残高や入出金の履歴を常に確認できるようにします。
• 使い込み防止策： 定期的な監査や、第三者機関によるチェックなど、使い込みを防止するための対策を講じます。

5. 費用負担に関する適切な考え方

介護費用は、親の生活を支える上で重要な要素です。今回のケースでは、増床費用や自動車購入費など、費用の範囲や負担割合について、意見の相違が生じています。

費用負担に関する適切な考え方としては、以下の点が挙げられます。

• 親の意向の尊重： 費用負担については、まず親の意向を確認し、可能な限り親の希望に沿うようにします。
• 費用の明確化： 介護に必要な費用を明確にし、内訳を明確にします。
• 負担割合の決定： 兄弟それぞれの状況や能力を考慮し、公平な負担割合を決定します。
• 柔軟な対応： 状況に応じて、費用負担の割合を見直すなど、柔軟に対応します。

今回のケースでは、増床費用については、親が明確に意思表示できるようになるまで保留し、ガソリン代等の介護費用については、燃費を計算してBが親の預貯金より振り込むという提案がされています。これは、親の意思を尊重し、費用を明確化し、公平な負担を求めるという、適切な考え方に基づいています。

6. コミュニケーションを円滑にするための具体的な方法

兄弟間のコミュニケーションは、介護を円滑に進める上で不可欠です。コミュニケーション不足は、誤解や不満を生み、兄弟間の関係を悪化させる可能性があります。

以下に、コミュニケーションを円滑にするための具体的な方法を示します。

• 定期的な話し合い： 定期的に集まり、親の状況や介護に関する情報を共有し、意見交換を行います。
• 情報共有ツールの活用： LINEやメールなど、情報共有に便利なツールを活用します。
• 感謝の気持ちを伝える： 互いの協力に感謝の気持ちを伝え、良好な関係を築きます。
• 第三者の介入： 必要に応じて、専門家や第三者に相談し、客観的なアドバイスを受けます。
• 記録の共有： 介護の記録を共有し、状況を把握できるようにします。

今回のケースでは、Cが毎日の経過報告や領収書の共有化を続けることを提案しています。これは、情報共有を密にし、コミュニケーションを円滑にするための有効な手段です。

7. 専門家への相談のすすめ

介護に関する問題は、複雑で専門的な知識が必要となる場合があります。一人で抱え込まず、専門家への相談を検討しましょう。

相談できる専門家としては、以下のような人々が挙げられます。

• ケアマネジャー： 介護保険に関する相談や、介護サービスの利用に関する相談ができます。
• 弁護士： 財産管理や相続に関する相談ができます。
• 税理士： 税金に関する相談ができます。
• ファイナンシャルプランナー： 資産運用や保険に関する相談ができます。
• 社会福祉士： 福祉サービスに関する相談や、生活上の困りごとに関する相談ができます。

専門家は、客観的な視点からアドバイスをしてくれ、問題解決をサポートしてくれます。また、専門家との連携を通じて、より質の高い介護を提供することができます。

8. まとめ：円満な介護生活を送るために

親の介護は、多くの課題を伴いますが、兄弟間の協力体制を構築し、適切な財産管理を行うことで、円満な介護生活を送ることが可能です。

今回のケースでは、以下の点が重要です。

• 役割分担の明確化： 各兄弟の状況や能力を考慮し、それぞれの役割を明確に分担します。
• 財産管理の透明性： 財産管理は、透明性を保ち、記録を徹底します。
• 費用負担の公平性： 費用負担については、親の意向を尊重し、公平な負担割合を決定します。
• コミュニケーションの強化： 定期的な話し合いや情報共有を通じて、相互理解を深めます。
• 専門家への相談： 必要に応じて、専門家に相談し、適切なアドバイスを受けます。

これらの点を意識し、兄弟間で協力し合うことで、親の生活を支え、兄弟間の絆を深めることができます。

親の介護は、決して一人で抱え込む問題ではありません。兄弟姉妹、そして専門家と協力し、共に乗り越えていきましょう。

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