介護と仕事の両立で悩むあなたへ：認知症の祖母の介護と施設入所、そして家族の心のケア

この記事では、認知症の祖母の介護と、それを支える家族の心の負担、そして仕事との両立という、非常にデリケートな問題に直面しているあなたに向けて、具体的なアドバイスと解決策を提示します。介護保険制度の活用、施設入所の可能性、そして家族が抱える不安への対処法について、専門家の視点から詳しく解説していきます。

実家の祖母が3ヶ月くらい前から食欲がなく全く食べなくなり、歩いたりも出来なくなりました。病院に連れていき検査をしてもどこも悪くなく、医師からは老人性の鬱かもとの診断を受け入院の準備をしていた矢先に意識不明となり一時は危篤状態までなりました。しかし、突然意識が回復し、病院で様子を見ているここ1ヶ月です。初めは、妄想や興奮状態になったり、ベットでおとなしくしていられずにいた祖母。食欲は相変わらずない状態も続いていました。ここ1週間くらいして落ち着きはじめ、食欲も出てきています。話す内容もまともな事が増えてきました。しかし、元々わがままで強気な祖母でしたので、看護師も少し手を焼いてるようです。医師は認知症が始まっている可能性が大きいと言ってます。

私の母はそんな祖母（姑）の様子とこれからの事が不安で体調が優れません。要は、自宅に帰ってきて祖母を介護するのを心配してます。私の父は9年前に倒れ今は半身不随の身体障害者です。そんな父と祖母を介護するのは大変だと思います。実家は父と母と祖母の3人暮らしでしたので、母にかかる負担は大きいです。

今、祖母の介護認定の申請は出している最中です。このまま祖母が回復し始め、自宅に戻ってくるかもしれないと思うと正直困ってしまいます。このような軽い感じの認知症の場合は施設などには入所は難しいでしょうか？できればこのまま施設へ入所してもらいたいのです。ご意見をお聞かせ下さい。

はじめに：現状の整理と問題点の明確化

ご相談ありがとうございます。お祖母様の病状、ご家族の状況、そしてあなた自身の不安、全てを考えると、本当に大変な状況であることが伝わってきます。まずは、現状を整理し、問題点を明確にすることから始めましょう。

• お祖母様の状況： 食欲不振、歩行困難、意識不明、そして認知症の疑い。現在は回復傾向にあるものの、今後の見通しは不透明です。
• ご家族の状況： 父親は半身不随、母親は介護への不安から体調を崩しがち。介護認定の申請中。
• あなたの悩み： お祖母様の介護が自宅に戻ってきた場合、家族への負担が増大することへの懸念。施設入所を希望。

この状況を総合的に見ると、以下の3つの大きな問題点があると考えられます。

1. 介護の負担： 父親の介護に加え、認知症の祖母の介護が加わることで、母親の負担が非常に大きくなること。
2. 精神的な負担： 認知症の進行や介護に対する不安、そして将来への不透明感による精神的な負担。
3. 経済的な負担： 介護にかかる費用、施設入所にかかる費用など、経済的な負担も無視できない問題。

1. 介護保険制度の活用：知っておくべきこと

まず、介護保険制度について詳しく見ていきましょう。介護保険は、介護が必要な高齢者を社会全体で支えるための制度です。この制度を最大限に活用することで、介護の負担を軽減し、より良い介護サービスを受けることができます。

1-1. 介護認定の申請と手続き

現在、介護認定の申請中とのことですので、まずはその後の流れを確認しましょう。介護認定は、要介護度を決定するための重要なプロセスです。

1. 申請： 市区町村の窓口または地域包括支援センターで申請を行います。
2. 訪問調査： 調査員が自宅を訪問し、心身の状態や生活状況について聞き取り調査を行います。
3. 一次判定： コンピュータによる一次判定が行われます。
4. 二次判定： 介護認定審査会で、一次判定の結果と医師の意見書をもとに、要介護度が決定されます。
5. 認定通知： 認定結果が通知されます。

介護認定の結果によって、利用できる介護サービスの種類や量が変わってきます。要介護度が低い場合は、訪問介護や通所介護などの在宅サービスが中心となり、要介護度が高い場合は、施設入所も選択肢に入ってきます。

1-2. 介護サービスの利用：種類と選び方

介護保険サービスには、様々な種類があります。お祖母様の状況やご家族のニーズに合わせて、適切なサービスを選択することが重要です。

• 訪問介護（ホームヘルプサービス）： ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排泄などの身体介護や、掃除、洗濯などの生活援助を行います。
• 訪問看護： 看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療処置を行います。
• 通所介護（デイサービス）： デイサービスセンターに通い、食事、入浴、レクリエーション、機能訓練などを受けます。
• 通所リハビリテーション（デイケア）： 病院や診療所、介護老人保健施設などに通い、リハビリテーションを受けます。
• 短期入所生活介護（ショートステイ）： 短期間、施設に入所し、介護サービスを受けます。
• 認知症対応型通所介護（認知症デイサービス）： 認知症の方を対象としたデイサービスです。
• 小規模多機能型居宅介護： 訪問介護、通所介護、短期入所生活介護を組み合わせて利用できます。
• グループホーム： 認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設です。
• 介護老人福祉施設（特別養護老人ホーム）： 常に介護が必要な高齢者が入所する施設です。
• 介護老人保健施設（老健）： 治療やリハビリテーションを目的とした施設です。
• 介護療養型医療施設： 医療ケアが必要な高齢者が入所する施設です。

これらのサービスの中から、お祖母様の状況やご家族の希望に合わせて、適切なサービスを選択しましょう。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談することで、最適なサービスを見つけることができます。

1-3. ケアマネジャーの役割：相談とサポート

ケアマネジャーは、介護保険サービスを利用するための専門家です。介護保険の申請手続きの代行、ケアプランの作成、サービス事業者との連絡調整など、様々なサポートをしてくれます。

ケアマネジャーは、お祖母様の状況やご家族の希望を詳しく聞き取り、最適なケアプランを作成します。ケアプランに基づいて、様々な介護サービスを利用することができます。ケアマネジャーは、介護に関する様々な疑問や不安を解消するための相談相手にもなってくれます。

2. 施設入所の可能性：選択肢と手続き

ご相談者様は、できれば施設への入所を希望されているとのことですので、施設入所の可能性について詳しく見ていきましょう。

2-1. 施設の種類と特徴

施設には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。お祖母様の状況やご家族の希望に合わせて、適切な施設を選択することが重要です。

• 特別養護老人ホーム（特養）： 常に介護が必要な高齢者が入所する施設です。原則として、要介護3以上の人が入所対象となります。
• 介護老人保健施設（老健）： 治療やリハビリテーションを目的とした施設です。在宅復帰を目指す人が入所します。
• 介護療養型医療施設： 医療ケアが必要な高齢者が入所する施設です。
• グループホーム： 認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設です。
• 有料老人ホーム： 介護付き、住宅型、健康型の3つのタイプがあります。

それぞれの施設には、入所条件や費用、サービス内容などが異なります。事前にそれぞれの施設について詳しく調べ、比較検討することが重要です。

2-2. 施設入所の準備と手続き

施設入所を希望する場合、以下の準備と手続きが必要となります。

1. 情報収集： 地域の施設情報を収集し、それぞれの施設の情報を比較検討します。
2. 見学： 気になる施設を見学し、施設の雰囲気やサービス内容を確認します。
3. 申し込み： 入所を希望する施設に申し込みを行います。
4. 入所判定： 施設の入所基準に基づいて、入所の可否が判定されます。
5. 契約： 入所が決定した場合、施設と契約を結びます。
6. 入所： 施設に入所します。

施設入所の手続きは、施設によって異なります。事前に施設に問い合わせ、必要な書類や手続きについて確認しましょう。

2-3. 施設入所に関する注意点

施設入所には、メリットとデメリットがあります。事前にしっかりと理解しておくことが重要です。

• メリット： 専門的な介護を受けられる、家族の負担が軽減される、社会的な交流ができるなど。
• デメリット： 費用がかかる、自宅での生活とは異なる、環境の変化に適応できない場合があるなど。

施設入所を検討する際には、お祖母様の意思を尊重し、ご家族でよく話し合うことが重要です。また、施設入所後も、定期的に面会に行き、お祖母様の様子を確認しましょう。

3. 家族の心のケア：負担を軽減するために

お祖母様の介護は、ご家族にとって大きな負担となります。特に、母親は、介護と父親の介護、そして将来への不安から、心身ともに疲弊している可能性があります。ご家族の心のケアも非常に重要です。

3-1. 家族間のコミュニケーション：情報共有と協力

まずは、家族間でしっかりとコミュニケーションを取り、情報共有を行うことが重要です。お祖母様の状況、介護の進捗状況、そしてそれぞれの思いを共有することで、互いの理解を深め、協力体制を築くことができます。

定期的に家族会議を開き、介護に関する問題点や課題を話し合いましょう。それぞれの役割分担を決め、負担を分散することも重要です。例えば、あなたが週末に実家を訪れて、母親の負担を軽減する、といったことも考えられます。

3-2. 専門家への相談：心のサポート

介護に関する悩みや不安は、一人で抱え込まずに、専門家に相談しましょう。以下のような専門家が、あなたの心のサポートをしてくれます。

• ケアマネジャー： 介護保険に関する相談、ケアプランの作成、サービス事業者との連絡調整など。
• 医師： お祖母様の病状に関する相談、医療的なアドバイスなど。
• 精神科医・カウンセラー： 精神的な悩みや不安に関する相談、心のケアなど。
• 地域包括支援センター： 介護に関する総合的な相談、情報提供、支援など。

専門家に相談することで、客観的なアドバイスを得ることができ、心の負担を軽減することができます。また、同じような悩みを抱える人たちと交流することも、心の支えになります。

3-3. 休息とリフレッシュ：自分自身のケア

介護は、心身ともに疲労が蓄積しやすいものです。自分自身の心と体を大切にし、休息とリフレッシュの時間を確保することが重要です。

• 休息： 睡眠をしっかりとる、休息時間を確保する。
• リフレッシュ： 趣味を楽しむ、好きなことをする、気分転換になるような活動をする。
• ストレス解消： 運動をする、入浴する、アロマテラピーをするなど、自分に合った方法でストレスを解消する。

自分自身の心と体を大切にすることで、介護に対するモチベーションを維持し、長く介護を続けることができます。

4. 仕事との両立：働き方の工夫

介護と仕事を両立することは、非常に難しい課題です。しかし、働き方を工夫することで、両立を実現することは可能です。

4-1. 会社の制度の活用：介護休業と時短勤務

まずは、会社の制度を最大限に活用しましょう。多くの会社には、介護休業や時短勤務などの制度があります。

• 介護休業： 介護が必要な家族のために、一定期間、仕事を休むことができます。
• 時短勤務： 勤務時間を短縮して働くことができます。
• テレワーク： 在宅勤務をすることで、介護と仕事を両立しやすくなります。

これらの制度を利用することで、介護に時間を割きながら、仕事を続けることができます。会社の制度について、人事部に問い合わせて、詳しく確認しましょう。

4-2. 柔軟な働き方：副業やフリーランス

会社の制度だけでは、介護と仕事の両立が難しい場合もあります。その場合は、柔軟な働き方を検討することもできます。

• 副業： 本業とは別に、副業をすることで、収入を増やし、時間の自由度を高めることができます。
• フリーランス： フリーランスとして働くことで、自分のペースで仕事を進めることができます。
• 転職： 介護と仕事の両立を支援する企業に転職することも選択肢の一つです。

柔軟な働き方を選択することで、介護に時間を割きながら、仕事を続けることができます。ただし、収入や安定性、そして健康保険などの問題も考慮する必要があります。

4-3. 周囲への相談と協力：理解とサポート

介護と仕事を両立するためには、周囲の理解とサポートが不可欠です。上司や同僚、家族、友人などに、介護の状況を説明し、協力を求めましょう。

介護の状況を理解してもらうことで、急な休みや遅刻などにも、柔軟に対応してもらうことができます。また、周囲の協力を得ることで、介護の負担を軽減することができます。

5. まとめ：未来への一歩を踏み出すために

お祖母様の介護、ご家族の状況、そしてあなた自身の悩み、全てを考えると、本当に大変な状況であることは間違いありません。しかし、適切な情報とサポートを得ることで、必ず解決策は見つかります。

まずは、介護保険制度を最大限に活用し、ケアマネジャーや専門家と連携しましょう。施設入所の可能性についても、情報収集を行い、ご家族でよく話し合いましょう。そして、ご家族の心のケアを忘れずに、休息とリフレッシュの時間を確保してください。仕事との両立については、会社の制度を活用し、柔軟な働き方を検討しましょう。周囲の理解と協力を得ながら、未来への一歩を踏み出してください。

この問題は、一人で抱え込まず、積極的に情報を集め、周囲に相談することが重要です。あなたの状況が少しでも改善されることを心から願っています。

“`