精神疾患を持つ親の施設入所：家族が抱える悩みと利用できる公的サービス

この記事では、精神疾患を持つ親御さんの施設入所を検討されているご家族が抱える悩みに対し、具体的な解決策と利用できる公的サービスについて解説します。特に、経済的な問題、親御さんの状態、そしてご家族の精神的な負担に焦点を当て、包括的なサポート情報を提供します。介護施設選び、金銭管理、そしてご家族自身の心のケアまで、具体的なステップとアドバイスを通じて、より良い選択ができるようサポートします。

精神疾患のある母を施設に預けたいのですが、利用出来る公的サービス等はありますか？

精神疾患を持つ60歳の母がいます。これまでは子供達で支えて来れたのですが、子供達全員が結婚し、兄夫婦と同居して生活していく予定でしたが、上手くいかず別居となりました。その後は実家で母のみ一人暮らしをしていましたが、大切なお金に手をつけるようになり、貯金がなくなるまで使い込むようになってしまいました。我々子供達が金銭を渡さないと近隣住民の方から借金をするようにもなりました。このままではそれぞれの生活が破綻してしまうと考え、施設への入所を決意しました。

以下、母の簡単な情報です。

• 年齢:60歳
• 既往・現病歴:統合失調症・うつ病・産婦人科系の病気（病名は不明）・自律神経失調症等
• 金銭面:亡き父の遺族年金が偶数月に35万前後振り込まれる
• 問題行動:金銭管理出来ない・計画性がない・家事が出来なくなってきている等

こちらとしては、介護付き住宅のような施設への入所を考えていますが、今の母の状態で受け入れてくれる所があるかも分かりません。最低限こちらの話を聞いてくれたり、相談に乗って頂ける公的サービスや制度等があればまずはそちらから利用したいと考えています。不明な点は追って追記します。宜しくお願い致します。

1. 現状の把握と課題整理

ご相談ありがとうございます。お母様の施設入所を検討されているとのこと、ご家族皆様の心労はいかばかりかとお察しいたします。まずは、現状を整理し、具体的な課題を明確にすることから始めましょう。

1-1. お母様の状態の評価

お母様は、統合失調症、うつ病、自律神経失調症などの既往歴があり、金銭管理能力の低下、計画性の欠如、家事能力の低下といった問題が見られます。これらの症状は、精神疾患の影響だけでなく、加齢による認知機能の低下も複合的に影響している可能性があります。まずは、お母様の現在の状態を正確に把握することが重要です。

• 精神科医による診断と評価: 定期的な通院と服薬状況、現在の精神状態について医師と詳しく話し合いましょう。必要に応じて、認知機能検査や生活能力評価などを受けることも検討してください。
• 生活状況の観察: 日常生活における困りごと（食事、入浴、排泄、服薬管理など）を具体的に把握し、記録しておきましょう。

1-2. 経済状況の確認

お母様は、亡き父の遺族年金が収入源となっています。この収入をどのように管理し、生活費に充てているのかを把握することが重要です。また、借金の問題についても、詳細な状況を把握し、債権者との交渉や法的手段を検討する必要があるかもしれません。

• 収入と支出の把握: 遺族年金以外の収入の有無、毎月の支出の内訳（家賃、食費、医療費、日用品費など）を把握しましょう。
• 財産管理: 預貯金、不動産などの財産状況を確認し、適切な管理方法を検討しましょう。
• 借金問題: 借金の金額、債権者、返済状況などを把握し、弁護士や司法書士に相談することも検討しましょう。

1-3. 家族の状況の整理

ご家族（特に兄弟姉妹）で、お母様の介護に関する役割分担や、今後の対応について話し合いましょう。それぞれの生活状況や、介護に割ける時間、経済的な負担などを考慮し、協力体制を築くことが重要です。

• 情報共有: お母様の状態や、利用できるサービスに関する情報を共有し、認識のずれをなくしましょう。
• 役割分担: 介護、金銭管理、手続きなど、それぞれの役割を明確にしましょう。
• 定期的な話し合い: 定期的に集まって、お母様の状況や今後の対応について話し合い、問題点を共有し、解決策を検討しましょう。

2. 利用できる公的サービスと制度

お母様の状況に合わせて、様々な公的サービスや制度を利用することができます。これらの情報を収集し、積極的に活用することで、ご家族の負担を軽減し、お母様の生活の質を向上させることが可能です。

2-1. 介護保険サービス

お母様が65歳以上であれば、介護保険サービスを利用することができます。40歳から64歳の方でも、特定疾病（認知症など）が原因で介護が必要になった場合は、介護保険の対象となります。

• 要介護認定の申請: 市区町村の窓口で、要介護認定の申請を行いましょう。申請後、調査員による訪問調査や、主治医の意見書をもとに、介護度が認定されます。
• 利用できるサービス: 介護保険サービスには、訪問介護（ホームヘルプ）、訪問看護、通所介護（デイサービス）、短期入所生活介護（ショートステイ）、介護老人福祉施設（特別養護老人ホーム）、介護老人保健施設（老健）などがあります。お母様の状態や、ご家族の状況に合わせて、適切なサービスを選択しましょう。
• 介護保険の費用: 介護保険サービスを利用する際には、原則として費用の1割〜3割を自己負担します。所得に応じて、自己負担額が異なります。

2-2. 精神保健福祉サービス

お母様は精神疾患をお持ちですので、精神保健福祉サービスも利用することができます。

• 精神科医療機関: 精神科医による診察、治療、服薬指導などを受けることができます。
• 精神科訪問看護: 精神科の看護師が自宅を訪問し、服薬管理、生活指導、相談などを行います。
• 精神障害者グループホーム: 精神疾患を持つ方が共同生活を送る施設です。生活支援や、社会復帰に向けた訓練などを受けることができます。
• 精神保健福祉センター: 精神保健に関する相談、情報提供、訪問指導などを行います。

2-3. その他の制度

状況に応じて、以下の制度も利用を検討しましょう。

• 成年後見制度: 判断能力が低下した方の財産管理や、身上監護を支援する制度です。家庭裁判所に申し立てを行い、成年後見人を選任します。
• 日常生活自立支援事業: 知的障害や精神障害などにより、判断能力が低下した方の生活を支援する事業です。金銭管理や、福祉サービスの利用支援などを行います。
• 障害者手帳: 精神疾患を持つ方は、精神障害者保健福祉手帳を取得できる場合があります。手帳を取得すると、医療費の助成や、公共交通機関の割引など、様々なサービスが利用できます。

3. 施設選びのポイント

お母様の状態や、ご家族の希望に合わせて、適切な施設を選ぶことが重要です。施設の種類や、入居条件、費用などを比較検討し、お母様にとって最適な施設を選びましょう。

3-1. 施設の種類

• 介護付き有料老人ホーム: 介護が必要な方が入居できる施設です。食事、入浴、排泄などの介護サービスや、生活支援サービスを提供しています。
• 住宅型有料老人ホーム: 自立した生活ができる方が入居できる施設ですが、介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用することができます。
• グループホーム: 認知症の方が、少人数で共同生活を送る施設です。認知症ケアに特化したサービスを提供しています。
• 特別養護老人ホーム（特養）: 介護度が高い方が入居できる施設です。入居費用は比較的安価ですが、入居待機期間が長い場合があります。

3-2. 入居条件と費用

• 入居条件: 施設の入居条件は、施設の種類や、お母様の状態によって異なります。事前に確認し、入居できるかどうかを確認しましょう。
• 費用: 施設によって、入居費用や、月額費用が異なります。初期費用、月額利用料、介護サービス費、食費などを比較検討しましょう。
• 見学: 複数の施設を見学し、施設の雰囲気や、スタッフの対応などを確認しましょう。
• 体験入居: 多くの施設では、体験入居を受け入れています。実際に施設で生活してみることで、施設の雰囲気を体験し、入居後の生活をイメージすることができます。

3-3. 施設選びの注意点

• 医療体制: 精神疾患の治療や、持病の管理に対応できる医療体制が整っているかを確認しましょう。
• スタッフの質: スタッフの資格、経験、研修体制などを確認し、質の高い介護サービスが提供されているかを確認しましょう。
• 環境: 施設の設備、清潔さ、安全対策などを確認し、快適に生活できる環境であるかを確認しましょう。
• 情報公開: 施設の運営状況や、サービス内容に関する情報が、適切に公開されているかを確認しましょう。

4. 金銭管理と法的支援

お母様の金銭管理能力が低下しているため、適切な金銭管理と、必要に応じて法的支援を受けることが重要です。

4-1. 金銭管理の方法

• 成年後見制度の利用: 成年後見制度を利用し、成年後見人を選任することで、お母様の財産管理を支援することができます。
• 預貯金の管理: 預貯金を引き出す際には、成年後見人や、ご家族が立ち会うなど、不正利用を防ぐための対策を講じましょう。
• 生活費の管理: 生活費を、定額で、定期的に渡すなど、計画的な金銭管理を行いましょう。
• 家計簿の作成: 収入と支出を記録し、無駄な出費がないかを確認しましょう。

4-2. 法的支援

• 弁護士への相談: 借金問題や、成年後見制度に関する相談など、法的問題については、弁護士に相談しましょう。
• 司法書士への相談: 成年後見制度の手続きや、不動産に関する相談など、司法書士に相談しましょう。
• 行政書士への相談: 介護保険に関する手続きや、各種申請など、行政書士に相談しましょう。

5. 家族の心のケア

精神疾患を持つ親御さんの介護は、ご家族にとって大きな負担となります。ご自身の心身の健康を保つためにも、積極的に心のケアを行いましょう。

5-1. 相談窓口の利用

• 精神保健福祉センター: 精神保健に関する相談、情報提供、訪問指導などを受けることができます。
• 地域包括支援センター: 高齢者の介護や、生活に関する相談を受けることができます。
• 精神科医、カウンセラー: 専門家によるカウンセリングや、精神療法を受けることで、心の負担を軽減することができます。

5-2. 休息とリフレッシュ

• 休息時間の確保: 介護から離れ、十分な休息時間を確保しましょう。
• 趣味や気分転換: 趣味を楽しんだり、気分転換になるような活動を行いましょう。
• 家族や友人との交流: 家族や友人と交流し、悩みや気持ちを共有しましょう。

5-3. 介護サービスの活用

• レスパイトケア: 短期間、介護施設に入所したり、訪問介護を利用することで、介護から一時的に解放されることができます。
• デイサービス: 日中、デイサービスを利用することで、お母様の介護を専門家に任せ、ご自身の時間を確保することができます。

お母様の施設入所は、ご家族にとって大きな決断であり、様々な困難が伴うかもしれません。しかし、適切な情報収集と、公的サービスの活用、そしてご家族の協力体制を築くことで、より良い選択をすることができます。焦らず、一つずつ課題を解決し、お母様とご家族にとって、より良い生活が送れるよう、サポートしていきましょう。

“`