介護施設での介護拒否への対応：今年度新人介護士が抱える悩みを解決

介護の現場で働く皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。特に、今年度から介護職として働き始めた方々は、慣れない環境の中で多くの困難に直面していることと思います。今回は、介護施設で働く新人介護士の方から寄せられた、介護拒否のある入居者への対応に関するお悩みについて、具体的な解決策を提示します。

拒否の強い方の対応方法に、アドバイスが欲しいです。

私の働く介護施設に拒否の強い方がいます。その方は認知症と前の施設でも介護拒否があった方で、日中は紙パンツとパット使用、夜間はオムツで対応しています。

車椅子は未使用でトイレにはご自分では行かれません。誘導を行おうとしますがほぼ拒否されます。寝る前も本人が立ち上がったタイミングで声掛けを行いオムツを付けさせてもらってます。

しかし拒否が多く、寝る前や朝起きた時もほとんど交換をさせて貰えず、怒って突き飛ばされたりすることもある為あまり言い続けることも出来ないです。トイレと言う言葉を使わない、大勢の前で大きな声で言わない等色々試しましたがダメでした。

しかし交換をしなければもちろん失禁します。

なのでこちらとしては交換したいのですが無理に行うことも出来ないため難しいです。

トイレ誘導が上手くできないことを先輩職員や主任に相談しましたが「出来ないなら無理しなくていいよ」や「難しいよね〜俺も上手くいかないことの方が多いよ」としか話されず、解決にはなりません。教えてくれたことを実践しても上手く行きませんでした。

声掛けを工夫したりタイミングを本人に合わせてみたりしてるのですができない時はほんとにダメです。

無理しなくていいよ、とは言われましたが失禁されると衣服やシーツを交換しなければならずそれにも拒否があるのでまた大変です。

本人のことを尊重してやらなければいけないことは分かっていますがさすがに夜勤一人で全て対応仕切ることは難しいし既に限界です。

このような方はどのように対応すれば良いでしょうか？

今年一年目でまだ知識も浅い為何かアドバイスなどが欲しいです。

このご相談は、多くの介護士が直面する共通の課題です。特に、新人介護士にとっては、経験不足からくる不安や、どのように対応すれば良いのか分からないという悩みが大きいでしょう。この記事では、具体的な対応策と、より良い介護を提供するためのヒントを、経験豊富な介護コンサルタントの視点から解説します。

1. 状況の理解とアセスメントの重要性

まず、現状を正確に把握することが重要です。ご相談者の状況を詳細に分析し、具体的な問題点を特定しましょう。以下の点を考慮しながら、入居者の状態をアセスメントします。

• 認知機能の状態: 認知症の進行度合い、記憶力、理解力、判断力などを評価します。
• 身体機能の状態: 移動能力、排泄機能、体力の程度などを把握します。
• 既往歴と服薬状況: 病歴や服用中の薬が、拒否行動に影響を与えている可能性も考慮します。
• 生活歴とパーソナリティ: 過去の生活環境、趣味、性格などを知ることで、より適切な対応方法を見つけられます。
• 拒否行動の具体的な状況: いつ、どのような状況で拒否が起こるのか、具体的なトリガー（きっかけ）を特定します。

これらの情報を収集し、記録することで、より効果的な対応策を立てることができます。記録は、他のスタッフとの情報共有にも役立ちます。

2. コミュニケーションの工夫

拒否行動の背景には、コミュニケーション不足や不安、不快感などが隠れている場合があります。以下の点に注意して、コミュニケーションを工夫しましょう。

• 声のトーンと表情: 穏やかで優しい声で話しかけ、笑顔で接することで、安心感を与えます。
• 言葉遣い: 相手の尊厳を尊重し、丁寧な言葉遣いを心がけます。「〜してください」ではなく、「〜しましょうか？」のように、選択肢を与える言い方も有効です。
• 非言語的コミュニケーション: 視線を合わせ、相手の目を見て話すことで、信頼関係を築きます。ボディランゲージにも注意し、威圧感を与えないようにしましょう。
• 傾聴: 相手の話をじっくりと聞き、共感の姿勢を示すことで、安心感を与えます。
• 具体的な言葉の使用: 「おむつ交換」という言葉ではなく、「気持ちよくなりましょうか」や「さっぱりしましょうか」など、よりソフトな表現を使います。

3. 環境調整の重要性

入居者の置かれている環境を整えることも、拒否行動の軽減に繋がります。以下の点を意識して、環境調整を行いましょう。

• プライバシーの確保: 部屋の明るさ、温度、音などを調整し、快適な空間を作ります。
• トイレ環境の整備: トイレまでの動線を安全に確保し、手すりやポータブルトイレなどを設置します。トイレの場所を分かりやすく表示することも重要です。
• 時間とタイミング: 排泄の時間帯を把握し、適切なタイミングで声かけを行います。食事後や水分摂取後など、排泄のタイミングを予測できる時間帯に、トイレへの誘導を試みます。
• 落ち着ける空間: 落ち着ける音楽を流したり、アロマを焚いたりするなど、リラックスできる環境を整えます。

4. 身体的ケアの工夫

身体的ケアを行う際にも、入居者の尊厳を尊重し、不快感を与えないように工夫することが重要です。

• 声かけと説明: ケアを行う前に、必ず声かけを行い、これから何をするのかを具体的に説明します。
• 本人のペースに合わせる: 急がず、本人のペースに合わせてケアを行います。
• 選択肢の提示: できる限り、本人が選択できる余地を与えます。「どちらのパットが良いですか？」など、選択肢を提示することで、主体性を尊重します。
• 痛みの軽減: 身体に痛みがある場合は、痛みの原因を特定し、適切な対応を行います。
• 清潔の保持: 失禁した場合、すぐに着替えを行い、清潔を保ちます。

5. チームワークと情報共有

一人で抱え込まず、チームで協力し、情報共有を徹底することが重要です。

• 情報共有: 入居者の状態や対応方法について、チーム内で情報を共有します。記録を活用し、日々の変化を把握します。
• 相談: 困ったことがあれば、先輩職員や上司に積極的に相談します。
• カンファレンス: 定期的にカンファレンスを行い、入居者に関する情報を共有し、対応策を検討します。
• 多職種連携: 医師、看護師、理学療法士など、多職種と連携し、専門的なアドバイスを受けます。

6. 失敗からの学びと継続的な改善

対応がうまくいかないこともありますが、それは決して失敗ではありません。失敗から学び、改善していくことが重要です。

• 振り返り: 毎回、対応を振り返り、何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを分析します。
• 記録の活用: 記録を詳細に残し、後で振り返ることで、改善点を見つけやすくなります。
• 新しい方法の試み: 様々な方法を試し、効果的な方法を見つけます。
• 研修への参加: 介護技術や認知症ケアに関する研修に参加し、知識とスキルを向上させます。

7. ストレス管理と自己ケア

介護の仕事は、心身ともに負担の大きい仕事です。ストレスをため込まず、自己ケアも大切にしましょう。

• 休息: 十分な睡眠を取り、心身を休ませます。
• 趣味: 自分の好きなことや趣味に時間を使い、リフレッシュします。
• 相談: 家族や友人、同僚に相談し、悩みを共有します。
• 専門家の活用: 専門家（カウンセラーなど）に相談することも有効です。
• ポジティブな思考: 良い面を見つけ、感謝の気持ちを持つことで、心のバランスを保ちます。

これらの対策を実践することで、介護拒否のある入居者への対応が改善され、より良い介護を提供できるようになるはずです。焦らず、一つ一つ丁寧に取り組んでいきましょう。

8. 具体的な対応例：ケーススタディ

以下に、具体的なケーススタディを通して、対応方法を解説します。

ケース1：

ある入居者（Aさん）は、排泄介助を強く拒否し、怒って介護士を叩くことがありました。Aさんは、過去に家庭内暴力の経験があり、男性に対して強い警戒心を持っていることが分かりました。

対応：

• 女性介護士が担当: 女性介護士が中心となり、Aさんとの信頼関係を築きました。
• 声かけの工夫: 「〇〇さん、気持ちよくなりましょうか？」と優しく声をかけ、Aさんのペースに合わせてケアを行いました。
• 環境調整: 部屋の照明を少し暗くし、落ち着ける音楽を流しました。
• 選択肢の提示: 「どちらのパットが良いですか？」と、Aさんに選択肢を与えました。
• 結果: 徐々にAさんの拒否は減少し、排泄介助を受け入れてくれるようになりました。

ケース2：

別の入居者（Bさん）は、排泄介助を拒否し、大声で叫ぶことがありました。Bさんは、過去に病院での辛い経験があり、医療行為に対する恐怖心を持っていることが分かりました。

対応：

• 説明と安心感: ケアを行う前に、丁寧に説明し、安心感を与えました。「今日は〇〇をしますね。大丈夫ですよ」と声をかけました。
• 言葉遣い: 「おむつ交換」という言葉ではなく、「さっぱりしましょうか」など、よりソフトな表現を使いました。
• 痛みの確認: 身体に痛みがないか確認し、必要に応じて医師に相談しました。
• 時間調整: 食事後や水分摂取後など、排泄のタイミングを予測できる時間帯に、トイレへの誘導を試みました。
• 結果: Bさんの不安が軽減し、排泄介助を受け入れてくれるようになりました。

9. 介護の質の向上とキャリアアップ

介護の仕事は、単なる肉体労働ではありません。専門知識と技術を習得し、自己研鑽を続けることで、介護の質を向上させ、キャリアアップを目指すことができます。

• 資格取得: 介護福祉士、ケアマネージャーなどの資格を取得することで、専門性を高めることができます。
• 研修への参加: 認知症ケア、褥瘡予防、排泄ケアなど、専門的な研修に参加し、知識とスキルを向上させます。
• 情報収集: 最新の介護情報や技術を学び、実践に活かします。
• キャリアパス: 介護リーダー、主任、施設長など、キャリアアップを目指します。
• 自己啓発: 介護に関する書籍を読んだり、セミナーに参加したりして、自己啓発に努めます。

10. まとめ：介護の現場で働く皆様へ

介護の現場は、常に変化し、多くの課題に直面します。しかし、入居者の笑顔と感謝の言葉は、何ものにも代えがたい喜びです。今回の記事が、介護拒否への対応に悩む皆様の一助となり、より良い介護を提供するための一歩となることを願っています。そして、皆様が心身ともに健康で、長く介護の仕事に携わることができるよう、心から応援しています。

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