介護職の悩み：薬の服用忘れによる利用者さんの暴言・過呼吸への対応

住宅型の介護職員です。薬を飲んだことを忘れて「飲んでない！」と大暴れして、号泣して過呼吸を起こしてしまう利用者さんがいます。利用者さんは喘息持ちでよく過呼吸を起こす方で、誤嚥も多くとろみを2倍にしてお食事をしていただいています。いつも5個近くの薬を飲んでから居室に帰るのですが、飲んだ後しばらくして飲んでない飲んでないと大騒ぎしながら食堂に戻って来るんです。どんなに飲んだよと言っても「飲むためにお部屋に戻ってお水飲んで喉を潤したの！」「後で飲むから部屋で待っててねってあなたに言われたの！」とか架空エピソードを作られてしまっていて説得は不可能で、気を逸らそうにも本人は重大な病気なのに薬を飲ませてもらえてないと思ってるので、痛みを錯覚して「痛い痛い！」と大泣きして、挙げ句の果てに「殺される！」と過呼吸を起こしてしまいます。他の利用者さんにも「この施設にいたら殺される！逃げて！」など言ってしまって不安にさせてしまっているようでどうにかしたいのですが、薬を飲むのも命懸けで職員数員で見守りなので、プラシーボ効果でラムネを飲んでいただくというのは施設長にダメと言われています。飲むところを撮影して飲んでないと言い出した時見せるという案も出したのですが、それは人手が足りないから無理と言われました。どうにかしてこのような利用者さんを落ち着かせてあげることはできないでしょうか。毎日泣いて苦しんでいるのを見るのはとても辛いし、「あの人を殺すつもり？」など他の利用者さんも不安そうに聞いてきて、どうにかしたいです。

この記事では、介護職の皆様が直面する、薬の服用忘れによる利用者さんの不安定な状態への対応について、具体的な解決策を提案します。特に、認知機能の低下や精神的な不安定さを抱える高齢者のケアに焦点を当て、現場で実践可能な方法、チーム医療との連携、そして自身のメンタルヘルスケアについても深く掘り下げていきます。 毎日、利用者さんの不安定な状態に苦慮されている介護職員の皆様にとって、少しでも助けとなる情報を提供できれば幸いです。

1. 現状の分析と課題の整理

まず、現状を整理してみましょう。利用者さんは、薬を服用したことを忘れてしまう、そしてそれをきっかけに過呼吸や暴言、そして周囲への不安感を与える行動に繋がっています。 これは、単なる「忘れっぽさ」ではなく、認知機能の低下や、薬の服用に対する不安、あるいは潜在的な精神的な問題が複雑に絡み合っている可能性が高いです。 また、職員の方々も、数人で対応する必要があるほど状況が深刻で、人員不足も大きな課題となっています。 ラムネや撮影による記録といった、容易に実行できない提案が却下されている現状も考慮しなければなりません。

2. 具体的な解決策：多角的なアプローチ

現状を踏まえ、以下の多角的なアプローチを提案します。

• 薬剤管理の見直し： 薬剤師や医師と連携し、服薬管理システムの見直しを検討しましょう。例えば、1回分ずつ包装された薬、服薬カレンダー、服薬アラーム、服薬管理アプリなどを活用することで、服用忘れを防ぎ、職員の負担軽減にも繋がります。 また、薬の種類や服用時間を見直すことで、利用者さんの負担を減らすことも可能です。
• 環境調整： 利用者さんが薬を服用した後、落ち着いて過ごせる環境を整えることが重要です。静かな個室を用意したり、好きな音楽を流したり、リラックスできるアロマを焚いたりするなどの工夫をしてみましょう。 また、居室への移動経路に分かりやすいサインを設置するのも効果的です。 食堂から居室までの動線を短縮する、もしくは、薬を服用する場所を食堂から別の静かな場所に移動するなども検討できます。
• コミュニケーションの工夫： 利用者さんとのコミュニケーションは、非常に重要です。 「飲んだかどうかわからない」という不安感を解消するために、薬を服用する際に、職員が優しく声かけを行い、服用後も「ちゃんと飲めたね」と確認するなど、安心感を与えるコミュニケーションを心がけましょう。 また、利用者さんの言葉に耳を傾け、感情を理解しようと努めることが大切です。 たとえ架空のエピソードであっても、真剣に受け止め、共感することで、利用者さんの不安を軽減できる可能性があります。 具体的な言葉としては、「○○さん、今不安な気持ちなんですね。一緒に落ち着きましょうね。」といった共感の言葉が効果的です。
• 非薬物療法の導入： 過呼吸や不安症状に対して、深呼吸法やリラクセーション法などの非薬物療法を導入することも有効です。 専門の療法士に相談し、利用者さんに合った方法を検討しましょう。 音楽療法やアロマテラピーなども効果的な場合があります。
• チーム医療の活用： 医師、薬剤師、看護師、ケアマネージャー、精神科医など、多職種と連携し、チーム医療として問題解決に取り組むことが重要です。 定期的なカンファレンスを行い、情報共有や課題の共有を行い、より効果的なケアプランを作成しましょう。 特に、精神科医の意見を聞くことで、利用者さんの精神状態をより深く理解し、適切な対応策を立てることができます。
• 職員の負担軽減： 職員の負担軽減は、質の高いケアを提供するために不可欠です。 人員配置の見直し、業務分担の明確化、研修によるスキルアップなどを検討し、職員のモチベーション向上を図りましょう。 また、職員同士で定期的に情報交換や相談を行うことで、負担を軽減し、チームワークを強化することも重要です。

3. 成功事例：他施設での取り組み

ある介護施設では、服薬管理システムの導入と職員研修を実施することで、薬の服用忘れによるトラブルを大幅に減少させることに成功しました。 具体的には、1回分ずつ包装された薬と服薬アラームを導入し、職員には服薬指導に関する研修を実施しました。 その結果、利用者さんの服薬遵守率が向上し、職員の負担も軽減されました。 また、別の施設では、音楽療法を取り入れることで、利用者さんの不安やストレスを軽減し、落ち着きを取り戻すことに成功した事例もあります。

4. メンタルヘルスケアの重要性

毎日、利用者さんの不安定な状態に接することは、介護職員の精神的な負担にも繋がります。 そのため、自身のメンタルヘルスケアにも十分に注意を払うことが重要です。 定期的な休暇取得、同僚との相談、専門機関への相談などを活用し、心身の健康を維持しましょう。 職場の雰囲気も重要です。 相談しやすい雰囲気づくりや、職員同士のサポート体制の構築も大切です。

5. まとめ

利用者さんの薬の服用忘れによる問題への対応は、多角的なアプローチが必要です。 薬剤管理の見直し、環境調整、コミュニケーションの工夫、非薬物療法の導入、チーム医療の活用、そして職員の負担軽減策を総合的に検討し、実践していくことが重要です。 また、介護職員自身のメンタルヘルスケアにも十分に気を配りましょう。 これらの取り組みを通じて、利用者さんの安心安全を守り、より質の高い介護を提供することが可能になります。