転倒による骨折後の介護：要介護認定の申請から介護サービス利用までの全手順をケアマネが徹底解説

この記事では、ご家族が転倒による骨折で入院し、退院後に介護サービスを利用する際の、要介護認定申請からサービス利用開始までの流れについて、ケアマネージャーの視点から詳しく解説します。介護保険制度の仕組みや、利用できる介護サービスの種類、申請手続きの具体的な方法、そして、ご家族が安心して介護サービスを利用できるようになるためのポイントを、わかりやすくご紹介します。

居宅のケアマネの方に教えて頂きたいのですが、例えば、私のおじいちゃん・おばあちゃんが自宅で転倒して足を骨折して、救急車で病院に運ばれて手術やリハビリをしたとしても、今までみたいに歩けなくなって車椅子生活になるとするじゃないですか。その状態で自宅に戻る事を余儀なくされた際、ヘルパーさんなどの介護サービスを受けるに当たって、要介護認定を受ける必要があるかとは思いますが、こういう手続きって、入院した段階で、どこかに申請するのですか？タウンページで居宅のケアマネに話をするのですか？流れを教えてください。

ご家族の介護について、このような疑問をお持ちの方、いらっしゃるのではないでしょうか。突然の出来事で、何から手をつければ良いのか、不安になりますよね。この記事では、介護保険制度の専門家であるケアマネージャーが、具体的な手続きの流れ、必要な準備、そして、ご家族が安心して介護サービスを利用するためのポイントを、わかりやすく解説します。

1. 介護保険制度の基礎知識

介護保険制度は、介護が必要になった高齢者や、特定疾病により介護が必要となった方を社会全体で支えるための制度です。介護保険サービスを利用するには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。この認定によって、利用できる介護サービスの種類や、自己負担額が決まります。

介護保険制度の目的

• 介護が必要な高齢者や特定疾病により介護が必要となった方を支える。
• 介護サービスの利用を促進し、高齢者の自立した生活を支援する。
• 介護保険料を納めることで、誰もが安心して介護サービスを利用できる社会を築く。

介護保険の対象者

• 65歳以上の方（第1号被保険者）：原因を問わず介護が必要になった場合
• 40歳から64歳の方（第2号被保険者）：特定疾病により介護が必要になった場合

介護保険サービスの種類

• 居宅サービス：自宅で利用できるサービス（訪問介護、訪問看護、訪問リハビリなど）
• 施設サービス：介護保険施設に入所して利用するサービス（特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など）
• 地域密着型サービス：地域住民を対象としたサービス（認知症対応型共同生活介護など）

2. 要介護認定の申請手続き

要介護認定の申請は、以下の手順で行います。この流れを理解しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

1. 申請窓口の確認

お住まいの市区町村の介護保険窓口（高齢福祉課など）に申請します。入院中の場合は、病院の相談員に相談することもできます。

2. 申請書の提出

申請書に必要事項を記入し、介護保険被保険者証を添えて提出します。申請書は、市区町村の窓口で入手できます。

3. 訪問調査の実施

市区町村の職員や、委託を受けた調査員が、自宅を訪問して心身の状態や生活状況について調査を行います。この調査は、認定の重要な判断材料となります。

4. 主治医意見書の作成

主治医が、心身の状態や病状について意見書を作成します。この意見書も、認定の重要な判断材料となります。

5. 審査・判定

訪問調査の結果や主治医意見書をもとに、介護認定審査会が審査を行い、要介護度が決定されます。

6. 認定結果の通知

認定結果が、申請者に通知されます。認定結果には、要介護度、認定期間、サービス利用に関する情報などが記載されています。

3. 入院中の手続き：病院でできること

ご家族が入院中の場合、病院の相談員（医療ソーシャルワーカー）に相談することが重要です。相談員は、介護保険に関する情報提供や、申請手続きのサポートをしてくれます。また、退院後の生活について、様々なアドバイスを受けることができます。

病院の相談員に相談できること

• 介護保険制度に関する情報提供
• 要介護認定の申請手続きのサポート
• 退院後の生活に関する相談（住環境、介護サービスなど）
• 社会資源の紹介（介護サービス事業者、地域の支援団体など）

入院中に準備しておくと良いこと

• 介護保険被保険者証の確認
• 主治医との情報共有
• 退院後の生活に関する希望の整理
• 家族間の情報共有と役割分担

4. ケアマネージャーとの連携

要介護認定後、ケアマネージャー（介護支援専門員）に相談し、ケアプランを作成してもらうことが重要です。ケアマネージャーは、介護に関する専門家であり、ご本人やご家族の状況に合わせて、最適な介護サービスを提案してくれます。ケアマネージャーとの連携は、安心して介護サービスを利用するための重要なステップです。

ケアマネージャーの役割

• ケアプランの作成：ご本人の状態や希望に合わせた介護サービス計画を作成します。
• サービス事業者との連絡調整：サービス事業者との連絡や、利用調整を行います。
• モニタリング：サービス利用状況を定期的に確認し、必要に応じてケアプランの見直しを行います。
• 相談支援：介護に関する様々な相談に対応し、情報提供を行います。

5. 介護サービスの利用開始

ケアプランに基づき、介護サービスを利用開始します。サービス利用開始後も、ケアマネージャーとの連携を密にし、状況に合わせてケアプランの見直しを行うことが大切です。

介護サービス利用開始までの流れ

1. ケアプランの作成
2. サービス事業者との契約
3. サービスの利用開始
4. モニタリングとケアプランの見直し

6. 介護保険サービスの種類と選び方

介護保険サービスには、様々な種類があります。ご本人やご家族の状況に合わせて、適切なサービスを選ぶことが重要です。

主な介護保険サービスの種類

• 訪問介護（ホームヘルプサービス）：自宅での身体介護や生活援助を行います。
• 訪問看護：看護師が自宅に訪問し、健康管理や医療処置を行います。
• 通所介護（デイサービス）：日中に施設に通い、食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを受けます。
• 通所リハビリテーション（デイケア）：リハビリ専門職によるリハビリテーションを受けます。
• 短期入所生活介護（ショートステイ）：短期間、施設に入所して介護サービスを受けます。
• 福祉用具の貸与・購入：車椅子やベッドなどの福祉用具を借りたり、購入したりできます。

サービスを選ぶ際のポイント

• ご本人の状態や希望
• ご家族の状況
• 利用できるサービスの範囲
• 費用
• 事業者の評判

7. 費用と自己負担について

介護保険サービスを利用する際には、原則として費用の1割〜3割を自己負担します。所得に応じて自己負担割合が異なります。また、食費や居住費などの費用は、全額自己負担となります。

自己負担割合

• 所得に応じて1割〜3割
• 高額介護サービス費制度：自己負担額が高額になった場合、一定額を超えた分は払い戻しされます。

その他の費用

• 食費
• 居住費
• 日常生活費

8. 介護に関する相談窓口

介護に関する悩みや疑問は、一人で抱え込まずに、専門家や相談窓口に相談しましょう。様々な相談窓口があり、無料で相談できます。

主な相談窓口

• 地域包括支援センター：高齢者の総合的な相談窓口です。
• 居宅介護支援事業所：ケアマネージャーが所属しています。
• 市区町村の介護保険窓口
• 社会福祉協議会
• 成年後見制度に関する相談窓口

9. 介護保険制度を利用する上での注意点

介護保険制度を利用する際には、以下の点に注意しましょう。

注意点

• 申請手続きには、時間がかかる場合があります。
• 要介護度は、心身の状態によって変動します。
• サービス利用には、上限があります。
• 介護保険料の滞納は、サービス利用に影響を与える場合があります。

10. まとめ：安心して介護サービスを利用するために

ご家族が転倒による骨折で介護が必要になった場合、まずは要介護認定の申請を行いましょう。病院の相談員やケアマネージャーに相談し、適切な介護サービスを選び、ケアプランを作成してもらうことが重要です。介護保険制度を理解し、積極的に活用することで、ご本人やご家族が安心して生活を送れるようにサポートできます。

この記事のポイント

• 要介護認定の申請手続きの流れを理解する。
• 病院の相談員やケアマネージャーに相談する。
• 介護保険サービスの種類と選び方を理解する。
• 費用や自己負担について理解する。
• 介護に関する相談窓口を活用する。

介護は大変なこともありますが、決して一人ではありません。この記事が、ご家族の介護を支えるための一助となれば幸いです。

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