相続放棄・家督放棄の疑問を解決！専門家が教える手続きと注意点

この記事では、ご家族の相続問題に直面されている方に向けて、相続放棄と家督放棄に関する疑問を解決し、具体的な手続きや注意点について解説します。特に、介護中のご家族がいる場合や、将来的な相続について不安を抱えている方にとって、役立つ情報を提供します。

介護施設に入所している83歳の母がおり、私には関東圏に住む、兄と弟がいます。

口では「お前に面倒をかけているから、家督放棄し、財産の相続も望まない」と言われていました。

先日、母が一時危篤状態になり、今は容態は安定しているのですが、私の娘から「いつ容態が急変して亡くなってからでは、色々ともめる原因になるから、きちんとしておいたほうがよいのでは？」と言われました。

1・母の名義の、土地、建物、田畑があります。それについても兄弟から了承を得て、私の名義に変更しておいたほうが良いでしょうか？

2・相続放棄・家督放棄の文例などありましたら、教えていただけますでしょうか？

3・母からは遺言書を預かっていますが、第三者のかた（弁護士・公証人？）に介入していただいていないので実際、効力はあるのでしょうか？

正直、相続放棄・家督放棄の本当の意味を理解できていません。教えて下さい。宜しくお願いいたします。

相続放棄と家督放棄の基本

相続放棄と家督放棄は、どちらも相続人が相続を放棄するための手続きですが、その意味合いと手続きには違いがあります。以下にそれぞれの基本を解説します。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人（亡くなった方）の遺産を一切相続しないという意思表示です。相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。つまり、プラスの財産（現金、預貯金、不動産など）だけでなく、マイナスの財産（借金、未払いの税金など）も相続する義務がなくなります。

相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。手続き期間は、原則として相続開始を知ったときから3ヶ月以内です。この期間内に、必要書類を揃えて家庭裁判所に申述する必要があります。

家督放棄とは

家督放棄は、民法改正前の旧民法下における制度で、家督相続人が家督を放棄することです。家督相続とは、戸主（家の代表者）が死亡した場合に、その地位を承継する制度です。家督放棄は、家督相続人が、家督を承継する意思がない場合に、家庭裁判所の許可を得て行うものでした。

しかし、民法改正により家督相続制度は廃止され、現在は存在しません。したがって、現在の法律では家督放棄という手続きは存在しません。

相続放棄の手続きと注意点

相続放棄の手続きは、以下のステップで進められます。

1. 必要書類の準備: 相続放棄申述書、被相続人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、住民票などが必要です。
2. 家庭裁判所への申述: 必要書類を揃えて、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。
3. 裁判所の審査: 家庭裁判所は、提出された書類を審査し、相続放棄が認められるかどうかを判断します。
4. 相続放棄の受理: 家庭裁判所が相続放棄を認めると、相続放棄申述受理通知書が送付されます。

相続放棄をする際には、以下の点に注意が必要です。

• 3ヶ月の熟慮期間: 相続放棄の手続きには、相続開始を知ったときから3ヶ月という期間制限があります。この期間内に、相続財産の調査を行い、相続放棄をするかどうかを決定する必要があります。
• 単純承認: 相続財産の一部を処分したり、使用したりすると、相続を単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる場合があります。
• 専門家への相談: 相続放棄の手続きは複雑な場合があるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

財産の名義変更について

ご相談者様が所有する不動産の名義変更について、いくつか考慮すべき点があります。

まず、ご相談者様が母親の財産を相続する意思があるかどうかを明確にする必要があります。もし相続放棄をする場合は、名義変更を行うことはできません。相続放棄をした場合、その相続人は最初から相続人ではなかったものとみなされるため、財産を受け取る権利がなくなります。

もし相続する意思がある場合は、兄弟の同意を得て、母親からご相談者様への生前贈与を検討することができます。生前贈与には、贈与税がかかる場合がありますので、税理士に相談することをおすすめします。

また、母親の判断能力が低下している場合は、成年後見制度を利用することも検討できます。成年後見制度を利用することで、ご相談者様が母親の財産を管理し、必要な手続きを行うことができます。

遺言書の効力について

遺言書は、被相続人の最終的な意思表示を伝える重要な書類です。遺言書の効力は、以下の条件を満たすことで認められます。

• 遺言者の意思能力: 遺言者が遺言を作成する際に、その内容を理解し、判断できる能力（意思能力）を有している必要があります。
• 遺言書の形式: 遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など、いくつかの種類があります。それぞれの種類に応じて、法律で定められた形式に従って作成する必要があります。
• 遺言の内容: 遺言の内容が、法律に違反していないこと（例：相続人の相続権を完全に侵害する内容など）が必要です。

ご相談者様が預かっている遺言書について、第三者（弁護士や公証人など）が関与していない場合でも、遺言書の効力が無効になるわけではありません。しかし、遺言書の有効性を証明するためには、家庭裁判所での検認手続きが必要となります。

検認手続きとは、遺言書の存在と内容を相続人に知らせ、遺言書の形状や状態を記録する手続きです。検認手続きを経た遺言書は、遺言の内容を証明するための重要な証拠となります。

遺言書の効力について不安がある場合は、弁護士に相談して、遺言書の有効性や検認手続きについてアドバイスを受けることをおすすめします。

相続に関するトラブルを避けるために

相続に関するトラブルを避けるためには、以下の点に注意することが重要です。

• 早めの準備: 相続問題は、時間が経つにつれて複雑化し、解決が難しくなる傾向があります。早めに相続について考え、準備を始めることが重要です。
• 情報収集: 相続に関する情報を収集し、正しい知識を身につけることが大切です。弁護士や税理士などの専門家からアドバイスを受けることも有効です。
• 家族との話し合い: 相続について、家族と話し合い、互いの意向を確認し合うことが重要です。
• 専門家への相談: 相続に関する問題は、専門的な知識が必要となる場合があります。弁護士や税理士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

相続問題は、感情的な対立を引き起こしやすく、解決が難しい場合があります。専門家のサポートを受けることで、冷静な判断ができ、円滑な解決に繋がることが期待できます。

相続放棄と家督放棄に関するQ&A

ここでは、相続放棄と家督放棄に関するよくある質問とその回答を紹介します。

Q: 相続放棄の手続きは、自分で行うことはできますか？

A: 相続放棄の手続きは、ご自身で行うことも可能です。しかし、手続きには専門的な知識が必要となる場合があるため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。専門家に依頼することで、手続きをスムーズに進めることができ、間違いを防ぐことができます。

Q: 相続放棄をした場合、生命保険金は受け取れますか？

A: 生命保険金は、相続財産とは異なる性質を持つため、相続放棄をした場合でも受け取ることができます。ただし、保険金の受取人が被相続人である場合は、相続財産に含まれるため、相続放棄をすると受け取ることができません。

Q: 相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続人に請求されることはありますか？

A: 相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続人に請求されることはありません。相続放棄をすることで、相続人は最初から相続人ではなかったものとみなされるため、借金を相続する義務がなくなります。

Q: 相続放棄をした場合、相続人はどのような責任を負いますか？

A: 相続放棄をした場合、相続人は被相続人の財産に関する一切の責任を負いません。ただし、相続放棄をする前に、被相続人の財産を処分したり、使用したりすると、相続を単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる場合があります。

Q: 家督放棄は、現在でも行うことができますか？

A: いいえ、家督放棄は、民法改正前の旧民法下における制度であり、現在は存在しません。現在の法律では、家督放棄という手続きは存在しません。

まとめ

相続放棄と家督放棄は、どちらも相続に関する重要な手続きです。相続放棄は、被相続人の遺産を一切相続しないという意思表示であり、家督放棄は、旧民法下における制度で、現在は存在しません。相続に関する問題は、複雑で専門的な知識が必要となる場合があります。専門家への相談も検討し、適切な手続きを行うようにしましょう。

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