「介護・福祉業界はリハビリの場じゃない！」現役社会福祉士が訴える、安易な参入と離職問題への提言

この記事では、介護・福祉業界で働く社会福祉士の方からの、業界に対する問題提起と、そこから派生するキャリア形成に関する悩みにお答えします。ニートやフリーターからの脱却を目的とした安易な業界への参入、そしてそれに伴う早期離職の問題について、具体的な事例を交えながら、私自身の考えと、キャリアコンサルタントとしての視点から、この問題に対する解決策を提示していきます。

ニートやフリーターになるくらいなら「介護、福祉業界」でまず始めればいいとする風潮に腹が立ちます。

初めまして。大学の福祉学科を出て、福祉業界で長く働く社会福祉士です。最近の、「ニートになりたくないから受かりやすい介護でやる」とか「引きこもり脱却のステップとしてまず介護のパートからやる」とか、ニート脱却や社会復帰のステップとして人手不足の介護業界を安易に選べば良いという風潮が気に入りません。

また、過去、酒井○子さんが薬物で逮捕された時も、社会復帰に福祉系専門学校に入ろうとしていましたよね。福祉はレールから外れた方のリハビリの仕事場では無いと、強く言いたいです。

私は東京都に住んでいますが都がやっている「チャレンジ介護」という制度などは、ネットカフェ難民とか住む家が無い若者に、仕事を提供し、住まいも提供するという。それを安易に介護に充てるという・・・。介護ほど、コミュニケーション力が必要な仕事はありません。長年ニート、引きこもりをやっている人がすぐに適応できるとは思いません。

それはいいとして、こちらとしては「すぐに辞めてしまう」ことが迷惑でなりません。

私の働くところでは、いろいろな経験を積まれて、介護、福祉業界に入り、とても素晴らしい活躍をする人も大勢見受けられます。特に会社をリストラされてこの業界に入った人とか、家庭を守るために死ぬ気で働く方も大勢います。

しかし、若者を筆頭に、(私も若者ですが 笑)受かりやすいことをいいことにニートや職歴空白期間などのリハビリ、社会復帰への踏み台にしている人が多いのは事実です。

離職率が高いのは、介護業界がハードなのもありますが、「とりあえず介護から」っていう考えの人が最近多すぎて、その人が辞める、始めるの繰り返しが多いというのが離職率に現れているのもあると思います。

私が働く所にもパートさんが沢山いますが、社会常識のない人、とりあえず介護で入ったと思われる人、間違いなく精神的な病気を持っていて、この業界をリハビリ代わりにしている人などいらっしゃいます。

介護、福祉業界はこんなのでいいのだろうか？と疑問を覚えます。皆様の中にも私と同じような考えを持った人はいますでしょうか？

はじめに：介護・福祉業界を取り巻く現状と問題提起

ご質問ありがとうございます。介護・福祉業界で働く社会福祉士の方からの、率直な問題提起、大変興味深く拝見しました。ご自身の経験に基づいた深い洞察と、業界への愛情が伝わってきます。確かに、近年「とりあえず介護」という安易な考えで業界に参入し、早期離職してしまう人が増えているという問題は、介護・福祉業界全体にとって大きな課題となっています。

この問題は、単に個人のキャリアの問題にとどまらず、介護サービスの質の低下、現場で働く介護士の負担増加、そして最終的には、介護を必要とする高齢者の方々への影響という、多岐にわたる問題へと繋がっています。今回は、この問題の根本原因を探り、介護・福祉業界で働く人々、そして、これからこの業界を目指す方々にとって、より良いキャリア形成を支援するための具体的なアドバイスを提供していきます。

1. なぜ「とりあえず介護」という考えが生まれるのか？

まず、なぜ「とりあえず介護」という考えが生まれるのか、その背景を理解することが重要です。いくつかの要因が考えられます。

• 人手不足と求人の多さ： 介護業界は慢性的な人手不足であり、求人が非常に多いです。そのため、未経験者や資格のない人でも比較的容易に就職できるという現状があります。これが、他の職種で就職が難しい人にとって、入りやすい選択肢となっている一因です。
• 「誰かの役に立ちたい」という動機： 福祉の仕事は、人の役に立ちたい、誰かの支えになりたいという、高い志を持った人が多く集まる業界です。しかし、現実には、必ずしも十分な準備や覚悟がないまま、安易な気持ちで入職してしまう人も少なくありません。
• 社会的な認知度の低さ： 介護・福祉業界は、その専門性や重要性に見合うだけの社会的評価を得られていないという側面があります。その結果、給与水準が低く、労働環境が厳しいというイメージが定着し、優秀な人材が集まりにくいという悪循環を生んでいます。
• 情報不足： 介護・福祉業界に関する情報が不足していることも、問題の一因です。仕事内容やキャリアパス、労働環境など、事前に十分な情報収集をせずに就職してしまうと、入職後のギャップに苦しみ、早期離職につながる可能性があります。

2. 早期離職がもたらす問題点

「とりあえず介護」という考えで入職し、早期離職してしまうことは、様々な問題を引き起こします。

• 介護サービスの質の低下： 経験や知識が不足したままの人が介護サービスを提供することは、サービスの質の低下につながります。
• 現場で働く介護士の負担増加： 早期離職者が増えると、残された介護士の負担が増加し、労働環境が悪化します。
• 人材不足の深刻化： 早期離職が続くと、人材不足がさらに深刻化し、介護サービスの提供体制が維持できなくなる可能性があります。
• 本人のキャリア形成への悪影響： 早期離職は、本人のキャリア形成にも悪影響を及ぼします。職務経験が浅いまま転職を繰り返すことで、キャリアアップが難しくなり、将来的な収入や生活設計にも影響が出てきます。

3. 介護・福祉業界で活躍するために必要なこと

では、介護・福祉業界で活躍するためには、どのようなことが必要なのでしょうか？

• 明確な目的意識と覚悟： 「誰かの役に立ちたい」という気持ちはもちろん大切ですが、それだけでは長く続けることは難しいでしょう。介護・福祉業界で働くためには、具体的な目標を持ち、どのような介護・福祉サービスを提供したいのか、どのような専門性を身につけたいのかなど、明確な目的意識と覚悟が必要です。
• 事前の情報収集： 介護・福祉業界に関する情報を積極的に収集し、仕事内容やキャリアパス、労働環境などを理解することが重要です。実際に介護施設を見学したり、介護士の方々と話したりすることで、より具体的なイメージを持つことができます。
• 資格取得： 介護福祉士やケアマネージャーなど、専門的な資格を取得することで、キャリアアップの道が開けます。資格取得のための勉強を通して、専門知識やスキルを身につけることができます。
• 継続的な学習： 介護・福祉業界は、常に新しい知識や技術が求められる分野です。研修に参加したり、書籍を読んだりして、継続的に学習し、自己研鑽に励むことが重要です。
• コミュニケーション能力： 介護・福祉の仕事は、人と人との関わりが中心です。利用者の方々や同僚とのコミュニケーションを円滑に行う能力は、非常に重要です。
• 問題解決能力： 介護現場では、様々な問題が発生します。問題解決能力を身につけ、臨機応変に対応することが求められます。

4. 介護・福祉業界への転職を成功させるための具体的なステップ

介護・福祉業界への転職を成功させるためには、以下のステップで準備を進めることがおすすめです。

1. 自己分析： 自分の強みや弱み、興味関心、価値観などを深く理解しましょう。なぜ介護・福祉業界で働きたいのか、どのような介護・福祉サービスを提供したいのかを明確にしましょう。
2. 業界・職種研究： 介護・福祉業界には、様々な職種があります。それぞれの職種について、仕事内容、必要なスキル、キャリアパスなどを調べましょう。
3. 求人情報の収集： 転職サイトやハローワークなどを利用して、求人情報を収集しましょう。求人票をよく読み、自分の希望に合った求人を探しましょう。
4. 応募書類の作成： 履歴書や職務経歴書を作成しましょう。これまでの経験やスキルを具体的にアピールし、なぜ介護・福祉業界で働きたいのか、熱意を伝えましょう。
5. 面接対策： 面接対策を行いましょう。自己PRや志望動機、経験などを整理し、面接官からの質問に的確に答えられるように練習しましょう。
6. 入職後のフォロー： 入職後も、積極的に学び、自己研鑽に励みましょう。上司や同僚に相談し、困ったことがあれば、すぐに解決するようにしましょう。

5. 介護・福祉業界で長く活躍するためのキャリアパス

介護・福祉業界で長く活躍するためには、キャリアパスを明確にすることが重要です。以下に、いくつかのキャリアパスの例を挙げます。

• 介護職員： 介護の現場で経験を積み、スキルアップを目指します。介護福祉士などの資格を取得し、リーダーや主任などの役職を目指すことも可能です。
• 生活相談員： 利用者やその家族の相談に応じ、必要なサービスを提供する仕事です。社会福祉士や精神保健福祉士などの資格が必要です。
• ケアマネージャー： ケアプランを作成し、利用者の方々の生活を支援する仕事です。介護支援専門員（ケアマネージャー）の資格が必要です。
• 施設長： 介護施設の運営を担う仕事です。マネジメント能力やリーダーシップが求められます。
• 独立・開業： 訪問介護事業所やデイサービスなどを独立・開業することも可能です。

6. 早期離職を防ぐために：企業側の取り組み

早期離職を防ぐためには、企業側の取り組みも重要です。以下に、企業が取り組むべきことをいくつか挙げます。

• 採用時のミスマッチを防ぐ： 求人広告や面接で、仕事内容や労働環境について正確な情報を伝え、入職後のギャップを減らすことが重要です。
• 入職後のサポート体制の強化： 新入社員向けの研修制度を充実させ、OJT（On-the-Job Training）などを通して、早期に職場に慣れるためのサポート体制を整えることが重要です。
• キャリアパスの提示： 介護・福祉業界でのキャリアパスを明確に提示し、社員のモチベーションを高めることが重要です。
• 労働環境の改善： 労働時間や給与、福利厚生など、労働環境を改善し、社員の満足度を高めることが重要です。
• メンタルヘルスケア： メンタルヘルスケアの体制を整え、社員の心の健康をサポートすることが重要です。

7. まとめ：介護・福祉業界の未来のために

今回は、介護・福祉業界で働く社会福祉士の方からの問題提起をきっかけに、「とりあえず介護」という安易な参入と早期離職の問題について、その背景、問題点、解決策を考察しました。介護・福祉業界は、高齢化が進む現代社会において、ますます重要性を増しています。この業界で活躍するためには、明確な目的意識と覚悟を持ち、自己研鑽を怠らず、積極的に情報収集することが重要です。そして、企業側も、採用方法の見直し、入職後のサポート体制の強化、労働環境の改善など、様々な取り組みを通じて、早期離職を防ぎ、優秀な人材が長く活躍できる環境を整える必要があります。

介護・福祉業界の未来は、そこで働く人々の熱意と努力、そして、業界全体の取り組みにかかっています。この記事が、介護・福祉業界で働く方々、そして、これからこの業界を目指す方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

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