70歳のお母様の心臓ペースメーカー：専門家が教えるメリット・デメリットと、より良い選択のための知識

この記事では、70歳のお母様の心臓ペースメーカーに関するご相談にお答えします。心臓ペースメーカーのメリットとデメリット、体質との関係、そしてより良い選択をするための知識を、専門家の視点から分かりやすく解説します。お母様の健康を願うあなたの不安を和らげ、より良い選択をするためのお手伝いをします。

心臓ペースメーカーを入れるメリットとデメリットを教えてください。

70歳の母のことです。母は、15年前にカテーテルをやりました。その後、10年前に口腔癌をやりました。この頃から体力が落ちた様に思います。そして7年前に脳梗塞で入院。再び昨年の秋に脳梗塞で入院。現在、日常の生活に不自由はありませんが、疲れ易く、度々目眩がするといいます。

癌の方は、幸い問題ありませんが、心臓はトラブルを持っています。やはり脳梗塞を繰り返すのも心臓に問題があるからだと思います。

7年前の脳梗塞の頃だったと思いますが、その頃は心拍数が大変早かったです。180ぐらいになることもありました。ところが昨年入院した時には心拍数が40を切ることもありました。

昨年秋の退院後は、大学病院を紹介され、心拍数が遅いことに対する治療をしていたかと思います。ところが、連休明け再び心拍数が150に！

主治医の話では、心拍数が以上に早かったり遅かったりすることは、通常は考えられないそうです。

そうなると、やはり心臓ペースメーカーは必要なのでしょうか？私も書店で本を探しましたが、お医者さんなどが読む専門書しかありませんでした。そこで皆様にお知恵を借りたいと思います。

心臓ペースメーカーは、やはり人によって体質があるのでしょうか？ペースメーカーを入れて元気な人を見ますが、それは万人に共通なのでしょうか？それとも体に合わない人もいるのでしょうか？

人間の体は楽な方へ進んでしまいます。ペースメーカーに頼ってしまうと心臓そのものが弱ってしまう、衰えてしまうことはないのでしょうか？

ペースメーカーを入れると、車いすになる人が多いよ。ペースメーカーを入れちゃうと急激に体力が落ちるよ。・・・という、老人介護施設の人のおります。

主治医は、ペースメーカーを入れる担当をしている若い医師なので、信頼していない訳ではないのですが、主治医のことばだけを受け入れる気分にもなれません。

母には平均寿命は全うして欲しいと願っております。

どうぞ宜しくお願い致します。補足（追伸）

「ペースメーカーを入れる人」、「常に心臓の薬を持ち歩いて、何かあった時（苦しくなった時）にすぐに飲む人」、「ニトロなどを使用する人」の違いは何でしょうか？

70歳のお母様の健康を案ずるお気持ち、深く理解できます。心臓ペースメーカーは、心臓の健康を支える重要な選択肢の一つですが、その決断には多くの疑問や不安が伴います。この記事では、心臓ペースメーカーのメリットとデメリットを詳しく解説し、あなたとご家族がより良い選択をするための情報を提供します。

心臓ペースメーカーとは？ 基本的な仕組み

心臓ペースメーカーは、心臓の電気信号を調整し、正常な心拍を維持するための医療機器です。心臓は、電気信号によって収縮し、血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしています。心臓ペースメーカーは、この電気信号に異常がある場合に、適切なタイミングで電気刺激を送ることで、心臓の機能をサポートします。

心臓ペースメーカーは、一般的に、以下の2つの部分から構成されています。

• パルスジェネレーター: 電池と電子回路を内蔵し、電気刺激を発生させる部分です。
• リード: パルスジェネレーターから心臓へ電気刺激を伝える電線です。

これらの機器は、通常、鎖骨の下の皮膚の下に埋め込まれます。リードは血管を通して心臓に到達し、心臓の特定の場所に固定されます。ペースメーカーは、患者さんの心臓の状態に合わせて、適切な電気刺激を送り、心拍数を調整します。

心臓ペースメーカーのメリット

心臓ペースメーカーの主なメリットは、以下の通りです。

• 徐脈性不整脈の改善: 心拍数が遅すぎる状態（徐脈）を改善し、めまい、失神、疲労感などの症状を軽減します。
• 生活の質の向上: 症状が改善することで、日常生活における活動レベルが向上し、より活動的な生活を送れるようになります。
• 突然死のリスク軽減: 徐脈性不整脈が原因で起こる突然死のリスクを軽減します。
• 心不全の予防: 長期的な心拍数の異常による心不全の発症を予防する可能性があります。

お母様の場合、心拍数が遅くなったり、逆に速くなったりすることがあるとのことですので、ペースメーカーが心拍数を安定させ、脳梗塞のリスクを軽減する可能性も期待できます。

心臓ペースメーカーのデメリットとリスク

心臓ペースメーカーには、いくつかのデメリットとリスクも存在します。これらを理解しておくことも重要です。

• 手術のリスク: ペースメーカーの植え込み手術には、感染症、出血、血栓症などのリスクが伴います。
• 機器の故障: ペースメーカーは、電池切れやリードの断線など、故障する可能性があります。定期的な検査と交換が必要です。
• 合併症: ペースメーカー植え込み部位の痛み、腫れ、感染症などが起こることがあります。
• 日常生活の制限: 強い電磁波を発する機器（MRIなど）の使用が制限される場合があります。また、激しい運動や特定のスポーツが制限されることもあります。
• 心理的な影響: ペースメーカーを装着することに対する不安感や、自己肯定感の低下を感じる方もいます。

これらのリスクは、主治医との十分な相談と、定期的なフォローアップによって管理することができます。

心臓ペースメーカーと体質：合う人、合わない人

心臓ペースメーカーは、すべての人に同じように効果があるわけではありません。体質や生活習慣、基礎疾患などによって、その効果や影響は異なります。

• 効果が出やすい人: 徐脈性不整脈が主な原因で症状が出ている人、心臓の他の機能が比較的良好な人などは、ペースメーカーの効果を実感しやすい傾向があります。
• 効果が出にくい人: 心臓の機能が著しく低下している人、他の重篤な疾患を抱えている人などは、ペースメーカーの効果が限定的になる場合があります。
• 体質との関係: ペースメーカーの機種や設定は、個々の患者さんの心臓の状態に合わせて調整されます。体質に合わない場合は、不快感や症状の悪化を引き起こす可能性があります。

主治医は、患者さんの心臓の状態や全身状態を総合的に評価し、最適なペースメーカーの種類や設定を選択します。また、定期的な検査でペースメーカーの機能をチェックし、必要に応じて調整を行います。

「ペースメーカーを入れると車椅子になる」という噂について

「ペースメーカーを入れると車椅子になる」という噂は、誤解に基づいています。ペースメーカー自体が身体機能を低下させるわけではありません。むしろ、心拍数を正常に保つことで、体力の維持や向上に貢献することが期待できます。

車椅子が必要になる原因としては、

• 基礎疾患の進行: 脳梗塞や心不全などの基礎疾患が進行し、身体機能が低下する。
• 加齢による体力低下: 年齢とともに体力や筋力が低下し、移動能力が低下する。
• ペースメーカー以外の治療の影響: 他の治療薬の副作用や、手術後の合併症など。

などが考えられます。ペースメーカーは、これらの原因を直接的に引き起こすものではありません。むしろ、心臓の機能を安定させることで、身体機能の維持に貢献し、活動的な生活をサポートする可能性があります。

ペースメーカーと心臓の薬、ニトロの違い

ご質問にあった「ペースメーカーを入れる人」、「常に心臓の薬を持ち歩いて、何かあった時（苦しくなった時）にすぐに飲む人」、「ニトロなどを使用する人」の違いについて解説します。

• 心臓ペースメーカー: 心臓の電気信号を調整し、心拍数を正常に保つための医療機器です。心拍数が遅すぎる（徐脈）場合に、適切な電気刺激を送ることで、心拍数を上げます。
• 心臓の薬: 様々な種類の薬があり、心臓の機能や症状に合わせて使用されます。例えば、狭心症の治療薬、不整脈の治療薬、心不全の治療薬などがあります。薬の種類によって、作用や目的が異なります。
• ニトロ: 狭心症の発作時に使用される薬です。血管を拡張し、心臓への血流を改善することで、胸の痛みを軽減します。ニトロは、発作が起きたときに速やかに使用する必要があります。

これらの治療法は、それぞれ異なる目的と作用を持っています。心臓の状態や症状に合わせて、適切な治療法が選択されます。お母様の場合、心拍数の異常と脳梗塞の既往があるため、主治医は、心臓ペースメーカーと薬物療法を組み合わせるなど、総合的な治療を検討している可能性があります。

より良い選択をするために

お母様にとって最善の選択をするためには、以下の点を意識することが重要です。

• 主治医との十分なコミュニケーション: 主治医に、現在の症状、これまでの治療経過、そしてペースメーカーに関する疑問や不安を率直に伝えましょう。主治医は、あなたの質問に丁寧に答え、適切な情報を提供してくれるはずです。
• セカンドオピニオンの活用: 別の医師の意見を聞くことで、より多角的な視点から治療法を検討することができます。セカンドオピニオンは、患者さんの権利であり、遠慮なく利用できます。
• 信頼できる情報の収集: インターネットや書籍などから、心臓ペースメーカーに関する情報を収集する際には、信頼できる情報源を選ぶことが重要です。医療専門家の監修を受けた情報や、学会の公式ウェブサイトなどを参考にしましょう。
• 家族での話し合い: 家族で話し合い、お母様の意向を尊重しながら、最適な治療法を決定しましょう。お母様の不安や希望を理解し、共に支え合うことが大切です。

これらのステップを踏むことで、あなたとご家族は、より納得のいく選択をすることができます。

まとめ：心臓ペースメーカーに関する正しい知識と、より良い選択のために

心臓ペースメーカーは、心臓の健康を支えるための有効な治療法の一つです。しかし、その選択には、メリットとデメリット、そして個々の体質との関係を理解することが重要です。この記事では、心臓ペースメーカーに関する基本的な知識と、より良い選択をするための情報を提供しました。

お母様の健康を願うあなたの気持ちを大切に、主治医との十分なコミュニケーション、セカンドオピニオンの活用、信頼できる情報の収集、そして家族での話し合いを通じて、最適な治療法を見つけてください。そして、お母様が心穏やかに、そして健康的な生活を送れるよう、心から願っています。

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