介護と認知症を抱える家族が知っておくべきこと：突然の異変にどう対応する？

この記事では、介護と認知症を抱えるご家族が直面する可能性のある、突然の身体的異変への対応について、具体的なアドバイスと情報を提供します。特に、ご家族の高齢者が、透析治療中に身体機能の一時的な不全を起こした場合を想定し、その原因の可能性、予防策、そして緊急時の対応について掘り下げていきます。この記事を読むことで、あなたは何が起こっているのかを理解し、どのように対応すれば良いのか、具体的な行動計画を立てることができるようになります。

先日、老父が人口透析中に失禁し、帰り際も自力で歩行できない事態が発生しました。自身で身体を動かすことがほとんどできず、目がうつろで、ろれつが回らない状態でした。父はすでにアルツハイマー型認知症（軽度）の診断を受けていますが、日常生活に支障をきたす重篤な症状はなく、これまでも運動機能や言語機能を一時的に失うようなことはありませんでした。今回はじめて脳の運動野の一時的な機能不全を起こしたようで驚いています。

ところが、夕方に向かい症状は徐々に改善し、夜８時頃には元気になって風呂に入ると言い出しました。やめるよう強く言ったのですが、頑固者で言うことを聞きません。しかたなく脱衣所で見張りながら入浴させたのですが、やはり浴槽から出るときには介助が必要でした。

実は、入浴中に脱力し浴槽から一人で出られなくなったことがこれまでに３回あったのですが、本人は「膝が痛い（変形性膝関節症）からだ」と言っていたので、家族はそれがアルツハイマーによるものだとは気づきませんでした。本人も実際、膝の痛みのせいだと思っていたのでしょう。

翌日になると従前どおりの体調となり弁舌も闊達で、さらに次の透析日にもいつもどおりに、クルマから降りて自力歩行で透析室まで行けたのでした（私が送迎をしています）。その後も今のところ変調はありません。

そこで質問なのですが、今回の事態の“原因”についてです。素人考えですが、入浴中にそれがしばしば起こったことから、血圧が大きく低下し脳への血流が下がった（あるいは減った）ことから起きたとは考えられないでしょうか。適温の入浴は血管を広げて血圧を下げますよね。父は腎不全の診断を受けて以来、医師から血圧管理を言われてますので、ややぬるめの湯に入っています。身体の機能障害を起こした日も、透析中に一時的な血圧低下が起こったのではないかと私は推測しています。透析を受けている施設は総合病院ではなく、「透析専門のクリニック」なのですが、看護師らからは特段の説明はありませんでした。また、医師にも報告しなかったのか、医師からの話もありません。単に認知症による症状（失禁）とみなされたようです。補足本文について、私の主観がやや強すぎたか、主意が伝わらなかったかもしれません。

私はこれまで自力で動けない人の介助をした経験がなかったので、それがいかに大変なことなのか知らなかったんですね。

質問をしたのは、今後ふたたび父にそのような状態が起こった場合（そのつもりで準備を進めてますが…）、それを予防することは無理でも、事前に注意するべきことはないか、何かできることがあるのではないか、と考えたからです。

1. 状況の理解：何が起こったのか？

ご相談内容を拝見し、まずはお父様の状況と、ご家族の皆様が抱える不安を理解することが重要だと感じました。お父様は、アルツハイマー型認知症を患いながらも、透析治療を受けているとのこと。今回の出来事は、透析中またはその後に、一時的な身体機能の低下（歩行困難、ろれつが回らない、失禁など）が見られたというものです。

この状況を理解するために、いくつかのポイントを整理しましょう。

• 認知症の影響：認知症は、記憶力や判断力の低下だけでなく、身体機能にも影響を与えることがあります。今回の症状が認知症に起因する可能性も否定できません。
• 透析の影響：透析治療は、体内の水分量や電解質のバランスを大きく変動させる可能性があります。これが、血圧の変動や、一時的な脳機能の低下を引き起こす可能性があります。
• 入浴時のリスク：入浴は、血圧をさらに低下させる可能性があります。特に、高齢者の場合、入浴中の急な血圧低下は、転倒や意識障害を引き起こすリスクを高めます。

これらの要素が複雑に絡み合い、今回の症状を引き起こした可能性があります。具体的な原因を特定するためには、医療専門家による詳細な検査と評価が必要です。

2. 可能性のある原因を探る

今回の症状の原因を特定するために、いくつかの可能性を検討してみましょう。ご相談者様が推測されているように、血圧の変動は有力な原因の一つです。

• 低血圧：透析治療中や入浴中に血圧が低下し、脳への血流が減少することで、一時的な脳機能不全が起こる可能性があります。特に、透析治療中は、体内の水分バランスが急激に変化するため、血圧が変動しやすくなります。
• 電解質異常：透析治療は、電解質のバランスにも影響を与えます。電解質異常は、筋肉の機能に影響を与え、脱力感や歩行困難を引き起こす可能性があります。
• 脳血管障害：軽度の脳血管障害が、一時的な症状を引き起こしている可能性も考えられます。認知症の進行に伴い、脳血管の状態も変化することがあります。
• 薬剤の影響：服用中の薬が、血圧や意識状態に影響を与えている可能性も考慮する必要があります。

これらの原因を特定するためには、以下の点を医療機関に相談することが重要です。

• 透析中の血圧測定：透析中の血圧変動を詳細に記録し、異常がないか確認します。
• 血液検査：電解質バランス、血糖値、その他の血液検査を行い、異常がないか確認します。
• 脳の検査：必要に応じて、MRIやCT検査を行い、脳血管の状態や、脳の異常がないか確認します。
• 服薬状況の確認：服用中の薬の種類と量を再確認し、医師に相談します。

3. 予防策：再発を防ぐためにできること

今回の症状の再発を防ぐために、ご家族としてできることはたくさんあります。以下に、具体的な予防策をいくつかご紹介します。

• 日々の観察：お父様の体調を日々観察し、少しでも異変に気づいたら、すぐに医療機関に相談しましょう。特に、透析治療後や入浴前後の体調変化には注意が必要です。
• 血圧管理：医師の指示に従い、血圧を適切に管理しましょう。血圧測定を定期的に行い、記録することも重要です。
• 水分摂取の調整：透析治療中の水分摂取量を適切に管理し、脱水症状を防ぎましょう。
• 入浴時の注意：入浴時には、以下の点に注意しましょう。
  • 入浴前に血圧を測定し、異常がないか確認します。
  • 入浴温度は、ぬるめ（38～40℃）に設定します。
  • 入浴時間は短時間（10分程度）にします。
  • 入浴中は、必ず見守りを行い、異変に気づいたらすぐに助けられるようにします。
  • 入浴後も、体調の変化に注意し、水分補給を促します。
• 環境整備：転倒を防ぐために、浴室や脱衣所の環境を整備しましょう。手すりの設置、滑り止めマットの使用、明るい照明の確保などが有効です。
• コミュニケーション：お父様とのコミュニケーションを密にし、体調の変化や異変に気づきやすくしましょう。
• 医療機関との連携：主治医や透析専門のクリニックのスタッフと密に連携し、情報共有を徹底しましょう。

4. 緊急時の対応：もしもの時のために

万が一、同様の症状が再発した場合に備えて、緊急時の対応についても確認しておきましょう。

• 冷静な対応：まずは落ち着いて、お父様の状態を観察しましょう。呼吸や意識の状態を確認し、必要に応じて救急車を呼ぶ準備をします。
• 安全確保：転倒を防ぐために、安全な場所に移動させましょう。
• 体位の調整：呼吸が苦しそうであれば、楽な体位（例：座位）にしてあげましょう。
• 情報収集：お父様の既往歴、服用中の薬、アレルギーなどを確認し、救急隊員に伝えられるように準備しておきましょう。
• 医療機関への連絡：かかりつけ医や透析専門のクリニックに連絡し、指示を仰ぎましょう。

5. 専門家への相談：さらなるサポートを得るために

今回のケースのように、介護と認知症を抱えるご家族は、多くの困難に直面します。一人で抱え込まず、専門家のサポートを得ることも重要です。

• 医師への相談：主治医や透析専門医に相談し、今回の症状の原因を特定するための検査や治療について相談しましょう。
• ケアマネージャーへの相談：ケアマネージャーに相談し、介護保険サービスの利用や、今後の介護計画について相談しましょう。
• 専門機関の利用：認知症に関する専門機関（地域包括支援センターなど）に相談し、情報提供やアドバイスを受けましょう。
• 家族会の参加：同じような悩みを持つ家族が集まる家族会に参加し、情報交換や心のサポートを受けましょう。

これらの専門家や機関からのサポートを得ることで、より適切な対応が可能になり、ご家族の負担を軽減することができます。

6. 事例紹介：他の家族の成功談

実際に、同様の状況を経験した家族の事例をご紹介します。これらの事例から、具体的な対策や、心の持ち方を学ぶことができます。

• 事例1：Aさんの場合

  Aさんは、認知症の母親の介護をしています。母親は、透析治療中に一時的に意識を失うことがありました。Aさんは、医師と相談し、透析中の血圧管理を徹底することにしました。また、入浴時には必ず付き添い、体調の変化に注意を払うようにしました。その結果、意識を失う回数が減り、安心して介護ができるようになりました。

• 事例2：Bさんの場合

  Bさんは、認知症の父親の介護をしています。父親は、入浴中に転倒し、骨折してしまいました。Bさんは、浴室の環境を改善し、手すりの設置や滑り止めマットの使用を始めました。また、入浴介助の専門家からアドバイスを受け、安全な入浴方法を学びました。その結果、父親は安全に入浴できるようになり、転倒のリスクを減らすことができました。

• 事例3：Cさんの場合

  Cさんは、認知症の配偶者の介護をしています。配偶者は、透析治療を受けており、体調が不安定になることがありました。Cさんは、ケアマネージャーに相談し、訪問看護サービスの利用を開始しました。訪問看護師は、体調管理や服薬指導を行い、Cさんの負担を軽減してくれました。また、Cさんは、家族会に参加し、他の家族と情報交換をすることで、心の支えを得ることができました。

これらの事例から、早期の対応、専門家との連携、そして情報収集が、介護生活をより良くするための重要な要素であることがわかります。

7. まとめ：安心して介護を続けるために

この記事では、介護と認知症を抱えるご家族が直面する可能性のある、突然の身体的異変への対応について、様々な角度から解説しました。今回の事例から、以下の点が重要であることがわかります。

• 原因の特定：医療専門家と連携し、原因を特定するための検査や評価を受けましょう。
• 予防策の実施：日々の観察、血圧管理、入浴時の注意など、具体的な予防策を実行しましょう。
• 緊急時の対応：万が一の事態に備え、冷静に対応できるよう準備しておきましょう。
• 専門家への相談：医師、ケアマネージャー、その他の専門家と連携し、サポートを得ましょう。
• 情報収集と心のケア：家族会への参加など、情報収集を行い、心のケアも大切にしましょう。

介護は、決して一人で抱え込むものではありません。専門家や、同じような経験を持つ人々と連携し、情報を共有し、支え合うことが重要です。この記事が、少しでもあなたの助けになれば幸いです。そして、安心して介護を続けるために、できることから一つずつ、取り組んでいきましょう。

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