県外からの施設入所は可能？介護のプロが教える、有料老人ホームと特別養護老人ホームの選び方

この記事では、要介護4の祖母の施設入所について悩んでいる方に向けて、具体的な選択肢と注意点、そしてスムーズな入所への道筋を解説します。県外からの入所は可能なのか、有料老人ホームと特別養護老人ホームの違い、費用の目安、そして入所までの準備について、介護福祉士の視点から詳しく見ていきましょう。

要介護４を受けている祖母を県外の有料、特養に入所させることは可能でしょうか？

私の祖母は要介護４で、現在はＳＳと在宅で生活をしていますが、漏便行為が自宅ではあり家族は大変な思いをしています。

祖母は今、息子夫婦と同居をしており長男が介護をしている状態です。介護疲れから鬱傾向になってしまいました。市役所の方が危険と判断をしてＳＳを利用していますが常にＳＳの部屋を確保（１つの施設）していただいております。祖母本人は自宅に帰りたいと言うのですが、周辺症状が出ているので認知症の疑いもあります。ケアマネは本人の意思を大事にして在宅で頑張ってくださいと言うのですが実際、限界です。私は祖母の娘の娘（孫）なのですが（介護福祉士）今の状態をみて施設入所が最適だと思っています。私は長男夫婦の隣県なのですが、私自宅近隣に有料老人ホームが比較的入りやすい状況と聞きました。

今後の一つの選択肢として私の自宅近隣の有料、もしくは特養に入所させてもいいかなと考えています。

県外からの入所は可能なのでしょうか？ケアマネも変えるつもりです。ちなみに祖母は長男夫婦と同居していましたが、世帯分離しています。

1. 県外からの施設入所は可能？ – 制度と現実

結論から言うと、県外からの有料老人ホームや特別養護老人ホームへの入所は、可能です。 ただし、いくつかの注意点と、施設の種類によって異なる条件があります。ここでは、それぞれの施設における入所の可能性と、考慮すべきポイントを解説します。

1-1. 有料老人ホームの場合

有料老人ホームは、基本的に入居者の居住の場を提供する施設であり、介護サービスはオプションとして提供されることが多いです。そのため、県外からの入所は比較的容易です。多くの有料老人ホームは、入居者の居住地を限定せず、全国から入居者を募集しています。

• 入居条件: 施設によって異なりますが、自立～要介護5まで幅広い方が入居可能です。認知症の方も受け入れている施設が多くあります。
• 費用: 初期費用（入居一時金など）と月額費用がかかります。月額費用には、家賃、食費、介護サービス利用料などが含まれます。費用は施設によって大きく異なるため、事前にしっかりと確認しましょう。
• 手続き: 施設への直接の申し込みが一般的です。見学や体験入居を通して、施設の雰囲気やサービス内容を確認することが重要です。

1-2. 特別養護老人ホーム（特養）の場合

特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の方が入居できる施設です。特養への入所は、有料老人ホームに比べてハードルが高い傾向があります。なぜなら、特養は地域密着型の施設であり、入所者の居住地が優先される傾向があるからです。

• 入居条件: 原則として要介護3以上の方が対象ですが、特例として、要介護1または2の方でも入居できる場合があります。
  • 認知症の方
  • 家族による介護が困難な方
  • 緊急性の高い方
• 費用: 月額費用は、所得に応じて決定されます。介護保険の自己負担分と、食費、居住費などが含まれます。
• 手続き: 入所を希望する自治体の窓口に申し込みます。入所判定は、介護度や家族の状況、本人の状態などを総合的に考慮して行われます。
• 県外からの入所: 居住地以外の特養への入所は、非常に狭き門となります。しかし、以下のようなケースでは可能性が高まります。
  • 緊急性が高い場合: 家族の介護疲れや、在宅介護の限界など、緊急性が認められる場合は、県外の特養への入所が検討されることがあります。
  • 受け入れ可能な施設がある場合: 県外の特養が、空き状況や入所条件を満たしている場合は、入所できる可能性があります。

2. 有料老人ホームと特別養護老人ホームの比較 – メリットとデメリット

祖母の施設入所を検討する上で、有料老人ホームと特別養護老人ホームのどちらを選ぶかは、非常に重要な決断です。それぞれの施設のメリットとデメリットを比較し、祖母の状況に最適な選択肢を見つけましょう。

2-1. 有料老人ホーム

メリット:

• 入居のしやすさ: 県外からの入居も比較的容易であり、様々なタイプの施設があります。
• サービスの選択肢: 介護サービスだけでなく、生活支援、レクリエーションなど、多様なサービスが提供されています。
• 施設の環境: 施設によっては、個室や設備の充実度が高く、快適な生活を送ることができます。

デメリット:

• 費用の高さ: 入居一時金や月額費用が高額になる傾向があります。
• 施設の質: 施設によってサービスの質やスタッフの対応に差があるため、事前の情報収集と見学が重要です。
• 介護度の制限: 施設によっては、受け入れ可能な介護度に制限がある場合があります。

2-2. 特別養護老人ホーム

メリット:

• 費用の安さ: 月額費用は、所得に応じて決定されるため、比較的安価です。
• 手厚い介護: 24時間体制で介護サービスが提供されており、重度の要介護者でも安心して生活できます。
• 医療体制: 医療機関との連携が取られており、医療的なケアが必要な方にも対応できます。

デメリット:

• 入居の難しさ: 入居希望者が多く、入所までに時間がかかる場合があります。
• 施設の環境: 個室ではなく多床室が中心の施設が多く、プライバシーが確保しにくい場合があります。
• サービスの選択肢: サービス内容は、基本的に介護と生活支援に限定されます。

3. 施設入所までの準備 – スムーズな移行のために

施設入所を決めたら、スムーズな移行に向けて、様々な準備が必要です。ここでは、具体的な準備ステップと、注意すべきポイントを解説します。

3-1. 情報収集と施設選び

• 情報収集: まずは、インターネットやパンフレットなどで、地域の有料老人ホームや特養の情報を集めましょう。施設のウェブサイトや、介護情報サイトなどを活用すると便利です。
• 見学: 気になる施設があれば、積極的に見学に行きましょう。施設の雰囲気、スタッフの対応、サービス内容などを直接確認することができます。可能であれば、入居者の方の声を聞くことも大切です。
• 体験入居: 有料老人ホームでは、体験入居を受け入れている施設があります。実際に施設で生活することで、施設の雰囲気やサービス内容をより深く理解することができます。
• ケアマネージャーとの相談: ケアマネージャーに相談し、祖母の状況に合った施設を紹介してもらいましょう。ケアマネージャーは、施設の情報を熟知しており、入所手続きのサポートもしてくれます。

3-2. 必要書類の準備

• 介護保険被保険者証: 介護保険を利用する際に必要です。
• 健康保険証: 医療費の支払いに必要です。
• 身元保証人: 施設によっては、身元保証人が必要になります。親族や、信頼できる人に依頼しましょう。
• 医療情報: 既往歴や服用中の薬など、医療に関する情報をまとめておきましょう。
• その他: 施設によっては、印鑑や預金通帳などが必要になる場合があります。事前に確認しておきましょう。

3-3. 入所手続き

• 申し込み: 施設に申し込みます。申し込み方法や必要書類は、施設によって異なります。
• 面談: 施設との面談が行われます。祖母の状況や希望などを伝えましょう。
• 入所判定: 特養の場合は、入所判定が行われます。
• 契約: 入所が決まったら、施設と契約を結びます。契約内容をよく確認し、不明な点は質問しましょう。
• 入居準備: 持ち物や、入居に関する説明を受け、入居の準備をします。

3-4. 在宅介護からの移行

• ケアマネージャーとの連携: ケアマネージャーと連携し、入所後の介護計画を立てましょう。
• 家族との話し合い: 祖母と、家族で入所について話し合い、理解を得ましょう。
• 心の準備: 祖母と家族が、施設での生活に慣れるための心の準備をしましょう。
• 荷物の整理: 必要な荷物を整理し、施設に運び込みましょう。

4. 費用と、経済的な側面

施設入所にかかる費用は、施設のタイプやサービス内容によって大きく異なります。事前に費用の目安を把握し、経済的な準備をしておくことが重要です。

4-1. 有料老人ホームの費用

• 入居一時金: 入居時に支払う費用で、数十万円から数千万円と、施設によって大きく異なります。入居期間に応じて償却される場合もあります。
• 月額費用: 家賃、食費、介護サービス利用料などが含まれます。月額費用は、20万円～50万円程度が一般的です。
• その他: 医療費、おむつ代、理美容代など、別途費用がかかる場合があります。

4-2. 特別養護老人ホームの費用

• 月額費用: 介護保険の自己負担分、食費、居住費などが含まれます。月額費用は、10万円～20万円程度が一般的です。
• その他: 医療費、おむつ代、理美容代など、別途費用がかかる場合があります。

4-3. 費用に関する注意点

• 費用の内訳: 費用の内訳をよく確認し、何が含まれているのか、何が別途費用なのかを把握しましょう。
• 支払い方法: 支払い方法（口座振替、クレジットカードなど）を確認しましょう。
• 補助金制度: 介護保険制度や、自治体の補助金制度などを活用できる場合があります。ケアマネージャーや、施設の相談員に相談しましょう。

5. 介護保険と、利用できるサービス

介護保険は、施設入所においても重要な役割を果たします。介護保険サービスを適切に利用することで、費用を抑え、質の高い介護を受けることができます。

5-1. 介護保険の利用

• 要介護認定: 介護保険サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。
• ケアプラン: ケアマネージャーが作成するケアプランに基づいて、介護サービスが提供されます。
• 自己負担: 介護保険サービスの利用料は、原則として費用の1割～3割が自己負担となります。

5-2. 施設で利用できるサービス

• 介護サービス: 入浴、排泄、食事などの介助、健康管理など、日常生活をサポートするサービスが提供されます。
• 生活支援: 洗濯、掃除、買い物代行など、生活をサポートするサービスが提供されます。
• リハビリテーション: 理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションが提供され、身体機能の維持・回復を目指します。
• レクリエーション: レクリエーションやイベントが開催され、入居者の生活を豊かにします。
• 医療サービス: 医師や看護師による医療ケアが提供されます。

6. ケアマネージャーの役割と、変更について

ケアマネージャーは、介護に関する様々な相談に応じ、適切なサービスを調整する専門家です。施設入所においても、ケアマネージャーとの連携は不可欠です。

6-1. ケアマネージャーの役割

• 相談: 介護に関する様々な相談に応じ、アドバイスを行います。
• ケアプランの作成: 利用者の状況や希望に合わせて、ケアプランを作成します。
• サービス調整: 介護サービス事業者との連絡調整を行い、適切なサービスを調整します。
• 情報提供: 介護保険制度や、利用できるサービスに関する情報を提供します。

6-2. ケアマネージャーの変更

現在のケアマネージャーに不満がある場合や、施設入所を機にケアマネージャーを変更したい場合は、変更することが可能です。

• 変更の手続き: 市町村の窓口に相談し、変更の手続きを行います。
• 新しいケアマネージャーの選定: 地域の居宅介護支援事業所の中から、新しいケアマネージャーを選びます。
• 引き継ぎ: 現在のケアマネージャーに、変更の旨を伝え、情報やケアプランを引き継ぎます。

7. 成功事例と、専門家からのアドバイス

ここでは、施設入所を成功させた事例を紹介し、専門家からのアドバイスをお届けします。

7-1. 成功事例

事例1：

80代女性、要介護4。自宅での介護が困難になり、有料老人ホームに入居。入居前に、本人の希望を尊重し、見学や体験入居を重ねて、本人が納得できる施設を選びました。入居後、本人は新しい生活にすぐに慣れ、生きがいを持って生活しています。

事例2：

70代男性、要介護3。認知症が進み、特養に入所。入所前に、ケアマネージャーと密に連携し、本人の状態に合ったケアプランを作成しました。入所後、本人の症状は落ち着き、穏やかな生活を送っています。

7-2. 専門家からのアドバイス

介護福祉士Aさん：

「施設入所は、本人と家族にとって大きな決断です。焦らずに、情報収集を行い、本人の意思を尊重することが大切です。ケアマネージャーや、施設の相談員に相談し、一緒に最適な選択肢を見つけましょう。」

介護支援専門員Bさん：

「県外からの施設入所は、情報収集が重要です。インターネットや、介護情報サイトなどを活用し、地域の施設情報を集めましょう。また、施設見学や体験入居を通して、施設の雰囲気やサービス内容を直接確認することが大切です。」

医師Cさん：

「施設入所を検討する際には、本人の健康状態を把握し、医療的なケアが必要かどうかを考慮しましょう。かかりつけ医や、施設の医師と連携し、適切な医療体制が整っている施設を選びましょう。」

8. まとめ – 施設入所への第一歩を踏み出すために

この記事では、要介護4の祖母の施設入所について、県外からの入所の可能性、有料老人ホームと特別養護老人ホームの比較、入所までの準備、費用、介護保険、ケアマネージャーの役割などを解説しました。施設入所は、本人と家族にとって大きな決断ですが、適切な情報収集と準備を行うことで、スムーズな移行を実現し、より良い生活を送ることができます。

まずは、情報収集から始めましょう。地域の施設情報を集め、見学や体験入居を通して、施設の雰囲気やサービス内容を直接確認することが大切です。ケアマネージャーや、施設の相談員に相談し、一緒に最適な選択肢を見つけましょう。そして、祖母と家族が、施設での生活に慣れるための心の準備をしましょう。

施設入所は、決して諦めることではありません。むしろ、より良い生活を送るための新たな一歩です。この記事が、あなたの施設選びの一助となれば幸いです。

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