介護施設の「過剰医療」問題：あなたができること、そしてキャリアを守るために

この記事では、医療法人が経営する介護施設における「過剰医療」の問題に焦点を当て、そこで働く介護職員やパートの方々が直面するジレンマ、そして自身のキャリアを守りながら、より良い職場環境を築くための具体的な対策について解説します。

サ高住（サービス付き高齢者向け住宅）でパートをしています。母体は外科の開業医が経営する医療法人です。

まず、入居者向けに毎週往診があります。お元気な方が多いので、挨拶程度や健康相談程度がほとんどです。定期的に血液検査もあります。ちょっと風邪気味とか、腰が痛いとか言うと、すぐに薬が処方されます。往診時じゃなくても電話1本で薬が出されます（1人のためにわざわざ往診に来ない）。敷地内には娘夫婦が歯科医院を開いており、入居者はその歯科を受診するよう勧められます。よっぽど下手なのかわざとなのか、みなさん行くたびに入れ歯が合わなくなり、何度も受診するハメになってます。

法人には他にもグループホームなど多数の施設があり、同様に往診と訪問歯科があります。訪問リハビリや病院に通ってのリハビリも受けているようです。

利用者様は毎週の往診をありがたがっておられますが、私達の医療保険が善人ヅラした悪徳医者の懐に流れてると思うと、腹が立ってきます。

介護施設として利益が出ずとも、医者としては労せずしてぼろ儲け。事実、病院の待合室はいつも閑古鳥なのに、医師や出入りの薬剤師はとっても羽振りの良い感じです。

こういう過剰サービスに規制はないんでしょうか？

介護の現場で働く皆さんは、日々、入居者の生活を支えるために献身的に業務をこなしています。しかし、今回の相談のように、医療法人が経営する介護施設で「過剰医療」が行われているのではないかと感じ、倫理的な葛藤や将来への不安を抱えている方も少なくありません。この問題は、単に金銭的な不正に留まらず、入居者の健康を損なう可能性や、介護職員のキャリア形成にも悪影響を及ぼす可能性があります。

1. 過剰医療の問題点と、それが介護職員に与える影響

過剰医療とは、必要以上の医療行為や検査、投薬が行われる状態を指します。今回のケースでは、以下のような点が問題として挙げられます。

• 不必要な往診と投薬: 健康な入居者に対する頻繁な往診や、軽度の症状に対する過剰な薬の処方は、医療費の無駄遣いだけでなく、副作用のリスクを高める可能性があります。
• 不適切な歯科治療: 入れ歯が合わないなど、質の低い歯科治療は、入居者の生活の質を著しく低下させます。
• 医療保険の不正利用の可能性: 過剰な医療行為は、医療保険制度の不正利用につながる可能性があります。

これらの問題は、介護職員に以下のような影響を与えます。

• 倫理的な葛藤: 介護職員は、入居者のために最善を尽くしたいと考えているにも関わらず、過剰医療が疑われる状況に直面し、倫理的なジレンマに陥ります。
• 業務への影響: 過剰な医療行為は、介護職員の業務負担を増加させ、本来の介護業務に集中することを妨げます。
• キャリアへの不安: 施設の不正行為に加担させられるのではないか、あるいは、その責任を問われるのではないかという不安を抱えることになります。

2. 介護職員が直面するジレンマ：どうすれば良いのか？

過剰医療の問題に直面した際、介護職員は様々なジレンマに直面します。以下に、具体的な対応策と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

2-1. 内部告発

施設の不正行為を外部に告発することは、問題解決への一歩となる可能性があります。しかし、同時にリスクも伴います。

• メリット: 不正行為を公にすることで、是正を促し、入居者の健康と安全を守ることができます。
• デメリット: 告発者への報復や、職場での孤立、解雇のリスクがあります。

2-2. 施設内での改善提案

施設内で問題提起し、改善を求めることも一つの方法です。

• メリット: 組織内で問題を解決できる可能性があり、リスクが比較的低い。
• デメリット: 改善が実現しない場合や、逆に問題が隠蔽される可能性もある。

2-3. 転職

現在の職場での問題解決が難しい場合、転職も選択肢の一つです。

• メリット: 問題から距離を置き、より良い環境で働くことができます。
• デメリット: 転職活動には時間と労力がかかり、必ずしも希望通りの職場が見つかるとは限りません。

3. 過剰医療に対する法的規制と、介護職員の権利

過剰医療は、医療保険制度を揺るがすだけでなく、入居者の権利を侵害する行為でもあります。介護職員は、自身の権利を守るために、以下の知識を身につけておく必要があります。

3-1. 医療保険制度に関する知識

医療保険制度の仕組みを理解することで、過剰医療がどのように不正利用に繋がるのかを把握し、問題意識を持つことができます。

• 保険診療のルール: 医療行為は、医学的な必要性に基づいて行われる必要があります。
• 不正請求: 実際に行われていない医療行為を請求したり、必要以上の検査や投薬を行うことは、不正請求にあたります。

3-2. 介護職員の権利

介護職員には、以下のような権利があります。

• 労働安全衛生: 安全で健康的な労働環境で働く権利。
• ハラスメントからの保護: 職場でのハラスメントから保護される権利。
• 内部告発者の保護: 内部告発を行ったことで不利益を被らない権利。

3-3. 相談窓口の活用

問題解決のために、専門家や相談窓口を活用することも重要です。

• 労働組合: 労働組合に加入することで、労働条件の改善や、問題解決のサポートを受けることができます。
• 弁護士: 法律の専門家である弁護士に相談することで、法的アドバイスや、問題解決のサポートを受けることができます。
• 行政機関: 保険医療機関を監督する行政機関（都道府県の医療保険担当部署など）に相談することも可能です。

4. キャリアを守り、より良い職場環境を築くために

過剰医療の問題に直面した際、介護職員は、自身のキャリアを守りながら、より良い職場環境を築くために、以下のステップを踏むことができます。

4-1. 問題の記録と証拠収集

問題解決のためには、客観的な証拠が必要です。以下の情報を記録しておきましょう。

• 具体的な事例: いつ、誰が、どのような医療行為を行ったのかを記録する。
• 関係者の証言: 同僚や入居者の証言を記録する。
• 書類: 診療記録、請求書、薬の処方箋などを保管する。

4-2. 専門家への相談

一人で抱え込まず、専門家に相談しましょう。弁護士、労働組合、行政機関など、適切な相談先を選びましょう。

4-3. 職場内での情報共有と連携

同僚と情報を共有し、連携することで、問題解決への道が開ける場合があります。同じような問題意識を持つ仲間と協力し、組織全体で問題に取り組むことが重要です。

4-4. 継続的なスキルアップと自己研鑽

介護に関する知識やスキルを向上させることで、自信を持って問題に取り組むことができます。研修への参加や、資格取得などを通して、自己研鑽を続けましょう。

4-5. 転職活動の準備

現在の職場での問題解決が難しい場合は、転職も視野に入れましょう。転職活動を通して、自身のキャリアプランを見つめ直し、より良い職場環境を探すことができます。

転職活動を始める前に、まずは自己分析を行い、自分の強みや弱み、キャリアビジョンを明確にしましょう。次に、求人情報を収集し、自分の希望に合った求人を探します。面接対策を行い、自信を持って面接に臨みましょう。

5. 成功事例と専門家の視点

過剰医療の問題を解決し、より良い職場環境を築いた成功事例を紹介します。

5-1. 事例1：内部告発と組織改革

ある介護施設で、過剰な投薬が行われていることに気づいた介護職員が、内部告発を行いました。施設側は、この告発を受け、医療機関との連携を見直し、適正な医療行為が行われるように組織改革を行いました。その結果、入居者の健康状態が改善し、介護職員の負担も軽減されました。

5-2. 事例2：転職によるキャリアアップ

過剰医療の問題に嫌気がさし、転職を決意した介護職員が、より良い職場環境を見つけ、キャリアアップに成功しました。転職先では、介護職員の意見が尊重され、働きやすい環境が整備されていました。その結果、介護職員は、より高いモチベーションで業務に取り組むことができ、入居者への質の高い介護を提供できるようになりました。

5-3. 専門家の視点：キャリアコンサルタントからのアドバイス

「過剰医療の問題に直面した際は、一人で悩まず、専門家に相談することが重要です。キャリアコンサルタントは、あなたのキャリアプランを一緒に考え、転職やキャリアアップのサポートをします。また、労働問題に詳しい弁護士を紹介することも可能です。」

「問題解決のためには、証拠収集と情報共有が不可欠です。記録を残し、同僚と連携することで、問題解決への道が開ける場合があります。」

6. まとめ：あなたのキャリアと、入居者の未来を守るために

医療法人が経営する介護施設における「過剰医療」の問題は、介護職員にとって非常に深刻な問題です。倫理的な葛藤、業務への影響、キャリアへの不安など、様々な問題に直面することになります。しかし、諦めることなく、適切な対策を講じることで、問題解決への道は開けます。

まずは、問題の記録と証拠収集を行い、専門家への相談を検討しましょう。そして、職場内での情報共有や連携を図り、自己研鑽を続けることで、自身のキャリアを守りながら、より良い職場環境を築くことができます。転職も選択肢の一つです。あなたのキャリアプランに合った職場を見つけ、ステップアップを目指しましょう。

この記事が、過剰医療の問題に立ち向かう介護職員の皆さんの、少しでもお役に立てれば幸いです。あなたの勇気ある行動が、入居者の健康と安全を守り、介護業界全体の発展に繋がることを願っています。

最後に、あなたが抱える問題は、決して一人で解決できるものではありません。信頼できる専門家や仲間と協力し、粘り強く問題解決に取り組んでいきましょう。

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