特別養護老人ホームでのリハビリ：入居後の生活とサービス内容を徹底解説

今回は、特別養護老人ホームへの入所を検討されているご家族からのご相談です。脳梗塞による片麻痺があり、デイケアでリハビリを受けているお祖母様が、入所後もリハビリを継続できる施設を探しているとのこと。老人ホームでのリハビリの現状や、受けられるサービスについて詳しく解説します。

祖母から特別養護老人ホームに入所したいと相談されました。脳梗塞による片麻痺があって、現在、デイケアでリハビリなどを受けているそうです。

入所してからも、リハビリを受けられるところを探したいとのことですが、老人ホームでもリハビリをやっているところというのはあるのでしょうか？

また、ふつうどの程度のサービスが受けられるんでしょうか？

よろしくお願いいたします。

特別養護老人ホームにおけるリハビリの重要性

特別養護老人ホーム（特養）は、介護を必要とする高齢者が生活する施設です。入居者の多くは、様々な疾患や加齢に伴う身体機能の低下により、日常生活に支障をきたしています。そのため、特養では、入居者の心身機能の維持・回復、生活の質の向上を目指し、リハビリテーション（リハビリ）が重要な役割を担っています。

リハビリは、単に身体機能を回復させるだけでなく、精神的な安定や社会参加の促進にも繋がります。例えば、脳梗塞後の片麻痺がある場合、リハビリによって歩行能力や手の機能が改善すれば、自立した生活を送れる可能性が高まります。また、趣味活動やレクリエーションに参加することで、生活に張り合いが生まれ、認知機能の維持にも繋がります。

特養で受けられるリハビリの種類とサービス内容

特養で提供されるリハビリには、大きく分けて以下の3つの種類があります。

• 理学療法（PT）：身体機能の回復を目的とし、運動療法や物理療法を行います。例えば、歩行訓練や関節可動域訓練などが行われます。
• 作業療法（OT）：日常生活動作（食事、着替え、入浴など）の能力向上を目指します。作業を通して、身体機能や認知機能の維持・回復を図ります。
• 言語聴覚療法（ST）：言語機能や嚥下機能の改善を目的とします。言語訓練や食事指導などが行われます。

これらのリハビリは、入居者の状態やニーズに合わせて、個別にプログラムが組まれます。また、特養では、リハビリ専門職（理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など）だけでなく、介護職員や看護師も連携して、入居者の生活をサポートします。

具体的なサービス内容としては、以下のようなものが挙げられます。

• 個別リハビリ：専門職によるマンツーマンのリハビリ。
• 集団リハビリ：複数人で行うリハビリ。レクリエーションや体操など。
• 生活リハビリ：日常生活の中で行うリハビリ。食事、入浴、着替えなどを通して機能訓練を行う。
• リハビリ計画の作成：入居者の状態を評価し、目標を設定し、リハビリ計画を作成する。
• 家族への指導：自宅でのリハビリ方法や介護方法について指導を行う。

特養選びのポイント：リハビリ体制に注目

特養を選ぶ際には、リハビリ体制が充実しているかどうかが重要なポイントとなります。以下の点に注目して、施設を比較検討しましょう。

• リハビリ専門職の配置：理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職が、どの程度配置されているかを確認しましょう。配置人数だけでなく、経験や専門性も重要です。
• リハビリプログラムの内容：入居者の状態に合わせた、個別リハビリや集団リハビリなどのプログラムが提供されているかを確認しましょう。プログラムの内容だけでなく、頻度や時間も重要です。
• リハビリ設備の有無：リハビリを行うための設備が整っているかを確認しましょう。例えば、歩行訓練用の平行棒や、作業療法用の器具などがあるかを確認しましょう。
• リハビリに対する考え方：施設が、リハビリを重視しているか、入居者の自立支援に積極的に取り組んでいるかを確認しましょう。見学の際に、職員に質問したり、入居者の様子を観察したりすることで、施設の考え方を把握できます。
• 多職種連携：医師、看護師、介護職員など、多職種が連携してリハビリに取り組んでいるかを確認しましょう。チームで入居者を支える体制が整っていることが重要です。

特養入所までの流れと注意点

特養への入所は、いくつかのステップを経て行われます。以下に入所までの一般的な流れと注意点を示します。

1. 情報収集：まずは、地域の特養に関する情報を収集しましょう。インターネット検索、ケアマネジャーへの相談、地域包括支援センターへの相談などが有効です。
2. 施設見学：気になる特養があれば、積極的に見学に行きましょう。施設の雰囲気、設備、職員の対応などを確認し、入居後の生活をイメージしましょう。
3. 入所申し込み：入所を希望する施設に、入所申し込みを行いましょう。申し込みに必要な書類や手続きについては、施設に確認しましょう。
4. 入所判定：施設の入所判定会議で、入所の可否が決定されます。入所基準や待機期間は、施設によって異なります。
5. 入所：入所が決定したら、契約手続きを行い、入所となります。

特養への入所は、待機期間が長くなることもあります。複数の施設に申し込み、順番待ちをすることも検討しましょう。また、入所前に、入居者の状態や希望を施設にしっかりと伝え、入所後の生活について相談しておくことが大切です。

リハビリ継続のための選択肢：特養以外の施設

特養以外にも、リハビリを受けながら生活できる施設はあります。以下に、主な選択肢を紹介します。

• 介護老人保健施設（老健）：リハビリに重点を置いた施設で、在宅復帰を目指す入居者が多いです。理学療法士や作業療法士などの専門職が配置されており、質の高いリハビリが受けられます。
• 介護療養型医療施設：医療ケアが必要な高齢者のための施設です。リハビリも行われますが、医療的なサポートが中心となります。
• 住宅型有料老人ホーム：生活支援や介護サービスを提供する施設です。リハビリは、外部の事業所を利用する場合が多いです。
• サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）：バリアフリー設計の賃貸住宅で、生活支援サービスや介護サービスを利用できます。リハビリは、外部の事業所を利用する場合が多いです。

これらの施設は、それぞれ特徴やサービス内容が異なります。入居者の状態やニーズに合わせて、最適な施設を選択しましょう。

費用について

特養の費用は、所得や介護度によって異なります。一般的に、月額費用は、介護保険の自己負担分、食費、居住費、その他費用（おむつ代、理美容代など）で構成されます。所得が低い場合は、介護保険の自己負担が軽減される制度や、食費・居住費が減額される制度を利用できる場合があります。施設の費用については、事前に確認し、ご自身の状況に合わせて検討しましょう。

成功事例：リハビリでADLが改善したAさんのケース

Aさんは、脳卒中を発症し、右半身に麻痺が残りました。特養に入所後、理学療法士による個別リハビリと、作業療法士による日常生活動作訓練を受けました。最初は、歩行が困難で、食事や着替えも介助が必要でしたが、リハビリを継続することで、歩行能力が向上し、自力でトイレに行けるようになりました。また、食事や着替えも、一部介助があればできるようになり、生活の質が大きく改善しました。Aさんは、リハビリを通して、自信を取り戻し、積極的にレクリエーションに参加するなど、活気のある生活を送っています。

専門家からのアドバイス

特養選びは、入居者の今後の生活を大きく左右する重要な決断です。リハビリ体制だけでなく、施設の雰囲気や、職員の対応なども考慮して、最適な施設を選びましょう。見学の際には、積極的に質問し、疑問点を解消するようにしましょう。また、ケアマネジャーや、地域包括支援センターなどの専門家にも相談し、アドバイスを受けることも有効です。

まとめ

特別養護老人ホームは、介護を必要とする高齢者にとって、生活の場であり、リハビリを通して心身機能の維持・回復を目指す場所です。特養を選ぶ際には、リハビリ体制が充実しているかどうかが重要なポイントとなります。専門職の配置、リハビリプログラムの内容、設備の有無などを確認し、入居者の状態やニーズに合った施設を選びましょう。また、特養以外にも、介護老人保健施設や住宅型有料老人ホームなど、リハビリを受けながら生活できる施設があります。それぞれの特徴を理解し、最適な施設を選択することが大切です。

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