老健入所中の親の介護認定、どうなる？専門家が教える、介護保険制度と施設入居の疑問を徹底解説

この記事では、介護保険制度と施設入居に関する、よくあるご質問にお答えします。特に、老健施設に入所中のご家族の介護認定について、様々な疑問をお持ちの方々に向けて、具体的なアドバイスを提供します。介護認定のプロセス、現在の状況への対応策、そして今後の見通しについて、専門的な視点から分かりやすく解説していきます。

老健入所中の母(84歳)の介護認定についてお尋ねいたします。

母は一昨年、昨年と11月に要介護1と認定されました。

身体的には問題なく、歩行も杖なしで歩きます。

老健に入所する前に、母はかなり規模の大きい精神科の専門病院に一昨年10月よりかかっておりました。

そこでは、認知症と妄想性障害と診断されました。

認知症による物忘れと、妄想性障害によるもの取られ妄想が激しく、家族を泥棒だと思い込み、二世帯住宅の母の部屋への家族の立ち入りができない状況でした。

部屋は荒れ果て、大変な状態でした。

お財布、通帳、印鑑など家族を疑っていたので、全て自分で管理していましたが、何度も無くし、終いには、買ってきたバナナを無くし家族に泥棒されたと思い込んでいました。

昨年9月から症状が悪化し、モノが無くなるたびに暴れて家族に手を出すようになりました。

娘の私も身の危険を感じ、主治医に強制入院の措置を取っていただきました。

入院は3ヶ月間で、その後は病院に併設された老健施設に移りました。

老健に移ってからは、家族と暮らしていた時のような生活時間の乱れもなくなり、まだ時々モノを取られたといいますが、関わる介護士さんも多く、犯人を特定できないからか、モノ取られでトラブルを起こすことはありません。

老健で暮らし始めてから2ヶ月くらいで、だいぶ穏やかになりました。

現在、老健施設で生活を始めてから半年になります。

ここ2年間は、家庭での生活の中での介護認定でした。

主治医は精神科の先生で、認定の書類も同じ先生に2回ともお願いしていました。

ところが、老健に入所し、今までの主治医ではなく、老健のお医者さんが書類を記入するようです。(精神科のお医者さんではないようです)

家族の聞き取りも行われるかわかりませんし、このまま今年11月の介護認定となると、要介護1から要支援になってしまうのではないかと案じております。

要支援になれば、老健も退所しなくてはなりません。

自宅に戻り、環境が変われば、また同じことの繰り返しの可能性が高いと思われます。

老健入所中に認定を受ける際に、前の主治医に診断をお願いすることはできるのでしょうか。

また、週に1から2回は母の施設に通っておりますが、家族の意見などは聴いていただけるのでしょうか。

アドバイスよろしくお願いいたします。

ご相談ありがとうございます。ご家族の介護に関するお悩み、大変ご心痛のことと思います。老健施設に入所中のご家族の介護認定について、様々な疑問をお持ちとのこと、専門家として、具体的なアドバイスをさせていただきます。今回のケースでは、認知症と妄想性障害を抱えるお母様が、老健施設での生活を通じて症状が落ち着いてきたものの、介護認定の見直しによって、今後の生活に影響が出るのではないかとご心配されている状況です。この状況を踏まえ、介護保険制度の仕組み、現在の状況への対応策、そして今後の見通しについて、詳しく解説していきます。

1. 介護保険制度の基礎知識：介護認定と老健施設

まず、介護保険制度の基本的な仕組みについて理解を深めましょう。介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支えるための制度です。介護保険サービスを利用するためには、市区町村による介護認定を受ける必要があります。

1-1. 介護認定のプロセス

介護認定は、以下のステップで進められます。

• 申請: 市区町村の窓口に申請を行います。
• 訪問調査: 調査員が自宅や施設を訪問し、心身の状態や生活状況を調査します。
• 主治医意見書: 主治医が、病気や心身の状態について意見書を作成します。
• 審査: 調査結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会が審査を行います。
• 認定: 審査結果に基づいて、要介護度（要支援1～2、要介護1～5）が決定されます。

1-2. 老健施設と介護保険の関係

老健施設（介護老人保健施設）は、病状が安定し、治療やリハビリが必要な方が入所する施設です。入所期間は原則として3ヶ月から6ヶ月とされており、在宅復帰を目指すことが目的です。老健施設に入所している間も、介護保険サービスを利用することができます。しかし、要支援と認定された場合は、老健施設を退所し、自宅での生活または他の介護保険サービスを利用することになります。

2. 現在の状況への対応策：介護認定に向けて

ご相談者様のお母様が、現在の老健施設での生活を通じて症状が落ち着いてきているものの、介護認定の見直しによって要支援に認定されるのではないかとご心配されている状況です。この状況を踏まえ、具体的な対応策を以下に示します。

2-1. 前の主治医への相談

老健施設に入所中でも、以前の主治医に診断をお願いすることは可能です。介護認定の際に、主治医意見書は重要な要素となります。以前の主治医に、現在の状況やこれまでの経過について詳しく説明し、意見書を作成してもらうことを検討しましょう。その際、老健施設での生活状況や、症状の改善について具体的に伝えることが重要です。また、老健施設側の医師にも、以前の主治医の意見書を参考にしてもらうよう、相談することも有効です。

2-2. 家族の意見聴取

介護認定のプロセスにおいて、家族の意見が聴取されるかどうかは、市区町村や施設の判断によります。しかし、家族の意見は、利用者の生活状況や状態を把握する上で非常に重要な情報となります。介護認定の申請時に、家族の意見を伝える機会があるかどうか、市区町村の窓口や老健施設に確認しましょう。もし、意見を伝える機会がない場合でも、書面で意見を提出したり、面談を申し込んだりすることも可能です。積極的に情報を提供し、お母様の状況を正しく理解してもらうように努めましょう。

2-3. 老健施設との連携

老健施設の医師や介護スタッフとの連携も重要です。日頃から、お母様の様子や変化について情報交換を行い、介護認定に向けて協力体制を築きましょう。特に、老健施設での生活状況や、症状の改善について、具体的に伝えることが重要です。また、介護認定のプロセスについて、施設側からアドバイスをもらうこともできます。施設側も、入所者の状況を良く理解しているため、有益な情報を提供してくれるはずです。

3. 今後の見通し：介護認定後の対応

介護認定の結果によっては、今後の生活に大きな影響が出る可能性があります。ここでは、要介護度別の対応策と、今後の見通しについて解説します。

3-1. 要介護1～2と認定された場合

要介護1～2と認定された場合、引き続き老健施設での生活を継続することができます。ただし、老健施設での生活が長くなると、在宅復帰が難しくなることもあります。今後の生活について、施設スタッフや家族とよく話し合い、適切なケアプランを作成することが重要です。また、定期的に状態を評価し、必要に応じてケアプランを見直すことも大切です。

3-2. 要支援と認定された場合

要支援と認定された場合、老健施設を退所し、自宅での生活または他の介護保険サービスを利用することになります。自宅での生活を選択する場合は、訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを利用し、生活を支援する必要があります。また、環境の変化によって、症状が悪化する可能性も考慮し、専門家（医師、ケアマネジャーなど）と連携し、適切なサポート体制を整えることが重要です。

3-3. 自宅での生活を続けるための準備

自宅での生活を続けるためには、事前の準備が不可欠です。まず、自宅の環境を安全に整えましょう。手すりの設置や段差の解消など、転倒防止のための対策を行いましょう。次に、介護保険サービスを利用するための手続きを行いましょう。ケアマネジャーに相談し、適切なケアプランを作成してもらいましょう。また、家族の協力体制を築くことも重要です。家族間で役割分担を行い、協力して介護に取り組むことが大切です。

4. 介護保険制度に関するその他の疑問

介護保険制度は複雑であり、様々な疑問が生じることがあります。ここでは、よくある疑問とその回答をまとめました。

4-1. 介護保険料について

介護保険料は、40歳以上の方が納付します。保険料は、所得に応じて決定されます。介護保険サービスを利用した場合は、原則として費用の1割～3割を自己負担します。自己負担額は、所得やサービスの種類によって異なります。

4-2. 介護保険サービスの利用について

介護保険サービスを利用するためには、介護認定を受ける必要があります。介護認定を受けた後、ケアマネジャーに相談し、ケアプランを作成してもらいます。ケアプランに基づいて、様々な介護保険サービスを利用することができます。サービスの種類は、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具のレンタルなど、多岐にわたります。

4-3. 介護に関する相談窓口

介護に関する悩みや疑問は、一人で抱え込まずに、専門家に相談しましょう。市区町村の地域包括支援センターや、居宅介護支援事業所、介護保険相談センターなどが、相談窓口として利用できます。専門家は、介護保険制度やサービスに関する情報を提供し、適切なアドバイスをしてくれます。

5. 成功事例と専門家の視点

ここでは、介護認定に関する成功事例と、専門家の視点を紹介します。

5-1. 成功事例：主治医との連携による要介護度の維持

あるケースでは、老健施設に入所中の認知症の高齢者の介護認定において、以前の主治医と連携し、現在の症状や生活状況について詳細な情報を提供しました。その結果、主治医意見書で、現在の症状が安定していること、老健施設での適切なケアによって生活の質が向上していることなどを評価してもらい、要介護度を維持することができました。この事例から、主治医との連携がいかに重要であるかがわかります。

5-2. 専門家の視点：多職種連携の重要性

介護保険制度に精通した専門家は、多職種連携の重要性を強調しています。医師、ケアマネジャー、介護スタッフ、家族など、様々な立場の人が連携し、情報を共有することで、より適切なケアプランを作成し、利用者の生活を支援することができます。特に、老健施設のような多職種が関わる環境では、連携がスムーズに行われることが、介護の質を大きく左右します。

6. まとめ：介護認定に向けて、できること

今回のケースでは、老健施設に入所中の認知症のお母様の介護認定について、様々な疑問にお答えしました。介護認定の結果は、今後の生活に大きな影響を与える可能性があります。しかし、適切な対応と準備を行うことで、より良い結果を得ることができます。以下に、今回の内容をまとめます。

• 主治医との連携: 以前の主治医に、現在の状況やこれまでの経過について詳しく説明し、意見書を作成してもらうことを検討しましょう。
• 家族の意見聴取: 介護認定の申請時に、家族の意見を伝える機会があるか確認し、積極的に情報を提供しましょう。
• 老健施設との連携: 医師や介護スタッフとの連携を密にし、情報交換を行い、協力体制を築きましょう。
• 介護保険制度の理解: 介護保険制度の仕組みを理解し、必要な情報を収集しましょう。
• 専門家への相談: 介護に関する悩みや疑問は、一人で抱え込まずに、専門家に相談しましょう。

介護は、ご家族にとって大変な負担となることもあります。しかし、適切な情報とサポートを得ることで、より良い介護生活を送ることができます。今回の記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。ご家族の健康と、穏やかな日々を心から願っています。

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