介護と仕事の両立：認知症の祖母との生活で感じるストレスと、その乗り越え方

この記事では、認知症の祖母の介護と、それによるストレスで悩んでいる20歳の女性からのご相談にお答えします。留学から帰国後、祖母の症状が悪化し、夜間の対応や頻尿、精神的な不安定さから、ご本人と母親が疲弊しきっている状況です。怒りと後悔を繰り返す中で、介護と自分の感情の間で葛藤し、将来への不安を感じています。介護を乗り越えるための具体的なアドバイスと、施設入居に対する考え方について、一緒に考えていきましょう。

20歳の女です。祖母は全盲です。今年の上半期に留学をしていたのですが、その間に祖母の認知症がとても悪化しており、毎日母に孫はいつ帰ってくるのかと話していたそうです。帰ってきてからは毎日夜中おこされお腹が空いたといわれ、今では10〜30分間隔でトイレに行くほど頻尿です。一度尿路感染で2週間ほど入院したのですが、お見舞いに行くたびに大声で泣き出し、精神が不安定になっていっているのが分かりました。病院でトイレに行った時は名前を言うまで私のことが誰かわかっていませんでした。目が見えないので仕方ないのかもしれませんが、目が見えない分他の部分はとても敏感なので声で以前は聞き分けることができていました。その入院生活で感覚がガクッと鈍ったのか、退院してからは延長コードをナースコールと勘違いして握っていたり、「ごはんはいつでるの？」と看護師さんに向かって話すように会話してきたり、トイレへの道もわからなくなり（以前は一人で行けていました。）夜中は毎晩起こされて母も私も眠れていません。起こされて苛立ってしまい「自分で行って！」と強くいってしまいます。すると「分からんから教えてくれ〜」と大泣きします。ですがまたそれに苛立ってしまいます。こっちは寝れなくて起こされてるのに、と。母は私よりも気性が荒いですし、怒鳴ってしまうことがありますが、その時は私がなだめ、私が怒鳴ってしまったときは母が、というように私と母はお互いがいるからこそ我慢できている状態です。

今は私が夏季休暇中で家にいるのでいいですが、用事があり出かけていて帰ってきたときには別の部屋でずっと私と母の名前を叫んでいたこともありました。またそこで怒ってしまい祖母を泣かせてしまいます。その後一人で考えて、祖母の立場になって考えると目が見えないから分からないのは当たり前なのに自分で行ってみろなんてとてもひどい事をしたな、と後悔して泣いてしまいます。ですがまたトイレが分からない、と名前を叫ばれると怒ってしまい、の悪循環です。

目が見えないのに娘と孫は自分で行けと怒る、こんな酷い娘と孫がいて本当に悲しいだろうと思います。ですがそのときになるとどうしても感情的になってしまいます。自分を制御できません。ストレスがとても多く母も私もこの先手を出してしまったらどうしようかと自分がとても怖くなります。

介護を乗り越えられた方、アドバイスをいただきたいです。施設は祖母が可哀想だからという理由で考えてなかったのですがこれは私達のただの自己中心的な考えなのでしょうか。

1. 介護の現状を理解し、感情の波と向き合う

まず、あなたが置かれている状況は、非常に大変なものです。認知症の祖母の介護に加え、留学後の生活の変化、睡眠不足、そして感情のコントロールという、多くの課題に同時に直面しています。この状況で、感情的になってしまうのは当然のことです。自分を責めたり、自己嫌悪に陥ったりする必要はありません。まずは、今のあなたの感情を理解し、受け入れることから始めましょう。

1-1. 認知症の理解を深める

認知症は、脳の機能が低下することで、記憶力や判断力、理解力などに障害が現れる病気です。祖母様の全盲という状況も加わり、認知症の症状がより複雑になっている可能性があります。例えば、

• 記憶障害: 最近の出来事を忘れやすくなったり、同じことを何度も言ったりすることがあります。
• 見当識障害: 時間や場所、人などがわからなくなることがあります。
• 理解力の低下: 指示を理解したり、状況を把握することが難しくなります。
• 感情の不安定さ: 些細なことで怒ったり、不安になったり、泣いたりすることがあります。

これらの症状は、本人の意思とは関係なく現れるものであり、対応する側も、そのことを理解した上で接することが重要です。

1-2. 感情の波を受け入れる

介護をしていると、喜びや安らぎを感じる一方で、怒りや悲しみ、無力感など、様々な感情が湧き上がってきます。これらの感情は、決して悪いものではありません。むしろ、人間として自然な反応です。感情的になってしまう自分を責めるのではなく、「今はそういう感情になっているんだな」と受け止めることが大切です。例えば、

• 怒り: 睡眠不足や、何度も同じことを繰り返されることへの苛立ち。
• 悲しみ: 祖母の症状が悪化していくことへの喪失感。
• 罪悪感: 怒ってしまったことへの後悔。
• 不安: 将来への漠然とした不安。

これらの感情を無理に抑え込もうとせず、日記に書き出したり、信頼できる人に話したりすることで、心の整理をすることができます。

2. ストレスを軽減するための具体的な方法

介護によるストレスを軽減するためには、具体的な対策が必要です。ここでは、実践的な方法をいくつかご紹介します。

2-1. 睡眠の確保

睡眠不足は、心身の健康に悪影響を及ぼし、感情のコントロールを難しくします。祖母様の夜間の行動により睡眠が妨げられているとのことですので、まずは睡眠を確保するための工夫をしましょう。

• 交代制の導入: 母親と交代で夜間の対応をすることで、どちらか一方が休息を取れるようにします。
• 睡眠導入剤の検討: 医師に相談し、祖母様の睡眠を促す薬を検討することもできます。
• 昼寝の活用: 昼間に祖母様が寝ている間に、自分も仮眠を取るようにします。
• 環境整備: 寝室の環境を整え、安眠できるような工夫をします（例：遮光カーテン、静かな音楽）。

2-2. コミュニケーションの工夫

祖母様とのコミュニケーションを円滑にするために、以下の点を意識しましょう。

• ゆっくりとした口調で話す: 認知症の方は、話すスピードが速すぎると理解しにくくなります。
• 簡潔な言葉を使う: 複雑な言い回しや、抽象的な表現は避け、具体的に伝えましょう。
• 視覚的な情報も活用する: 目が見えない祖母様には、触覚や聴覚に訴える工夫をします（例：手に触れて誰かを伝える、好きな音楽をかける）。
• 落ち着いた対応を心がける: 感情的にならず、冷静に対応することで、祖母様の不安を和らげることができます。
• 共感する: 祖母様の気持ちに寄り添い、「つらいね」「大変だね」と共感の言葉をかけることで、安心感を与えましょう。

2-3. 介護サービスの利用

介護サービスを利用することで、負担を軽減し、質の高い介護を提供することができます。利用できるサービスには、以下のようなものがあります。

• 訪問介護: ヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴、排泄などの介助を行います。
• デイサービス: 日中に施設に通い、食事や入浴、レクリエーションなどを行います。
• ショートステイ: 短期間、施設に宿泊し、介護サービスを受けられます。
• 訪問看護: 看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療処置を行います。
• 配食サービス: 栄養バランスの取れた食事を自宅に届けてくれます。

これらのサービスを組み合わせることで、家族の負担を軽減し、祖母様の生活の質を向上させることができます。まずは、お住まいの地域の介護保険窓口や、地域包括支援センターに相談してみましょう。

2-4. 休息時間の確保

介護者は、自分の時間を確保することも重要です。心身ともにリフレッシュできる時間を持つことで、ストレスを軽減し、介護を継続することができます。

• 趣味の時間: 好きな音楽を聴いたり、映画を見たり、読書をしたりするなど、自分の好きなことに時間を使いましょう。
• 外出: 買い物に出かけたり、友人と会ったりして、気分転換をしましょう。
• 休息: 疲れていると感じたら、積極的に休息を取りましょう。
• 家族や友人のサポート: 家族や友人に、一時的に介護を代わってもらうなど、サポートを求めましょう。

2-5. 専門家への相談

介護に関する悩みや不安は、一人で抱え込まずに、専門家に相談することも大切です。専門家は、あなたの状況に合わせたアドバイスをしてくれます。

• 医師: 祖母様の病状や、服薬について相談できます。
• ケアマネジャー: 介護保険の申請や、介護サービスの利用について相談できます。
• 精神科医やカウンセラー: 介護による精神的な負担について相談できます。
• ソーシャルワーカー: 介護に関する様々な相談に乗ってくれます。

専門家のサポートを受けることで、より良い介護ができるようになり、あなた自身の心も楽になるはずです。

3. 施設入居に対する考え方

施設入居は、介護の選択肢の一つです。祖母様を施設に入れることに抵抗があるとのことですが、それは決して自己中心的な考えではありません。家族として、祖母様のことを大切に思うからこその感情でしょう。しかし、状況によっては、施設入居が、祖母様にとっても、あなたにとっても、より良い選択肢となることもあります。

3-1. 施設入居のメリットとデメリット

施設入居には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

• メリット:
  • 24時間体制での介護を受けられる。
  • 専門的なケアを受けられる。
  • 家族の負担が軽減される。
  • 他の入居者との交流ができる。
• デメリット:
  • 費用がかかる。
  • 環境の変化に対する適応が必要となる場合がある。
  • 家族との距離が遠くなる。

3-2. 施設の種類

施設には、様々な種類があります。祖母様の状況や、ご家族の希望に合わせて、適切な施設を選ぶことが重要です。

• 特別養護老人ホーム: 介護を必要とする高齢者が入居できる施設。
• 介護老人保健施設: 医療ケアやリハビリテーションを受けられる施設。
• グループホーム: 認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設。
• 有料老人ホーム: サービス内容や費用が異なる様々な種類の施設。

3-3. 施設見学と情報収集

施設入居を検討する際には、実際に施設を見学し、情報を収集することが大切です。施設の雰囲気や、スタッフの対応、サービス内容などを確認しましょう。また、入居者の様子や、家族の意見を聞くことも参考になります。

3-4. 家族での話し合い

施設入居については、家族でよく話し合い、全員が納得した上で決定することが重要です。祖母様の意思も尊重し、本人が安心して生活できるような環境を選びましょう。

施設入居は、決して「見捨てる」ことではありません。むしろ、より専門的なケアを受けられることで、祖母様の生活の質が向上し、あなた自身も、介護から解放され、心に余裕が生まれる可能性があります。施設入居という選択肢も含めて、様々な可能性を検討し、家族にとって最善の選択をすることが大切です。

4. 介護を乗り越えるために

介護は、長期間にわたる道のりです。一人で抱え込まず、様々なサポートを活用しながら、乗り越えていきましょう。

4-1. 継続的な情報収集

介護に関する情報は、常に変化しています。最新の情報を収集し、適切な対応をすることが重要です。介護に関する情報源としては、以下のようなものがあります。

• インターネット: 介護に関する情報サイトや、ブログ、SNSなどを活用する。
• 書籍: 介護に関する書籍を読んで、知識を深める。
• セミナーや講演会: 介護に関するセミナーや講演会に参加して、専門家から学ぶ。
• 相談窓口: 介護保険窓口や、地域包括支援センターなどに相談する。

4-2. 休息とリフレッシュ

心身ともに健康を保つためには、休息とリフレッシュが不可欠です。自分の時間を確保し、好きなことをしたり、気分転換をしたりして、ストレスを解消しましょう。

4-3. 家族や周囲のサポート

介護は、一人ではできません。家族や、友人、知人、地域の人々など、周囲のサポートを積極的に活用しましょう。困ったことがあれば、遠慮なく助けを求めることが大切です。

4-4. 専門家との連携

専門家との連携は、質の高い介護を提供するために不可欠です。医師、ケアマネジャー、ヘルパー、看護師など、様々な専門家と連携し、チームとして介護に取り組みましょう。

介護は、決して楽なものではありません。しかし、決して一人ではありません。あなたの悩みは、多くの人が経験することです。この記事でご紹介した情報が、少しでもあなたの助けになれば幸いです。そして、あなた自身を大切にしてください。あなたの心と体の健康が、介護を乗り越えるための原動力となります。

5. まとめ

認知症の祖母様の介護は、非常に大変なものです。しかし、適切な知識とサポートがあれば、乗り越えることができます。まずは、ご自身の感情を理解し、受け入れることから始めましょう。そして、睡眠の確保、コミュニケーションの工夫、介護サービスの利用、休息時間の確保、専門家への相談など、具体的な対策を講じていきましょう。施設入居という選択肢も含め、様々な可能性を検討し、家族にとって最善の選択をすることが大切です。そして、決して一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用しながら、介護を乗り越えていきましょう。あなたの心と体の健康を第一に考え、無理のない範囲で、介護を続けていくことが重要です。

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