認知症の祖母と叔母との介護トラブル…施設入所後の親族間争いの解決策

介護トラブルについて。認知症の祖母がいます。祖父は他界しています。二世帯住宅のため最近まで母、父、祖母で住んでいました。（私は、結婚して他県に住んでいます。）祖母はここ7年ほどで認知が進みギリギリまで私の母と父がデイサービスを使ったりして介護をしていましたが、最近になり認知がひどくなり、排泄が間に合わず漏らしてしまったり、とても家族だけでは介護しきれない状況のためケアマネさんに相談したり、色々と考えて施設に入所することになりました。（父と母は、フルタイムで働いている） ここまでは良かったのですが、遠方に住む（車で3時間ほど）父の姉が、施設の入所日にその施設まで乗り込んできて、「長男夫婦は認知の度合いをオーバーに言いすぎでそこまで認知は進んでおらず家でもみれたのではないか。」「長男夫婦が母親（祖母）の状態をオーバーに伝えるせいでグループホームは断られたのではないか。」などなど色々と言い始めて修羅場になったそうです。その後も「母（祖母）のことはこちらで引き取って施設に入れるから現在施設を探している。」などと現在入所中の施設に電話してきたりと、とても手がつけられない状態になっているようです。 父の姉のところに引き取ってもらうのはいいのですが、施設に入れるならこちらにいても一緒のことでは？と思ってしまいますし、祖母の移動の負担を考えたら今の施設のままいた方がいいと思います。 ただ父の姉は「母（祖母）が承諾すればこちらの施設に移動させる。」と言っているようで、、、この場合は認知症の祖母の承諾だけで勝手に連れて行くことは可能なのでしょうか？弁護士もつけるようなことも言っているようですが、どのような件で裁判を起こしたりするんでしょうか？？

この記事では、認知症の家族を介護する中で発生する可能性のある、親族間のトラブル、特に施設入所後の親族間での争いについて、具体的な解決策を提示します。ご自身の状況と照らし合わせながら、問題解決への糸口を見つけていきましょう。高齢者の介護、特に認知症介護は、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。ご家族の状況を理解し、適切な対応をすることが重要です。

1. 認知症の祖母を巡る家族間の紛争：現状の整理

まず、現状を整理しましょう。ご質問からは、以下の点が読み取れます。

• 認知症の祖母が施設に入所。
• 叔母が、入所の判断や施設の選択に異議を唱えている。
• 叔母が、祖母を自分の元に引き取りたいと考えている。
• 叔母が、祖母を現在の施設から別の施設に移そうとしている。
• 法的措置の可能性も示唆されている。

このような状況では、感情的な対立が先鋭化し、冷静な判断が難しくなる可能性があります。まずは、ご家族間のコミュニケーションを改善し、それぞれの立場や考えを理解することが重要です。介護の負担、経済的な問題、そして感情的な葛藤など、様々な要因が複雑に絡み合っていることを認識しましょう。

2. 認知症の祖母を「勝手に」移動させることは可能か？

結論から言うと、認知症の祖母を叔母の意思だけで現在の施設から別の施設に移すことは、原則として不可能です。 祖母が意思表示能力を有している場合、本人の同意が必要です。しかし、認知症が進んでいる場合、意思表示能力がないと判断される可能性が高く、本人の同意を得ることは困難です。 仮に祖母が「承諾」したように見えても、その意思表示が本当に本人の自由意思によるものなのか、専門家（医師や弁護士）が判断する必要があります。

勝手に祖母を移動させようとした場合、監護権の侵害や不法監禁といった法的責任を問われる可能性があります。叔母は、弁護士を立てて法的措置を検討しているとのことですが、その訴訟は、祖母の監護権や財産管理権を巡る争いになる可能性が高いです。 具体的には、

• 後見人・保佐人・補助人の選任を求める訴訟：祖母の意思決定能力が不十分な場合、裁判所が後見人などを選任し、祖母の生活や財産を管理します。叔母が後見人になることを目指す可能性があります。
• 施設入所に関する訴訟：現在の施設への入所が適切でない、あるいは別の施設への入所が祖母の利益になると主張し、裁判所に判断を求める訴訟です。

といった訴訟が考えられます。 これらの訴訟では、祖母の現在の状態、ご家族の状況、それぞれの主張の妥当性などが詳細に検討されます。

3. 具体的な解決策：冷静な対応と専門家の活用

このような状況では、感情的な対立を避け、冷静に対処することが非常に重要です。以下のようなステップで解決策を探っていきましょう。

• 記録の保持：叔母とのやり取り（メール、電話、面会記録など）を詳細に記録しておきましょう。証拠として重要になります。
• 専門家の相談：弁護士やケアマネージャー、精神科医などに相談し、法的・医学的なアドバイスを受けましょう。特に、祖母の意思能力の有無について、医師の診断書を取得することが重要です。また、弁護士に相談することで、叔母からの圧力に対処するための法的戦略を立てることができます。
• 家族会議の開催：ご家族全員で話し合い、祖母の今後の生活について話し合う場を設けましょう。それぞれの意見を聞き、共通の目標を見つけることが重要です。ファシリテーターを立てるなど、客観的な立場で会議を進めることが効果的です。話し合いが難航する場合は、専門家の介入を検討しましょう。
• Mediation（調停）の活用：話し合いが難航する場合は、第三者機関による調停を検討しましょう。調停員は、中立的な立場からご家族間の対話を促進し、合意形成を支援します。

叔母との関係修復が難しい場合、法的措置も視野に入れる必要があります。しかし、法的措置は時間と費用がかかるため、まずは話し合いによる解決を目指しましょう。 ご家族の状況や祖母の状態を考慮し、最適な解決策を選択することが重要です。

4. 成功事例：家族会議と専門家介入による解決

以前、当事務所では、認知症の母親を巡る兄弟間の争いを解決した事例があります。当初は激しい言い争いが絶えなかったのですが、家族会議を複数回開催し、ケアマネージャーと弁護士にも参加してもらったことで、それぞれの立場や感情を理解し合うことができました。最終的には、母親の最善の利益を優先し、施設入所を継続するという合意に至りました。この事例では、専門家の客観的な意見と、家族間の丁寧なコミュニケーションが、紛争解決に大きく貢献しました。

5. まとめ：専門家への相談を検討しましょう

認知症の家族介護における親族間のトラブルは、非常に複雑でデリケートな問題です。感情的な対立を避け、冷静に状況を把握し、専門家の力を借りながら解決策を探ることが重要です。弁護士、ケアマネージャー、医師など、それぞれの専門家の知見を活かすことで、最善の解決策を見つけることができるでしょう。 一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的な問題解決には、専門家への相談が必要です。