90歳超えの叔母、延命治療とCVポート…「自然に任せたい」という意思を尊重しながら最善の選択をするには？

身寄りのない高齢者の医療はどこまで 疎遠だった叔母が入院していることを知りました。生活保護を受けています。認知症、脳出血、肺炎で寝たきり、食事が取れないためCVポートをしています。延命治療について、意識のある頃は「自然に任せたい。」との意向でした。 食べられなくなった場合、胃瘻など家族や本人の同意がない場合はどこまでやるものでしょうか。回復の見込みもなく90歳を超えています。ただ苦しそうでもう楽にさせてあげたいと思うのですが、CVポートは必要最低限の医療行為なのでしょうか。

この記事では、ご自身の叔母様のような、高齢で身寄りがない、そしてご本人の意思表示が難しい状況にある方への医療について、具体的な事例を交えながら解説します。特に、延命治療の是非、CVポートの必要性、そしてご本人の意思を尊重しつつ、最善の医療を選択するための方法について、分かりやすくご説明します。 高齢者の尊厳を保ち、安らかに最期を迎えられるよう、一緒に考えていきましょう。

1. 疎遠な叔母様の状況と、あなたの葛藤

まず、ご状況を整理しましょう。90歳を超える叔母様は、認知症、脳出血、肺炎を患い、寝たきり状態です。食事が取れないため、CVポート（中心静脈栄養法）による栄養摂取が行われています。以前は「自然に任せたい」という意思表示をされていたとのこと。しかし、現在は認知症のためご本人の意思確認が困難であり、回復の見込みもなく、苦しそうな様子に、あなたは「楽にさせてあげたい」と願っておられる。まさに、多くの家族が直面する難しい状況です。

この状況下では、医療行為の継続・中止に関する判断は、非常に複雑で、大きな責任を伴います。 「自然に任せたい」という以前の意思表示は、重要な指針となりますが、現在の状況と照らし合わせ、どのように解釈し、行動に移すべきか、慎重に検討する必要があります。

2. 延命治療の判断：意思確認と倫理的な側面

延命治療の是非は、まずご本人の意思確認が最優先です。しかし、認知症のためご本人の意思確認が困難な場合、家族や親族の意見、主治医の意見、そして倫理的な観点から総合的に判断する必要があります。

• 事前に作成された「延命治療に関する意思表示」： もし叔母様が、生前に延命治療に関する意思表示（リビングウィルなど）を文書に残していれば、それが最優先されます。
• 家族会議の開催： ご状況を踏まえ、主治医の先生を交えた家族会議（この場合は、あなたのみかもしれませんが）を開催し、叔母様の過去の言動や、現在の状態、そしてあなたの気持ちなどを共有することで、より客観的な判断に繋がります。
• 主治医との綿密な連携： 主治医は、叔母様の病状、予後、そして倫理的な観点から適切なアドバイスをしてくれます。 定期的に主治医と話し合い、疑問点を解消し、最新の状況を共有することが重要です。
• 倫理委員会への相談： どうしても判断に迷う場合は、病院の倫理委員会に相談することもできます。倫理委員会は、医療倫理の専門家から構成されており、客観的な立場からアドバイスをしてくれます。

3. CVポートと胃瘻：必要性と負担のバランス

CVポートは、静脈にカテーテルを挿入し、栄養を供給する医療行為です。胃瘻は、胃に直接管を通して栄養を供給する医療行為です。どちらも、経口摂取が困難な場合に用いられる方法ですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

• CVポートのメリット： 比較的負担が少ない、感染リスクが低いなど。
• CVポートのデメリット： 血管の損傷、血栓症などのリスクがある。
• 胃瘻のメリット： 比較的長期的に使用できる、栄養吸収率が高いなど。
• 胃瘻のデメリット： 手術が必要、感染リスクが高い、精神的な負担が大きいなど。

叔母様の状態を考慮し、CVポートが「必要最低限の医療行為」かどうかは、主治医と相談して判断する必要があります。 現状維持で苦痛が軽減されるのであれば、CVポートを継続することも選択肢の一つです。しかし、苦痛が大きくなっている、または他の合併症のリスクが高まっている場合は、CVポートの留置を中止することも検討する必要があるでしょう。 胃瘻についても同様です。

4. 「自然に任せたい」という意思の解釈

「自然に任せたい」という意思表示は、積極的な延命治療を望んでいないことを示唆しています。しかし、これは「一切の医療行為を拒否する」という意味ではありません。 痛みや苦痛を軽減するための緩和ケアは、積極的に行うべきです。

• 緩和ケア： 痛みや苦痛、息苦しさなどを軽減するための医療行為です。薬物療法、精神的なケア、リハビリテーションなど、様々な方法があります。 叔母様の苦痛を和らげ、少しでも穏やかな時間を過ごせるように、緩和ケアを積極的に行うことが重要です。
• 尊厳死： ご本人の意思に基づき、延命治療を中止し、自然な死を迎えることを選択することです。 尊厳死は、法律によって認められています。

5. 具体的な行動ステップ

1. **主治医との面談：** 叔母様の現在の状態、今後の治療方針、延命治療の是非、CVポートの必要性などについて、主治医と詳細に話し合います。 あなたの不安や疑問を全て伝え、丁寧に説明を受けることが重要です。
2. **家族会議（必要に応じて）：** 主治医を交えて家族会議を行い、叔母様の意思を尊重しつつ、最善の選択を検討します。
3. **倫理委員会への相談（必要に応じて）：** 判断に迷う場合は、病院の倫理委員会に相談します。
4. **緩和ケアの導入：** 叔母様の苦痛を軽減するための緩和ケアを積極的に導入します。
5. **定期的な状況確認：** 叔母様の状態を定期的に確認し、必要に応じて治療方針を見直します。

6. まとめ

90歳を超える叔母様の延命治療とCVポートに関する判断は、非常に難しい問題です。 しかし、ご本人の意思を尊重し、苦痛を軽減しながら、最善の選択をすることが大切です。 主治医との綿密な連携、そして必要に応じて倫理委員会への相談などを活用することで、あなたにとって納得できる結論にたどり着けるよう願っています。 この過程で、専門家のサポートを受けることも検討してみてください。 一人で抱え込まず、周りの人に相談することも、大きな助けとなるでしょう。 叔母様にとって、そしてあなたにとって、穏やかな日々が訪れることを心から祈っています。