90歳認知症の母の食事問題：食べない、食べさせない、どうすればいい？～専門家による具体的な解決策と心のケア～

90歳の認知症・老人性鬱・要介護２の母の食事に悩んでいます。朝はトースト１枚は何とか食べるのですが、昼と夜は殆ど食べません。好物を出しても、胸がむかつく、と言って、数口で辞めてしまいます。週２回の訪問リハビリ以外は一日中寝ているので、お腹が空かないのは分かりますが。エンシュアとプリン・バナナなどで生きているようなものです。自宅介護を始めて１年になりますが、体重は減ってはいません。訪問診療の医師にも相談していますが、特に大きな病気がなく、健康状態には問題はない、とのことです。どうしたら食べてくれるでしょうか？食事介助して無理やり食べさせたほうがいいでしょうか？このまま放置しても問題ないでしょうか？

この記事では、90歳で認知症と老人性鬱を患い、要介護2の母を持つあなたが抱える、食事に関する深刻な悩みについて、具体的な解決策と、介護するあなた自身の心のケア方法を提案します。高齢者の食事問題、特に認知症を伴う場合の食事介助は、医学的な側面だけでなく、心理的な側面も深く考慮する必要があります。単に「食べさせる」だけでなく、「どのように食べる意欲を高めるか」「食事の時間をどのように心地よいものにするか」が重要です。本記事では、専門家の視点と成功事例を交えながら、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスを提供していきます。

1. 身体的な原因の確認と専門家への相談

まず、医師の診断で「大きな病気がない」とのことですが、食べたくない原因をさらに深く探る必要があります。食欲不振は、様々な身体的な問題が隠れている可能性があります。例えば、

• 口腔内の問題：入れ歯の不具合、歯肉炎、口内炎など。食べにくい状態が食欲不振につながることがあります。
• 消化器系の問題：胃もたれ、便秘、下痢など。消化不良が食欲を低下させる可能性があります。
• 薬の副作用：服用している薬の副作用で食欲不振が起こるケースもあります。
• 貧血：鉄分不足などによる貧血も食欲不振の原因となることがあります。

これらの可能性について、主治医や訪問診療の医師、あるいは専門の歯科医や消化器科医に相談し、精密検査を受けることを強くお勧めします。身体的な問題が解決すれば、食欲も改善する可能性があります。 具体的な検査項目を医師に尋ね、検査結果に基づいて適切な対応を検討しましょう。

2. 心理的な要因へのアプローチ：認知症と老人性鬱への配慮

90歳で認知症と老人性鬱を患っていることを考慮すると、食欲不振は身体的な問題だけでなく、心理的な要因も大きく関わっている可能性が高いです。認知症によって、味覚や嗅覚の変化、食事への興味の低下が起こることがあります。また、老人性鬱は、意欲の低下や無気力感を引き起こし、食事への関心を失わせる原因となります。

• 食事環境の改善：落ち着いた静かな場所で、ゆっくりと食事ができる環境を整えましょう。テレビの音や周囲の騒音は避け、リラックスできる雰囲気を作るのが重要です。食事の時間を特別な時間にすることで、食事への意欲を高めることができます。
• 五感を刺激する工夫：彩り豊かな食事、香りの良い料理、口当たりが良い食感など、五感を刺激する工夫を取り入れましょう。少量でも、見た目や香りが良いと、食べる意欲が湧くことがあります。例えば、季節の食材を使った料理や、見た目にも美しい盛り付けを心がけましょう。
• 好きな食べ物を探す：以前好きだった食べ物や、最近気に入った食べ物を探してみましょう。好みに合わせて、食べやすい形や大きさに工夫することも大切です。少量ずつ、色々な種類の食べ物を提供するのも効果的です。無理強いせずに、少しずつ試行錯誤しながら、母の好みに合うものを探していきましょう。
• 食事介助の工夫：食事介助は、穏やかな言葉かけと、優しい態度で行いましょう。焦らず、ゆっくりと時間をかけて、母に合ったペースで進めましょう。無理強いは逆効果になる可能性があります。食事の時間を、コミュニケーションの場として活用することも有効です。母との会話を楽しみながら、食事を進めていきましょう。
• 専門家への相談：必要に応じて、精神科医や認知症専門医、ケアマネージャーなどに相談し、適切なアドバイスを受けましょう。専門家のサポートを受けることで、より効果的なケアを行うことができます。特に、老人性鬱の症状が強い場合は、抗うつ剤などの薬物療法も検討する必要があります。

3. 無理強いは禁物：食事へのプレッシャーを軽減する

食事介助で無理やり食べさせることは、かえって母のストレスを増大させ、拒食を悪化させる可能性があります。食事は、楽しみであり、リラックスできる時間であるべきです。食事の時間を苦痛に感じさせるような行為は避け、母にとって心地よい食事環境を作ることに集中しましょう。

代わりに、以下のようなアプローチを試みましょう。

• 少量ずつ、こまめに摂取：一度にたくさんの量を食べさせるのではなく、少量ずつ、こまめに食事を提供しましょう。お腹が空いていなくても、少量であれば食べられる可能性があります。
• 好きな飲み物と一緒に：お茶やジュースなど、好きな飲み物と一緒に食事を提供することで、食べやすくなる場合があります。
• 食事以外の栄養補給：エンシュアなどの栄養補助食品を活用し、不足しがちな栄養を補給しましょう。しかし、栄養補助食品だけに頼らず、食事も併用することが重要です。

4. 体重の変化と健康状態のモニタリング

あなたは「体重は減ってはいません」と述べていますが、体重が変化しないからといって、安堵するのではなく、定期的に体重や健康状態をモニタリングすることが大切です。体重が減少し始めたら、すぐに医師に相談しましょう。脱水症状や栄養失調の兆候がないか、注意深く観察することが必要です。

5. 介護者の心のケア：専門家への相談も視野に

長期間にわたる介護は、介護者自身の心身に大きな負担をかけます。食事問題への悩みは、あなた自身の精神的なストレスにもつながっている可能性があります。一人で抱え込まず、以下のような方法で、心のケアを行いましょう。

• 家族や友人への相談：家族や友人、信頼できる人に悩みを打ち明け、話を聞いてもらいましょう。共感や励ましを受けることで、気持ちが楽になることがあります。
• 介護支援サービスの利用：介護支援サービスセンターや地域包括支援センターなどに相談し、適切な介護サービスの利用を検討しましょう。 respite care（一時預かり）などを利用することで、自分の時間を持つことができます。
• 専門家への相談：精神科医やカウンセラーなどに相談し、心のケアを受けましょう。介護疲れやストレスを軽減することで、より良い介護を行うことができます。

まとめ

90歳認知症の母の食事問題は、身体的、心理的両面からのアプローチが不可欠です。無理強いせず、母の状況に合わせた柔軟な対応が求められます。医師や専門家との連携を密にし、食事環境の改善、心のケアを同時に行うことで、少しでも食事への意欲を高め、穏やかな日々を送れるようサポートしていきましょう。 そして、介護するあなた自身も、心身ともに健康を保つことを忘れず、必要に応じて専門家のサポートを活用してください。