家族信託で騙された！錯誤無効は難しい？発達障害の立証で解決策はある？

別れた元妻が私の母親をそそのかし、内緒で家族信託の契約を結んでいました。内容は、母親の死後、全財産を別れた元妻と子供たちに譲るというものです。長男である私、次男、三男には一切知らないところで締結されました。母親は少し頭が弱く、元妻の言いなりになってしまうところがあります。別途、母親の直筆で、「全財産を元妻と孫に譲り、○○家を繁栄させて欲しいという夫（私の亡き父）の遺言を実行している。全て納得して自分の意思で望んだことだ」といった内容の「証明書」まで書かされています。後になって母親にこのことを追求したところ、家族信託の意味も分からず、そのような契約をした認識もなく、そのような書面を書いた記憶もないとのことです。（ただし、筆跡は間違いなく自分のものであると認めています）母親は、今では大変なことをしてしまったとオロオロしています。また、信託契約公正証書には、「委託者（元妻）及び受益者（母親）の合意によって、本信託を終了させることはできない」といった条項まで盛り込んでいる為、こちらからは終了できません。現在、係争中で先日の期日においては、裁判官は錯誤無効の主張を認めるのは難しいとのことでした。世の中には私の母のように騙されて財産をとられてしまう人もいるようですが、このような場合、錯誤無効を主張し、信託契約を解除させる方法はないでしょうか？仮に母親が痴呆だったとしても、契約時点で痴呆であったかどうかを立証することは難しいと思います。知人より、発達障害であることを立証できればいいのではないかとのアドバイスを受けましたが、これは有効な方法でしょうか？また、母親が発達障害であることの証明は、どのような手順をとればいいのでしょうか？恐れ入りますが、ご教示いただければ幸いです。補足現在、弁護士を付けて先日、4回目の期日を迎えたところです。実は、母親には離婚の事実を告げていなかった為、家族信託締結の時点では、母親は長男の嫁との認識でいました。ただし、直筆の「証明書」には「私は二人が離婚しているのを知っています」といった文言まで書かされています。（本人には書いた記憶もなし）信託契約も私の知らないところで締結されたものです。

このご相談は、ご家族の財産と未来に関わる非常に深刻な問題であり、ご心中お察しいたします。ご依頼主様は、ご自身の母親が元妻に騙され、家族信託契約を不当に締結させられたと強くお感じになっていることでしょう。弁護士を立て、既に4回の期日を迎えている状況からも、そのご尽力と強い意志が伝わってきます。

結論から申し上げますと、現状の裁判所の判断から、単純な「錯誤無効」による契約解除は難しい可能性が高いです。しかし、諦める必要はありません。ご知人からのアドバイスにある「発達障害の立証」は、有効なアプローチの一つとなり得ます。ただし、これは容易ではありません。綿密な準備と戦略が必要です。

家族信託契約無効に向けた戦略：複数の法的根拠を検討する

裁判で勝訴するには、単一の根拠ではなく、複数の法的根拠を積み重ねることが重要です。錯誤無効が難しいと判断されたとしても、以下の点を弁護士と協力して検討すべきです。

• 1. 詐欺・強迫による契約無効： 元妻が、母親に事実を隠蔽し、または脅迫的な手段を用いて契約を締結させた可能性を徹底的に調査する必要があります。母親の証言、元妻との関係性、契約締結時の状況などを詳細に調べ、詐欺や強迫があったことを立証できれば、契約は無効と判断される可能性があります。これは、母親の証言だけでなく、当時の状況を裏付ける証拠（メール、証人など）の収集が不可欠です。
• 2. 認知症・意思能力の欠如： 母親が契約時に認知症や意思能力が欠如していた可能性を検討します。専門医による鑑定書を取得し、契約締結時の精神状態を客観的に証明する必要があります。これは、契約締結時点での医療記録や、近親者・知人からの証言なども重要な証拠となります。痴呆状態の有無だけでなく、契約内容を理解する能力があったかどうかも重要なポイントです。
• 3. 発達障害の有無： 知人からのアドバイスにあるように、母親が発達障害である可能性も検討します。発達障害は、意思決定能力に影響を与える可能性があります。専門医による診断書と、その診断に基づいた契約能力の有無について、弁護士と綿密に議論する必要があります。発達障害の診断は、専門医による検査が必要です。過去に受診歴があれば、その記録を提出できます。なければ、新たに検査を受ける必要があります。
• 4. 偽造・変造： 「証明書」に記載されている「離婚を知っていた」という記述は、母親の意思とは無関係に書かれた可能性があります。筆跡鑑定や、書かれた状況の検証を行い、偽造・変造の可能性を検討します。これは、警察への相談も検討すべきかもしれません。

発達障害の立証：具体的な手順

発達障害の立証は、以下の手順で行います。

1. 信頼できる精神科医・心療内科医への受診： 母親の症状を詳しく説明し、適切な検査を受けます。検査には、問診、心理検査、神経心理学検査などが含まれます。
2. 診断書の取得： 検査結果に基づき、医師から発達障害の診断書を発行してもらいます。診断書には、診断名、症状、発症時期、契約能力への影響などが記載されます。
3. 弁護士への提出： 取得した診断書を弁護士に提出します。弁護士は、診断書の内容を法的根拠として、契約無効の主張を強化します。

発達障害の診断は、専門医の判断が不可欠です。診断結果によっては、契約能力に影響があったと主張できる可能性があります。ただし、診断書だけでは十分でない場合もあり、他の証拠と組み合わせることで、より説得力のある主張が可能になります。

専門家への相談の重要性

このケースは、法律の専門知識と経験が不可欠です。弁護士との緊密な連携が、成功への鍵となります。弁護士は、証拠収集、法的な主張、裁判戦略など、あらゆる面でサポートしてくれます。また、必要に応じて、精神科医、筆跡鑑定士などの専門家と連携することも可能です。

ケーススタディ：類似事例からの学び

過去には、高齢者の意思能力が不十分な状態での契約が、裁判で無効とされた事例があります。これらの事例では、契約時の状況、証人の証言、医療記録などが重要な証拠となりました。ご自身のケースも、これらの事例を参考に、弁護士と戦略を練る必要があります。

例えば、ある事例では、高齢者が認知症の初期症状を示していたにも関わらず、契約書の内容を十分に理解していなかったことが、専門家の証言と医療記録によって証明され、契約は無効とされました。この事例のように、専門家の意見を積極的に取り入れることで、裁判での勝訴の可能性を高めることができます。

まとめ

ご家族の財産を守るためには、複数の法的根拠を組み合わせた戦略が必要です。錯誤無効だけでなく、詐欺、強迫、意思能力の欠如、偽造・変造などを検討し、綿密な証拠収集と弁護士との連携が不可欠です。発達障害の立証も有効な手段の一つですが、専門医による診断が必要となります。困難な道のりではありますが、諦めずに、弁護士と協力して最善を尽くしてください。

重要なのは、早急に弁護士と相談し、具体的な行動計画を立てることです。一人で抱え込まず、専門家の力を借りて、解決に向けて進んでいきましょう。