介護老人保健施設で働く看護師必見！介護福祉士の業務範囲と法的根拠を徹底解説

9月より介護老人保健施設で働き始めた看護師の方から、介護福祉士の業務範囲についてのご質問をいただきました。病院での長い勤務経験から、介護福祉士法で認められている業務内容について疑問を感じていらっしゃるようです。検温、浣腸、与薬、点眼など、看護師が当然のように行ってきた業務が、介護施設ではどのように扱われるのか、施設基準を含めて詳しく知りたいとのことです。

9月より介護老人保健施設で働くことになった看護師ですが、介護福祉士の業務範囲としてどこまでが法的にOKなのかわかりません。例えば検温、浣腸、与薬、点眼などなど。長く病院勤めをしており、看護師が当たり前に行っていたことなので、介護福祉士法がどこまでの業をいうのか分かりません。施設基準などを見ても分かりませんでしたのでどなたか教えて貰えないでしょうか？

この記事では、介護老人保健施設で働く看護師の皆様が抱える疑問にお答えし、介護福祉士の業務範囲に関する法的根拠と、具体的な業務内容について詳しく解説します。病院勤務からの転職で戸惑うことの多い、介護施設での看護業務の実際について、一緒に見ていきましょう。

1. 介護福祉士の業務範囲：法的根拠と基本原則

介護福祉士の業務範囲を理解するためには、まず法的根拠と基本原則を押さえることが重要です。介護福祉士の業務は、介護保険法や関連法規に基づいて定められており、その範囲は多岐にわたります。ここでは、主な法的根拠と基本原則について解説します。

1.1. 介護保険法と関連法規

介護福祉士の業務範囲を定める主な法律は、以下の通りです。

• 介護保険法: 介護保険制度の根幹を成す法律であり、介護保険サービスの提供に関する基本的なルールを定めています。
• 保健師助産師看護師法: 看護師の業務範囲を定める法律であり、介護施設における看護師の役割についても規定しています。
• 各省庁の通知・解釈: 厚生労働省などから発信される通知や解釈は、具体的な業務内容や運用に関する指針となります。

これらの法律や通知に基づいて、介護福祉士は利用者の心身の状況に応じた介護サービスを提供します。具体的には、食事、入浴、排泄などの身体介護、生活援助、機能訓練などが含まれます。

1.2. 介護福祉士の資格と業務独占性

介護福祉士は、国家資格であり、その業務には一定の独占性があります。介護福祉士でなければ行えない業務も存在します。具体的には、喀痰吸引や経管栄養などの医療行為の一部は、一定の研修を修了した介護福祉士が行うことができます。

一方、看護師は、医療行為全般を行うことができます。しかし、介護施設においては、看護師と介護福祉士が連携し、それぞれの専門性を活かしてチームとして介護サービスを提供することが求められます。

1.3. チーム医療と多職種連携

介護施設における介護サービスは、多職種連携によって提供されます。医師、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、管理栄養士など、様々な専門職が連携し、利用者の状態に応じた最適なケアを提供します。

看護師は、医療的な知識や技術を活かし、利用者の健康管理や服薬管理、医療処置などを行います。介護福祉士は、日常生活の支援や身体介護を通じて、利用者の生活の質を向上させる役割を担います。チームとして連携し、情報共有を密に行うことが重要です。

2. 介護老人保健施設における看護師の役割と業務内容

介護老人保健施設（老健）における看護師の役割は、利用者の健康管理を中心に、医療的なサポートを提供することです。病院とは異なる環境で、どのような業務を行うのか、具体的に見ていきましょう。

2.1. 健康管理とバイタルチェック

看護師は、利用者の健康状態を把握するために、バイタルサイン（体温、血圧、脈拍、呼吸数）の測定を行います。これらのデータに基づいて、異常の早期発見に努め、必要に応じて医師に報告し、適切な処置を行います。

また、利用者の既往歴や服薬状況を把握し、健康状態の変化に注意を払います。日々の観察を通じて、体調の変化や異変を早期に察知し、適切な対応を行うことが重要です。

2.2. 医療処置と服薬管理

看護師は、医師の指示のもと、点滴、注射、創傷処置などの医療処置を行います。また、利用者の服薬管理も重要な業務の一つです。薬の種類、量、時間などを正確に把握し、適切に服薬を促します。服薬後の副作用の観察も行います。

特に、経管栄養や褥瘡（床ずれ）の処置など、専門的な知識と技術が必要なケアも看護師の重要な役割です。

2.3. 介護福祉士との連携

看護師は、介護福祉士と連携し、利用者のケアを行います。例えば、入浴介助の際に、皮膚の状態を観察したり、食事介助の際に、嚥下状態を確認したりします。情報共有を密に行い、利用者の状態に応じた適切なケアを提供することが重要です。

介護福祉士が、喀痰吸引や経管栄養などの医療行為を行う際には、看護師が指導や監督を行います。それぞれの専門性を活かし、チームとして質の高いケアを提供することが求められます。

3. 介護福祉士の業務範囲：具体的な業務内容と法的解釈

ご質問にあった、検温、浣腸、与薬、点眼などの業務について、介護福祉士の業務範囲と法的解釈を詳しく解説します。

3.1. 検温

検温は、介護福祉士が行うことができる基本的な業務です。体温計を用いて体温を測定し、記録します。異常値が認められた場合は、看護師に報告し、指示を仰ぎます。

3.2. 浣腸

浣腸は、原則として医療行為に該当します。しかし、医師の指示のもと、一定の研修を修了した介護福祉士が行うことができます。介護保険施設においては、介護福祉士が浣腸を行うための手順や基準が定められています。

3.3. 与薬

与薬は、看護師の主な業務ですが、介護福祉士も一部の薬については、医師の指示のもとで行うことができます。具体的には、内服薬の服薬介助や、軟膏の塗布などです。ただし、インスリン注射や点滴などの医療行為は、看護師が行います。

3.4. 点眼

点眼は、介護福祉士が行うことができる業務です。ただし、医師の指示がある場合や、利用者の状態を観察し、異常がないことを確認する必要があります。

これらの業務は、介護保険法や関連法規、厚生労働省の通知に基づいて解釈されます。施設によっては、独自のルールや手順を定めている場合もありますので、事前に確認しておくことが重要です。

4. 病院看護師から介護施設への転職：スムーズな移行のために

病院看護師から介護施設への転職は、業務内容や環境が大きく異なるため、戸惑うことも多いかもしれません。スムーズな移行のために、以下の点に注意しましょう。

4.1. 事前準備と情報収集

転職前に、介護施設に関する情報を収集することが重要です。施設の理念や方針、業務内容、看護師の役割などを理解しておきましょう。可能であれば、施設見学を行い、実際の業務の様子を見学することも有効です。

また、介護保険制度や関連法規に関する知識を深めておくことも重要です。研修やセミナーに参加したり、関連書籍を読んだりして、知識を習得しましょう。

4.2. 研修とOJT（On-the-Job Training）

転職後、施設で行われる研修やOJTに積極的に参加しましょう。施設のルールや手順、業務の流れを理解することができます。先輩看護師や介護福祉士から指導を受け、実践的なスキルを身につけましょう。

特に、介護施設特有の業務や、医療処置に関する知識や技術を習得することが重要です。積極的に質問し、不明な点は解消するように努めましょう。

4.3. コミュニケーションとチームワーク

介護施設では、多職種連携が重要です。看護師だけでなく、介護福祉士、医師、理学療法士など、様々な職種と連携し、情報共有を密に行いましょう。積極的にコミュニケーションを図り、チームワークを築くことが重要です。

困ったことや分からないことがあれば、遠慮なく相談しましょう。先輩看護師や同僚、上司に相談し、問題を解決するように努めましょう。

4.4. メンタルヘルスケア

環境の変化や業務内容の違いから、ストレスを感じることもあるかもしれません。自分の心身の健康に気を配り、ストレスを溜め込まないようにしましょう。休息を取り、趣味やリフレッシュできる時間を持つことも大切です。

必要に応じて、専門家（産業医やカウンセラー）に相談することも検討しましょう。

5. 介護施設で働く看護師のキャリアパスとスキルアップ

介護施設で働く看護師のキャリアパスは、多様です。経験を積むことで、様々なスキルアップの機会があります。ここでは、キャリアパスとスキルアップについて解説します。

5.1. キャリアパスの例

• リーダーシップ: チームリーダーや主任看護師として、チームをまとめ、質の高いケアを提供します。
• 専門資格: 認定看護師や専門看護師の資格を取得し、専門性を高めます。
• 管理職: 施設長や看護部長として、施設の運営に関わります。
• 教育: 教育担当者として、新人看護師や介護福祉士の教育に携わります。

自身の興味や適性に合わせて、キャリアパスを選択することができます。

5.2. スキルアップの方法

• 研修への参加: 介護保険制度、認知症ケア、褥瘡ケアなど、様々な研修に参加し、知識や技術を習得します。
• 資格取得: 認定看護師や専門看護師の資格を取得し、専門性を高めます。
• 学会・研究会への参加: 学会や研究会に参加し、最新の知識や情報を得ます。
• 自己学習: 関連書籍を読んだり、インターネットで情報を収集したりして、自己学習を継続します。

積極的にスキルアップを行い、自己成長を続けることが重要です。

6. まとめ：介護施設で働く看護師として活躍するために

介護施設で働く看護師は、利用者の健康管理や医療的なサポートを通じて、質の高いケアを提供することが求められます。介護福祉士との連携や多職種連携を密に行い、チームとして利用者を支えることが重要です。

法的根拠や業務範囲を理解し、自己研鑽を重ねることで、介護施設で活躍することができます。病院看護師からの転職であっても、スムーズな移行とキャリアアップを目指すことができます。

この記事が、介護老人保健施設で働く看護師の皆様のお役に立てれば幸いです。

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