認知症の義母の介護と抗精神薬：介護現場の現実と、私たちができること

この記事では、認知症の義母の介護に直面し、抗精神薬の処方について悩んでいるあなたへ、具体的なアドバイスと心の支えとなる情報をお届けします。介護現場の現状を理解し、義母の尊厳を守りながら、より良い選択をするためのヒントを提供します。

アルツハイマー認知症で要介護3の義母がいます。デイサービスに通っていましたが、早朝からいなくなったり、夕方を朝と間違えて外に出たり、家族が目を離せなくなり、1か月前から小規模多機能施設に変えました。朝7時から夕方5時半まで毎日、送り迎えしています。

長年、農業をしてきた働き者で体力があり、農作業もやりたがりますが、作業がうまく出来ないため簡易な農作業もさせなくなりました。

施設では、コロナ禍で外出も出来ないからか、体力がありあまるのか、落ち着きがないとは言われていましたが、窓を見ると鍵を開けて出口を探したり、帰りたがるなど手がかかるようです。

先日、初めて一泊泊まりをお願いしました。そのタイミングで抗精神薬を処方してもらえないかと施設から言われました。

夜間にスタッフが1人になり、夜間徘徊が見受けられたようです。昼間も手が足りない事があり、義母が動き回るのがスタッフや周りを大変にさせているようです。

ケアマネが現場からの声が上がり、申し訳ないが薬でコントロールをして欲しいと言われたようです。

義母は認知症が進み会話は噛み合いませんが、暴言や暴れたりはなく、活発ではありますが、抗精神薬で動きを低下しないと見れないのか疑問もあります。

介護の現場が疲弊しているのか、スタッフが足りないのか、抗精神薬を飲ませないと見れないのなら納得するしかないのでしょうか？

食事も1人で食べれるし、おむつもしていません。抗精神薬でこれらが自分で出来なくなる心配があります。参考意見をお願いします。

認知症の義母の介護、本当に大変ですよね。昼夜問わず、常に気を配り、ご家族の心労は計り知れません。今回の相談は、抗精神薬の処方について、介護施設からの提案に戸惑い、義母のQOL（Quality of Life：生活の質）への影響を心配されている状況です。介護現場の現状と、義母への最善のケアを両立させるために、一緒に考えていきましょう。

1. 介護現場の現状と抗精神薬

介護現場の人手不足は深刻化しており、特に夜間の人員配置は厳しい状況です。夜間徘徊や落ち着きのなさが見られる場合、スタッフは対応に苦慮し、結果として抗精神薬の処方が検討されることがあります。これは、スタッフの負担軽減と、入居者の安全確保を目的としていますが、薬の副作用や、本人のQOLへの影響も考慮する必要があります。

抗精神薬は、興奮や不安を抑える効果がありますが、副作用として眠気、ふらつき、食欲不振、便秘などが現れることがあります。また、認知機能の低下を加速させる可能性も否定できません。ただし、抗精神薬の使用は、あくまでも対症療法であり、根本的な解決にはなりません。まずは、義母の行動の原因を特定し、非薬物療法を試みることが重要です。

2. 義母の行動の原因を探る

義母の行動には、様々な原因が考えられます。例えば、

• 環境の変化：新しい施設への慣れない環境、生活リズムの変化。
• 身体的な不快感：便秘、痛み、不眠など。
• 精神的な不安：寂しさ、退屈、過去の記憶からの混乱。
• 認知症の進行：見当識障害、記憶障害による混乱。

これらの原因を特定するために、以下の点を観察し、記録してみましょう。

• 行動のパターン：いつ、どのような状況で、どのような行動が見られるのか。
• 周囲の状況：環境、時間帯、他の入居者の様子など。
• 本人の様子：表情、言葉、訴えなど。

記録を基に、ケアマネージャーや医師、施設のスタッフと連携し、原因を特定するための情報共有を行いましょう。

3. 非薬物療法を試す

抗精神薬に頼る前に、まずは非薬物療法を試してみましょう。非薬物療法は、副作用のリスクがなく、本人のQOLを維持しながら、行動を改善できる可能性があります。

• 環境調整：
  • 落ち着ける空間を作る：パーソナルスペースを確保し、馴染みのある物を配置する。
  • 安全な環境：転倒防止のため、手すりの設置や、段差の解消を行う。
  • 刺激の少ない環境：騒音や強い光を避ける。
• コミュニケーション：
  • 傾聴：本人の話に耳を傾け、共感する。
  • 安心感を与える：穏やかな口調で話しかけ、安心できる雰囲気を作る。
  • 回想法：昔の思い出を語り合い、自己肯定感を高める。
• 活動：
  • 日中の活動：散歩、体操、音楽療法など、適度な運動や活動を取り入れる。
  • 趣味：好きなことや得意なことを行い、達成感を得る。
  • 作業療法：簡単な作業を通して、身体機能や認知機能を維持する。
• その他：
  • 食事：規則正しい食事、水分補給、便秘対策を行う。
  • 睡眠：睡眠環境を整え、安眠を促す。

4. 専門家との連携

介護に関する悩みは、一人で抱え込まず、専門家と連携することが重要です。以下のような専門家にご相談ください。

• 医師：認知症の診断、薬の処方、健康管理について相談。
• ケアマネージャー：介護保険の利用、ケアプランの作成、介護に関する相談。
• 看護師：健康管理、服薬管理、医療的なケアについて相談。
• 理学療法士・作業療法士：リハビリテーション、身体機能の維持・改善について相談。
• 精神科医：精神的な問題、行動の問題について相談。

これらの専門家と連携し、義母の状況に合わせたケアプランを作成し、定期的に見直しを行いましょう。

5. 抗精神薬の使用について

抗精神薬の使用は、慎重に検討する必要があります。医師とよく相談し、以下の点を考慮しましょう。

• 必要性：抗精神薬を使用しなければ、安全な生活が維持できないのか。非薬物療法で改善の余地はないのか。
• 効果と副作用：薬の効果と副作用について、十分に理解する。
• 用量と期間：最小限の用量で、短期間の使用を検討する。
• モニタリング：薬の効果や副作用を定期的に観察し、必要に応じて調整する。

抗精神薬を使用する場合は、本人の状態を詳細に観察し、副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談しましょう。

6. 介護現場とのコミュニケーション

介護施設とのコミュニケーションは、良好な関係を築くことが重要です。以下の点を心がけましょう。

• 情報共有：義母の状況や変化について、積極的に情報共有する。
• 感謝の気持ち：日頃の感謝の気持ちを伝える。
• 協力体制：施設側の意見も聞き入れ、共に最善のケアを目指す。
• 定期的な面会：頻繁に面会し、義母の様子を観察する。
• 疑問点の解消：疑問点や不安なことは、遠慮なく質問する。

介護施設との連携を密にすることで、義母のケアに関する情報交換がスムーズに行われ、より良いケアを提供することができます。

7. 家族としての心のケア

認知症の介護は、心身ともに負担が大きいです。ご自身の心と体を大切にすることも忘れないでください。

• 休息：十分な睡眠を取り、休息する時間を確保する。
• 気分転換：趣味や好きなことに時間を使い、ストレスを解消する。
• 相談：家族や友人、専門家などに相談し、悩みを共有する。
• サポート：介護保険サービスや、地域のサポートを利用する。
• 自分を責めない：完璧を求めず、できる範囲で最善を尽くす。

家族が心身ともに健康でいることが、義母のQOLを支えるために不可欠です。

今回のケースでは、義母の行動の原因を特定し、非薬物療法を試みることが重要です。抗精神薬の使用は、最終的な手段として、医師とよく相談し、慎重に検討しましょう。介護施設との連携を密にし、家族としての心のケアも忘れずに、義母のQOLを最大限に高めるために、共に歩んでいきましょう。

8. まとめ：より良い介護のために

認知症の義母の介護は、多くの課題に直面する可能性があります。しかし、適切な情報とサポートがあれば、より良い介護を実現できます。今回の記事で得た情報をもとに、義母の状況を理解し、専門家と連携しながら、最適なケアプランを作成してください。そして、ご自身の心と体を大切にし、無理のない範囲で介護を続けていきましょう。義母の笑顔のために、私たちができることはたくさんあります。

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