車椅子介護の壁を乗り越える！自宅介護を成功させるための実践ガイド

この記事では、92歳のお母様の介護を自宅で行うことになったご家族が抱える様々な悩みに対し、具体的な解決策と、在宅介護を成功させるためのヒントを、介護の専門家である私が解説します。段差の克服、トイレの問題、食事のケア、入浴の課題など、具体的な問題に対して、どのように対応していくべきか、一つ一つ丁寧に見ていきましょう。

まず、ご相談内容を整理します。

現在92歳で大腿骨骨折し急性期病院での治療を終えリハビリ病院転院中の認知症の母は、これからは車椅子になると医師から通告を受けました。これまで入院前は何とかつかまり立ちが出来る母を、実家で一人で介護する兄は仕事を週3出勤に抑えその日はデイサービスを使ってやりくりしていましたが、終日車椅子になる母のバリアフリーでない自宅での介護のイメージが湧かないと悩み、思案中です。

「ケアマネと相談し在宅医、訪問看護ステーション、ショートステイ、デイサービス、ヘルパーさん、訪問入浴、リクライニングベット、ポータブルトイレ＋オムツなど様々なアイテムを動員し、在宅介護計画を立てる」とのアドバイスもいただき、その方向で進めようとしていますが、車椅子老親さまの介護ご経験者、ヘルパーさん、訪問看護師さん、ケアマネさんなど現場でのご経験ある皆さまのアドバイスをお願いします。

１）段差

時間もお金もないので自宅のバリアフリー化はほぼ諦めていますが、段差は外から敷地内に入る門に二段、玄関外の叩きに一段、玄関内に20cmほどの上がり框あり、たぶんベッドを置くであろうリビングと玄関ホールの間にドアがありドア外枠の1〜2cmの段差もあります。これはどう乗り越えるのでしょうか？本格的な工事でない簡易のスロープとかあるのでしょうか？でもスロープを長く取れる広さがないと急勾配では押して登れないだろうとも思うのですが。

２）トイレ

兄はトイレのイメージ湧かないと言っております。玄関脇にトイレあるものの狭くて到底車椅子入らないのでポータブル使うのでしょうが、何とかつかまり立ちが出来るかどうかの母で、一ヶ月半の入院中さらに今後も筋力衰え寝たきりにもなるであろう場合は、皆さんオムツ使用なのでしょうか？
兄一人では体重軽くなったとはいえ母を都度ポータブルトイレに移動させるのは、足腰にトラブルも抱える彼に負担かかり過ぎると懸念しています。また男子の兄に女性の母の下の世話をやってもらうのは忍びなく、本人同士も（母が認知できている時は特に）気まずいでしょうし、ここは追加でお金かかってもヘルパーさんにお願いするのが妥当と考えますがアドバイスありましたらお願いします。

３）食事

リハ病院では食が細ってしまったようで、現在経鼻チューブで栄養補給していますが、夜間自己抜去してしまうので拘束もされていますし胃ろうも勧められたいます。そこからなるはや解放してあげたく又自宅に戻れば食欲も戻るのではないかと兄と期待も持っていますが高年齢で悩み処で思案中です。

施設では胃ろうでないと受け入れないところが多いと半ば脅され、口腔ケアもほとんどしないので問題という情報も聞いたのが、私たち兄弟が自宅介護に傾いた要因ですが、以下具体的にはいかがでしょうか？

・入院前は自分で食事できて居ましたが退院後は食欲戻ったとしても今後自分で出来なくなる時の食事介助には、かなり時間かかるものでしょうね？またすり潰すなどの準備とかも必要になるのでしょうか。

・ショートステイ、デイサービス利用時は食事介助要でも特に問題なく対応いただけるのでしょうか？

・難しい判断ながら経口摂取との併用での胃ろうも視野に入れて居ますが、その場合は経口摂取だけより食介の手間は相当軽減されるものでしょうか？（まあ食べる量によるのではありましょうが）。兄不在時のヘルパーさんへの負担や所要時間、経費などはいかがでしょうか？

・ショートステイ、デイサービスでは（特に利用回数多い場合など）胃ろうだと歓迎されるのですか？経口摂取との併用でもそうでしょうか？

４）入浴

リハ病院に来ていただき既に要介護度の再審査は受けており結果待ちです。兄が誰だか分からない時もあり家から飛び出し叫ぶなどの問題行動もあって今までの3から4か5に上がる見込みとは聞いています。
その結果によって何回利用できるか変わるのでしょうが、ショートステイ、デイサービス利用時の入浴や訪問入浴の組み合わせになるのかもしれませんが、何かアドバイスありましたらお願い致します。

1. 段差の乗り越え方：安全で現実的な選択肢

ご自宅の段差は、車椅子での移動を妨げる大きな障壁となります。しかし、本格的なバリアフリー工事が難しい場合でも、いくつかの選択肢があります。

• 簡易スロープの活用: 門の二段、玄関外の叩きの一段、玄関内の上がり框など、それぞれの段差に合わせて、簡易スロープを設置することを検討しましょう。スロープの勾配は、車椅子の利用者が安全に通行できる範囲に収まるように、専門業者に相談して適切な長さを確保することが重要です。DIYが得意な方であれば、市販のスロープキットを利用して、ご自身で設置することも可能です。
• ポータブルスロープ: 持ち運び可能なポータブルスロープは、必要な時にだけ設置できるため、場所を取らず、費用も比較的抑えられます。玄関やリビングのドアの段差など、一時的な段差の解消に役立ちます。
• 段差解消機の検討: 玄関の段差が高い場合や、階段がある場合は、段差解消機も選択肢の一つです。費用はかかりますが、安全性が高く、介護者の負担を軽減できます。

段差の解消には、安全性を最優先に考え、ご本人の状態や介護者の負担、予算などを総合的に考慮して、最適な方法を選択することが大切です。

2. トイレの問題：排泄ケアの選択肢と、その課題

車椅子での移動が困難な場合、トイレの問題は介護において大きな課題となります。ここでは、排泄ケアの選択肢と、それぞれの課題について解説します。

• ポータブルトイレの活用: 狭いトイレでも、ポータブルトイレであれば設置が可能です。しかし、移動や介助には、介護者の負担が大きくなります。
• オムツの使用: 寝たきりや、トイレへの移動が困難な場合は、オムツの使用も検討する必要があります。オムツ交換は、清潔を保ち、皮膚トラブルを予防するために、適切な方法で行うことが重要です。
• ヘルパーの活用: 排泄介助は、介護者の負担が大きいため、ヘルパーの利用を検討しましょう。ヘルパーは、専門的な知識と技術を持っており、安心して任せることができます。
• トイレの改修: 可能であれば、トイレの改修も検討しましょう。車椅子で入れるように、トイレのドアを広くしたり、手すりを設置したりすることで、介護者の負担を軽減できます。

排泄ケアは、ご本人の尊厳を守りながら、介護者の負担を軽減することが重要です。状況に合わせて、最適な方法を選択しましょう。

3. 食事のケア：食欲不振と栄養補給への対応

高齢者の食欲不振は、栄養不足につながり、体力低下や病気の悪化を招く可能性があります。ここでは、食事のケアについて、具体的なアドバイスを提供します。

• 食事介助: 食事介助が必要な場合は、ご本人の状態に合わせて、食べやすいように工夫しましょう。食事の形態を刻み食やペースト食にする、とろみをつけるなど、工夫次第で、ご本人が食べやすくなります。
• 口腔ケア: 口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。食後だけでなく、こまめな口腔ケアを行い、口内を清潔に保ちましょう。
• 胃ろう: 胃ろうは、栄養補給の手段の一つです。メリットとデメリットを理解した上で、ご本人やご家族とよく話し合い、決定しましょう。
• ショートステイ、デイサービスの活用: ショートステイやデイサービスでは、食事介助や口腔ケア、胃ろうの管理など、専門的なケアを受けることができます。

食事のケアは、ご本人の健康状態を維持するために、非常に重要です。状況に合わせて、適切なケアを行いましょう。

4. 入浴のケア：安全で快適な入浴方法

入浴は、清潔を保つだけでなく、心身のリフレッシュにもつながります。ここでは、入浴のケアについて、具体的なアドバイスを提供します。

• 訪問入浴サービスの活用: 訪問入浴サービスは、自宅で入浴できるため、移動の負担がありません。専門スタッフが、安全に入浴をサポートします。
• デイサービスの活用: デイサービスでは、入浴サービスを提供しているところが多くあります。送迎付きなので、移動の負担も軽減できます。
• 自宅での入浴: 自宅で入浴する場合は、転倒防止のため、手すりの設置や滑り止めマットの使用など、安全対策を徹底しましょう。

入浴は、ご本人の状態に合わせて、安全で快適に行うことが重要です。訪問入浴サービスやデイサービスの活用も検討しましょう。

5. 介護保険サービスの活用：利用できるサービスと手続き

介護保険サービスを適切に利用することで、介護者の負担を軽減し、ご本人の生活の質を向上させることができます。ここでは、利用できるサービスと手続きについて解説します。

• ケアマネージャーとの相談: ケアマネージャーは、介護に関する専門家です。ご本人の状態や希望に合わせて、介護サービス計画を作成し、必要なサービスを調整してくれます。
• 訪問介護（ヘルパー）: 訪問介護は、自宅での生活をサポートするサービスです。食事、入浴、排泄、掃除など、様々なサービスを提供してくれます。
• デイサービス: デイサービスは、日帰りで利用できるサービスです。食事、入浴、レクリエーションなど、様々なサービスを提供しています。
• ショートステイ: ショートステイは、短期間の入所サービスです。介護者のレスパイトケアや、緊急時の対応に役立ちます。
• 福祉用具のレンタル: 車椅子、介護ベッド、ポータブルトイレなど、様々な福祉用具をレンタルできます。

介護保険サービスは、介護者の負担を軽減し、ご本人の生活の質を向上させるために、非常に重要な役割を果たします。ケアマネージャーと相談し、必要なサービスを積極的に利用しましょう。

6. 認知症ケアのポイント：寄り添い、理解し、支える

認知症の症状は、人によって異なり、日によっても変化します。ここでは、認知症ケアのポイントについて解説します。

• 本人の気持ちに寄り添う: 認知症の方は、不安や混乱を感じやすいため、優しく接し、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。
• 言葉遣いを工夫する: 難しい言葉を使わず、分かりやすい言葉で話しかけましょう。話すスピードもゆっくりと、落ち着いて話しましょう。
• 環境を整える: 落ち着いて過ごせるように、安全で快適な環境を整えましょう。
• 専門家のサポートを受ける: 認知症ケアは、専門的な知識と経験が必要です。専門医や、認知症介護に関する研修を受けた介護士など、専門家のサポートを受けましょう。

認知症ケアは、ご本人を理解し、寄り添い、支えることが大切です。専門家のサポートを受けながら、無理なく介護を続けていきましょう。

7. 介護者の負担軽減：レスパイトケアと心のケア

介護は、心身ともに負担が大きいため、介護者の負担軽減は非常に重要です。ここでは、レスパイトケアと心のケアについて解説します。

• レスパイトケアの活用: ショートステイや、デイサービスなどを利用して、介護者が休息できる時間を作りましょう。
• 相談できる相手を持つ: 家族や友人、ケアマネージャーなど、相談できる相手を持つことで、精神的な負担を軽減できます。
• 自分の時間を確保する: 趣味や、リフレッシュできる時間を作り、心身のバランスを保ちましょう。
• 専門家のサポートを受ける: 介護に関する悩みや不安は、一人で抱え込まず、専門家（医師、カウンセラーなど）に相談しましょう。

介護者の負担軽減は、介護を長く続けるために不可欠です。レスパイトケアや、心のケアを積極的に行い、心身ともに健康な状態を保ちましょう。

今回のケースでは、92歳のお母様の自宅介護について、様々な課題と、それに対する具体的な解決策を提示しました。段差の解消、トイレの問題、食事のケア、入浴の課題、介護保険サービスの活用、認知症ケアのポイント、介護者の負担軽減など、多岐にわたるテーマについて解説しました。これらの情報を参考に、ご家族にとって最適な介護方法を見つけ、安心して介護生活を送れることを願っています。

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