寝たきりの妻を在宅介護するために必要な費用とは？ 制度を徹底解説

ご相談ありがとうございます。奥様を自宅で介護したいというお気持ち、本当に素晴らしいですね。費用に関する不安は大きいと思いますが、適切な情報と準備があれば、必ず乗り越えられます。この記事では、寝たきりの奥様を在宅介護するにあたって、具体的にどのような費用が発生するのか、利用できる制度と合わせて詳しく解説していきます。あなたの状況に合わせて、最適な選択ができるよう、一緒に考えていきましょう。

私の妻ですが、病院の障害者病棟に入院中です。この妻を自宅に戻して看護、介護したいと思っております。その際、自分は仕事をしている為、平日の日中は8時から18時まで、土曜日も午前などヘルパーさんをお願いしたいです。

私の妻の情報です

• 障害者手帳をもっており1級です
• そのため障害年金をもらっております
• 難病のもやもや病です
• もやもや病が原因で脳出血を起こし寝たきりです
• そのため全介助です
• 現在は介護保険ではなく医療保険での治療をしています

この場合、自宅での介助のための費用はどれくらいかかるのでしょうか？

現在は病院におむつや食事で5万円ほど支払いしております。

様々な制度にお詳しい方、費用感がなかなか掴めず、お力を宜しくお願い致します。

在宅介護にかかる費用の全体像

在宅介護にかかる費用は、非常に多岐にわたります。大きく分けて、介護サービス利用料、介護用品費、医療費、住環境整備費などに分類できます。それぞれの費用について、詳しく見ていきましょう。

1. 介護サービス利用料

在宅介護の中心となるのが、訪問介護（ヘルパー）や訪問看護などの介護サービスです。これらのサービスを利用する際には、利用料が発生します。費用は、介護保険の適用状況や、利用するサービスの種類、時間によって異なります。

• 訪問介護（ヘルパー）：食事、入浴、排泄などの介助や、掃除、洗濯などの生活援助を行います。介護保険を利用した場合、自己負担割合（1割〜3割）に応じて費用が決まります。
  • 身体介護：30分あたり約300〜500円（自己負担額）
  • 生活援助：30分あたり約200〜400円（自己負担額）
• 訪問看護：看護師が自宅に訪問し、健康管理や医療処置を行います。こちらも介護保険または医療保険が適用され、自己負担額が発生します。
  • 30分あたり約400〜700円（自己負担額）
• その他：
  • 訪問入浴
  • デイサービス
  • ショートステイ

  これらのサービスも、介護保険を利用できます。

2. 介護用品費

介護を行う上で、様々な介護用品が必要になります。これらの費用も、大きな負担となる可能性があります。

• おむつ：寝たきりの方の場合、必須のアイテムです。1ヶ月あたり1〜3万円程度かかることもあります。
• 清拭剤、保湿剤：皮膚の清潔を保つために必要です。
• 体位変換クッション：床ずれを予防するために使用します。
• その他：
  • 食事用エプロン
  • 口腔ケア用品

  これらの費用は、全額自己負担となります。

3. 医療費

寝たきりの方は、定期的な通院や、場合によっては訪問診療が必要になります。医療費も、在宅介護における重要な費用の一つです。

• 通院費：診察料、検査料、薬代など。
• 訪問診療費：医師が自宅に訪問して診療を行います。
• 薬代：定期的に服用する薬がある場合、継続的に費用が発生します。
• その他：
  • 医療用消耗品（ガーゼ、消毒液など）

  医療保険が適用されますが、自己負担が発生します。

4. 住環境整備費

自宅を介護しやすい環境に整えるための費用も発生します。バリアフリー化や、介護用ベッドの設置などが必要になる場合があります。

• 住宅改修費：手すりの設置、段差の解消など。介護保険の住宅改修制度を利用できます。
  • 上限20万円まで、自己負担1〜3割
• 介護用ベッド、車椅子などの購入・レンタル費用：
  • レンタル：月額数千円〜
  • 購入：数万円〜
• その他：
  • スロープの設置
  • 浴室の改修

  これらの費用は、自己負担となる場合が多いです。

利用できる制度と費用の軽減策

在宅介護にかかる費用を軽減するために、様々な制度が用意されています。これらの制度を積極的に活用することで、経済的な負担を減らすことができます。

1. 介護保険

65歳以上の方（または特定疾病が原因で40歳以上の方）は、介護保険を利用できます。要介護認定を受け、介護度に応じて様々な介護サービスを利用できます。介護保険を利用することで、自己負担額を1〜3割に抑えることができます。

• 要介護認定：市区町村の窓口で申請し、調査・審査を経て介護度が決定されます。
• サービス利用：ケアマネージャーが作成するケアプランに基づいて、必要なサービスを利用します。
• 自己負担：原則1割ですが、所得に応じて2割または3割負担となる場合があります。

2. 障害者総合支援法

障害者手帳をお持ちの方は、障害者総合支援法に基づくサービスを利用できます。介護保険と併用することも可能です。障害者総合支援法では、様々なサービスが提供されており、自己負担額は所得に応じて決定されます。

• サービスの種類：
  • 居宅介護（ホームヘルプ）
  • 重度訪問介護
  • 日中一時支援
• 自己負担：原則1割ですが、所得に応じて上限額が設定されています。

3. 医療保険

医療保険も、在宅介護において重要な役割を果たします。訪問看護や、医療処置が必要な場合に、医療保険が適用されます。高額療養費制度を利用することで、医療費の自己負担額を軽減することができます。

• 高額療養費制度：1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。
• 特定疾病：もやもや病などの特定疾病の場合、自己負担限度額がさらに軽減される場合があります。

4. その他の制度

上記の制度以外にも、様々な制度が利用できます。これらの制度を組み合わせることで、費用負担をさらに軽減できます。

• 障害者手当：障害の程度に応じて、手当が支給されます。
• 介護保険の特定疾病：もやもや病は、介護保険の特定疾病に該当します。
• 医療費控除：医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、所得税の控除が受けられます。

具体的な費用シミュレーションと対策

奥様の状況に合わせて、具体的な費用シミュレーションを行い、対策を立てることが重要です。以下に、いくつかのケーススタディと、それぞれの対策を提示します。

ケース1：訪問介護と訪問看護を利用する場合

平日の日中（8時から18時）にヘルパーを、週に数回訪問看護を利用する場合の費用をシミュレーションします。

• 訪問介護：1日あたり5時間、週5日利用。
  • 自己負担額：約1,500円/日（身体介護と生活援助の組み合わせ）
  • 月額：約30,000円
• 訪問看護：週2回、1回あたり1時間利用。
  • 自己負担額：約700円/回
  • 月額：約5,600円
• 介護用品費：おむつ代など、月額20,000円
• 医療費：通院費、薬代など、月額10,000円
• 合計：約65,600円

対策：

• 介護保険を最大限に活用し、自己負担額を抑える。
• 障害者総合支援法も利用し、必要なサービスを組み合わせる。
• 高額療養費制度を利用し、医療費の自己負担を軽減する。
• 介護用品は、価格を比較検討し、安価なものを選ぶ。

ケース2：住宅改修を行う場合

奥様の介護のために、住宅改修を行う場合の費用と対策を考えます。

• 手すりの設置：約5万円
• 段差の解消：約10万円
• 介護用ベッドの購入：約15万円
• 合計：約30万円

対策：

• 介護保険の住宅改修制度を利用し、自己負担額を抑える（上限20万円）。
• 残りの費用は、補助金制度などを活用できないか検討する。
• 介護用ベッドは、レンタルも検討する。

費用に関するよくある疑問と回答

在宅介護の費用に関して、多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式で解説します。

Q1：介護保険の利用料は、所得によって変わると聞きましたが、具体的にどのように変わるのですか？

A1：介護保険の利用料は、所得に応じて1割〜3割の自己負担となります。所得が高いほど、自己負担割合も高くなります。また、一定以上の所得がある場合は、介護保険料も高くなります。

Q2：障害者手帳を持っていると、介護保険と障害者総合支援法の両方を利用できるのですか？

A2：はい、両方利用できます。介護保険と障害者総合支援法は、それぞれの制度で利用できるサービスが異なるため、組み合わせて利用することで、よりきめ細やかな支援を受けることができます。

Q3：介護費用は、医療費控除の対象になりますか？

A3：はい、介護保険サービス利用料や、医療費控除の対象となる医療費（訪問看護など）は、医療費控除の対象となります。確定申告の際に、領収書を保管しておきましょう。

Q4：介護用品は、どこで購入するのがお得ですか？

A4：介護用品は、ドラッグストア、インターネット通販、介護用品専門店などで購入できます。価格を比較検討し、定期的に購入するものは、まとめ買いなども検討すると良いでしょう。自治体によっては、介護用品の購入を補助する制度もあります。

Q5：介護保険の申請は、どのようにすれば良いですか？

A5：お住まいの市区町村の窓口で申請できます。申請には、介護保険被保険者証が必要です。申請後、調査員による訪問調査が行われ、その後、介護度が決定されます。

在宅介護を成功させるためのポイント

在宅介護を成功させるためには、費用だけでなく、様々な準備が必要です。以下に、重要なポイントをまとめました。

• 情報収集：介護保険制度、障害者総合支援法、その他の制度について、積極的に情報を収集しましょう。
• ケアマネージャーとの連携：ケアマネージャーは、介護に関する専門家です。ケアプランの作成や、サービス利用の調整など、様々なサポートをしてくれます。
• 家族の協力：家族で協力し、介護の負担を分担しましょう。
• 休息：介護者は、心身ともに疲労しやすいものです。適度に休息を取り、心身の健康を保ちましょう。
• 専門家への相談：介護に関する悩みや不安は、一人で抱え込まず、専門家（医師、看護師、ケアマネージャーなど）に相談しましょう。

奥様を自宅で介護することは、大変なことですが、同時に、かけがえのない時間でもあります。制度を理解し、適切なサポートを受けることで、より良い介護生活を送ることができます。頑張ってください。

まとめ

この記事では、寝たきりの奥様を在宅介護するにあたって、発生する費用、利用できる制度、そして具体的な対策について解説しました。在宅介護は、費用だけでなく、時間的、精神的な負担も大きいものです。しかし、適切な情報収集と準備、そして周囲のサポートがあれば、必ず乗り越えられます。この記事が、あなたの在宅介護の一助となれば幸いです。頑張ってください。

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