OT（作業療法士）の転職：特養でのやりがいを見つけるための比較検討とキャリアパス

この記事では、新設の特別養護老人ホーム（特養）で働くOT（作業療法士）の方々が直面する悩み、特に「やりがい」を見失いかけている状況に焦点を当て、その打開策を探ります。具体的には、特養におけるOTの役割、機能訓練の意義、そしてキャリアパスについて、様々な角度から比較検討を行い、具体的なアドバイスを提供します。この記事を読むことで、あなたは現在の状況を客観的に見つめ直し、今後のキャリアをどのように進むべきか、具体的なヒントを得ることができるでしょう。

私はこの春から新設の特養に勤務しているOTです。勤務経験は回復期リハビリテーション病院、一般病院（整形外科外来や維持期の方、亡くなられる方もいました）、デイサービスです。勤務するデイサービスを運営していた法人が特養を新設し、私が配属する形になりました。1人勤務でベッド数は60で、今はあと数個空きがあります。

どこもそうですが介護の人手不足に加え新設で落ち着いてはいません。

私は機能訓練加算を取るために書類業務をしながら日々入所の方に個別リハビリ（起立訓練やROMexなど）を行なっています。

最初は残存能力を活かしたいというリハの考えも強く介護さんの過介助が気になっていました。でも最近は色々考えていく中で、残存能力を活かす必要がそもそもあるのか、老いていくのは誰しもあることでましてや施設に入所されている方なら尚更…家族もいろいろな事情があるんでしょうが、施設に預けておきながら長生きしてほしいと思うのか、廃用予防は何のためなのかと思うようになりました。運動をやる気がある人はいいのですがない人がほとんどで、動きたくない人を動かす必要性があるのかとか。家で暮らす方なら本人の為ではなくとも家族の介護負担軽減の為に能力維持する必要もあるかもしれませんが特養だしな、と思ったり。

私はOTなのでOTらしいことをしたらいいとわかってはいますが、施設では機能訓練指導員という名前で周りからはリハビリの先生というふうに見られています。機能訓練計画書もどちらかと言うとPT寄りです。ある程度計画書に沿ってリハビリをしなければという概念もあるから柔軟なことがしにくいのかなとも思います。

60人床を1人で見るのは特養ではむしろ少ない方かもしれません。今は60人近い方のことを考えるのがすごく負担で、考えれば考えるほどリハビリって何なんだろうとか、なんで私は他人の人生の終末にこんなに悩まないといけないんだろうと考えすぎることにも疲れます。

今、これまで経験したことがないほどまったくやり甲斐を見出せずにいます。

なにか、助言やアドバイス、慰めでも結構ですのでコメントいただけると幸いです。

1. 特養OTの現状と課題：なぜ「やりがい」を見失うのか？

特養で働くOTの多くが直面する課題は、多岐にわたります。今回の相談者様のケースを例に、その背景にある要因を詳しく見ていきましょう。

1.1 役割の曖昧さ：OTとしての専門性の発揮

特養におけるOTの役割は、病院や回復期リハビリテーション施設とは異なり、明確になりにくい傾向があります。機能訓練指導員という名称で、PT（理学療法士）と混同されることも少なくありません。OTとしての専門性である、生活に根ざしたリハビリテーションや、その人らしい生活の実現に向けた支援が、十分に発揮できない場合があります。相談者様が「OTらしいことをしたい」と感じているのは、この役割の曖昧さに対するジレンマからきていると考えられます。

1.2 業務過多と人員不足：多忙な日々

特養の人員不足は深刻であり、相談者様のように1人で60人もの入所者を担当することは、業務過多につながります。書類業務、個別リハビリ、計画作成など、多くの業務を抱え、一つ一つの業務にじっくりと向き合う時間が不足しがちです。また、新設の施設では、システムや人員配置が整っていないことも多く、負担が増大する要因となります。

1.3 価値観の揺らぎ：リハビリテーションの意義

入所者の終末期を意識する中で、リハビリテーションの意義について悩み、価値観が揺らぐことは、決して珍しいことではありません。残存能力の維持や廃用予防が、本当に必要なのか、あるいは、入所者のQOL（Quality of Life：生活の質）をどのように向上させるべきか、葛藤するOTは少なくありません。相談者様の「リハビリって何なんだろう」という問いは、OTとしての根幹を揺るがす、深い悩みと言えるでしょう。

2. 特養OTのキャリアパス：多様な選択肢と可能性

特養で「やりがい」を見つけるためには、現状の課題を乗り越え、自身のキャリアパスを戦略的に考える必要があります。ここでは、OTのキャリアパスとして考えられる選択肢を比較検討し、それぞれのメリットとデメリットを整理します。

2.1 継続勤務：現状維持という選択

メリット：

• 慣れた環境で、人間関係が構築されている。
• 施設の運営方針や入所者の状況を深く理解できる。
• 経験を積むことで、業務効率が向上する可能性がある。

デメリット：

• 現状の課題が解決されない場合、やりがいを見出すことが難しい。
• 業務過多や人員不足が改善されない可能性がある。
• キャリアアップの機会が少ない場合がある。

2.2 転職：新たな環境への挑戦

メリット：

• OTとしての専門性を活かせる職場を探せる。
• 給与アップやキャリアアップの可能性がある。
• 新しい知識やスキルを習得できる。
• 人間関係や労働環境を改善できる可能性がある。

デメリット：

• 転職活動に時間と労力がかかる。
• 新しい環境に慣れるまで時間がかかる。
• 希望通りの職場が見つからない可能性がある。

2.3 スキルアップ：専門性の深化

メリット：

• 専門性を高めることで、業務の質が向上する。
• キャリアアップや給与アップにつながる可能性がある。
• OTとしての自信とやりがいを得られる。

デメリット：

• 時間と費用がかかる。
• すぐに効果が現れない場合がある。

2.4 副業・兼業：働き方の多様化

メリット：

• 収入を増やせる。
• 新しいスキルや経験を積める。
• 本業だけでは得られないやりがいを見つけられる。

デメリット：

• 時間的・体力的な負担が増える。
• 本業に支障をきたす可能性がある。

3. 特養OTが「やりがい」を見つけるための具体的なアクションプラン

キャリアパスの選択肢を検討した上で、具体的なアクションプランを立てることが重要です。ここでは、現状を変えるための具体的なステップを紹介します。

3.1 現状分析：課題の明確化

まずは、現状を客観的に分析し、課題を明確にしましょう。具体的には、以下の点を整理します。

• 業務内容： どのような業務に時間を使っているか、記録する。
• 業務量： 業務量が多く、負担になっている業務は何かを特定する。
• 人間関係： 職場の人間関係は良好か、コミュニケーションは円滑か。
• 評価： 自分の仕事は正当に評価されているか。
• 目標： 今後のキャリア目標を明確にする。

3.2 情報収集：選択肢の検討

次に、キャリアパスの選択肢を検討するために、情報収集を行います。具体的には、以下の方法で情報を集めましょう。

• 転職サイト・エージェント： 転職市場の動向や求人情報を確認する。
• セミナー・研修： スキルアップのための情報を得る。
• 先輩OT・同僚： 経験談やアドバイスを聞く。
• 資格取得： 専門性を高めるための資格情報を収集する。

3.3 行動計画：具体的なステップ

情報収集の結果を踏まえ、具体的な行動計画を立てます。例えば、転職を希望する場合は、以下のようなステップで進めます。

1. 自己分析： 自分の強みや弱み、キャリア目標を明確にする。
2. 求人検索： 希望する条件に合った求人を探す。
3. 応募書類作成： 履歴書や職務経歴書を作成する。
4. 面接対策： 面接の練習をする。
5. 内定： 内定を得たら、条件などを確認し、入職準備をする。

3.4 周囲への相談：悩みを共有する

一人で悩まず、周囲に相談することも大切です。家族、友人、同僚、先輩OT、キャリアコンサルタントなど、信頼できる人に相談し、アドバイスを求めましょう。相談することで、客観的な意見を聞くことができ、新たな視点を得られる可能性があります。

4. 特養OTの仕事のやりがいを見出すためのヒント

特養OTの仕事には、他の職場では得られない、特別なやりがいがあります。ここでは、そのやりがいを見出すためのヒントを紹介します。

4.1 入所者のQOL向上：生活の質を高める

特養OTの最大のやりがいは、入所者のQOLを向上させることです。身体機能の維持・改善だけでなく、食事、入浴、排泄、趣味活動など、生活のあらゆる側面を支援し、その人らしい生活を支えることができます。入所者の笑顔や感謝の言葉は、大きな励みになります。

4.2 多職種連携：チーム医療

特養では、医師、看護師、介護士、管理栄養士など、多職種が連携して入所者を支援します。チームの一員として、それぞれの専門性を活かし、協力して入所者のケアに取り組むことは、大きな達成感につながります。他職種との連携を通じて、新たな知識やスキルを習得することもできます。

4.3 終末期ケア：人生の最期を支える

特養では、終末期ケアに携わる機会も多くあります。入所者の人生に寄り添い、最期までその人らしく生きられるように支援することは、OTとしての重要な役割です。死と向き合うことは、辛いことでもありますが、同時に、生きることの尊さを改めて認識し、OTとしての成長につながる経験でもあります。

4.4 柔軟な発想：新しい取り組み

特養では、従来の枠にとらわれず、新しい取り組みに挑戦することができます。例えば、レクリエーションやイベントを企画したり、地域との交流を促進したりすることで、OTとしての活動の幅を広げることができます。自分のアイデアを形にし、入所者や地域に貢献することは、大きなやりがいにつながります。

5. 成功事例：やりがいを見つけたOTたちの声

実際に特養で働き、やりがいを見出したOTたちの事例を紹介します。彼らの経験談は、あなたのキャリアを考える上でのヒントになるでしょう。

5.1 事例1：OT Aさんの場合

Aさんは、回復期リハビリテーション病院で経験を積んだ後、特養に転職しました。最初は、病院との違いに戸惑い、やりがいを見出せずにいました。しかし、入所者の個別性に合わせたリハビリテーションプログラムを提案し、積極的にレクリエーションやイベントを企画するようになりました。その結果、入所者の笑顔が増え、AさんはOTとしてのやりがいを再認識することができました。Aさんは、「入所者の生活を豊かにするために、自分ができることを追求することが大切」だと語っています。

5.2 事例2：OT Bさんの場合

Bさんは、新設の特養で、1人OTとして勤務していました。業務過多で、悩む日々が続きましたが、多職種との連携を積極的に行い、情報共有を密にすることで、チームワークを築き、業務効率を改善しました。また、外部研修に参加し、専門性を高めることで、OTとしての自信を深めました。Bさんは、「自分の専門性を活かし、チームで入所者を支えることに、大きなやりがいを感じている」と話しています。

5.3 事例3：OT Cさんの場合

Cさんは、特養での終末期ケアに携わる中で、リハビリテーションの意義について深く考えるようになりました。入所者の人生に寄り添い、最期までその人らしく生きられるように支援することに、OTとしての使命感を感じています。Cさんは、「死と向き合うことは、辛いことでもありますが、同時に、生きることの尊さを改めて認識し、OTとしての成長につながる経験」だと語っています。

6. まとめ：特養OTとして「やりがい」を見つけるために

特養で働くOTが「やりがい」を見つけるためには、現状を客観的に分析し、キャリアパスを戦略的に考えることが重要です。今回の相談者様のように、現状に悩み、やりがいを見失いかけているOTの方も、諦めることなく、様々な選択肢を検討し、積極的に行動することで、必ず道は開けます。まずは、自分の強みや興味関心を見つめ直し、具体的な目標を設定することから始めてみましょう。そして、周囲のサポートを受けながら、一歩ずつ前進していくことが大切です。

特養OTの仕事は、大変なことも多いですが、その分、得られるやりがいも大きい仕事です。入所者のQOL向上、多職種連携、終末期ケア、そして新しい取り組みへの挑戦など、様々な可能性が広がっています。この記事が、あなたのキャリアを考える上でのヒントとなり、特養OTとしての「やりがい」を見つけるための一助となれば幸いです。

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