確定申告で損しない!医療費控除と株の売却益、還付金はどうなる?
確定申告で損しない!医療費控除と株の売却益、還付金はどうなる?
確定申告は、会社員の方にとっては少し面倒な手続きかもしれません。しかし、医療費控除や特定のケースでは、税金の還付を受けられる可能性があります。今回の記事では、医療費控除と株式売却益がある場合の確定申告について、具体的な手続き方法や注意点、そして税金還付の可能性について詳しく解説します。
今回の相談内容は以下の通りです。
寝たきりの両親のため今年の医療費が100万円を超え、確定申告で医療費控除を行い所得税の還付を受ける予定です。昨年7年前に購入した株を売り、売却益が出て特定口座・源泉徴収ありで20%の所得税が天引きされました。
・この20%も還付の対象になるのでしょうか?
・なるとしたら申告の際の用紙はA・Bどちらを使うのでしょうか?
以上2点の質問です。よろしくお願いします。
この質問は、医療費控除と株式売却益という、確定申告において比較的複雑な要素が絡み合っているケースです。この記事では、これらの要素を整理し、確定申告の手続きをスムーズに進めるための具体的な方法を解説します。確定申告の基本から、還付金を受け取るための具体的なステップ、そして注意点まで、わかりやすく説明していきます。
1. 医療費控除とは?基本を理解する
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超える場合に、所得税の計算において控除を受けられる制度です。この制度を利用することで、所得税の還付を受けたり、翌年の住民税が軽減されたりする可能性があります。まずは、医療費控除の基本的な仕組みと、対象となる医療費について理解を深めましょう。
1-1. 医療費控除の対象となる医療費
医療費控除の対象となる医療費は、以下の通りです。
- 医師による診療費や治療費: 病院での診察料、治療費、手術費用などが含まれます。
- 治療のための医薬品購入費: 薬局で購入した医薬品(風邪薬など一部対象外の医薬品あり)の費用も対象です。
- 入院費: 入院中の食事代や差額ベッド代なども含まれます。
- 通院費用: 交通機関を利用した場合の交通費(電車、バスなど)や、自家用車を利用した場合のガソリン代も対象となる場合があります。
- 歯科治療費: 虫歯治療や歯列矯正などの費用も対象です。
- 出産費用: 出産に関する費用(分娩費用、入院費用など)も対象です。
これらの医療費は、原則として、自己負担額が対象となります。ただし、保険金や出産育児一時金などで補填された金額は、医療費から差し引く必要があります。
1-2. 医療費控除の計算方法
医療費控除の金額は、以下の計算式で求められます。
医療費控除額 = (1年間に支払った医療費の合計額 – 保険金などで補填される金額) – 10万円
ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく、総所得金額等の5%が控除額の計算の基準となります。
例えば、1年間の医療費が120万円で、保険金などで補填される金額が20万円の場合、医療費控除額は以下のようになります。
(120万円 – 20万円) – 10万円 = 90万円
この90万円が、所得税の計算において控除される金額となります。
2. 株式売却益と税金について
株式を売却して利益が出た場合、その利益には税金がかかります。この税金は、原則として、所得税と復興特別所得税の合計20.315%です。しかし、株式の売却方法や、利用している口座の種類によって、税金の計算方法や手続きが異なります。ここでは、株式売却益にかかる税金の仕組みと、特定口座・源泉徴収ありの場合の手続きについて解説します。
2-1. 株式売却益にかかる税金の仕組み
株式売却益は、譲渡所得として扱われ、所得税の対象となります。譲渡所得には、短期譲渡所得と長期譲渡所得があり、それぞれ税率が異なります。しかし、上場株式等の場合は、短期・長期に関わらず、一律20.315%(所得税15.315%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税率が適用されます。
株式の売却益にかかる税金は、原則として、確定申告によって納付することになります。しかし、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、証券会社が自動的に税金を徴収してくれるため、確定申告が不要となるケースもあります。
2-2. 特定口座(源泉徴収あり)の場合の手続き
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、証券会社が株式の売買損益を計算し、税金を自動的に徴収してくれます。このため、原則として、確定申告は不要です。
ただし、以下の場合は、確定申告が必要となることがあります。
- 複数の証券会社で取引を行っている場合: 複数の証券会社で取引を行い、それぞれの口座で損益が発生している場合は、確定申告によって損益を通算することができます。
- 他の所得と損益通算したい場合: 株式売却益と、他の所得(例えば、不動産所得など)を損益通算したい場合は、確定申告が必要です。
- 医療費控除など、他の所得控除を受けたい場合: 医療費控除など、他の所得控除を受ける場合は、確定申告を行う必要があります。
今回の相談者のように、医療費控除を受けるために確定申告をする場合は、株式売却益についても申告する必要があります。
3. 医療費控除と株式売却益がある場合の確定申告
医療費控除と株式売却益がある場合、確定申告の手続きは少し複雑になります。ここでは、確定申告の具体的な手順と、必要な書類、そして注意点について解説します。
3-1. 確定申告の手順
確定申告の手順は、以下の通りです。
- 必要書類の準備: 医療費控除に関する書類(医療費の領収書、保険金などの補填金額がわかる書類など)と、株式売却に関する書類(特定口座年間取引報告書など)を準備します。
- 確定申告書の作成: 確定申告書を作成します。e-Taxを利用する場合は、国税庁の確定申告書作成コーナーで作成できます。郵送や税務署への持参も可能です。
- 所得金額の計算: 各所得金額を計算します。医療費控除額は、医療費の合計額から、保険金などで補填される金額と10万円を差し引いて計算します。株式売却益は、特定口座年間取引報告書に記載されている金額を確認します。
- 所得控除の適用: 医療費控除など、適用できる所得控除を計算し、確定申告書に記載します。
- 税額の計算: 所得税額を計算します。
- 申告書の提出: 作成した確定申告書を、税務署に提出します。e-Taxを利用する場合は、オンラインで提出できます。
- 税金の納付または還付: 税金を納付する場合、納付期限までに納付します。還付金が発生する場合は、指定の口座に還付金が振り込まれます。
3-2. 必要な書類
確定申告に必要な主な書類は、以下の通りです。
- 確定申告書: 税務署で入手するか、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
- 医療費控除に関する書類: 医療費の領収書、保険金などの補填金額がわかる書類など。医療費の明細書を作成すると、領収書の整理が楽になります。
- 特定口座年間取引報告書: 証券会社から送付されます。株式の売買損益や源泉徴収税額が記載されています。
- マイナンバーカード: 確定申告の際に、マイナンバーを記載する必要があります。
- 本人確認書類: 運転免許証や健康保険証など。
- 還付金を受け取るための口座情報: 銀行名、支店名、口座番号など。
3-3. 確定申告書の書き方(A・Bどちらを使うか?)
確定申告書には、A様式とB様式があります。どちらの様式を使用するかは、所得の種類によって異なります。
- 確定申告書A: 給与所得や年金所得など、所得の種類が少ない場合に利用します。
- 確定申告書B: 株式売却益や不動産所得など、所得の種類が多い場合や、事業所得がある場合に利用します。
今回の相談者の場合、株式売却益と医療費控除の両方があるため、確定申告書Bを使用することになります。
確定申告書Bの書き方について、主な項目を説明します。
- 第一表: 氏名、住所、マイナンバーなどの基本情報を記載します。所得金額や所得控除額、税額などを計算し、記載します。
- 第二表: 所得の内訳や、所得控除の内訳を記載します。医療費控除については、医療費の明細書に基づいて、医療費の種類や金額を記載します。
- 株式売却益に関する記載: 特定口座年間取引報告書に記載されている売却益や源泉徴収税額を、確定申告書の該当欄に記載します。
3-4. 注意点
確定申告を行う際の注意点は、以下の通りです。
- 期限内に申告する: 確定申告の期限は、原則として、翌年の3月15日です。期限を過ぎると、加算税や延滞税が発生する可能性があります。
- 書類を正確に作成する: 記載内容に誤りがあると、税務署から修正を求められたり、還付金が減額されたりする可能性があります。
- 領収書や書類を保管する: 確定申告で使用した領収書や書類は、一定期間保管する必要があります。
- 税理士に相談する: 確定申告に不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。
4. 還付金を受け取るために
確定申告によって、所得税の還付金を受け取れる場合があります。ここでは、還付金を受け取るための具体的な方法と、還付金の計算方法について解説します。
4-1. 還付金が発生するケース
医療費控除や、源泉徴収された税金が多すぎる場合など、以下のケースでは還付金が発生する可能性があります。
- 医療費控除: 医療費控除を適用することで、所得税が減額され、還付金が発生する可能性があります。
- 源泉徴収税額が多すぎる場合: 給与から源泉徴収された所得税額が、本来納めるべき所得税額よりも多い場合、還付金が発生します。
- 住宅ローン控除: 住宅ローン控除を適用することで、所得税が減額され、還付金が発生します。
4-2. 還付金の計算方法
還付金の計算方法は、以下の通りです。
還付金 = (所得税額 – 調整後の所得税額) + 復興特別所得税
例えば、医療費控除を適用した結果、所得税額が10万円減額された場合、還付金は10万円となります。また、株式売却益から源泉徴収された所得税が、本来納めるべき所得税額よりも多い場合、その差額が還付されます。
4-3. 還付金の受け取り方
還付金は、確定申告書に記載した口座に振り込まれます。e-Taxを利用して確定申告を行った場合は、通常、申告から1~2ヶ月程度で還付金が振り込まれます。郵送で確定申告を行った場合は、もう少し時間がかかる場合があります。
確定申告書を提出する際には、還付金を受け取るための口座情報を正確に記載するようにしましょう。
5. 具体的な事例とシミュレーション
具体的な事例を用いて、医療費控除と株式売却益がある場合の確定申告と、還付金の計算方法をシミュレーションしてみましょう。
5-1. 事例の概要
相談者の状況を基に、以下の事例を想定します。
- 年間の医療費: 120万円
- 保険金などで補填される金額: 20万円
- 株式売却益: 100万円
- 特定口座(源泉徴収あり)での源泉徴収税額: 20.315万円
- 給与所得: 500万円
- 基礎控除: 48万円
- 社会保険料控除: 60万円
- 配偶者控除: 38万円
5-2. 医療費控除額の計算
医療費控除額は、以下の計算式で求めます。
医療費控除額 = (120万円 – 20万円) – 10万円 = 90万円
5-3. 課税所得の計算
課税所得は、以下の計算式で求めます。
課税所得 = (給与所得 – 基礎控除 – 社会保険料控除 – 配偶者控除 – 医療費控除)
課税所得 = (500万円 – 48万円 – 60万円 – 38万円 – 90万円) = 264万円
5-4. 所得税額の計算
所得税額は、課税所得に応じて計算されます。264万円の場合、所得税率は10%です。
所得税額 = 264万円 × 10% – 9.75万円 = 16.65万円
5-5. 還付金の計算
この事例では、株式売却益から20.315万円の所得税が源泉徴収されています。医療費控除を適用した結果、所得税額が減額されるため、還付金が発生します。
還付金 = 源泉徴収税額 – (本来の所得税額 – 医療費控除による減額分)
還付金 = 20.315万円 – 16.65万円 = 3.665万円
この事例では、3.665万円の還付金を受け取ることができます。
6. よくある質問と回答
確定申告に関するよくある質問とその回答をまとめました。
Q1: 医療費控除の対象となる医療費の範囲は?
A1: 医師による診療費、治療費、医薬品購入費、入院費、通院費用、歯科治療費、出産費用などが対象です。ただし、美容整形や健康増進のための費用は対象外です。
Q2: 医療費控除の領収書は、いつまで保管すればいいですか?
A2: 確定申告で使用した領収書は、確定申告の提出期限から5年間保管する必要があります。
Q3: 株式売却益にかかる税率は?
A3: 上場株式等の場合、一律20.315%(所得税15.315%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。
Q4: 特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、確定申告は必ず必要ですか?
A4: 原則として、確定申告は不要です。ただし、複数の証券会社で取引を行っている場合や、他の所得と損益通算したい場合、医療費控除など他の所得控除を受けたい場合は、確定申告が必要です。
Q5: 確定申告の期限はいつですか?
A5: 確定申告の期限は、原則として、翌年の3月15日です。
7. まとめ:確定申告をスムーズに進めるために
この記事では、医療費控除と株式売却益がある場合の確定申告について、詳しく解説しました。確定申告は複雑な手続きですが、正しい知識と準備があれば、スムーズに進めることができます。医療費控除の対象となる医療費を把握し、必要な書類を準備しましょう。株式売却益がある場合は、特定口座(源泉徴収あり)の仕組みを理解し、確定申告が必要なケースを確認しましょう。
確定申告に不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。また、e-Taxを利用することで、自宅から簡単に確定申告を行うことができます。確定申告の期限に遅れないように、早めに準備を始めましょう。
今回の相談者の方も、この記事で得た知識を活かして、確定申告をスムーズに進め、還付金を受け取ってください。
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