後見人になるってどんなこと？親族後見人の責任と負担、知っておくべきこと

この記事では、親族後見人制度についてのご相談にお答えします。親族後見人として選任された場合の具体的な業務内容や、抱える負担について、メリットとデメリットを比較しながら解説します。ご自身の状況を客観的に理解し、後見人になるかどうかを判断するための情報を提供します。

私の母の兄、つまり伯父（８５歳）から自分の妻の後見人になってもらえないかと相談されています。伯父の妻は脳出血が原因でほとんど意思疎通出来ない寝たきりの状態で胃ろうをしながら介護施設に入所しており、彼女名義の不動産や現金が少なからずあります。伯父は介護施設の費用を妻名義の不動産を処分して支払いたく、そのためには後見人をたてる必要があるのに、高齢のため自分は後見人になれないとのことです。伯父に子供はおらず、伯父の妻にも身寄りはありません。伯父が亡くなった後の妻の生活のためにも後見人は早急にたてる必要がありそうです。弁護士に依頼したらどうかとすすめましたが他人は信用できず、身内にやってもらいたいとのことで確かに親戚関係見回しても似たような高齢者ばかりで、私以上に親しくしている適任者はいないかもしれません。私は既婚者で仕事もしており、後見人になることは相当な負担になるのではないかと危惧しております。実際後見人に選任された場合どのようなことになるのでしょうか。私は伯父の相続人という立場ではないし、伯父も遺言を書く気も無いようなので骨折り損のくたびれ儲けになりそうな気がします。

ご相談ありがとうございます。ご親族の介護問題は、非常にデリケートで、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな負担となるものです。特に、後見人制度は専門的な知識が必要となるため、不安を感じる方も少なくありません。今回のケースでは、伯父様から後見人としての役割を依頼され、ご自身の負担や責任について懸念されているとのこと。ここでは、後見人制度の基本的な知識から、親族後見人としての具体的な業務内容、そして、後見人になることのメリットとデメリットを詳細に解説します。ご自身の状況を整理し、最適な選択をするためにお役立てください。

1. 後見人制度とは？基本を理解する

後見人制度は、判断能力が低下した方の権利を守るための重要な制度です。具体的には、認知症や知的障害などにより、ご自身の財産管理や身上保護に関する判断が困難になった方を支援します。後見人には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。

• 法定後見制度: 本人の判断能力の程度に応じて、後見人、保佐人、補助人の3つの類型に分かれます。家庭裁判所が選任し、本人の財産管理や身上保護を行います。
• 任意後見制度: 本人が元気なうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ任意後見人を選任しておく制度です。任意後見契約を締結し、本人の判断能力が低下した際に、契約に基づき後見人が支援を行います。

今回のケースでは、伯父様の妻が判断能力を失っているため、法定後見制度を利用することになります。後見人は、家庭裁判所によって選任され、本人の財産管理や身上保護を行います。

2. 親族後見人になるということ：業務内容と責任

親族が後見人になる場合、専門家である弁護士や司法書士に比べて、より親身なサポートができるというメリットがあります。しかし、その分、担う責任も大きくなります。後見人の主な業務は以下の通りです。

• 財産管理: 本人の財産を適切に管理し、不必要な出費を抑えること。具体的には、預貯金の管理、不動産の管理、税金の支払いなどを行います。
• 身上監護: 本人の生活、療養看護に関する事務を行います。具体的には、介護サービスの利用契約、医療機関との連携、生活環境の整備などを行います。
• 家庭裁判所への報告: 財産管理の状況や、本人の生活状況について、定期的に家庭裁判所へ報告を行います。

これらの業務は、専門的な知識や時間、労力を必要とします。特に、財産管理においては、不正利用や不適切な管理が発覚した場合、損害賠償責任を負う可能性があります。また、身上監護においては、本人の意思を尊重し、適切なサポートを提供することが求められます。

3. 親族後見人のメリットとデメリット：比較検討

親族が後見人になることには、メリットとデメリットがあります。ご自身の状況と照らし合わせながら、慎重に検討することが重要です。

メリット

• 親身なサポート: 家族として、本人の気持ちを理解し、きめ細やかなサポートを提供できます。
• 費用の抑制: 専門家を後見人に選任する場合に比べて、費用を抑えることができます。
• 本人の安心感: 知っている人が後見人になることで、本人は安心して生活できます。

デメリット

• 時間的負担: 財産管理や身上監護に多くの時間を費やす必要があります。
• 精神的負担: 本人の病状や介護状況によっては、精神的な負担が大きくなる可能性があります。
• 法的責任: 財産管理において、不正利用や不適切な管理があった場合、法的責任を負う可能性があります。
• 専門知識の不足: 専門知識がない場合、適切な判断ができない可能性があります。
• 人間関係への影響: 親族間の意見対立や、相続問題が発生した場合、人間関係が悪化する可能性があります。

4. 後見人になる前に知っておくべきこと：具体的な準備と対策

後見人になることを決めた場合、事前に準備しておくべきことや、対策を講じておくべきことがあります。以下に具体的なポイントをまとめました。

• 専門家への相談: 弁護士や司法書士などの専門家に相談し、後見人としての業務内容や、注意点についてアドバイスを受けることが重要です。
• 財産状況の把握: 本人の財産状況を正確に把握し、財産目録を作成します。
• 情報収集: 介護保険サービスや、利用できる制度について、情報を収集します。
• 関係者との連携: 介護施設や医療機関など、関係者との連携を密にし、情報共有を行います。
• 記録の作成: 財産管理や身上監護に関する記録を、詳細に残しておきます。
• 後見人保険の加入: 万が一の事態に備えて、後見人保険への加入を検討します。
• 親族間の合意形成: 後見人としての役割を、他の親族と共有し、協力体制を築きます。

これらの準備をすることで、後見人としての業務をスムーズに進めることができ、リスクを軽減することができます。

5. 後見人制度に関するよくある疑問と答え

後見人制度に関して、よくある疑問とその答えをまとめました。

Q1: 後見人は報酬をもらえるのですか？

A: はい、後見人は、家庭裁判所の許可を得て、本人（被後見人）の財産から報酬を受け取ることができます。報酬額は、本人の財産状況や、後見人の業務内容によって異なります。

Q2: 後見人は辞任できますか？

A: はい、後見人は、家庭裁判所の許可を得て、辞任することができます。ただし、辞任する際には、後任の後見人を選任する必要があります。

Q3: 後見人が不正行為をした場合、どうなりますか？

A: 後見人が、本人の財産を不正に利用したり、不適切な管理を行った場合、解任される可能性があります。また、損害賠償責任を負うこともあります。

Q4: 後見人が亡くなった場合、どうなりますか？

A: 後見人が亡くなった場合、後任の後見人が選任されます。家庭裁判所が、本人の親族や、弁護士などの専門家の中から、適切な後見人を選任します。

Q5: 後見人は相続人になれますか？

A: 後見人が、本人の相続人になることは可能です。ただし、後見人としての立場を利用して、不当な利益を得ることは許されません。

6. 専門家への相談も検討しましょう

親族後見人になることは、大きな決断です。ご自身の状況や、抱えている不安を整理し、最適な選択をするためには、専門家への相談も検討しましょう。弁護士や司法書士は、後見人制度に関する専門知識を持っており、あなたの状況に合わせたアドバイスをしてくれます。また、後見人としての業務をサポートしてくれる、専門家もいます。

専門家への相談を検討する際には、以下の点に注意しましょう。

• 相談料: 相談料は、専門家によって異なります。事前に確認しておきましょう。
• 得意分野: 専門家によって、得意分野が異なります。後見人制度に詳しい専門家を選びましょう。
• 相性: 相談しやすい、信頼できる専門家を選びましょう。

専門家との連携は、後見人としての業務を円滑に進めるために、非常に重要です。積極的に活用しましょう。

7. まとめ：後見人になるかどうかの判断

親族後見人になるかどうかは、ご自身の状況を総合的に判断し、慎重に決める必要があります。後見人になることのメリットとデメリットを比較検討し、専門家への相談も活用しながら、最適な選択をしてください。もし、後見人になることを決めた場合は、事前の準備をしっかり行い、関係者との連携を密にすることで、負担を軽減し、被後見人の権利を守ることができます。

今回のケースでは、伯父様からの依頼を受け、後見人になるかどうか迷われているとのこと。ご自身の時間的、精神的な負担や、法的責任について不安を感じているのは当然のことです。まずは、専門家である弁護士や司法書士に相談し、後見人としての業務内容や、注意点についてアドバイスを受けることをお勧めします。その上で、ご自身の状況を整理し、後見人になるかどうかを判断してください。もし、後見人になることを決めた場合は、親族間で協力し、負担を分担することも検討しましょう。

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