高齢の母の転落事故と介護施設での対応：認知症と骨折後の適切なケアについて

母が老人ホームに入りました。大腿骨を骨折して以来全く歩けず車椅子です。認知症もあり、自分では歩けると思いベッド（個室の）から転落を繰り返しています。理由は、ちょっと廊下をみようと思ったとか、トイレに（カテーテルなので必要はない）行きたかったとか。おでこは青あざ、たんこぶでとても痛かっただろうと可哀想でしかたありません。施設のスタッフは、見回りを強化しているといいますが、誰もいなくなったときに動くんです。介助がないと車椅子移乗できないですから、いっそのことベッドに入れたら柵をつけてと、頼んだらそれは虐待になるからできないと言われました。自らの意志で転落するのは仕方ないのでしょうか？施設にお願いできる対策はありますか？あまりの頻度で転落の連絡がくるので、文句をいったら翌日から日中は車椅子でスタッフの目の届くところに置かれているようです。でも、本人曰く車椅子に長時間はとても身体がキツいとのこと。どうしたら良いでしょうか？よろしくお願いします。

高齢の母の介護、特に認知症を伴う骨折後のケアは、ご家族にとって大きな負担と心配事となるでしょう。今回のご相談では、お母様のベッドからの転落事故と、それに伴う介護施設への対応について、具体的な解決策を探ることが重要です。この記事では、高齢者の転落事故防止、認知症ケア、介護施設との適切なコミュニケーションという3つの側面から、具体的なアドバイスと、専門家の視点に基づいた解決策をご提案します。 お母様の状況を改善し、安心して過ごせる環境を作るために、一緒に考えていきましょう。

1. 高齢者の転落事故防止：多角的なアプローチ

お母様の転落事故は、認知症による判断力の低下と、身体的な制約（骨折後の歩行困難）が複雑に絡み合っていると考えられます。そのため、単一の対策ではなく、多角的なアプローチが必要です。

• ベッドサイドの環境整備：ベッドの高さを調整し、転落時の衝撃を軽減するマットレスを使用するなど、物理的な対策は不可欠です。また、ベッドサイドテーブルに呼び出しボタンを設置し、緊急時にすぐにスタッフを呼べるようにすることも重要です。 さらに、ベッドの近くに、お母様にとって魅力的なもの（写真、思い出の品など）を置くことで、ベッドから離れようとする行動を抑制する効果が期待できます。
• センサーの活用：ベッドから離れたことを検知するセンサーを設置することで、転落を未然に防ぐことができます。 また、徘徊センサーと連動したシステムを導入することで、スタッフが迅速に対応できる体制を整えることも有効です。 これらのセンサーは、お母様のプライバシーにも配慮した設置方法を選ぶことが重要です。
• スタッフとの連携強化：施設のスタッフと密に連携し、お母様の行動パターンや、転落しやすい時間帯などを共有しましょう。 定期的な面談を行い、具体的な対策について話し合うことが重要です。 また、お母様の状態の変化を細かく記録し、施設側に提供することで、より適切な対応に繋げることができます。 記録には、転落日時、状況、お母様の言葉、その後の様子などを詳細に記しましょう。
• 車椅子の適切な利用：日中は車椅子を使用するとのことですが、長時間座っていると身体が辛いとのことなので、定期的な体位変換や、車椅子のクッションの工夫など、快適性を高める工夫が必要です。 また、車椅子での移動ルートを事前に確認し、安全な経路を確保することも重要です。 必要に応じて、介助者が付き添う時間を増やすことも検討しましょう。

2. 認知症ケア：理解と共感に基づいた対応

認知症は、記憶や判断力の低下だけでなく、不安や混乱を伴う病気です。お母様の行動は、単なる「いたずら」ではなく、認知症による症状の一つとして理解することが重要です。 「ちょっと廊下をみようと思った」「トイレに行きたかった」という発言は、お母様なりの意思表示です。その背景にあるニーズを理解し、適切に対応することが求められます。

• コミュニケーションの工夫：お母様と積極的にコミュニケーションを取り、安心感を与えましょう。 穏やかな言葉かけ、優しい表情、そして、ゆっくりとした動作を心がけましょう。 お母様の気持ちに寄り添う姿勢が、転落事故の予防に繋がります。
• 環境の工夫：視覚的な刺激を減らし、落ち着ける環境を作ることも重要です。 例えば、部屋の照明を暗めにしたり、騒音源を減らしたりすることで、お母様の不安や混乱を軽減することができます。
• アクティビティの提供：お母様の興味や関心に合わせたアクティビティを提供することで、認知機能の維持・向上を図り、転落事故のリスクを低減することができます。 例えば、歌を歌ったり、絵を描いたり、簡単な作業をしたりするなど、お母様に合ったアクティビティを選びましょう。

3. 介護施設との適切なコミュニケーション：連携と協調

介護施設との良好な関係を築くことは、お母様の安全と安心を確保するために不可欠です。 施設のスタッフと定期的に連絡を取り合い、お母様の状態や、必要なケアについて話し合うことが重要です。

• 具体的な要望の明確化：「柵をつけるのは虐待になる」という施設側の発言は、安全性を確保しつつ、お母様の尊厳を保つための配慮からきている可能性があります。 しかし、お母様の転落事故を防ぐために、具体的な対策を提案し、施設側と合意形成を図る必要があります。 例えば、転落防止マットレスの使用、センサーの導入、スタッフの見回り頻度の増加など、具体的な対策を提案し、施設側と話し合うことが重要です。 その際、お母様の状態や、これまでの転落事故の状況などを具体的に説明しましょう。
• 記録の保持：お母様の状態や、転落事故に関する記録をきちんと残しておくことは、施設とのコミュニケーションを円滑に進める上で非常に重要です。 記録には、転落日時、状況、お母様の言葉、その後の様子などを詳細に記しましょう。 記録を施設側に提示することで、より適切な対応に繋げることができます。
• 専門家への相談：どうしても解決できない場合は、介護支援専門員（ケアマネージャー）や、医師、弁護士などに相談することをお勧めします。 専門家のアドバイスを受けることで、より適切な対応策を見つけることができるでしょう。

まとめ

高齢者の転落事故防止は、多角的なアプローチと、施設との継続的なコミュニケーションが不可欠です。 お母様の状態を正確に把握し、適切な対策を講じることで、安全で安心できる生活環境を実現することができます。 この記事で紹介した対策に加え、ご自身の状況や、お母様の個性に合わせた柔軟な対応が求められます。 困難な状況ではありますが、諦めずに、様々な方法を試行錯誤しながら、お母様にとって最善の解決策を見つけていきましょう。

それでも解決策が見つからない、あるいは、より専門的なアドバイスが必要な場合は、専門家への相談を検討しましょう。 介護支援専門員（ケアマネージャー）や、医師、弁護士などに相談することで、より適切な対応策を見つけることができるでしょう。