親の介護と認知症、そして特別養護老人ホームの契約者変更：法定後見人制度を活用する方法

契約者から外れる方法　ご助言どうぞお願いいたします。私の父が、自分の弟（私にとっての叔父）が入所している特別養護老人ホームの契約者になっています。最近になって、父が大病をし、同時に認知症も発症したため、療養型の病院へ長期入院することになりました。父にはもう契約者として、叔父の入所に関する手続き（金銭的なことや、通院する際の許可、もしものときの延命についての判断など）はできません。そのため、契約者から外れさせたいのですが、施設が「代わりの方がいないと」と言ってさせてくれません。代わりとなるなら、伯母なのですが、全く耳を貸してもらえず代わってもらえません。状況は、叔父（入所者本人）→独身、子なし　父→前述のとおり　伯母（父の姉）→契約者にはなりたくない。話し合いにも参加しない。　施設→「こちらからは何もできない」　です。この場合、法定後見人を立てて契約者になってもらうには、どこにどのように話をもっていけばいいでしょうか。

この記事では、ご自身の父親が認知症を発症し、特別養護老人ホーム（特養）の契約者変更に困っている、というご相談にお答えします。 高齢者の介護、特に認知症を伴う場合の契約者変更は、複雑な手続きと法的知識が必要となる難しい問題です。 本記事では、法定後見人制度の活用方法を中心に、具体的なステップと、専門家への相談方法について解説します。 ご自身の状況を踏まえ、最善の解決策を見つけるためのヒントを提供します。

１．現状の整理と課題の明確化

まず、現状を整理してみましょう。ご質問からは、以下の課題が浮かび上がります。

• 父親の認知症による契約者としての機能不全： 父親が認知症を発症したため、特養の契約者としての役割を果たせなくなっている。
• 施設側の対応： 施設側は、契約者変更には代替者が必要だと主張し、変更を拒否している。
• 伯母の協力拒否： 自然な代替者である伯母が、契約者になることを拒否している。
• 法的知識の不足： 契約者変更の手続きや、法定後見人制度について、十分な知識がない。

これらの課題を解決するために、法定後見人制度の活用が有効な手段となります。

２．法定後見人制度とは？

法定後見人制度とは、認知症などによって判断能力が不十分になった人のために、法律で定められた後見人が財産管理や身上監護を行う制度です。 後見人には、成年後見人、保佐人、補助人の3種類があり、判断能力の程度に応じて適切な種類が選定されます。

今回のケースでは、父親の判断能力が著しく低下していると考えられるため、成年後見人の選任が最も適しているでしょう。成年後見人は、父親に代わって、叔父の特養入所に関するあらゆる手続きを行うことができます。

３．法定後見人の選任手続き

成年後見人の選任手続きは、家庭裁判所で行われます。 手続きの流れは以下のとおりです。

1. 家庭裁判所への申立て： 父親の住所を管轄する家庭裁判所に、成年後見人選任の申立てを行います。申立てには、父親の診断書、戸籍謄本、印鑑証明書などの書類が必要です。
2. 調査： 家庭裁判所は、申立ての内容を調査します。必要に応じて、父親や関係者への聞き取り調査が行われる場合があります。
3. 成年後見人の選任： 家庭裁判所は、調査結果に基づいて、成年後見人を選任します。成年後見人は、ご本人、親族、弁護士、司法書士などの中から選ばれます。
4. 審判確定： 家庭裁判所の審判が確定すると、成年後見人が正式に選任されます。

４．成年後見人の選任候補者

成年後見人の候補者は、以下の通りです。

• ご本人（父親）： 判断能力が十分であれば、ご本人が自ら選任を希望する人物を指定できます。
• 親族： 兄弟姉妹、子供など、親族が成年後見人になることができます。しかし、伯母さんが拒否しているため、今回は難しいでしょう。
• 弁護士・司法書士： 専門家である弁護士や司法書士に依頼することもできます。専門的な知識と経験があり、手続きをスムーズに進めることができます。
• 成年後見人等監督協会： 公益法人である成年後見人等監督協会に相談し、適切な成年後見人を紹介してもらうことも可能です。

５．施設への対応

成年後見人が選任されれば、その成年後見人が父親に代わって、特養との契約手続きを行うことができます。 成年後見人の選任決定の書類を施設に提示することで、契約者変更がスムーズに進められるはずです。

６．具体的な行動計画

1. 弁護士・司法書士への相談： まずは、弁護士または司法書士に相談し、手続きの流れや必要な書類についてアドバイスを受けることをお勧めします。専門家のサポートを受けることで、手続きをスムーズに進めることができます。
2. 医師の診断書の取得： 父親の主治医に、成年後見人選任のための診断書の作成を依頼します。診断書には、父親の認知症の程度や判断能力について詳細に記載されている必要があります。
3. 必要な書類の準備： 戸籍謄本、印鑑証明書、父親の身分証明書など、家庭裁判所への申立てに必要な書類を準備します。
4. 家庭裁判所への申立て： 準備が整ったら、家庭裁判所に成年後見人選任の申立てを行います。
5. 施設への連絡： 成年後見人が選任された後、施設にその旨を連絡し、契約者変更の手続きを進めます。

７．費用について

法定後見人制度には、費用がかかります。 具体的には、家庭裁判所への手数料、弁護士や司法書士への報酬などがあります。 費用については、弁護士や司法書士に相談して、事前に確認しておきましょう。

８．まとめ

父親の認知症による特養の契約者変更は、法定後見人制度を活用することで解決できます。 手続きは複雑ですが、弁護士や司法書士などの専門家のサポートを受けることで、スムーズに進めることができます。 一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。

複雑な手続きに不安を感じている方もいるかもしれません。 そのような方は、ぜひ専門家の力を借りましょう。 専門家であれば、あなたの状況を丁寧に聞き取り、最適な解決策を提案してくれます。