「ボケたおばあちゃん」との向き合い方：介護申請中の家族が抱える不安と、穏やかなコミュニケーション術

この記事では、認知症の進行したおばあ様とのコミュニケーションに苦慮し、介護申請中という状況下で、ご家族が抱える不安を和らげ、より良い関係性を築くための具体的な方法を提案します。介護の専門家としての視点から、穏やかな対話術、安全な環境作り、そしてご自身の心のケアに至るまで、実践的なアドバイスを提供します。

痴呆の進んだ老人に出来るだけ早く言うこと聞かせる方法はありませんか？ 夏休みなので実家に帰ってます。今 支援か介護の申請中で婆がボケ過ぎて不安です。

適当な返事だけでちんぷんかんぷんな行動を数時間にわたりとり続けるが事が、一日に数回あります。夜中であろうがお構いなしです (例･トイレに行きたいと言って床に座り込んだままや逆方向に行こうとする等など諸々：返事は～やってる、出来てる等)。

ボケる前から、元から他人の話を聞かず適当に返事していれば良いと思ってるところや 自分の意見のみが常に正しいと思っているところが強く性格の悪いところが全面に出ている感じです。

このままでは母がもちません…置いていくのも不安です…

なんとかならないものでしょうか…

ヘルパーさんは申請の結果が決まるまで来ないそうです…

痴呆の進んだ老人に出来るだけ早く言うこと聞かせる方法はありませんか？

はじめに：現状への理解と、あなた自身の心のケア

ご家族が認知症の高齢者と向き合うことは、計り知れないほどの精神的負担を伴います。特に、介護保険の申請中であり、専門的なサポートがすぐに受けられない状況下では、その負担はさらに増大します。まず、この困難な状況にあるあなたを心から理解し、共感を示したいと思います。

認知症の進行は、ご本人だけでなく、ご家族の生活にも大きな変化をもたらします。今まで当たり前にできていたコミュニケーションが困難になり、理解し合えないもどかしさ、介護に対する不安、そして将来への絶望感など、様々な感情が入り混じることでしょう。しかし、どうかご自身を責めないでください。あなたは一人ではありません。そして、あなたが抱える悩みは、決して特別なものではありません。

この状況を乗り越えるためには、まず現状を正しく理解し、受け入れることが重要です。認知症は、脳の機能が徐々に低下していく病気であり、その症状は人によって異なります。記憶障害、判断力の低下、感情の不安定さ、そして行動の変化など、様々な形で現れます。そして、認知症の進行に伴い、ご本人の性格や行動も変化することがあります。これは、ご本人の意思ではなく、病気の影響であることを理解することが大切です。

同時に、あなた自身の心のケアも不可欠です。一人で抱え込まず、周囲の人々に頼ったり、専門家のサポートを受けたりすることも検討しましょう。休息を取り、自分の時間を確保することも重要です。心身ともに健康な状態で、介護に向き合うことが、ご本人にとっても、あなたにとっても、より良い結果をもたらします。

ステップ1：認知症の理解を深める

認知症の症状や進行度合いは、人によって異なります。まずは、ご自身のおばあ様の症状を客観的に把握し、認知症に対する理解を深めることが重要です。

• 認知症の種類を理解する: 認知症には、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症など、様々な種類があります。それぞれの種類によって、症状や進行の仕方が異なります。おばあ様の診断結果や、これまでの経過を参考に、どのような種類の認知症であるかを把握しましょう。
• 症状を記録する: おばあ様の具体的な症状を記録することで、症状のパターンや変化を把握することができます。いつ、どのような状況で、どのような症状が現れるのかを記録することで、対応策を立てる上で役立ちます。
• 専門家から情報を得る: 医師や、認知症に関する専門家（ケアマネージャー、精神科医など）から、認知症に関する情報を得るようにしましょう。専門家は、症状の進行度合いや、適切な対応方法について、具体的なアドバイスをしてくれます。

ステップ2：コミュニケーションのコツを学ぶ

認知症の方とのコミュニケーションは、健常者とのコミュニケーションとは異なるアプローチが必要です。以下の点に注意して、穏やかなコミュニケーションを心がけましょう。

• 短く、分かりやすい言葉で話す: 長い文章や複雑な言葉は避け、短く、分かりやすい言葉で話しかけましょう。一度に多くの情報を伝えようとせず、一つずつ丁寧に伝えることが大切です。
• ゆっくりと、落ち着いた口調で話す: 早口で話したり、大きな声で話したりすると、相手は不安を感じることがあります。ゆっくりと、落ち着いた口調で話すことで、安心感を与えましょう。
• 相手の目を見て話す: 相手の目を見て話すことで、コミュニケーションが円滑になります。目線を合わせることで、相手に安心感を与え、話を聞いてもらいやすくなります。
• 肯定的な言葉を使う: 否定的な言葉や命令口調は避け、肯定的な言葉を使いましょう。「～しないで」ではなく、「～しましょう」のように、前向きな表現を心がけましょう。
• 具体的に指示する: 抽象的な表現ではなく、具体的な指示をしましょう。「お風呂に入りましょう」ではなく、「10分後にお風呂に入りましょう」のように、具体的な時間や手順を伝えることが大切です。
• 相手のペースに合わせる: 焦らず、相手のペースに合わせて話しましょう。相手が理解するまで、辛抱強く説明することが大切です。
• 過去の記憶を呼び起こす: 昔の出来事や、思い出話をするのも効果的です。懐かしい写真を見せたり、音楽を聴かせたりすることで、記憶を呼び起こし、コミュニケーションを深めることができます。
• 非言語的コミュニケーションも活用する: 言葉だけでなく、表情やジェスチャー、ボディタッチなど、非言語的なコミュニケーションも活用しましょう。笑顔で接したり、優しく手を握ったりすることで、安心感を与えることができます。

ステップ3：安全な環境を整える

認知症の方にとって、安全な環境を整えることは非常に重要です。転倒や事故を防ぎ、安心して生活できる環境を整えましょう。

• 住環境の整備:
  • 床の段差をなくし、つまずきやすいものを片付けましょう。
  • 手すりを設置し、移動をサポートしましょう。
  • 照明を明るくし、夜間の転倒を防ぎましょう。
  • 温度調節しやすいように、エアコンやストーブの管理をしましょう。
• 危険なものの排除:
  • 刃物や薬品など、危険なものを手の届かない場所にしまいましょう。
  • ガスコンロやストーブなど、火を使う器具の安全対策を行いましょう。
  • 誤って口に入れてしまう可能性のある小さなものを片付けましょう。
• 徘徊対策:
  • 外出時は、必ず付き添いましょう。
  • GPS機能付きの端末を持たせることも検討しましょう。
  • 家の出入り口に、センサーやアラームを設置することも有効です。

ステップ4：問題行動への対応

認知症の進行に伴い、様々な問題行動が現れることがあります。問題行動の原因を理解し、適切な対応をすることで、ご本人とご家族の負担を軽減することができます。

• 原因の特定: 問題行動の原因を特定することが重要です。体調不良、環境の変化、不安感、不快感など、様々な原因が考えられます。記録や観察を通して、原因を探りましょう。
• 具体的な対応:
  • 徘徊: 落ち着ける場所へ誘導したり、好きなものを見せたり、一緒に散歩したりすることで、気を紛らわせましょう。
  • 暴言・暴力: 落ち着いて、相手の気持ちに寄り添いながら話を聞きましょう。安全な場所へ移動し、距離を置くことも有効です。
  • 物盗られ妄想: 否定せずに、共感する姿勢を示しましょう。一緒に探し物をしたり、別のことに意識を向けたりすることで、落ち着かせましょう。
  • 不眠: 昼間の活動量を増やしたり、睡眠環境を整えたりすることで、改善できる場合があります。
• 専門家への相談: 問題行動が改善しない場合は、専門家（医師、ケアマネージャーなど）に相談しましょう。適切なアドバイスや、薬物療法などの治療を受けることができます。

ステップ5：介護保険サービスの活用

介護保険サービスを積極的に活用することで、ご家族の負担を軽減し、ご本人の生活の質を向上させることができます。

• ケアマネージャーとの連携: ケアマネージャーは、介護に関する専門家です。介護保険サービスの申請手続きや、ケアプランの作成、サービス事業者の選定など、様々なサポートをしてくれます。
• 利用できるサービス:
  • 訪問介護（ホームヘルプサービス）: 介護ヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排泄などの介護を行います。
  • 訪問看護: 看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療処置を行います。
  • 通所介護（デイサービス）: デイサービスセンターに通い、食事、入浴、レクリエーションなどを行います。
  • 短期入所生活介護（ショートステイ）: 短期間、介護施設に入所し、介護サービスを受けます。
  • 認知症対応型共同生活介護（グループホーム）: 認知症の方が少人数で共同生活を送ります。
• サービスの選択: ご本人の状態や、ご家族の状況に合わせて、適切なサービスを選択しましょう。ケアマネージャーと相談しながら、最適なケアプランを作成しましょう。

ステップ6：ご自身の心のケア

認知症の介護は、心身ともに大きな負担を伴います。ご自身の心の健康を保つために、以下の点に注意しましょう。

• 休息と睡眠の確保: 疲労が蓄積すると、心身のバランスが崩れやすくなります。十分な休息と睡眠を確保し、心身をリフレッシュさせましょう。
• 気分転換: 趣味や好きなことに時間を使い、気分転換を図りましょう。散歩や軽い運動も効果的です。
• 周囲への相談: 家族や友人、専門家など、周囲の人々に相談し、悩みを共有しましょう。一人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなることがあります。
• サポートグループの活用: 介護者のためのサポートグループに参加し、同じような悩みを持つ人々と交流しましょう。情報交換や、励まし合うことで、孤独感を解消し、心の支えを得ることができます。
• 専門家のサポート: 精神科医やカウンセラーなど、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。専門家は、あなたの心の状態を理解し、適切なアドバイスをしてくれます。

これらのステップを実践することで、認知症のおばあ様とのより良い関係性を築き、ご自身の心の負担を軽減することができます。しかし、それでも悩みや困り事が尽きないこともあるでしょう。そんな時は、一人で抱え込まず、専門家や周囲の人々に頼ってください。

まとめ：寄り添い、支え合い、共に生きる

認知症の介護は、決して簡単なものではありません。しかし、正しい知識と理解、そして適切なサポートがあれば、必ず乗り越えることができます。おばあ様との関係を尊重し、寄り添い、支え合いながら、共に穏やかな日々を過ごせるよう、心から応援しています。そして、あなた自身も大切にしてください。あなたの笑顔が、おばあ様にとっても、何よりも大切な支えとなるでしょう。

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