サービス付き高齢者住宅における服薬管理：介護職員の役割と注意点

サービス付き高齢者住宅で働きはじめたのですが、薬のことについてお聞きします。本来、お薬は介護職員は一方化された物を利用者様に飲んでいただいていますが、薬の変更があった場合や、追加された場合は看護師の指示があって、変更したりしますが、サービス付き高齢者住宅は看護師は在中していません。内服の変更や、追加を勝手に介護職員が行なっている状態です。それは、大丈夫なのでしょうか？サービス付き高齢者住宅はなんか決まりがあってないような感じで曖昧な感じがすごくて、住宅であって施設ではないですが、行なっていることは施設と変わりません。日々なんでだろう？と疑問ばかりです。内服に関しては、「あの人最近排便がでないため液体の下剤を勝手に増やしたり減らしたり…」「夕方に朝の内服忘れが発覚し、朝の薬の中で夕方の薬に入っていない薬を調べて夕方に一緒に飲ませたりしています。」特養で働いていた際は薬に関しては厳しく指導されていたため、サービス付き高齢者住宅の自由さにビックリしてしまいました。特養では内服忘れなんてしたら、事故報告書を書いたり、会議を開いて、再発防止を考えたりしていましたが、今は事故報告書も書きません。何が正解か解らず…教えていただきたくこちらに質問させて頂きました。

サービス付き高齢者住宅での服薬管理に関するご質問、大変よく分かります。特養での厳格な管理体制と比較すると、サービス付き高齢者住宅の現状に戸惑いを感じるのは当然のことです。この状況は、サービス付き高齢者住宅の特性と、介護職員の役割、そして法令遵守のバランスが複雑に絡み合っているためです。

サービス付き高齢者住宅と特養の違い：何が違うのか？

まず、特養（特別養護老人ホーム）とサービス付き高齢者住宅の大きな違いを理解することが重要です。特養は医療依存度の高い高齢者を対象とした施設で、常勤の看護師が配置され、医療行為を含む包括的な介護サービスを提供します。一方、サービス付き高齢者住宅は、比較的自立度の高い高齢者を対象とし、主に生活支援サービスを提供する住宅です。看護師の常駐は義務付けられていません。

この違いが、服薬管理における対応の差を生み出しています。特養では、医師の指示に基づき、看護師が中心となって服薬管理が行われます。一方、サービス付き高齢者住宅では、介護職員が服薬管理に関わる場合がありますが、その範囲は限定されます。具体的には、医師や薬剤師から指示された通りの薬を、指示された通りに服用させることが主な役割です。

介護職員の役割と限界：薬の変更は誰の仕事？

ご質問にあるように、薬の変更や追加は、介護職員の権限外です。これは、医療行為に該当する可能性があり、資格を持たない者が行うことは法律違反となる可能性があります。薬の変更や追加が必要な場合は、必ず医師または薬剤師に相談し、指示を仰ぐ必要があります。これは、利用者の安全を守る上で極めて重要です。

液体の下剤の増減や、内服忘れへの対応についても同様です。介護職員は、利用者の状態を観察し、異変を感じた場合は、速やかに医師または薬剤師、あるいは施設の責任者などに報告する必要があります。勝手に薬の量を変更したり、服用時間を変更したりすることは、重大な医療ミスにつながる可能性があります。

具体的な対応策：安全な服薬管理のためのステップ

• 医師や薬剤師との連携：薬に関する疑問や不安は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。定期的な連絡を取り、利用者の状態を共有することが重要です。多くのサービス付き高齢者住宅では、かかりつけ医との連携体制が整っているはずです。
• 記録の正確性：服薬状況は、正確に記録する必要があります。記録は、医療ミスを防ぎ、適切な対応を迅速に行うための重要な証拠となります。記録には、服薬時間、薬の種類、量、利用者の状態などを詳細に記載しましょう。電子カルテシステムの導入も検討しましょう。
• チーム医療の重要性：サービス付き高齢者住宅においても、医師、薬剤師、介護職員、ケアマネージャーなど、多職種が連携してチーム医療を行うことが重要です。定期的なカンファレンス等で情報共有を行い、利用者にとって最善のケアを提供しましょう。これは、薬の管理に限らず、利用者の健康管理全般にわたって重要です。
• 教育と研修：介護職員は、服薬管理に関する適切な教育と研修を受ける必要があります。薬の知識、服薬介助の方法、事故発生時の対応などを学ぶことで、安全な服薬管理を実現できます。施設側も、職員への継続的な研修を積極的に行うべきです。
• マニュアルの作成と遵守：施設内に、服薬管理に関する明確なマニュアルを作成し、全職員が遵守するようにしましょう。マニュアルには、服薬介助の手順、記録方法、緊急時の対応などが詳細に記載されている必要があります。

成功事例：安全な服薬管理を実現したサービス付き高齢者住宅

あるサービス付き高齢者住宅では、薬剤師を定期的に招いて研修を実施し、服薬管理に関する職員の知識・スキルの向上に努めています。また、電子カルテシステムを導入することで、記録の正確性と情報共有の効率化を図り、事故の発生率を大幅に減少させることに成功しました。さらに、利用者や家族とのコミュニケーションを重視し、服薬に関する不安や疑問を解消することで、信頼関係を構築しています。

専門家の視点：曖昧な状況を明確にするために

サービス付き高齢者住宅における服薬管理は、施設の規模や体制によって大きく異なります。曖昧な部分が多いと感じているのであれば、まずは施設の責任者やケアマネージャーに相談し、現状の服薬管理体制について明確な説明を求めることが重要です。必要であれば、外部の専門家（薬剤師や医療ソーシャルワーカーなど）に相談することも検討しましょう。法律やガイドラインを理解し、安全な服薬管理を実現するために、積極的に行動を起こすことが大切です。

まとめ

サービス付き高齢者住宅における服薬管理は、介護職員にとって難しい課題です。しかし、医師や薬剤師との連携を密にし、正確な記録を維持し、継続的な研修を受けることで、安全な服薬管理を実現することができます。曖昧な状況を放置せず、積極的に問題解決に取り組む姿勢が、利用者の安全と安心につながります。

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