介護職の退職トラブル：シフト変更、有給消化、そして納得のいく決断のために

この記事では、介護施設で10年以上勤務されている正社員の方からのご相談にお答えします。退職が決まっている中で、コロナ禍による出勤停止、その後のシフト変更、有給消化に関する職場の対応に疑問を感じ、退職に向けての不安を抱えている状況です。この状況を整理し、法的な観点と、ご自身のキャリアを大切にするための視点から、具体的なアドバイスを提供します。

まずは、ご相談内容を詳しく見ていきましょう。

介護施設で10年以上働いてる正社員です。遠方への引っ越しの為、既に今月末で退職が決まっております。

この度、子供の保育園でコロナが発生し休園になり、子供が濃厚接触者に認定され、私も職場から出勤停止を言い渡されました。

その後、職場から復帰後のシフト変更の連絡があり、夜勤を無くされたり、元々、公休だった日を本人の了承も得ずに勝手に出勤に変更されてました。

公休日だった日は既に予定があり、変更不可である事を伝えると『◯◯さんは今回休んで皆に迷惑を、かけているのだから、変更したシフト通り出勤して下さい』と言われました。

どうしても休みたければ他の人とシフトを交代してくれるよう自分でやり取りして下さいとも言われました。

私も好きで休んだのではなく、半ば業務命令で休んでおります。

ものすごく嫌な気持ちになり、有給消化をせずに最後まで働こうと思ってましたが、その気持ちも萎えて、いっそのこと今月は全て有給消化をして退職しようかと考えております。

そこでいくつか質問です。

・本人の了解を得ずにシフトを変更するのは認められるのでしょうか？

・また、その変更されたシフト通りに出勤出来ない場合、出勤を拒否する事は社会的に認められるのでしょうか？

・退職時に余ってる有給消化を職場が拒否する事は可能なのでしょうか？

質問が複数になり、申し訳ありませんが、皆様のお知恵をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

補足

2番目の質問で出勤を拒否としましたが、勝手に出勤に変えられた公休予定日だった日を有給に変更することは可能でしょうか？にいたします。

今回の相談は、退職を控えた介護職員の方々が直面する可能性のある、シフト変更、有給消化、そして職場とのコミュニケーションに関する重要な問題を取り上げています。
これらの問題は、労働者の権利と、職場環境における円滑なコミュニケーションの重要性を示唆しています。
以下、それぞれの問題について詳しく解説し、具体的な解決策を提示します。

1. シフト変更は認められるのか？

まず、本人の了解を得ずにシフトを変更することが認められるのか、という点について解説します。
労働基準法では、労働条件の変更については、原則として労働者の同意が必要とされています。
しかし、就業規則や労働契約によっては、会社が一方的にシフトを変更できる場合もあります。

就業規則の確認

まず、ご自身の会社の就業規則を確認することが重要です。
就業規則には、シフト変更に関する規定が含まれている場合があります。
例えば、「業務の都合により、会社はシフトを変更することがある」といった内容が記載されている場合、会社は一定の範囲内でシフトを変更できる可能性があります。
しかし、その変更が合理的であること、つまり、業務上の必要性があり、変更によって労働者に著しい不利益が生じないことが条件となります。

労働契約の内容

次に、労働契約の内容を確認しましょう。
労働契約書には、労働時間や休日に関する取り決めが記載されています。
もし、労働契約書にシフト変更に関する特別な条項がない場合、会社は原則として労働者の同意なしにシフトを変更することはできません。

今回のケースでの考察

今回のケースでは、コロナ禍による出勤停止という特殊な状況が背景にあります。
職場としては、人員不足を補うためにシフト変更を余儀なくされた可能性があります。
しかし、本人の了解を得ずに、公休日に出勤を命じることは、労働者の権利を侵害する可能性があります。
特に、既に予定がある場合は、変更に応じる義務はありません。

対応策

• 就業規則と労働契約の確認: まずは、ご自身の会社の就業規則と労働契約書を確認し、シフト変更に関する規定を確認しましょう。
• 会社との交渉: シフト変更に納得できない場合は、会社と交渉し、変更の理由や代替案を求めることができます。
• 専門家への相談: 状況が改善しない場合は、労働問題に詳しい弁護士や労働組合に相談することも有効です。

2. シフト変更に応じられない場合、出勤を拒否することは可能か？

次に、変更されたシフト通りに出勤できない場合、出勤を拒否することは社会的に認められるのか、という点について解説します。
この問題は、労働者の権利と、職場での業務遂行のバランスを考える上で重要です。

労働者の権利

労働者は、労働契約に基づいて働く権利があります。
労働契約で定められた労働時間や休日を守ることは、会社と労働者の双方にとっての義務です。
会社が一方的に労働条件を変更し、労働者がそれに同意しない場合、労働者は変更後の労働条件で働く義務はありません。

出勤拒否の正当性

今回のケースでは、会社が一方的に公休日に出勤を命じています。
既に予定がある場合、出勤を拒否することは、正当な権利行使と認められる可能性が高いです。
ただし、事前に会社に事情を説明し、理解を得る努力をすることが望ましいです。

有給休暇への変更

変更された公休日に出勤できない場合、有給休暇への変更を求めることは、一つの選択肢です。
有給休暇は、労働者が心身のリフレッシュを図るために取得できる権利です。
会社は、原則として労働者の有給休暇取得を拒否することはできません。
ただし、会社の業務に著しい支障がある場合は、時季変更権を行使できる場合があります。

今回のケースでの考察

今回のケースでは、コロナ禍による出勤停止という特殊な状況が背景にあります。
会社は、人員不足を補うためにシフト変更を余儀なくされた可能性がありますが、労働者の権利を尊重する必要があります。
既に予定がある公休日に出勤を命じることは、労働者の権利を侵害する可能性があります。
出勤を拒否し、有給休暇を取得することは、正当な権利行使と認められる可能性が高いです。

対応策

• 会社への説明: シフト変更に応じられない場合は、会社に事情を説明し、理解を求めましょう。
• 有給休暇の申請: 公休日に出勤できない場合は、有給休暇の取得を申請しましょう。
• 記録の保持: 会社とのやり取りは、記録として残しておきましょう（メール、会話の録音など）。
• 専門家への相談: 状況が改善しない場合は、労働問題に詳しい弁護士や労働組合に相談することも有効です。

3. 退職時の有給消化は拒否できるのか？

最後に、退職時に余っている有給休暇の消化を会社が拒否できるのか、という点について解説します。
この問題は、労働者の権利と、退職時の円滑な手続きに関わる重要なポイントです。

有給休暇取得の原則

労働基準法では、労働者は、一定の条件を満たせば、有給休暇を取得する権利があります。
会社は、原則として労働者の有給休暇取得を拒否することはできません。
ただし、会社の業務に著しい支障がある場合は、時季変更権を行使できる場合があります。

退職時の有給休暇

退職時に残っている有給休暇についても、同様の原則が適用されます。
会社は、退職日までの期間で、労働者の有給休暇取得を認めなければなりません。
ただし、退職までの期間が短い場合や、業務に著しい支障がある場合は、時季変更権を行使できる可能性があります。

時季変更権の行使

会社が時季変更権を行使できるのは、あくまで例外的なケースです。
例えば、退職直前に多くの従業員が有給休暇を取得し、業務が回らなくなるような場合が考えられます。
しかし、今回のケースのように、既に退職が決まっており、引き継ぎも完了しているような場合、会社が時季変更権を行使することは、非常に難しいと考えられます。

今回のケースでの考察

今回のケースでは、既に退職が決まっており、退職までの期間も短い状況です。
会社が、有給休暇の消化を拒否する合理的な理由を見つけることは、難しいと考えられます。
労働者は、残っている有給休暇を消化する権利を主張することができます。

対応策

• 有給休暇の申請: 退職前に、残っている有給休暇の消化を会社に申請しましょう。
• 会社との交渉: 会社が有給休暇の消化を拒否する場合は、交渉し、理由を説明してもらいましょう。
• 記録の保持: 会社とのやり取りは、記録として残しておきましょう（メール、会話の録音など）。
• 専門家への相談: 状況が改善しない場合は、労働問題に詳しい弁護士や労働組合に相談することも有効です。

今回の相談者のケースでは、退職が決まっているにも関わらず、職場の対応に不信感を抱き、有給消化を検討しています。
この状況を改善するためには、以下の点を意識することが重要です。

• 冷静な対応: 感情的にならず、冷静に状況を分析し、対応策を検討しましょう。
• 権利の主張: 自身の権利を理解し、適切に主張しましょう。
• 記録の保持: 会社とのやり取りは、記録として残しておきましょう。
• 専門家への相談: 状況が改善しない場合は、専門家（弁護士、労働組合など）に相談しましょう。

今回のケースでは、退職が決まっているため、今後のキャリアについて深く考える必要はありません。
しかし、今回の経験を活かし、今後の職場選びやキャリア形成に役立てることも可能です。

今後のキャリア形成のために

• 自己分析: どのような働き方をしたいのか、どのような職場環境を求めているのか、自己分析を行いましょう。
• 情報収集: 介護業界の動向や、求人情報を収集しましょう。
• スキルアップ: 介護に関する知識やスキルを向上させるための研修や資格取得を検討しましょう。
• 転職活動: 転職を希望する場合は、転職エージェントや求人サイトを活用し、自分に合った職場を探しましょう。

今回の相談者が、納得のいく形で退職し、今後のキャリアを成功させることを心から応援しています。

今回の記事が、あなたの抱える問題解決の一助となれば幸いです。
ご自身の権利を理解し、積極的に行動することで、より良い結果を得られるはずです。

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