特養と老健の違い、そして人手不足問題の解決策を探る

特養と老健は別ですか。老健では、病院に行くとお金がかかりませんでした。特養では、お金がかかりました。そして、どこの施設も職員は人手不足のようです。特養でも、老健でも、先生が見れないもの沢山あって、通院しました。老健では、大体看護師さんがやってました。特養に行くと、よく、ついてあげてくれと言われます。私は遠いから付き添えません、というと、看護師さんも介護士さんも仕方ないから施設で通院していました。私はそれが当たり前だと思っています。私がいなくても、安心して任せて過ごせるのが老人ホームだと思うからです。これからは身よりのない人沢山でてきます。家族の協力がないとまわらない施設は、始めから建てなければよかったのに。この前会いに行った時、老人ホームのお婆さんが、「あんたのお父さんを◯◯ちゃん(看護師さん)が病院に連れて行ってる間、みんな大変だったんだよ」と言いました。私は「そうですか」と言いました。働く日の人数配分とかが間違ってるから大変になります。どうやら看護師さんがいない間に、他の人がこけて怪我をして、その人の家族が病院につれていったらしい。それもおかしい、見守ってた職員がつれていくべき。老健ではみんな看護師さんがやってくれました。特養はダメなんですか。それとも、ここがおかしいのですか。

ご質問ありがとうございます。特養（特別養護老人ホーム）と老健（介護療養型医療施設）の違い、そして、現状の課題である人手不足や医療連携の問題について、詳しく解説いたします。ご自身の経験に基づいたご意見、特に「家族の協力なしでは運営できない施設は問題だ」というご指摘は、非常に重要な点を突いています。この問題を解決するためには、多角的な視点からのアプローチが必要です。

特養と老健：明確な違いとそれぞれの役割

まず、特養と老健は、介護サービスの提供体制や対象者、医療サービスの提供体制が大きく異なります。

• 特養（特別養護老人ホーム）：主に要介護度3以上の高齢者で、家庭での介護が困難な方を対象とした施設です。介護サービスを主体とし、医療サービスは必要に応じて外部の医療機関との連携で行われます。そのため、医療行為は医師や看護師が常駐しているわけではないため、ご家族の付き添いが必要になるケースも出てきます。費用は、介護保険制度に基づき、利用者の所得に応じて負担額が決定されます。
• 老健（介護療養型医療施設）：医療と介護を一体的に提供する施設です。医師や看護師が常駐し、医療的なケアが必要な高齢者を対象としています。医療保険と介護保険の両方が適用され、医療行為については医療保険が適用されるため、ご質問にあるように、医療機関への通院費用が無料になるケースもあります。しかし、介護保険の適用部分については、利用者の所得に応じて負担額が決定されます。

ご質問にある「老健では看護師さんがやってくれたが、特養ではついてきてくれと言われる」という違いは、まさにこの医療体制の違いを反映しています。老健は医療体制が整っているため、看護師が医療行為や付き添いを行うことが一般的ですが、特養では、医療行為は外部の医療機関に委託されることが多いため、ご家族の協力を必要とするケースが出てくるのです。

人手不足問題：深刻な現状と解決策

特養も老健も、現在深刻な人手不足に直面しています。これは、介護業界全体の課題であり、高齢化の進展と介護職員の待遇改善の遅れが大きな要因です。

人手不足による問題点：

• 利用者の安全確保が困難になる：職員の負担増加により、利用者への適切なケアや見守りが行き届かなくなる可能性があります。ご質問にあるような転倒事故もその一例です。
• 職員の負担増加と離職率の上昇：過剰な労働により、職員のモチベーション低下や健康問題につながり、離職率の上昇を招きます。
• サービスの質低下：人手が不足すると、利用者への個別ケアが行き届かなくなり、サービスの質が低下する可能性があります。

人手不足問題への解決策：

• 介護職員の待遇改善：賃金や労働条件の改善は、人材確保・定着の鍵となります。政府も介護職員処遇改善加算などの施策を進めていますが、更なる改善が必要です。
• 働き方改革：長時間労働の是正、休日取得の促進など、働きやすい環境づくりが重要です。シフト管理システムの導入や、チーム医療の推進なども有効です。
• AIやICT技術の活用：介護ロボットやICTシステムの活用により、職員の負担軽減を図り、効率的な業務遂行を実現できます。これは、人手不足を補うだけでなく、質の高い介護サービス提供にも繋がります。
• 多職種連携の強化：医師、看護師、介護士、理学療法士など、多職種が連携することで、利用者への包括的なケアを提供できます。特に、医療機関との連携強化は、特養における医療ニーズへの対応に不可欠です。

医療連携の強化：スムーズな通院体制の構築

ご質問にあるように、医療機関との連携がスムーズに行われないと、利用者や職員双方に大きな負担がかかります。特養においては、医療機関との連携体制の構築が非常に重要です。

効果的な医療連携：

• かかりつけ医との連携：施設とかかりつけ医との間で、利用者の状態を共有し、迅速な対応ができる体制を整えることが重要です。
• 訪問診療の活用：施設への訪問診療を導入することで、利用者の通院負担を軽減できます。
• 緊急時の対応体制：緊急時の対応マニュアルを作成し、職員への教育を行うことで、迅速かつ適切な対応が可能です。
• 情報共有システムの導入：医療機関と施設間で、利用者の情報をスムーズに共有できるシステムを導入することで、連携を強化できます。

家族の協力：施設と家族の役割分担

ご自身の経験から「家族の協力がないとまわらない施設は問題だ」というご意見は、非常に鋭い指摘です。しかし、家族の負担を軽減し、施設と家族が協力して利用者を支える体制を作ることも重要です。

家族の負担軽減と施設の役割：

• 定期的な面会や連絡：施設から定期的に利用者の状態を家族に報告することで、安心感を高めることができます。
• 家族向け相談窓口の設置：家族の不安や疑問に対応できる窓口を設置することで、家族の負担を軽減できます。
• 施設による情報提供：利用者の状態やケア内容について、分かりやすく情報を提供することで、家族の不安を解消できます。
• 介護スキルに関する研修：家族向けに介護スキルに関する研修を実施することで、在宅での介護を支援できます。

まとめ

特養と老健は、医療体制や介護サービスの提供体制が異なるため、利用者の状況やニーズに合わせて適切な施設を選択することが重要です。また、人手不足問題や医療連携の問題は、介護業界全体の課題であり、多角的な視点からの解決策が必要です。待遇改善、働き方改革、AIやICT技術の活用、多職種連携の強化、そして、施設と家族の連携強化など、様々な取り組みを通じて、より質の高い介護サービスを提供できる体制を構築していく必要があります。

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