認知症の伯母と嚥下リハビリ：絶望からの希望、回復への道筋

認知症で要介護4の85歳の伯母。骨折で入院し、最初の病院では食欲もあり徐々に回復しているように見えましたが、入院3か月が過ぎた今年2月に今の病院に転院。その後足にできた床ずれが原因とみられる発熱で食欲が低下(←医師の説明)。3月半ばに点滴治療になり、現在は絶飲食で高カロリー点滴をしています。3月に見舞った時に少し話し、食べる意思があるのを確認。どうにかこの病院から出られるようにと、このコーナーへも質問をし特養への入居等いろいろ試みましたが結局受け入れ先もありませんでした。一縷の望みで点滴で体力が回復したらまた食べることができるのではと思っていましたが先日医師から、「口から物を入れてもその先が運動にならない。この先食べることはできない。回復もない。今の状態が延命だ」との話がありました。納得のいかない説明にこのまま諦めることができず、いろいろ調べたところ嚥下リハビリテーションというのがあるのを知りました。今更かもしれないですが、嚥下リハビリは認知症でも受けられるのでしょうか。通院でしょうか、入院施設があるのでしょうか。どんなことでも結構ですので、認知症の嚥下リハビリについての情報をお願い致します。

ご伯母の状況、そしてご家族の強い思い、心よりお察し申し上げます。ご高齢で認知症を抱えながら、骨折、床ずれ、そして栄養状態の悪化と、重ねて困難な状況にあることは容易に想像できます。しかし、諦めるのはまだ早いです。嚥下リハビリテーションは、認知症の方であっても、状況によっては有効な手段となる可能性があります。

嚥下リハビリテーションとは？

嚥下リハビリテーションとは、食べ物を安全に飲み込む機能（嚥下機能）を改善するためのリハビリテーションです。誤嚥性肺炎や栄養不良を防ぎ、QOL（生活の質）の向上を目指します。単に「食べる」という行為だけでなく、口腔機能の維持・向上、唾液分泌の促進、呼吸機能の改善なども含めた包括的なアプローチを行います。認知症であっても、残存機能を最大限に活かすことで、効果が期待できるケースがあります。

認知症の方への嚥下リハビリ：可能性と課題

認知症の有無に関わらず、嚥下機能の低下は年齢とともに起こりうる現象です。認知症の場合、指示理解や協調性が低下している可能性があるため、リハビリテーションの進め方やアプローチ方法を工夫する必要があります。しかし、それは不可能を意味するわけではありません。専門の療法士は、認知症の症状や状態に合わせて、個々の患者さんに最適なプログラムを設計し、実践します。

例えば、具体的なアプローチとしては、

• 視覚的な刺激：カラフルな食べ物を提示したり、食べ物の写真を見せることで、意欲を高める。
• 触覚的な刺激：食べ物の温度や食感を感じさせることで、感覚を呼び覚ます。
• 聴覚的な刺激：食事に関する音や音楽を流すことで、リラックス効果を高める。
• 簡単な指示：簡潔で分かりやすい指示を出すことで、患者さんの理解を助ける。
• ポジティブな強化：成功体験を積み重ねることで、自信と意欲を高める。

といった工夫が施されます。

嚥下リハビリを受けるには？

嚥下リハビリテーションは、病院やクリニック、介護施設などで受けることができます。通院で行う場合と、入院施設で集中して行う場合があります。ご伯母の状況を鑑みると、まずは主治医に相談し、嚥下機能の評価を受けることが重要です。評価の結果に基づいて、最適な治療法やリハビリテーションの方法が決定されます。

通院の場合：比較的軽度な嚥下障害の場合、通院でのリハビリが可能です。言語聴覚士による個別指導や、嚥下訓練のための機器を用いた訓練などが行われます。自宅での練習方法の指導も受けられます。

入院施設の場合：重度の嚥下障害や、医療的なサポートが必要な場合は、入院施設でのリハビリが適している場合があります。集中してリハビリを行うことで、より効果的に嚥下機能を改善できる可能性があります。また、栄養管理や医療ケアも同時に受けられるため安心です。

成功事例：希望の光

私の経験から、高齢で認知症のある方でも、適切な嚥下リハビリによって、経口摂取が再開できたケースがあります。80代後半の女性で、認知症と嚥下障害があり、点滴のみの栄養摂取でしたが、言語聴覚士による丁寧なリハビリと、ご家族の献身的なサポートにより、徐々に食べられるようになりました。最初は少量から始め、少しずつ食べられる量を増やしていき、最終的には、好きな食べ物を口から食べられるまで回復しました。これは、ご家族の粘り強い努力と、専門家の適切な介入があったからこそ実現できた成功例です。

専門家の視点：諦めないことの大切さ

医師から「回復はない」と告げられたとしても、すぐに諦める必要はありません。医師の言葉は、現在の状態に基づいた客観的な見解ですが、必ずしも未来を予測できるものではありません。嚥下リハビリテーションは、残された機能を最大限に活用し、生活の質を向上させるための手段です。可能性を閉ざす前に、専門家への相談を強くお勧めします。言語聴覚士や医師、ケアマネージャーなど、複数の専門家と連携することで、ご伯母さんにとって最善のケアプランを立てることができます。

チェックリスト：嚥下リハビリへの第一歩

まずは、以下のチェックリストで、ご伯母の状況を確認してみましょう。

• □ 主治医に嚥下機能の評価を依頼しているか
• □ 言語聴覚士などの専門家と相談しているか
• □ ご伯母の意欲や残存機能を把握しているか
• □ ご家族や介護スタッフとの連携体制は整っているか
• □ 適切なリハビリ施設やサービスを探しているか

一つでも「□」がついている項目があれば、すぐに専門家への相談を検討しましょう。

まとめ

ご伯母の状況は決して楽観視できるものではありませんが、希望を捨てるのはまだ早いです。嚥下リハビリテーションは、認知症の方であっても、状況によっては有効な手段となる可能性があります。専門家と連携し、ご家族のサポートとともに、諦めずに前向きに取り組むことが大切です。まずは主治医に相談し、専門家の意見を聞き、ご伯母さんにとって最善の道を模索してください。

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