介護施設・病院での転倒事故と責任：ご遺族の悲しみと医療機関の責任

介護職や、看護師さんにお聞きしたいのですが？入院中の、転倒してケガした時は 本人の責任になるんですか？ 病院や施設の責任は無いのもなのでしょうか？ 補足去年 入院していた、母が車椅子から転倒して 頭のおでこを強打して、何針が縫いました！ どうも、頭蓋骨も少し骨折してたようです。 父が ナースステーションでなぜよく見てなかったのかと、問い詰めたそうなのでが 奥から主治医が出てきて いろんな理由をつけて仕方ないみたいなことを言われました。 それから、体調が悪くなり 2ヶ月後に亡くなっんです（ ; ; ）病気は肺がんです。

ご質問、拝読いたしました。ご高齢のお母様の転倒事故による怪我、そしてその後のお亡くなり、心よりお悔やみ申し上げます。ご家族の悲しみは計り知れません。入院中の転倒事故は、患者さんご自身、病院・施設、双方に責任が問われる複雑な問題です。今回のケースについて、医療過誤の専門家としての視点から、詳しく解説いたします。

1. 入院中の転倒事故：責任の所在

まず結論から申し上げますと、入院中の転倒事故の責任は、必ずしも患者さん本人にのみ帰属するわけではありません。病院や介護施設には、患者さんの安全を確保する義務があります。これは、医療法や介護保険法などに基づくもので、適切な安全管理体制の構築と、リスク管理が求められます。

具体的には、以下のような点が問われます。

• 転倒リスクの評価：患者の病状、年齢、認知機能、身体機能などを考慮し、転倒リスクを適切に評価していたか。
• 転倒予防策の実施：ベッドサイドの手すり設置、車椅子の適切な使用、転倒防止マットの設置など、リスクに応じた予防策を講じていたか。
• 監視体制の確保：患者の状態を定期的に観察し、異常を早期に発見するための適切な監視体制が整っていたか。特に、車椅子を使用する患者さんに対しては、より細やかな注意が必要となります。
• 職員の教育・研修：転倒予防に関する知識・技術を職員に十分に教育・研修していたか。
• 事故発生後の対応：事故発生後の適切な処置、報告体制、記録管理などが行われていたか。

ご質問にあるケースでは、お母様が車椅子から転倒されたとのことですが、病院側が上記の点を十分に満たしていたか、検証する必要があります。例えば、車椅子の使用に際して、適切な説明や指導が行われていたか、転倒防止のための補助具が提供されていたか、定期的な巡回による観察が行われていたかなどが重要です。

2. 医療過誤の可能性と法的対応

お母様の転倒事故とその後のお亡くなりに関して、医療過誤の可能性を検討する必要があります。医療過誤とは、医療行為において、医師や医療従事者が医療上の注意義務を怠り、患者に損害を与えた場合に成立します。今回のケースでは、病院側の安全管理体制に問題があったとすれば、医療過誤に該当する可能性があります。

医療過誤を立証するには、以下の点を明らかにする必要があります。

• 因果関係：転倒事故と頭部外傷、そしてその後のお亡くなりとの間に、因果関係があることを証明する必要があります。専門医による医学的な意見書が必要となるでしょう。
• 注意義務違反：病院側が、医療上の注意義務を怠っていたことを証明する必要があります。これは、医療記録、証人証言、専門家の意見などを用いて行われます。
• 損害：患者（ご遺族）が被った損害（治療費、慰謝料、逸失利益など）を明らかにする必要があります。

ご主人がナースステーションで問い詰めた際に、主治医が「いろんな理由をつけて仕方ないみたいなことを言われた」とのことですが、これは医療過誤を認める発言と解釈できる可能性があります。しかし、単独では証拠としては不十分です。医療記録や関係者の証言などを集める必要があります。

3. 専門家への相談と今後の対応

医療過誤の可能性を検討し、適切な対応を行うためには、医療過誤に詳しい弁護士や医療専門家への相談が不可欠です。弁護士は、証拠収集、交渉、訴訟などの法的対応を支援します。医療専門家は、医学的な観点から、因果関係や注意義務違反の有無を判断する上で重要な役割を果たします。

また、医療事故相談窓口や、患者団体などの支援機関も活用することをお勧めします。これらの機関では、相談や情報提供、法的支援などのサービスを受けることができます。

4. 転倒事故予防のためのチェックリスト

今後、同様の事故を防ぐために、ご自身やご家族が注意すべき点をチェックリスト形式でまとめました。

• □ 入院前に、患者の病状、年齢、認知機能、身体機能などを医師や看護師に伝え、転倒リスクについて相談する。
• □ 入院後、ベッドサイドの手すり、転倒防止マットなどの設置状況を確認する。
• □ 車椅子を使用する場合は、使用方法、安全な使用方法について、医師や看護師から説明を受ける。
• □ 定期的に患者の状態を観察し、異常があればすぐに看護師に報告する。
• □ 転倒事故が発生した場合、すぐに看護師に報告し、記録を残す。

これらのチェックリストを活用し、ご自身やご家族の安全を守るための意識を高めてください。

5. まとめ

入院中の転倒事故は、患者さんご自身と医療機関の双方に責任が問われる複雑な問題です。ご家族の悲しみを思うと、心が痛みます。医療過誤の可能性を検討し、適切な対応を行うためには、専門家への相談が不可欠です。ご自身の権利を主張し、今後の同様の事故を防ぐためにも、積極的に行動を起こされることをお勧めします。

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