病院から施設へ転院し、最期の看取りは可能？～終末期医療と家族の選択～

父を病院から施設に帰して看取り出来るか？ 施設で安定していた父、母親が訳あって検査入院させたところ、検査の結果は胃のポリープで父は元気でした。数日後、院内肺炎、その日に足の骨折がわかり、翌日痰が絡みご飯も食べられずオムツ。施設は看取りまでやってる施設です。父の希望もあり最期は施設でと思っていますが病院でこう言う状態になった今はもう、無理でしょうか？医療行為はもうしてもらいたくないのです。苦しそうなので。

ご心配ですね。ご父親の状態、そしてご家族の思い、よく理解できます。病院での急変から、ご自宅や施設での看取りへの不安を抱えていることと思います。結論から申し上げると、状況次第では、病院から施設への転院、そして施設での看取りは可能です。しかし、いくつかの重要なポイントを検討する必要があります。

1. 現状の医療状況とご家族の希望のすり合わせ

まず、ご父親の現在の状態を正確に把握することが重要です。院内肺炎、足の骨折、そして痰が絡んで食事摂取が困難な状態とのこと。これは、在宅医療や施設での看取りが困難な状況を示唆している可能性があります。医師と丁寧な話し合いを行い、ご父親の病状、予後（今後の見通し）、そして可能な医療・介護について詳細に説明を受ける必要があります。特に、「医療行為はもうしてもらいたくない」というご家族の希望を医師に明確に伝え、緩和ケアを中心とした医療体制への移行を検討しましょう。緩和ケアは、延命治療ではなく、痛みや苦痛を和らげ、生活の質（QOL）を向上させることを目的とした医療です。

2. 施設の受け入れ体制の確認

ご父親が入所されている施設が看取りに対応しているとはいえ、現在の状態を受け入れ可能かどうかを確認する必要があります。院内肺炎や骨折といった急性期の症状を抱えている場合、施設によっては受け入れを拒否される可能性があります。施設の担当者と連絡を取り、ご父親の現在の状態を詳しく説明し、受け入れの可能性、必要な医療体制、介護体制について確認しましょう。また、24時間体制の医療体制が整っているか、医師や看護師の訪問体制が充実しているかも重要なポイントです。施設によっては、看取りに特化した専門的な知識や経験を持つスタッフがいるところもありますので、その点も確認しておきましょう。

3. 転院のタイミングと手続き

転院は、ご父親の状態が安定し、医療・介護体制が整った上で慎重に進める必要があります。安易な転院は、かえってご父親の負担を増大させる可能性があります。医師と施設の担当者と連携し、最適な転院時期を判断することが重要です。転院手続きには、医療機関間の書類のやり取りや、保険手続きなど、様々な手続きが必要となります。医療ソーシャルワーカーに相談することで、これらの手続きをスムーズに進めることができます。スムーズな転院のためには、早めの相談が重要です。

4. ご家族の役割とサポート体制

ご家族は、ご父親の看取りにおいて重要な役割を担います。ご父親の希望を尊重し、寄り添うケアを提供することが大切です。しかし、ご家族だけで全てを担う必要はありません。ケアマネージャーや訪問看護師、民間の介護サービスなどを活用することで、ご家族の負担を軽減し、より質の高いケアを提供できます。また、精神的なサポートも重要です。ご家族自身も、専門機関やサポートグループなどに相談し、心のケアを受けることをお勧めします。

5. 成功事例：穏やかな看取りを実現したケース

以前、当相談室では、ご自宅での看取りを希望されていた70代男性のケースがありました。ご本人は肺がん末期で、激しい痛みと呼吸困難に苦しんでいました。ご家族は、在宅医療を検討しましたが、夜間の対応に不安を感じていました。そこで、私たちは、訪問看護ステーションと訪問診療医との連携を密にし、24時間体制のサポート体制を構築しました。結果、ご本人はご自宅で穏やかな最期を迎え、ご家族も後悔なく看取ることができました。このケースのように、適切なサポート体制を整えることで、ご希望の場所で穏やかな看取りを実現することが可能です。

6. チェックリスト：病院から施設への転院を検討する際のポイント

• ご父親の現在の病状と予後について医師から詳細な説明を受けていますか？
• 施設の受け入れ体制（医療・介護体制、24時間体制の対応など）を確認していますか？
• 転院に必要な手続き（書類、保険など）について把握していますか？
• ご家族の負担軽減のためのサポート体制（ケアマネージャー、訪問看護師、介護サービスなど）を検討していますか？
• ご家族自身の心のケア（相談窓口、サポートグループなど）を確保していますか？

ご父親の状況やご家族の希望を踏まえ、医師、施設、ケアマネージャーなど関係者と綿密に連携を取りながら、最善の選択をしていきましょう。決して一人で抱え込まず、専門家のサポートを活用し、穏やかな看取りを実現できるよう願っています。

この記事が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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