認知症の母を持つあなたへ。進行を遅らせるための具体的な対策と、家族としてできること

詳しい方がいたら教えてください。私の母が夜、仕事終わりに今年77になる祖母から電話が来たそうです。「あんた今なにをしているの？今？仕事終わって帰ってる所。」「え？今日は泊まり込みで仕事したのかい？」と言われたみたいです。もちろん母は昼間の仕事ですので朝から夜までしか仕事をしませんし祖母も知っています。「え？何言ってんの？」と聞くと「だって今、朝やんか。」と言ったみたいです。認知症かもしれないと翌日病院に連れて行くと何やら認知症テストみたいなものをしたみたいで30点中17点だったみたいです。案の定、医者から認知症で間違いないと。今週末にMRIなどの精密検査を受ける予定です。そこで質問なのですが、認知症は治るのですか？ネットで見る限りは進行する一方だと言うことですが、、、やはりこれからどんどん進行して最終的には私達の事も忘れるようになるのでしょうか。現実を受け止めないといけないとは覚悟はしておりますが、認知症に詳しい方がいらっしゃいましたら、何か教えて頂けると幸いです。

ご祖母様の認知症の診断を受け、不安なお気持ちを抱えていることと思います。77歳で認知症と診断されることは決して珍しくありません。しかし、ご安心ください。認知症は完全に治る病気ではありませんが、進行を遅らせるための様々な対策があり、ご家族ができることはたくさんあります。この記事では、認知症の専門家である私が、ご質問にお答えしながら、具体的な対策や家族としての役割についてご説明します。

認知症は治るのか？進行を遅らせるためにできること

まず、結論から申し上げますと、現在の医学では、認知症を完全に治すことはできません。しかし、進行速度を遅らせ、症状の悪化を抑制することは可能です。それは、早期発見と適切な治療、そして生活習慣の改善によって実現できます。

ご祖母様のケースでは、既に認知症の兆候が現れており、医師による診断も受けています。これは早期発見につながる良い兆候です。今週末のMRI検査では、認知症の種類（アルツハイマー型、血管性認知症など）の特定や、脳の萎縮の程度などが詳しくわかります。診断結果に基づき、適切な治療法を選択することが重要です。薬物療法による症状の緩和や、認知機能訓練による能力維持などが考えられます。

• 薬物療法：認知症の種類に応じて、コリンエステラーゼ阻害剤やメマンチンなどの薬剤が処方されます。これらの薬剤は、認知機能の低下を抑制する効果が期待できます。
• 認知機能訓練：専門家の指導の下、記憶力や計算力などの認知機能を維持・向上させる訓練を行います。ゲームやパズル、音楽療法なども有効です。
• 生活習慣の改善：適切な運動、バランスの良い食事、質の高い睡眠は、認知機能の維持に不可欠です。禁煙も重要です。

さらに、ご家族の協力も不可欠です。ご祖母様の生活環境を整え、安全で安心できる生活を送れるようにサポートすることが重要です。具体的には、

• 安全な住環境の確保：転倒防止のための工夫、危険物の撤去など、安全に配慮した環境づくりが必要です。
• 日々の生活のサポート：食事、入浴、排泄などの介助が必要になる可能性があります。ご家族だけで負担が大きすぎる場合は、介護サービスの利用も検討しましょう。
• 刺激のある生活の提供：散歩、趣味活動、友人との交流など、刺激のある生活を送ることで、認知機能の低下を遅らせる効果が期待できます。ただし、ご祖母様の状態に合わせて、無理のない範囲で行うことが大切です。
• 感情のケア：認知症の症状によって、ご祖母様は不安や混乱、怒りなどを抱えるかもしれません。ご家族は、優しく寄り添い、感情を受け止め、安心感を与えてあげることが大切です。

ケーススタディ：70代女性Aさんの事例

70代女性Aさんは、アルツハイマー型認知症と診断されました。当初は、ご家族だけで介護を続けようとしましたが、症状の進行とともに、介護負担が大きくなり、生活の質も低下しました。そこで、介護サービスの利用を検討し、デイサービスに通い始めました。デイサービスでは、認知機能訓練やレクリエーションを通して、Aさんは笑顔を取り戻し、生活の質が向上しました。ご家族も、介護の負担が軽減され、精神的な余裕が生まれました。この事例からもわかるように、早期からの適切な対応と、介護サービスの活用は、ご本人とご家族の生活の質を大きく向上させる可能性があります。

専門家の視点：認知症の進行と家族への影響

認知症は、残念ながら進行性の病気です。しかし、その進行速度は個人差が大きく、数年で急速に進行する場合もあれば、ゆっくりと進行する場合もあります。ご祖母様の今後の状態を正確に予測することはできませんが、ご家族が適切なケアを提供することで、進行を遅らせ、ご本人のQOL（生活の質）を向上させることができます。また、ご家族の負担軽減も非常に重要です。介護疲れを防ぎ、ご家族自身の健康と生活の質を守るためにも、介護サービスの利用や、地域の支援団体への相談などを積極的に活用することをお勧めします。

大切なのは、ご祖母様を「認知症の人」としてではなく、「大切な家族の一員」として、温かく見守り、サポートしていくことです。ご祖母様の個性や好みを尊重し、その方に合ったケアを提供することで、より良い関係を築き、穏やかな時間を過ごすことができるでしょう。

最終的に家族のことも忘れるのか？

ご質問にある「最終的には私達の事も忘れるようになるのでしょうか」という点については、残念ながら、認知症の進行によっては、家族の顔を認識できなくなったり、名前を思い出せなくなったりする可能性があります。しかし、それは必ずしも「忘れた」という意味ではありません。感情的な結びつきは、記憶が薄れても残っている場合があります。たとえ記憶が曖昧になっても、ご家族の温かい声かけや触れ合いは、ご祖母様に安心感を与え、心の安らぎをもたらすでしょう。

認知症の進行は、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな試練です。しかし、絶望する必要はありません。専門家のアドバイスを受けながら、ご家族で協力し、適切な対応を続けることで、ご祖母様とより良い時間を過ごすことができるでしょう。そして、ご家族自身も、この経験を通して、成長し、より深い絆を育むことができるかもしれません。

まとめ

認知症は完治しない病気ですが、進行を遅らせることは可能です。早期発見、適切な治療、生活習慣の改善、そしてご家族の温かいサポートが重要です。ご祖母様の状態をしっかりと把握し、専門家のアドバイスを受けながら、ご家族で協力して、最善のケアを提供していきましょう。決して一人ではありません。多くの支援体制がありますので、積極的に活用してください。

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