脊髄損傷後の介護とキャリア：在宅 vs 施設、最適な選択肢を見つけるために

この記事では、頸椎損傷と脊髄損傷を患い、今後の介護と生活について悩んでいる方に向けて、在宅介護と施設入所の選択肢を比較検討し、最適な選択肢を見つけるための情報を提供します。特に、後期高齢者で複数の既往症をお持ちの方の状況を考慮し、具体的なアドバイスと、利用できる制度やサービスについて解説します。介護ヘルパーとしての経験をお持ちで、ご自身の経験だけでは判断がつかないというあなたの疑問にお答えします。

頸椎損傷で脊髄損傷もある場合の今後について相談させて下さい。

転倒し頸椎損傷で脊髄損傷もあり、脊髄の圧迫開放のため緊急手術を受けました。

損傷部位はC3~C5付近で四肢麻痺状態で手術を受けましたが３日経過しましたが改善はありませんでした。

嚥下機能は問題なく意識レベルもクリアですが酸素ホワードが上がらず、鼻からの酸素吸入を行っています。

年齢は後期高齢者で、糖尿病の既往がありインシュリン注射を行っています。血圧も年齢とともに高くなり内服薬を飲んでいます。また腎機能もあまりよくなく造影剤を使った検査は極力避けるような状態でした。

現在は急性期の病院にいますが３週間ほどでリハビリの病院への転院をと言われました。合併症が起きなければ仕方がないと理解していますが、手術からの日数を考えるとリハビリをしても機能回復は難しいでしょうし、今後は更なる腎機能の低下も予想され人工透析になると思われます（医師からもそう術前に説明を受けています）。

更に術語日目で褥瘡予備軍のオムツのゴムラインの大腿部に広範囲の水泡が出来てしまいました。病院では毎日着衣交換と清拭と陰部洗浄も行ってくれています。

介護保険の申請手続きは知っている訪問看護ステーション経由で現在行っています。

症状が固定され次第、障害者手帳の申請も行う予定です。

この状態で固定になれば要介護５、身体障害者１級に該当すると思われます。

四肢麻痺だけならばリハビリ病院を退院後は住宅改修をして、在宅介護も考えられるのですが、人工透析も行うとなったら在宅で対応できるのかが分からないのです。

在宅でなければ特養ではなく長期療養型の病院に入院の方向で考えた方がよいのでしょうか？

済んでいる住宅が古いタイプの日本家屋のため、段差がかなり大きく、間仕切りの位置やドア、床なども改修しなければリグライニング機能のある車いすも使えないし（座位が取れないのでコンパクトタイプの車いす使用は無理だと思われます）、外回りも土の庭を通って玄関に回る以外の間口がなく、大規模な住宅改修が必要になってしまいます。

それをしてもほとんど在宅介護が難しいのであれば最初から入所もしくは入院を考えた方がいいのかと思っています。

私は１０年ほど前にヘルパー経験がありますが、このような症状の介護は経験がありません。このような既往歴があって四肢麻痺の症例をご存知の方や医療従事者や介護従事者の方、どのような選択肢があるか教えて下さい

はじめに：現状の整理と今後の見通し

ご相談ありがとうございます。頸椎損傷と脊髄損傷、さらに複数の既往症をお持ちで、今後の介護について様々な不安を感じていらっしゃるかと思います。まずは、現状を整理し、考えられる選択肢を具体的に検討していきましょう。ご自身の介護ヘルパーとしての経験を活かしながら、最適な選択肢を見つけるために、一緒に考えていきましょう。

まず、現在の状況を改めて確認します。C3〜C5付近の脊髄損傷による四肢麻痺、呼吸補助のための酸素吸入、糖尿病、高血圧、腎機能低下といった既往症、そして褥瘡の兆候。これらの状況から、今後の生活は、高度な医療的ケアと、密度の高い介護を必要とすることが予想されます。リハビリ病院への転院後、症状の回復が見込めない場合、長期的な介護体制をどのように構築するかが、喫緊の課題となります。

1. 在宅介護 vs. 施設入所：比較検討

在宅介護と施設入所、それぞれのメリットとデメリットを比較検討し、ご自身の状況に最適な選択肢を見つけましょう。

1-1. 在宅介護のメリットとデメリット

メリット

• 慣れ親しんだ環境での生活： 長年住み慣れた自宅で、家族やペットとの時間を過ごせることは、精神的な安定につながります。
• 個別のケアプラン： 自分のニーズに合わせた、柔軟なケアプランを立てることができます。訪問介護、訪問看護、デイサービスなどを組み合わせ、きめ細やかなサポートを受けることが可能です。
• 家族との連携： 家族が積極的に介護に関わることで、絆を深め、心の支えとなります。

デメリット

• 介護者の負担： 24時間体制での介護が必要になる場合、介護者の心身への負担が大きくなります。
• 医療的ケアの限界： 人工透析などの医療的ケアが必要な場合、在宅での対応には限界があります。訪問看護ステーションの協力が必要不可欠ですが、対応できる時間や内容には限りがあります。
• 住宅環境の制約： 古い日本家屋の場合、バリアフリー化のための大規模な改修が必要となり、費用がかかります。改修しても、完全に安全な環境を確保できない可能性もあります。
• 孤独感： 常に誰かのサポートが必要な状況では、孤独を感じやすくなる可能性があります。

1-2. 施設入所のメリットとデメリット

メリット

• 専門的なケア： 24時間体制で、医療的ケアを含む専門的な介護を受けることができます。人工透析が必要な場合でも、対応可能な施設があります。
• 介護者の負担軽減： 介護者の負担を軽減し、心身ともに余裕を持った生活を送ることができます。
• 社会的な交流： 他の入居者との交流を通じて、社会的なつながりを保つことができます。レクリエーションやイベントに参加することで、生活の質を高めることができます。
• バリアフリー環境： 施設は、バリアフリー設計がされており、安全で快適な生活を送ることができます。

デメリット

• 環境の変化： 慣れ親しんだ環境から離れ、新しい環境に適応する必要があります。
• プライバシーの制限： 個室であっても、ある程度のプライバシーの制限は避けられません。
• 費用： 施設の種類やサービス内容によって、費用が高額になる場合があります。
• 選択肢の制限： 施設の空き状況によっては、希望する施設に入所できない場合があります。

2. 具体的な選択肢と、それぞれの詳細

在宅介護と施設入所、それぞれの選択肢について、より具体的に見ていきましょう。

2-1. 在宅介護の詳細

在宅介護を選択する場合、以下の点を考慮する必要があります。

• 住宅改修： リグライニング機能付き車椅子を使用するためには、住宅改修が必須です。段差の解消、間仕切りの撤去、ドアの変更、床のバリアフリー化など、大規模な改修が必要となる可能性があります。
• 介護保険サービスの活用： 訪問介護、訪問看護、デイサービス、訪問リハビリテーションなど、様々な介護保険サービスを組み合わせて、必要なサポート体制を構築します。
• 医療連携： かかりつけ医、訪問看護ステーション、訪問診療医との連携を密にし、医療的ケアに対応できる体制を整えます。人工透析が必要な場合は、在宅での透析が可能かどうか、医療機関と相談する必要があります。
• 家族の協力： 家族の協力は不可欠です。介護者の負担を軽減するために、介護保険サービスや、民間の介護サービスを積極的に活用しましょう。
• レスパイトケア： 介護者の負担を軽減するために、レスパイトケア（短期入所生活介護）を利用することも検討しましょう。

2-2. 施設入所の詳細

施設入所を選択する場合、以下の点を考慮する必要があります。

• 施設の選定： 介護老人福祉施設（特別養護老人ホーム）、介護老人保健施設（老健）、介護療養型医療施設（療養病床）、住宅型有料老人ホームなど、様々な種類の施設があります。ご自身の状況やニーズに合った施設を選びましょう。人工透析に対応している施設を探す必要があります。
• 情報収集： 施設の情報を収集し、見学を行い、施設の雰囲気やサービス内容を確認しましょう。
• 費用： 施設の費用は、入居一時金、月額利用料、その他費用など、施設によって異なります。事前に費用について確認し、ご自身の予算に合った施設を選びましょう。
• 入所手続き： 施設の入所手続きは、施設によって異なります。事前に確認し、必要な書類を準備しましょう。
• 医療連携： 施設と医療機関との連携体制を確認しましょう。緊急時の対応や、定期的な健康管理について、詳しく説明を受けましょう。

3. 選択肢の決定：考慮すべきポイント

在宅介護と施設入所、どちらを選択するかは、以下の点を総合的に考慮して決定する必要があります。

• 本人の意向： 本人の意向を尊重し、本人がどのような生活を望んでいるのかを十分に話し合いましょう。
• 医療的ケアの必要性： 人工透析などの医療的ケアの必要性を考慮し、対応可能な体制を整えられる方を選択しましょう。
• 住宅環境： 住宅の改修費用や、改修の可否を考慮しましょう。
• 介護者の負担： 介護者の心身への負担を考慮し、無理のない範囲で介護できる方を選択しましょう。
• 経済的な負担： 介護保険サービスや、施設の費用など、経済的な負担を考慮しましょう。
• 利用できる社会資源： 介護保険サービス、障害者福祉サービス、医療保険制度など、利用できる社会資源を最大限に活用しましょう。

4. 障害者手帳の申請と、利用できるサービス

症状が固定され次第、障害者手帳の申請を行う予定とのことですが、障害者手帳を取得することで、様々なサービスを利用することができます。

• 障害者総合支援法に基づくサービス： 居宅介護、重度訪問介護、行動援護、短期入所など、様々なサービスを利用することができます。
• 自立支援医療（更生医療）： 医療費の自己負担が軽減されます。
• 補装具費の支給： 車椅子などの補装具の購入費用が助成されます。
• 税金の控除： 所得税や住民税の控除を受けることができます。
• 公共料金の割引： 公共料金の割引を受けられる場合があります。
• 移動支援： 移動支援サービスを利用して、外出をサポートしてもらえます。

障害者手帳の申請手続きは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口で行います。申請に必要な書類や手続きについては、窓口で確認してください。

5. 専門家への相談

今回のケースでは、専門家への相談が不可欠です。以下の専門家に相談し、具体的なアドバイスを受けましょう。

• 医師： 主治医に、今後の治療方針や、在宅介護・施設入所に関するアドバイスを求めましょう。
• ケアマネジャー： ケアマネジャーに、介護保険サービスや、施設の紹介、入所手続きに関する相談をしましょう。
• 社会福祉士： 社会福祉士に、障害者手帳の申請や、利用できる社会資源に関する相談をしましょう。
• 住宅改修業者： 住宅改修業者に、住宅改修の費用や、バリアフリー化に関する相談をしましょう。
• 弁護士： 財産管理や、成年後見制度に関する相談が必要な場合は、弁護士に相談しましょう。

専門家への相談を通じて、ご自身の状況に最適な選択肢を見つけ、安心して生活できる環境を整えましょう。

6. 成功事例と、専門家の視点

脊髄損傷後の介護は、個々の状況によって大きく異なります。ここでは、参考となる成功事例と、専門家の視点をご紹介します。

6-1. 成功事例

事例1：在宅介護を選択し、充実した生活を送っているAさんの場合

Aさんは、脊髄損傷により四肢麻痺となりましたが、自宅での生活を希望しました。大規模な住宅改修を行い、訪問介護、訪問看護、デイサービスを組み合わせたケアプランを構築。家族の協力と、ヘルパーさんの献身的なサポートにより、自宅での生活を続けています。趣味の読書や、オンラインでの交流も楽しんでおり、充実した日々を送っています。

ポイント：

• 本人の強い意思：自宅での生活を強く望む気持ちが、困難を乗り越える力となりました。
• 家族の協力：家族が積極的に介護に関わり、精神的な支えとなりました。
• 専門家のサポート：ケアマネジャー、訪問看護師、ヘルパーさんなど、専門家のサポートが不可欠でした。
• 適切な住宅改修：バリアフリー化された環境が、安全で快適な生活を支えました。

事例2：施設入所を選択し、安心した生活を送っているBさんの場合

Bさんは、脊髄損傷と、糖尿病、腎機能低下などの既往症があり、在宅介護が困難と判断し、長期療養型の病院に入院しました。24時間体制での医療的ケアを受けながら、リハビリにも励み、体調を安定させています。他の入居者との交流も楽しんでおり、穏やかな日々を送っています。

ポイント：

• 医療的ケアの必要性：24時間体制での医療的ケアが必要な場合、施設入所が有効な選択肢となります。
• 専門的なリハビリ：専門的なリハビリを受けることで、身体機能の維持・向上を目指せます。
• 社会的な交流：他の入居者との交流を通じて、孤独感を軽減し、生活の質を高めることができます。
• 家族の安心：家族は、介護の負担から解放され、安心して生活を見守ることができます。

6-2. 専門家の視点

医師の視点：

「脊髄損傷後の介護は、身体機能の回復度合い、合併症の有無、本人の意向などを総合的に考慮して、最適な選択肢を選ぶ必要があります。医療的ケアが必要な場合は、24時間体制で対応できる施設を検討することも重要です。また、褥瘡などの合併症を予防するために、適切なケアと、早期発見・早期治療が不可欠です。」

ケアマネジャーの視点：

「在宅介護を選択する場合は、介護保険サービスを最大限に活用し、本人のニーズに合わせたケアプランを構築することが重要です。住宅改修や、福祉用具の利用についても、積極的に検討しましょう。施設入所を選択する場合は、施設の情報を収集し、見学を行い、本人の希望に合った施設を選びましょう。」

社会福祉士の視点：

「障害者手帳を取得することで、様々な福祉サービスを利用することができます。障害者総合支援法に基づくサービスや、自立支援医療、補装具費の支給など、積極的に活用しましょう。また、地域には、様々な社会資源があります。地域の相談窓口や、NPO法人などに相談し、必要な情報を収集しましょう。」

7. まとめ：最適な選択肢を見つけるために

頸椎損傷と脊髄損傷、そして複数の既往症をお持ちの方の介護は、非常に複雑で、多くの課題を抱えています。在宅介護と施設入所、どちらを選択するかは、本人の意向、医療的ケアの必要性、住宅環境、介護者の負担、経済的な負担などを総合的に考慮して決定する必要があります。

まずは、現状を整理し、専門家（医師、ケアマネジャー、社会福祉士など）に相談し、具体的なアドバイスを受けましょう。そして、ご自身の状況に最適な選択肢を見つけ、安心して生活できる環境を整えましょう。

介護は、決して一人で抱え込むものではありません。周りの人々と協力し、様々な社会資源を活用しながら、共に歩んでいきましょう。あなたのこれからの生活が、穏やかで、充実したものとなることを心から願っています。

この情報が、あなたの今後の介護と生活の選択肢を見つけるための一助となれば幸いです。

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