認知症の母の暴言・暴力への対処法：特養での生活と専門家のサポート

認知症の母の暴言暴力で困っています。母（４年前にアルツハイマー型認知症を発症、要介護３）が昨年５月から特養にお世話になっているのですが、他の入居者さんや職員の方への暴言暴力が日に日に酷くなって困っています。二ケ月前から抑肝散を処方されたのですが、一向に改善されず二週間前に精神科を受診しMRIや脳波などの一通りの検査を受けました。検査結果はまだ出ていないのですが、アリセプトの副作用の可能性もあるとのことでレミニールに変更しました。これで暴言暴力が収まってくれればとの願いもむなしく、昨日も職員の方から先日も他の入居者さんに対して暴言を吐いて、その場を収めようとした職員の方に蹴ろうとしたとの報告を受けました。母には「みんなと仲良くして」と言うのですが、本人は暴言を吐いたことを忘れてしまっているのでどうしようもありません。このままではいつか特養から退去を迫られるのではないかと心配でなりません。同じような経験をされた方、どのように対処されたのかご教授いただけないでしょうか。

ご心配ですね。認知症によるご家族の暴言・暴力は、介護するご家族にとって大きな負担となります。特養に入所されているとはいえ、その状況は想像を絶する辛さでしょう。しかし、ご安心ください。決してあなただけではありません。多くの介護者が同様の困難に直面しており、解決策も存在します。

ケーススタディ：認知症介護における多職種連携の重要性

事例1：70代女性Aさん

Aさんの母親（85歳、アルツハイマー型認知症）は、特養に入所していましたが、頻繁な暴言・暴力で他の入居者や職員とのトラブルが絶えませんでした。Aさんは、医師、看護師、ケアマネージャー、そして特養の職員と連携し、母親の状態を詳細に共有。薬剤の見直しだけでなく、母親の行動特性を分析し、環境調整を行いました。具体的には、刺激の少ない部屋への移動、個別ケアプランの作成、そしてAさん自身による定期的な面会と穏やかな声かけです。その結果、暴言・暴力の回数は徐々に減少し、穏やかな日々を取り戻しつつあります。

事例2：60代男性Bさん

Bさんの父親（90歳、血管性認知症）は、自宅で介護を受けていましたが、徘徊や暴言が激しく、Bさんは心身ともに疲弊していました。デイサービスの利用や訪問介護の導入に加え、精神科医によるカウンセリングを受け、父親の行動の背景にある不安や苦痛を理解することに努めました。また、地域の認知症サポートグループに参加することで、同じ悩みを持つ人々と交流し、情報交換や相互支援を行いました。これにより、Bさんは精神的な負担を軽減し、介護を継続できるようになりました。

これらの事例からわかるように、認知症による暴言・暴力への対処には、多職種連携が不可欠です。医師、看護師、ケアマネージャー、精神科医、そして介護施設の職員など、専門家の協力を得ながら、個々の状況に合わせた適切な対応策を検討することが重要です。

専門家の視点：認知症の暴言・暴力への効果的なアプローチ

認知症による暴言・暴力は、本人の意思とは無関係に起こる症状です。脳の機能低下によって、感情のコントロールが難しくなっているため、怒りや不安が暴言・暴力という形で表現されてしまうのです。そのため、「叱る」「説教する」といった対応は逆効果となります。むしろ、本人の気持ちを理解し、落ち着かせようとする姿勢が重要です。

• 薬物療法：レミニールへの変更は適切な対応です。しかし、薬の効果には個人差があり、即効性がない場合もあります。医師と継続的に相談し、薬剤や投与量の見直しを検討しましょう。抑肝散は、精神的な不安定を軽減する効果がありますが、暴言・暴力そのものを直接抑制する薬ではありません。
• 環境調整：特養の職員と協力し、母親にとってストレスとなる環境要因を特定し、改善しましょう。例えば、騒音の少ない部屋への移動、刺激の少ない時間帯の活動への参加、落ち着ける空間の確保などです。
• コミュニケーション：穏やかな声かけ、共感的な傾聴、そして身体的接触（手をつなぐなど）は、本人の不安を軽減する効果があります。暴言を吐かれたとしても、感情的に反応せず、冷静に対応することが大切です。 「お母さん、今、怒っているんですね。何か困っていることがあったら教えてください。」といった共感的な言葉かけを試みましょう。
• リハビリテーション：作業療法や音楽療法などのリハビリテーションは、認知機能の維持・向上、そして感情の安定に役立ちます。特養に相談し、適切なリハビリテーションプログラムの導入を検討しましょう。
• ご自身のケア：介護疲れは、あなた自身の健康を損ない、介護の質を低下させます。定期的な休息、趣味活動、そして家族や友人、専門機関への相談など、ご自身のケアを怠らないようにしましょう。介護者支援団体や相談窓口などを活用することも有効です。

具体的なアドバイス：行動記録と専門家への相談

まず、母親の暴言・暴力の状況を詳細に記録しましょう。日時、場所、相手、状況、そして母親の言葉や行動を具体的に書き留めます。この記録は、医師やケアマネージャーとの面談の際に役立ちます。また、特養の職員とも密に連携し、情報共有を行うことが重要です。

そして、定期的に医師やケアマネージャーに相談し、状況を報告しましょう。薬物療法、環境調整、コミュニケーション方法など、様々な角度から解決策を検討します。必要であれば、精神科医への受診も検討しましょう。

さらに、介護者支援団体や相談窓口などを活用することも有効です。同じような悩みを持つ人々と交流し、情報交換や相互支援を行うことで、精神的な負担を軽減することができます。

チェックリスト：認知症介護におけるご自身の状況

□ 認知症の家族の暴言・暴力に悩んでいる

□ 専門機関への相談を検討している

□ 介護疲れを感じている

□ 介護者支援団体への参加を検討している

□ 自分の時間を確保できている

□ 周囲のサポート体制が整っている

上記のチェックリストで３つ以上チェックが入った方は、早急に専門機関への相談をお勧めします。一人で抱え込まず、周りの人に助けを求めましょう。

まとめ

認知症によるご家族の暴言・暴力は、決してあなただけの問題ではありません。多くの介護者が同様の困難に直面しており、解決策も存在します。多職種連携、環境調整、適切なコミュニケーション、そしてご自身のケアを重視することで、状況を改善できる可能性があります。一人で抱え込まず、専門家や支援団体に相談し、適切なサポートを受けながら、穏やかな日々を取り戻しましょう。

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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療的なアドバイスではありません。具体的な対応については、医師や専門家にご相談ください。