デイサービスのミーティング、決定事項はなぜすぐに覆される？ベテラン介護士が教える、チームで取り組むための秘訣

この記事では、デイサービスの現場でよくある「ミーティングで決まったことが、すぐに実行されなくなる」という問題に焦点を当て、その原因と解決策を、経験豊富な転職コンサルタントの視点から解説します。特に、食事を拒否する高齢者への対応という具体的な事例を通して、チームワークを強化し、より良いケアを提供するための具体的なアプローチを提案します。

デイサービスについて質問です。どこでもあると思いますが、今月の全体ミーティングが先日ありました。その時の決定事項についての質問なのですが、最近食事が自己の意思で拒否され毎回１割も食べない高齢女性（認知ほぼなし）利用者の意見がでました。近日中に病院受診があり、そこで低栄養の判定が下されるのは明白であると、責任者も従業員も皆納得しています。栄養補強になにかできないかとエンシュアを処方して頂き試すという案が出てミーティングでは納得しスタートすることになりました。翌日提供すると拒否され、やはり飲みませんでした。

という事例なのですが、ミーティングで決まったことを実行して拒否がありダメであった。このダメであったと決めるには皆さんならどのくらいの期間を試しますか？自分はもともと特養出身ですが、そこでは決まったことは最低でも1ヶ月くらいは全部拒否でも提供し続けてから次のミーティングでやめるか続けるか話あったりしていました。

今の職場では、一回拒否されもう誰も提供していません。そんな中一人で頑張っていますが、ミーティングで決まったことなのになんでこんなにすぐやめてしまうのか不思議でしょうがないです。これではミーティングの意味がないのでは？と疑問に思ってしまうのですが、皆さんの職場ではどうでしょうか？是非ご意見下さい。よろしくお願いします。

なぜ、ミーティングの決定事項は実行されないのか？

デイサービスの現場で、ミーティングで決定したことが実行に移されない、あるいはすぐに中断されてしまうという問題は、決して珍しいことではありません。この問題の根底には、いくつかの要因が複雑に絡み合っていることが多いです。ここでは、その主な原因を深掘りし、それぞれの問題に対する具体的な対策を提案します。

1. コミュニケーション不足と情報共有の課題

ミーティングでの決定事項が、現場のスタッフ全員に正確に伝わっていない、あるいは理解が不十分であるというケースは少なくありません。情報伝達の経路が確立されていない場合、決定事項が一部のスタッフにしか伝わらず、結果として実行されない、または誤った方法で実行される可能性があります。

• 対策:
• 明確な情報伝達ルートの確立: ミーティング後、決定事項をまとめた書面（議事録、申し送り事項など）を作成し、全スタッフがアクセスできる場所に掲示または共有する。
• 定期的な確認とフィードバック: 定期的に、決定事項の理解度を確認するミーティングや、個別のフィードバックの機会を設ける。
• 視覚的なツール活用: 決定事項をまとめたポスターや、写真付きのマニュアルを作成し、視覚的に理解を促す。

2. 現場の負担とリソース不足

新しい取り組みや、普段と異なるケア方法を導入する際には、現場のスタッフに新たな負担が生じることがあります。人手不足や、必要な物品の不足など、リソースが不足している状況では、決定事項が実行されにくくなります。特に、今回の事例のように、食事介助に時間がかかる場合、他の業務との兼ね合いで、十分な時間を割けないことも考えられます。

• 対策:
• 業務分担の見直し: チーム内で、業務分担を見直し、特定のスタッフに負担が偏らないようにする。
• リソースの確保: 必要な物品（エンシュアなど）を事前に準備し、不足がないようにする。
• 優先順位の設定: 業務の優先順位を明確にし、重要なケアに集中できる環境を整える。

3. チームワークと連携の欠如

チーム内の連携がうまくいっていない場合、決定事項がスムーズに実行されにくくなります。例えば、あるスタッフが新しいケア方法を試みても、他のスタッフがその意図を理解せず、協力が得られないという状況が考えられます。また、個々のスタッフが抱える問題や課題を共有する場がないと、孤立感を生み、モチベーションの低下につながる可能性もあります。

• 対策:
• チームミーティングの定例化: 定期的にチームミーティングを開催し、情報共有、問題解決、意見交換の場を設ける。
• 役割分担の明確化: 各スタッフの役割を明確にし、責任の所在を明らかにする。
• 相互理解と尊重: 互いの意見を尊重し、協力し合う姿勢を育む。

4. 評価とフィードバックの不足

新しい取り組みの結果を評価し、フィードバックを行う仕組みがない場合、改善の機会を逃し、決定事項が形骸化してしまう可能性があります。うまくいった点、改善が必要な点を具体的に評価し、次回の取り組みに活かすことが重要です。

• 対策:
• 定期的な評価: 決定事項の実行状況を定期的に評価し、結果を記録する。
• フィードバックの実施: 評価結果を基に、スタッフ全員でフィードバックを行い、改善点や成功事例を共有する。
• 目標設定と達成度の可視化: 目標を設定し、達成度を可視化することで、モチベーションを高める。

事例から学ぶ、具体的な対応策

今回の事例である「食事を拒否する高齢者への栄養補給」というテーマに沿って、具体的な対応策を考えてみましょう。

1. 段階的なアプローチ

エンシュアの提供を拒否されたからといって、すぐに諦めるのではなく、段階的にアプローチすることが重要です。例えば、以下のようなステップを試すことができます。

• 情報収集: なぜ拒否するのか、原因を特定するために、本人の状態、食欲、体調などを詳しく観察し、記録する。
• 味の調整: エンシュアの味を薄めたり、他の食品と混ぜたりして、本人が受け入れやすいように工夫する。
• 提供方法の工夫: スプーンで少量ずつ与える、好きな時間に提供するなど、提供方法を変えてみる。
• 環境調整: 食事をする環境を整え、落ち着いて食事ができるような雰囲気を作る。
• 家族との連携: 家族に協力を仰ぎ、本人の食事に関する情報を共有し、一緒に対応策を考える。

2. 継続的な観察と記録

どのような対応を行ったか、その結果どうだったかを記録することは、改善策を見つける上で非常に重要です。記録を基に、チーム全体で情報を共有し、より効果的な方法を検討することができます。

• 記録項目: 食事の摂取量、拒否の理由、体調の変化、対応策、結果などを記録する。
• 記録方法: 記録しやすいように、フォーマットを作成し、活用する。
• 情報共有: 記録を基に、定期的にチームで情報共有し、改善策を検討する。

3. チーム全体での協力体制

一人のスタッフが抱え込まず、チーム全体で協力し合う体制を作ることが大切です。情報共有、意見交換、役割分担などを通して、チームとしての結束力を高め、より良いケアを提供することができます。

• 役割分担: 食事介助、記録、情報収集など、それぞれの役割を分担する。
• 情報共有: 定期的に情報交換を行い、問題点や改善策を共有する。
• 相互支援: 困ったことがあれば、互いに助け合い、協力する。

ミーティングを成功させるためのポイント

ミーティングが形骸化しないように、以下のポイントを意識しましょう。

1. 明確な目的と議題の設定

ミーティングの目的を明確にし、議題を事前に設定することで、効率的な議論を促し、決定事項を明確にすることができます。

• 目的の明確化: ミーティングの目的を明確にし、参加者全員に共有する。
• 議題の設定: 事前に議題を設定し、参加者に周知する。
• 時間配分: 各議題に適切な時間配分を設定する。

2. 活発な意見交換と合意形成

活発な意見交換を促し、参加者全員が納得できるような合意形成を目指しましょう。

• 意見の尊重: 参加者の意見を尊重し、多様な意見が出やすい雰囲気を作る。
• ファシリテーション: 議論を円滑に進めるためのファシリテーターを置く。
• 合意形成: 最終的な決定事項を明確にし、参加者全員が合意できるようにする。

3. 決定事項の明確化と実行計画の策定

決定事項を明確にし、具体的な実行計画を策定することで、実行可能性を高め、効果的なケアにつなげることができます。

• 決定事項の明確化: 決定事項を具体的にまとめ、記録に残す。
• 実行計画の策定: 実行計画を策定し、誰が、いつ、何をするのかを明確にする。
• 進捗管理: 実行計画の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて修正する。

4. 振り返りと改善

ミーティング後には、振り返りを行い、改善点を見つけることで、より効果的なミーティング運営につなげることができます。

• 振り返りの実施: ミーティング後、振り返りを行い、良かった点、改善点を洗い出す。
• 改善策の検討: 改善点に対する具体的な対策を検討する。
• 継続的な改善: 改善策を実行し、効果を検証し、継続的に改善を続ける。

これらの対策を実行することで、デイサービスの現場におけるミーティングの質を向上させ、決定事項の実行率を高めることができます。チームワークを強化し、より質の高いケアを提供することで、利用者の方々の満足度も向上し、スタッフのモチベーションも高まるでしょう。

まとめ

デイサービスの現場では、ミーティングで決定したことが実行に移されない、またはすぐに中断されてしまうという問題が起こりがちです。しかし、この問題は、コミュニケーション不足、現場の負担、チームワークの欠如、評価とフィードバックの不足など、様々な要因が複雑に絡み合っていることが原因です。本記事では、これらの原因を深掘りし、それぞれの問題に対する具体的な対策を提案しました。特に、食事を拒否する高齢者への対応という具体的な事例を通して、段階的なアプローチ、継続的な観察と記録、チーム全体での協力体制の重要性を示しました。さらに、ミーティングを成功させるためのポイントとして、明確な目的と議題の設定、活発な意見交換と合意形成、決定事項の明確化と実行計画の策定、振り返りと改善を挙げました。これらの対策を実行することで、デイサービスの現場におけるミーティングの質を向上させ、決定事項の実行率を高めることができます。チームワークを強化し、より質の高いケアを提供することで、利用者の方々の満足度も向上し、スタッフのモチベーションも高まるでしょう。もし、職場で同様の問題に直面している場合は、この記事で紹介した対策を参考に、チーム全体で協力し、より良いケアを提供できるよう努めてください。

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