サ高住事務員が抱える、入居者の財産管理と家族対応の悩み解決策

この記事では、サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）の事務員として働くあなたが直面している、入居者の財産管理に関する問題と、ご家族とのコミュニケーションにおける課題について、具体的な解決策を提示します。特に、認知症の入居者の金銭管理、ご家族との関係悪化、そして施設としての法的責任と自己防衛の観点から、実践的なアドバイスを提供します。

私はサ高住の事務員です。入居者様が多額の預貯金や現金を所持されている事を知りました。ご家族やケアマネもご承知の事です。ご本人様とご家族の関係が悪くて、私はお会いした事がありません。本人様は認知症がまだらに出る状態の要支援2です。動きに特別な不自由はありません。夏ごろまでは、自転車で買い物にも行かれていましたが、迷子になられたり、転んだりとされるので、今は私が付き添って銀行や買い物に毎月出かけています。ATMの操作や買い物の支払いはご本人様がされていましたが、次第に難しくなってきて、私が補助しています。利用者様は印鑑も通帳も一緒にバックに入れて持ち歩き、通帳やキャッシュカードの暗証番号を自分がわからなくなるので、通帳やカード本体に記入されています。そして置き去りにされます。簡単に盗めて、簡単に悪用されます。その状況をご家族に電話で説明をしたうえで、施設に来て欲しいとお願いしているのですが、なかなか応じてもらえません。『お金と一緒に消えてなくなって欲しい』というのが本意のようです。本人の自己管理がむずかしいのは以前からのようで、ご家族が管理しようとしたのですが、本人から激しく抵抗され息子も杖で殴られたそうです。そういった経緯から、一切お金の事で口を出したくないし、何も関わりたくないと言われます。そういった中で、私はご家族あてに文書を出した方がいいと考えています。財産管理や貴重品管理に対して、施設は一切の責任を負いません、といった内容の文書です。ご本人が亡くなった後に家族から何か疑われたり、責任を追及されない為の自己防衛として、署名捺印をいただきたいのです。その文書の書き方で悩んでおります。

『平素よりひとかたならぬご愛顧をいただき感謝いたします』などそらぞらしい気がします。ほとんど、関わらないご家族に対しては省いた方が賢明ですか？何か丁度良いあいさつ文がありますでしょうか？

書き終わりは『弊社では一切の責任を負いません。』という文章で終わると冷たい感じがします。あとに続く良い文章を教えて下さい。

前文では『出来る限りの安全管理を心掛けていて、ご本人様やご家族の相談にも誠意ある対応をするよう努力しています』と前置きしております。『それにはあくまでも限界があり、財産管理や防犯等の責任を負うものではありません。』としたうえで、伝えたい一文は『一切の責任は負えません』なのです。言い切った方がいいでしょうか？

ちなみに、差出人は社長の名前で出します。

1. 問題の本質を理解する：サ高住事務員のジレンマ

あなたは、サ高住の事務員として、認知症の入居者の財産管理という非常にデリケートな問題に直面しています。入居者の金銭管理能力の低下、ご家族との関係悪化、そして施設としての法的責任という、三つの要素が複雑に絡み合い、あなたを悩ませていることでしょう。特に、ご家族が財産管理に消極的で、施設に責任を押し付けようとする姿勢は、あなたの負担をさらに大きくしています。この問題は、単なる金銭管理の問題にとどまらず、入居者の尊厳、ご家族の心情、そして施設の運営という、多角的な視点から解決策を検討する必要があります。

2. 状況の整理と法的リスクの明確化

まず、現状を整理し、法的リスクを明確にすることが重要です。入居者の財産が危険にさらされている状況は、施設として看過できない問題です。具体的には、以下のリスクが考えられます。

• 盗難や詐欺のリスク: 入居者が現金や通帳、キャッシュカードを自分で管理しているため、盗難や詐欺の被害に遭う可能性が高まります。
• 法的責任のリスク: 万が一、入居者の財産に損害が生じた場合、施設側に管理責任を問われる可能性があります。
• 家族とのトラブル: 入居者の死亡後、ご家族から財産管理に関する責任を追及される可能性があります。

これらのリスクを回避するために、施設としての対応策を講じる必要があります。

3. ご家族への文書作成：法的リスクを軽減するための第一歩

ご家族への文書作成は、法的リスクを軽減するための有効な手段です。しかし、単に「一切の責任を負いません」と伝えるだけでは、冷たい印象を与え、かえってご家族との関係を悪化させる可能性があります。そこで、以下の点に注意して文書を作成しましょう。

3.1. あいさつ文の工夫

形式的なあいさつ文は、ご家族との関係性によっては不自然に感じられることがあります。そこで、以下のような、より丁寧で、状況に即したあいさつ文を検討しましょう。

例1：

「〇〇様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。平素は、〇〇様（入居者氏名）の施設での生活にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。」

例2：

「〇〇様　この度は、〇〇様（入居者氏名）の施設での生活について、いくつかご報告させて頂きたく、書面にてご連絡申し上げます。」

これらのあいさつ文は、ご家族との関係性に関わらず、相手に不快感を与えにくい、丁寧な表現です。状況に応じて使い分けましょう。

3.2. 本文の構成と表現

本文では、現在の状況を客観的に説明し、施設としての対応と限界を明確に伝えることが重要です。以下は、本文の構成例です。

1. 現状の説明: 入居者の金銭管理能力の現状、財産管理におけるリスク、施設としての対応（例：定期的な声かけ、見守りなど）を具体的に説明します。
2. 施設の対応と限界: 施設として行えること（例：金銭管理に関するアドバイス、相談対応など）と、行えないこと（例：財産の管理、紛失時の責任など）を明確に区別して説明します。
3. ご家族への協力のお願い: ご家族に、入居者の財産管理について、具体的な協力（例：成年後見制度の利用、金銭管理方法の検討など）を促します。
4. 免責事項: 施設としての責任の範囲を明確にし、免責事項を記載します。

例文：

「〇〇様（入居者氏名）様におかれましては、現在、金銭管理が困難な状況にあり、現金や通帳の管理に不安があるため、施設職員が見守りや声かけを行っております。しかしながら、施設の運営上、〇〇様の財産を管理することはできません。万が一、紛失や盗難などの被害が発生した場合、施設は一切の責任を負いかねますことをご承知おきください。つきましては、〇〇様の財産管理につきましては、ご家族様にてご検討頂きますようお願い申し上げます。成年後見制度のご利用などもご検討頂ければ幸いです。」

3.3. 書き終わりの文章

「一切の責任を負いません」という言葉だけでは、冷たい印象を与えがちです。そこで、以下のような文章で締めくくり、施設としての誠意を示すようにしましょう。

例：

「〇〇様の安全で安心な生活をサポートするため、今後もできる限りの範囲で協力させていただきます。ご不明な点がございましたら、いつでもご相談ください。」

この文章は、施設としての姿勢を示しつつ、ご家族との良好な関係を築くための努力を伝えるものです。

3.4. 文書の作成と送付のポイント

• 専門家への相談: 文書作成にあたっては、弁護士や行政書士などの専門家に相談し、法的観点からのアドバイスを受けることを推奨します。
• 記録の保管: 文書の送付記録（内容証明郵便など）や、ご家族とのやり取りの記録を保管し、後々のトラブルに備えましょう。
• 丁寧な説明: 文書を送付する際には、電話などで事前に説明を行い、ご家族の理解を得るように努めましょう。

4. 財産管理に関するその他の対策

文書の作成だけでなく、入居者の財産管理に関するその他の対策も講じる必要があります。以下に、具体的な対策をいくつかご紹介します。

4.1. 家族とのコミュニケーションの再構築

ご家族との関係が悪化している場合でも、諦めずにコミュニケーションを試みることが重要です。以下の方法を試してみましょう。

• 定期的な連絡: 定期的に電話や手紙で、入居者の状況を報告し、近況を共有します。
• 面会のお願い: 入居者の様子を直接見ていただくために、面会を積極的に勧めます。
• 第三者の介入: ケアマネジャーや弁護士など、第三者を交えて話し合いの場を設けることも有効です。

4.2. 認知症ケアの専門知識の習得

認知症の入居者への対応には、専門的な知識とスキルが必要です。以下の方法で、知識を深めましょう。

• 研修の受講: 認知症ケアに関する研修を受講し、専門知識を習得します。
• 情報収集: 認知症に関する最新情報を収集し、日々のケアに役立てます。
• 専門家との連携: 認知症専門医や精神科医など、専門家と連携し、適切なアドバイスを受けます。

4.3. 施設内での情報共有と連携

施設内での情報共有と連携を密にすることで、入居者の状況を正確に把握し、適切な対応を行うことができます。以下の点を心がけましょう。

• 情報共有の徹底: 入居者の状況に関する情報を、スタッフ間で共有します。
• チームケアの実施: 医師、看護師、介護士、ケアマネジャーなど、多職種が連携し、チームケアを行います。
• 定期的なカンファレンスの開催: 定期的にカンファレンスを開催し、入居者の状況について話し合い、対応策を検討します。

4.4. 外部機関との連携

必要に応じて、外部機関との連携も検討しましょう。以下は、連携を検討すべき機関です。

• 地域包括支援センター: 高齢者の総合的な相談窓口として、様々な支援を提供しています。
• 成年後見制度: 認知症などにより判断能力が低下した方の財産管理や身上監護を支援します。
• 弁護士: 法的な問題について相談し、適切なアドバイスを受けます。
• 行政書士: 遺言書の作成や、相続に関する手続きをサポートします。

5. 成功事例から学ぶ：他施設の取り組み

他のサ高住や介護施設が、同様の問題にどのように対応しているかを知ることは、あなたの問題解決に役立つヒントとなるでしょう。以下に、いくつかの成功事例をご紹介します。

5.1. 事例1：家族との連携強化

あるサ高住では、入居者の家族との定期的な面談を実施し、入居者の状況や財産管理に関する情報を共有しています。また、家族向けの勉強会を開催し、成年後見制度や相続に関する知識を提供しています。その結果、家族の理解と協力を得ることができ、財産管理に関するトラブルを未然に防ぐことに成功しました。

5.2. 事例2：専門家との連携

別のサ高住では、弁護士や行政書士などの専門家と連携し、入居者の財産管理に関する相談体制を構築しています。入居者や家族からの相談に専門家が対応し、適切なアドバイスを提供することで、法的リスクを軽減しています。また、専門家によるセミナーを開催し、入居者や家族の知識向上にも貢献しています。

5.3. 事例3：情報公開と透明性の確保

あるサ高住では、入居者の財産管理に関する情報を、入居者や家族に定期的に公開しています。具体的には、金銭出納帳の開示や、領収書の保管などを行い、透明性を確保しています。これにより、入居者や家族からの信頼を得ることができ、トラブルを未然に防ぐことに成功しました。

6. まとめ：あなたの行動が未来を創る

サ高住の事務員として、入居者の財産管理に関する問題は、非常に複雑で、解決が難しいと感じるかもしれません。しかし、諦めずに、一つずつ課題を解決していくことが重要です。この記事でご紹介した解決策を参考に、法的リスクを軽減し、ご家族との関係を改善し、入居者の安心・安全な生活をサポートしましょう。あなたの行動が、入居者とご家族の未来を明るく照らすはずです。

この記事を読んで、さらに具体的なアドバイスが必要だと感じたら、専門家への相談を検討しましょう。あなたの状況に合わせた的確なアドバイスを受けることで、問題解決への道が開けるはずです。

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