84歳、要介護1の父、認知症の疑い…脳外科で異常なしでも精神科受診は必要？

84歳、要介護1の父のことでご相談します。身体の方は、年齢の割に、しっかりしていて、身辺のことももほぼ自立しています。ただ、この頃、行動におかしなところがちょくちょく見られるようになり、同じことを何度も聞いてきたり、自分勝手な行動が目立つようになったり、思い込みが強くなり、土曜日は完全休診と分かっているはずなのに病院にどうしても行く、と言ってきかなかったり、精神面での変化が見られるようになってきました。とりあえず、ケアマネージャーさんとも相談して、脳外科を受診しましたが、MRI検査では、異常は見られず、簡単な質問に答える、という認知症の簡易検査(？)も異常はない、とのことでした。しかし行動的な変化は改善したわけではないので、機会があれば精神科受診も考えています。そこでお伺いしたいのですが、認知症に関して脳外科受診で異常がなくても、精神科で異常が見つかる、ということはあるのでしょうか？

脳外科検査で異常なしでも、精神科受診が必要な理由

ご心配ですね。84歳、要介護1のお父様の状況、そしてご自身の葛藤、よく分かります。結論から申し上げますと、脳外科検査で異常がなくても、精神科で認知症やその他の精神疾患が発見されることは十分にあり得ます。MRI検査は脳の器質的な異常（腫瘍や出血など）を検出するのに優れていますが、認知症の原因となる脳の微細な変化や、精神疾患を直接的に示すものではありません。

脳外科では主に脳の構造的な問題を探しますが、精神科では、認知機能、感情、行動、思考パターンといった精神状態全体を評価します。お父様の「同じことを何度も聞く」「自分勝手な行動」「思い込みが強い」「休診日にもかかわらず病院に行こうとする」といった症状は、認知症の中でもアルツハイマー型認知症やレビー小体病、血管性認知症、あるいはうつ病、不安障害といった精神疾患の可能性を示唆しています。

例えば、レビー小体病は、初期症状として認知機能の低下に加え、幻覚や妄想といった精神症状が現れることが多く、MRI検査では異常が見つからないケースも少なくありません。また、うつ病や不安障害は、認知機能の低下を伴うこともあり、高齢者の場合、症状が認知症と似ているため、見分けがつきにくいことがあります。

ケーススタディ：異なるアプローチによる診断の重要性

私のキャリア支援における経験から、あるシニア層の転職希望者のケースをご紹介します。彼は、仕事でミスが増え、周囲とのコミュニケーションに支障をきたし始めました。最初は、年齢による能力低下と捉えられていましたが、精神科医による精密検査の結果、軽度の認知症と診断されました。脳外科的な異常はなかったものの、精神科的なアプローチによって、彼の症状の原因が特定され、適切なサポート体制を整えることができました。このケースからも分かるように、異なる専門分野からのアプローチが、正確な診断と適切な対応に繋がるのです。

専門家による詳細な評価：精神科医の役割

精神科医は、詳細な問診、精神状態の評価、神経心理学的検査などを用いて、お父様の症状の原因を特定しようとします。認知機能検査では、記憶力、注意、計算力、判断力などを評価し、認知機能の低下があるかどうかを調べます。必要に応じて、血液検査や脳波検査なども行われる場合があります。

精神科医は、診断に基づいて、薬物療法、認知行動療法、精神療法などの治療法を提案します。また、介護方法や生活環境の調整についてもアドバイスをしてくれます。さらに、ご家族へのサポートも重要です。認知症の介護は大変な負担がかかりますので、ご家族が安心して介護に取り組めるよう、精神科医やケアマネージャー、地域包括支援センターなどが連携してサポート体制を整えることが重要です。

比較検討：脳外科と精神科の役割の違い

| 項目 | 脳外科 | 精神科 |
|—————|———————————————|———————————————|
| **主な対象** | 脳の器質的疾患（腫瘍、出血、外傷など） | 精神疾患、認知症（精神症状を伴うもの） |
| **検査方法** | MRI、CT、脳波など | 問診、精神状態評価、神経心理学的検査、血液検査など |
| **治療方法** | 手術、薬物療法 | 薬物療法、精神療法、認知行動療法、環境調整など |
| **お父様のケースでの役割** | 脳の器質的異常の有無の確認 | 認知機能、行動、感情などの精神状態の評価、診断、治療 |

チェックリスト：精神科受診を検討すべきサイン

お父様の状態が下記のチェックリストに当てはまる項目が多い場合は、精神科受診を検討することをお勧めします。

• 同じ質問を何度も繰り返す
• 以前はできていたことが、できなくなっている
• 記憶力が低下している
• 判断力が低下している
• 現実離れした発言や行動をする
• 感情の起伏が激しい
• 周囲とのコミュニケーションがうまく取れない
• 意欲や関心が低下している
• 不潔になったり、身だしなみに無頓着になったりする
• 徘徊する

具体的なアドバイス：精神科受診へのステップ

1. **信頼できる精神科医を探す**: 地域の精神科医を紹介してくれるケアマネージャーや、かかりつけ医に相談しましょう。
2. **受診の予約**: 精神科医の予約は、場合によっては数週間かかることもありますので、早めに予約を取りましょう。
3. **必要な情報収集**: お父様の症状、病歴、生活状況などを整理しておきましょう。写真やメモがあると便利です。
4. **ご家族の参加**: 可能であれば、ご家族で受診し、医師と相談しましょう。
5. **継続的なケア**: 診断後も、定期的に通院し、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。

まとめ

脳外科検査で異常がなくても、精神科受診によって認知症やその他の精神疾患が発見される可能性は十分にあります。お父様の症状を放置せず、専門医による適切な診断と治療を受けることが重要です。ご自身の不安や負担を軽減するためにも、ケアマネージャーや地域包括支援センターなどのサポートを積極的に活用し、ご家族みんなで乗り越えていきましょう。

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