訪問看護師の緊急時対応と介護保険算定：痰吸引時の疑問を解決！

訪問看護ステーションにて看護師をしています。 利用者を訪問しているヘルパーから、痰が絡んで苦しそうにしているが対応はどうしたら良いかと連絡が入り、上司から吸引機を持って訪問に向かうよう指示があり向かいました。ヘルパーは退室しており、私が痰吸引をしました。看護・介護職員連携強化加算の届出をしておらず、痰吸引した日から緊急時訪問看護加算を算定することになりましたが、疑問があり質問させて下さい。1、介護保険の緊急時訪問看護加算を算定していない利用者へ訪問して良いのか 2、ケアプランに位置付いていないが良いのか 3、看護・介護職員連携強化加算は算定できないが良いのか 4、ステーションの吸引機を無償で使用して良いのか

訪問看護師として、緊急時に迅速な対応が求められる場面は少なくありません。特に、利用者の容体が急変した場合、適切な判断と行動が求められます。今回のケースでは、ヘルパーからの連絡を受け、痰吸引という緊急処置を実施されましたね。しかし、同時に介護保険の算定に関する疑問も浮かんでいるようです。この記事では、訪問看護における緊急時対応と、それに伴う介護保険算定について、具体的な事例を交えながら解説していきます。特に、**緊急時訪問看護加算**と**看護・介護職員連携強化加算**の算定要件、そして現場で起こりうる倫理的な課題にも触れ、訪問看護師としての適切な行動指針を明確にしていきます。

1. 介護保険の緊急時訪問看護加算を算定していない利用者へ訪問して良いのか？

結論から言うと、緊急時訪問看護加算を算定していない利用者であっても、緊急性の高い状況であれば訪問して痰吸引を行うことは適切です。 介護保険法では、利用者の急変時など緊急性の高い状況において、ケアプランに記載されていないサービスであっても、必要とされる医療的ケアを提供することが認められています。

重要なのは、「緊急性」の判断です。今回はヘルパーから「痰が絡んで苦しそう」という連絡が入っており、利用者の生命の危険性や健康状態の急激な悪化が懸念される状況でした。この状況は、緊急性の高い状況と判断できます。

しかし、単に「苦しそう」という主観的な情報だけでは不十分です。客観的な指標として、呼吸困難の程度、SpO2（動脈血酸素飽和度）の低下、呼吸音の変化などを確認し、記録しておくことが重要です。これらの情報を基に、緊急性の有無を判断し、訪問看護の必要性を明確にしましょう。記録は、後々の算定や説明責任を果たす上で非常に重要です。

2. ケアプランに位置付いていない訪問は良いのか？

ケアプランに位置付いていない訪問であっても、緊急時であれば問題ありません。 ケアプランは、利用者の状態やニーズに基づいて作成される計画ですが、予期せぬ事態が発生する可能性も考慮する必要があります。緊急時訪問看護加算は、まさにそのような状況に対応するための算定です。

ただし、緊急時対応後には、速やかにケアマネジャーと連携し、ケアプランの見直しを行いましょう。今回の痰吸引を踏まえ、今後同様の事態が発生した場合の対応策をケアプランに盛り込むことで、より安全で質の高いケアを提供できるようになります。これは、利用者への安全確保だけでなく、訪問看護ステーションとしての責任を果たす上でも不可欠です。

3. 看護・介護職員連携強化加算は算定できないのか？

今回のケースでは、看護・介護職員連携強化加算の算定は難しいでしょう。 この加算は、事前に届出を行い、看護師と介護職員が連携して計画的にサービスを提供した場合に算定できます。今回の痰吸引は、ヘルパーからの緊急連絡を受けて、急遽対応したものです。計画的な連携とは言い難いため、この加算の算定要件を満たしていないと考えられます。

しかし、この経験を活かして、今後ヘルパーとの連携を強化し、緊急時の対応マニュアルを作成したり、定期的な情報共有の場を設けるなど、よりスムーズな連携体制を構築していくことが重要です。これは、看護・介護職員連携強化加算の算定とは別に、利用者にとってより安全で質の高いサービスを提供するためにも不可欠です。

4. ステーションの吸引機を無償で使用して良いのか？

ステーションの吸引機を無償で使用することは、原則として問題ありません。 訪問看護ステーションは、利用者へのサービス提供に必要な備品を備えていることが通常です。吸引機もその一つであり、業務遂行のために必要なものです。

ただし、吸引機の管理やメンテナンスは適切に行う必要があります。吸引機の使用方法、消毒方法、点検方法などを熟知し、適切な管理を行うことで、感染症対策や機器の故障を防ぐことができます。また、吸引機の使用状況などを記録しておくことも重要です。

緊急時対応における倫理的な課題

緊急時対応においては、医療的な判断だけでなく、倫理的な側面も考慮する必要があります。例えば、利用者の意思決定能力が低下している場合、家族や代理人の同意を得ることが重要です。また、緊急時であっても、利用者のプライバシーに配慮した対応を行う必要があります。

さらに、今回のケースのように、ヘルパーが退室していた点も考慮すべき点です。ヘルパーの対応について、ステーションとして適切な指導や教育を行っているか、確認する必要があります。

まとめ

訪問看護師は、緊急時にも迅速かつ適切な対応が求められます。今回のケースでは、緊急性の高い状況と判断し、痰吸引を行うことは適切な対応でした。しかし、介護保険の算定や倫理的な側面についても、十分に考慮する必要があります。

緊急時対応マニュアルの作成、ヘルパーとの連携強化、ケアプランの見直しなど、日頃から準備をしておくことで、より安全で質の高いケアを提供できるようになります。 また、不明な点や不安な点があれば、上司や先輩、ケアマネジャーなどに相談し、適切なアドバイスを得ることが重要です。

さらに、訪問看護の現場では、様々な場面で判断に迷うことがあります。そのような時は、一人で抱え込まず、専門家の意見を聞くことをお勧めします。