デイサービスにおける緊急時対応：意識消失時の適切な判断と救急車要請のタイミング

デイサービスで働いている介護士です。少人数のため緊急事態のときに自分だけか2人くらいで判断しないといけないことがあります。先日利用者さんが椅子に座ったままニコニコした表情になり意識がなくなりました。いびきのような呼吸になり、脳梗塞や脳卒中かと思いましたが、一緒にいた先輩が『一旦寝かせて様子をみよう』といいました。結局そのまま血圧が上がったり下がったりして落ち着かれ意識が戻ったのですが、緊急時に寝かせていていいのか救急車を呼ぶのか判断がつきません。血圧が低い方なのですがすごく高くなって怖かったです。いびきのような呼吸で意識がなくても救急車を呼ばなくていいのでしょうか。救急車のタイミングがわかりません。身体の元気な方がほとんどでそういうことは何年かに1度しかないのですが、何のマニュアルもなく不安です。

デイサービスにおける介護業務は、利用者様の安全確保が最優先です。少人数体制での勤務は、緊急事態への対応において迅速かつ的確な判断が求められるため、不安を感じるのは当然のことです。今回のケースのように、利用者様の意識消失は、脳血管障害などの重篤な事態を疑わせるため、的確な判断と迅速な対応が不可欠です。本記事では、意識消失時の対応、救急車要請の判断基準、そして日々の業務におけるリスク管理について、具体的な事例を交えながら解説します。

意識消失時の初期対応：落ち着いて状況把握から

まず、意識消失時の初期対応として最も重要なのは、落ち着いて状況を把握することです。パニックに陥らず、以下の手順で対応しましょう。

1. 意識レベルの確認：利用者様の意識レベルを確認します。呼びかけに反応するか、痛み刺激に反応するかなどを確認し、記録に残しましょう。これは、後日の医療機関への説明や、自身の判断の根拠として重要になります。
2. 呼吸状態の確認：呼吸の有無、呼吸の深さ、呼吸数などを確認します。いびきのような呼吸は、呼吸困難を示唆する場合もあります。呼吸が浅い、または停止している場合は、すぐに救急車を要請しましょう。
3. 脈拍の確認：脈拍を確認し、強さやリズムを記録します。脈拍が弱いか、または触知できない場合は、緊急性を高めます。
4. 血圧の測定：血圧計があれば、血圧を測定します。急激な血圧変動は、脳血管障害などの危険信号となる可能性があります。高血圧や低血圧のいずれも注意が必要です。
5. 周囲の状況確認：周囲に危険がないか確認します。転倒の危険性や、他の利用者様への影響などを考慮しましょう。

これらの確認事項を迅速に行い、記録に残すことで、救急隊員への正確な情報伝達が可能になります。また、自身の判断の根拠となり、後々の責任追及からも身を守ることにも繋がります。

救急車要請の判断基準：迷ったら呼ぶ！が鉄則

救急車要請の判断基準は、明確なマニュアルがないため、現場の判断が重要になります。しかし、「迷ったら呼ぶ」というスタンスが重要です。利用者様の命に関わる可能性がある状況では、少しでも不安があれば、躊躇せず救急車を要請しましょう。

救急車を呼ぶべき状況の例を挙げます。

• 意識レベルが低下している（呼びかけに反応しない、痛み刺激に反応しない）
• 呼吸が浅い、または停止している
• 脈拍が弱いか、または触知できない
• 血圧が急激に上昇または低下している
• けいれん発作を起こしている
• 胸痛を訴えている
• 顔面麻痺などの神経症状が現れている

これらの症状に加え、利用者様の既往歴（高血圧、糖尿病、心臓病など）も考慮する必要があります。既往歴がある場合は、より慎重な判断が必要となります。

ケーススタディ：意識消失事例からの学び

質問者様のケースでは、利用者様が椅子に座ったまま意識を失い、いびきのような呼吸をしていたとのことです。これは、呼吸はしているものの、意識レベルが低下している状態を示唆しています。先輩の判断として「一旦寝かせて様子を見る」という対応は、状況によっては適切な場合もありますが、リスクも伴います。血圧の急激な変動があったことから、脳血管障害などの可能性も否定できません。このケースでは、より詳細な観察と、状況変化への迅速な対応が求められました。

もし、呼吸が浅くなったり、脈拍が弱くなったり、意識レベルがさらに低下した場合には、すぐに救急車を要請すべきでした。後になって「もっと早く対応すればよかった」と後悔するよりも、迅速な対応が最善です。

日々の業務におけるリスク管理：予防と教育の重要性

緊急事態への対応は、日々の業務におけるリスク管理が重要です。少人数体制での勤務では、より一層の注意が必要です。以下のような対策を講じましょう。

• 定期的な研修：意識消失時の対応、救急車要請の判断基準、心肺蘇生法（BLS）などの研修を定期的に実施し、スタッフのスキル向上を図りましょう。
• マニュアルの作成：意識消失時などの緊急時対応マニュアルを作成し、全スタッフで共有しましょう。マニュアルには、具体的な手順や連絡先などを記載します。イラストや図表などを活用すると、理解度が向上します。
• 連携体制の構築：近隣の医療機関や救急隊との連携体制を構築しましょう。緊急時に迅速な対応ができるよう、連絡先などを事前に確認しておきましょう。
• 健康状態の把握：利用者様の健康状態を把握し、リスクの高い利用者様に対しては、より注意深い対応を行いましょう。定期的な健康チェックや、必要に応じて医師への相談を行うことも重要です。

これらの対策を通じて、緊急事態への対応能力を高め、利用者様の安全を確保しましょう。

まとめ

デイサービスにおける少人数体制での勤務は、緊急事態への対応において、迅速かつ的確な判断が求められます。意識消失時の対応は、落ち着いて状況を把握し、呼吸、脈拍、血圧などを確認することが重要です。迷ったら救急車を呼ぶというスタンスで、利用者様の安全を最優先しましょう。日々の業務におけるリスク管理、定期的な研修、マニュアルの作成、連携体制の構築などを通じて、緊急事態への対応能力を高め、安心して介護業務に取り組める環境づくりを目指しましょう。

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