「病は気から」を乗り越える！おばあ様の健康不安と、介護職が実践できる心のケア

この記事では、ご家族の健康に関する不安を抱えているあなた、特に高齢者の心のケアに携わる介護職の方々に向けて、具体的なアドバイスを提供します。ご家族や入居者の「病は気から」という状態にどのように対応し、心身の健康をサポートできるのか、具体的な方法をケーススタディを交えて解説します。

老人ホームにいる祖母（88歳）が「○○が痛いから病院に連れて行ってほしい」と、よく言うのですが実際には何処も悪くなく”病は気から”を実践して見せているという感じです。

ホームの医師・看護士さんから「病気ではない」と説明しても納得しません。

今回は”目”と”膀胱”で、やはり医師の説明では「実際にはなんともない」ということでした。

以前、のどが痛いと言われたときに「蜂蜜はのどに凄く良いんだよ」と言って飲ませると「とても良く効いた」と言っていたので、今回も”民間療法”をしてみようと思ったのですが、何が効くと言われているのか判らず困っています。

目はサプリも考えましたが、大量に飲みたがる恐れがあるので、できれば他のモノを・・・と考えています。

コレは良いと言われている、というモノがあれば教えてください。

よろしくお願いします。

はじめに：高齢者の「病は気から」への理解

高齢者の健康問題は、身体的な症状だけでなく、精神的な側面も大きく影響します。「病は気から」という言葉があるように、心の状態が身体の不調に繋がることは珍しくありません。特に高齢者は、加齢に伴う身体機能の低下や、社会的な孤立感、過去の経験などから、不安や孤独を感じやすくなっています。これらの感情が、身体的な症状として現れることがあります。介護職として、この点を理解し、患者さんの心に寄り添うことが重要です。

ケーススタディ：ミサさんの場合

88歳になるミサさんは、老人ホームでの生活を送っています。最近、ミサさんは「目がかすむ」「膀胱が痛い」と訴えることが多くなりました。医師の診察では、身体的な異常は見つからず、精神的な要因が大きいと判断されました。ミサさんは、過去に大きな病気を経験しており、健康に対する不安感が強い傾向がありました。介護士のあなたは、ミサさんの不安を解消するために、次のようなアプローチを試みました。

1. 共感と傾聴

ミサさんの訴えを真剣に聞き、共感の言葉をかけました。「それは辛いですね」「何か心配なことがあるのですか」など、感情に寄り添う言葉をかけることで、ミサさんは安心感を得て、心を開きやすくなります。

2. 安心できる環境づくり

ミサさんが安心して過ごせる環境を整えました。例えば、明るく清潔な部屋、好きな音楽を流す、趣味の時間を設けるなど、心身ともにリラックスできる空間を提供しました。

3. 認知行動療法的なアプローチ

ミサさんの不安を具体的に把握し、それに対する現実的なアドバイスを行いました。例えば、「目がかすむ」という訴えに対しては、「今日はよく見えるように、窓辺で一緒に体操をしましょう」と提案し、実際に軽い運動を行うことで、気分転換を図りました。「膀胱が痛い」という訴えに対しては、「水分をこまめに摂りましょう。トイレに行く回数が増えても大丈夫ですよ」と声をかけ、安心感を与えました。

4. 家族との連携

ミサさんのご家族と連携し、ミサさんの状態や変化を共有しました。ご家族からも、ミサさんの過去の経験や性格、好きなことなどを聞き出し、ケアに役立てました。家族からの励ましや愛情は、ミサさんの心の支えとなり、不安を軽減する効果がありました。

5. 趣味や楽しみの提供

ミサさんの好きなことや興味のあることを聞き出し、それらを楽しめる機会を設けました。例えば、昔の写真を見ながら思い出話をする、手芸や絵を描く、音楽を聴くなど、心豊かな時間を過ごせるようにサポートしました。

具体的な対応策：症状別のケア

ご相談内容にある「目」と「膀胱」の症状に対する具体的な対応策を、以下に示します。

目の症状に対するケア

• 視力検査と眼科受診の勧奨: 定期的な視力検査を行い、必要であれば眼科医に相談することを勧めます。目の状態を正確に把握することで、安心感を与えることができます。
• 明るい環境の提供: 部屋の照明を明るくし、読書や手芸などを行う際には、十分な光を確保します。
• 目の体操: 目を休ませるための体操を一緒にします。例えば、遠くの景色を見たり、目を閉じたりする運動です。
• サプリメント以外の選択肢: サプリメントに抵抗がある場合は、目に良いとされる食べ物を勧めます。例えば、ブルーベリーやカシス、ほうれん草など、抗酸化作用のある食品です。ただし、アレルギーの有無や、持病との関係を考慮し、医師や栄養士に相談することが重要です。
• 安心感を与える言葉: 「目がかすむのは、年齢によるものもありますが、心配ありませんよ」など、安心できる言葉をかけます。

膀胱の症状に対するケア

• 水分摂取の指導: こまめな水分補給を促し、脱水を防ぎます。ただし、夜間の頻尿を避けるために、夕食後の水分摂取は控えるなど、個別の状況に合わせた指導が必要です。
• トイレ環境の整備: トイレまでの移動を安全に行えるように、手すりの設置や、夜間の照明の確保などを行います。
• 排尿習慣の指導: トイレに行くタイミングを決め、排尿を促します。排尿記録をつけ、排尿回数や量を把握することも有効です。
• 温罨法: 膀胱のあたりを温めることで、痛みを和らげることができます。
• 安心感を与える言葉: 「膀胱の痛みは、年齢とともに起こりやすくなりますが、心配ありません。我慢せずに、いつでもトイレに行ってくださいね」など、安心できる言葉をかけます。

介護職が心がけるべきこと

高齢者の「病は気から」に対応する上で、介護職は以下の点を心がけることが重要です。

• 傾聴と共感: 利用者の訴えを真剣に聞き、共感の言葉をかけることで、安心感を与えます。
• 情報収集: 利用者の過去の病歴や生活習慣、性格などを把握し、個別のケアに役立てます。
• 多職種連携: 医師、看護師、理学療法士、作業療法士など、多職種と連携し、包括的なケアを提供します。
• 自己学習: 高齢者の心理や精神疾患に関する知識を深め、専門性を高めます。
• ストレス管理: 介護職自身も、ストレスを抱えやすい環境にいるため、適切なストレス管理を行い、心身の健康を保ちます。

民間療法について

ご相談者様が検討されている民間療法について、注意点と、取り入れられる可能性のあるものを紹介します。

注意点

• 医師の診断を優先: 民間療法は、あくまで補助的なものであり、医師の診断や治療に代わるものではありません。必ず医師の指示に従いましょう。
• 安全性: 民間療法の中には、科学的な根拠がないものや、副作用のリスクがあるものもあります。安全性を確認し、専門家に相談してから試しましょう。
• 過度な期待をしない: 民間療法は、効果に個人差があり、必ずしも効果があるとは限りません。過度な期待をせず、気長に取り組むことが大切です。

取り入れられる可能性のあるもの

• アロマテラピー: ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果のあるアロマオイルを使用します。
• ハーブティー: カモミールやペパーミントなど、リラックス効果や消化促進効果のあるハーブティーを試してみます。
• 音楽療法: 好きな音楽を聴いたり、楽器を演奏したりすることで、気分転換を図ります。
• 軽い運動: ウォーキングやストレッチなど、軽い運動を行うことで、心身のリフレッシュを図ります。
• 食事療法: バランスの取れた食事を心がけ、体に良いとされる食品を取り入れます。

これらの民間療法を取り入れる際には、必ず医師や専門家に相談し、本人の状態に合わせて、安全に行うようにしましょう。

専門家への相談と、さらなるサポート

高齢者の心のケアは、専門的な知識と経験が必要です。必要に応じて、精神科医や臨床心理士などの専門家に相談し、適切なアドバイスやサポートを受けることが重要です。また、介護施設によっては、レクリエーションや音楽療法など、専門家によるプログラムを提供している場合があります。積極的に活用しましょう。

まとめ：介護職が果たす役割

高齢者の「病は気から」に対応するためには、介護職は、利用者の心に寄り添い、安心感を与えることが重要です。傾聴と共感、情報収集、多職種連携、自己学習、ストレス管理などを通して、質の高いケアを提供しましょう。今回ご紹介したケーススタディや具体的な対応策を参考に、日々の業務に活かしてください。

高齢者の心のケアは、介護職の重要な役割の一つです。あなたの温かい心遣いと専門的な知識が、高齢者の心身の健康を支え、豊かな生活をサポートすることに繋がります。

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