81歳祖母の認知症。施設は拒否、どう接する？仕事との両立と、今できること

一人暮らしの81歳のお祖母様が認知症の症状を発症し、あなたはその対応に苦慮されているのですね。お祖父様を亡くされたことがきっかけで症状が進み、施設への入居も拒否されているとのこと。お風呂の入り方や金銭管理、さらには万引きといった問題行動も見られ、ご家族としての対応に限界を感じている状況、大変お辛いことと思います。

一人暮らし、８１歳の祖母が痴呆気味です。祖父を亡くしてから急に呆けはじめました。以前、同居をしようと持ちかけましたが、違う家（祖母の娘＝私の母の家）では勝手が違うし自由に出来ないのでイヤだと言います。でも最近は、お風呂の入れ方も判らず、怖いと言ってしょっちゅう母に電話してきます。この間は万引きをして、警察に呼び出されました。（でもそのことすらもう忘れてしまっています）最近はお金に執着が出てきたらしく、お金の事ばかり言っています。更に言えば、被害妄想も激しくなってきています。もう限界かとは思いますが、本人はプライドが高く自分はボケていないと思い込んでいるので施設や病院といった言葉は禁句です。（実際まともな瞬間もあるので・・・）今は週末だけ、私の母の家に泊まりに来ることにしています。一体これから、どのように接し、扱っていったら良いのでしょうか・・・どなたか、アドバイスお願い致します・・・

この記事では、認知症のお祖母様とのより良い関係を築き、ご家族の負担を軽減するための具体的なアドバイスを提供します。仕事との両立をしながら、お祖母様のQOL（Quality of Life：生活の質）を維持するためのヒント、そして将来を見据えた準備について、一緒に考えていきましょう。

1. 現状の理解と受け入れ：認知症の進行と対応の基本

まず、認知症について正しく理解することが、適切な対応の第一歩です。認知症は、単なる「物忘れ」とは異なり、脳の機能が低下することで、記憶力、判断力、理解力、そして行動に様々な影響を及ぼす病気です。進行の度合いや症状は人それぞれであり、お祖母様のように、まだ「まともな瞬間」があるケースも珍しくありません。

1-1. 認知症の種類と症状

認知症には様々な種類があり、それぞれ原因や症状が異なります。お祖母様のケースでは、アルツハイマー型認知症や、脳血管性認知症の可能性があります。初期段階では、物忘れ、言葉が出てこない、場所や時間の認識のずれなどがよく見られます。進行すると、徘徊、暴言、暴力、妄想といった症状が現れることもあります。

• アルツハイマー型認知症：最も多いタイプで、記憶障害が初期症状として現れやすいです。
• 脳血管性認知症：脳梗塞や脳出血など、脳血管の障害によって起こります。まだら認知症と呼ばれるように、症状の波があるのが特徴です。
• レビー小体型認知症：幻視やパーキンソン症状を伴うことがあります。

お祖母様の現在の症状を詳しく把握し、かかりつけ医や専門医に相談することで、適切な診断と治療を受けることが重要です。

1-2. プライドを尊重した接し方

認知症の人は、自分の症状を理解しにくい、または認めたくないという気持ちを抱えていることが少なくありません。特に、お祖母様のように「自分はボケていない」と思っている場合は、施設や病院といった言葉に強く抵抗する可能性があります。

そのような場合は、本人のプライドを傷つけないような接し方を心がけましょう。

• 否定しない： 相手の言葉や行動を頭ごなしに否定せず、「そうですね」「それは大変でしたね」など、共感の言葉をかけましょう。
• 話に耳を傾ける： 相手の話を最後まで聞き、ゆっくりと対応しましょう。
• できることは褒める： できたことや、以前できていたことを褒めることで、本人の自信を育みましょう。
• 環境を整える： 落ち着ける空間を作り、安全に配慮した環境を整えましょう。

2. 具体的な対応策：日常生活での工夫と支援

認知症の方との生活では、様々な問題に直面することがあります。ここでは、日常生活での具体的な対応策と、利用できる支援について解説します。

2-1. コミュニケーションの工夫

認知症の方とのコミュニケーションは、時に困難を伴います。しかし、いくつかの工夫をすることで、よりスムーズなコミュニケーションを図ることができます。

• ゆっくりと、分かりやすく話す： 早口で話したり、難しい言葉を使ったりせず、ゆっくりと、短く分かりやすい言葉で話しましょう。
• ジェスチャーや表情を活用する： 言葉だけではなく、身振り手振りや表情を使って、相手に伝えましょう。
• 質問の仕方を工夫する： 「はい」か「いいえ」で答えられるような、簡単な質問をしましょう。
• 落ち着いて対応する： 相手が興奮したり、混乱したりした場合は、落ち着いて対応し、話を遮らずに最後まで聞きましょう。
• 記録をつける： どのような会話をしたか、どのような行動があったか、記録をつけておくと、対応のヒントになります。

2-2. 日常生活のサポート

日常生活のサポートは、認知症の方のQOLを維持するために不可欠です。具体的なサポート内容としては、以下のものが挙げられます。

• 食事：栄養バランスの取れた食事を提供し、食べやすいように工夫しましょう。食事の時間は決まった時間に、落ち着いて食べられる環境を整えましょう。
• 入浴：安全に配慮し、本人のペースに合わせて入浴を促しましょう。入浴介助が必要な場合は、専門家のサポートを受けましょう。
• 排泄：排泄のリズムを整え、トイレへの誘導を促しましょう。排泄に関する問題がある場合は、専門家に相談しましょう。
• 着替え：着替えやすい服を選び、本人のペースに合わせて着替えを促しましょう。
• 服薬：薬の管理を行い、飲み忘れがないように注意しましょう。
• 金銭管理：金銭管理が難しくなってきた場合は、家族が管理するか、成年後見制度を利用しましょう。

2-3. 問題行動への対応

認知症に伴う問題行動は、ご家族にとって大きな負担となります。しかし、問題行動の背景には、必ず原因があります。原因を理解し、適切な対応をすることで、問題行動を軽減することができます。

• 万引き：金銭感覚の喪失や、不安感からくる行動である可能性があります。本人が万引きをした場合は、まずは落ち着いて話を聞き、なぜそのような行動をしたのかを理解しようと努めましょう。
• 徘徊：不安感や、落ち着ける場所を探している可能性があります。徘徊を防止するために、GPS機能付きの靴や、見守りサービスなどを利用することも検討しましょう。
• 暴言・暴力：恐怖や不安、不快感からくる行動である可能性があります。落ち着いて話を聞き、原因を探りましょう。安全な環境を整え、必要に応じて専門家のサポートを受けましょう。
• 物忘れ：物忘れは、認知症の代表的な症状です。何度も同じことを言ったり、物をどこに置いたか分からなくなったりすることがあります。落ち着いて対応し、根気強く説明しましょう。
• 被害妄想：誰かに嫌がらせをされている、お金を盗まれたといった妄想を抱くことがあります。否定せずに、話を聞いてあげましょう。

3. 介護保険サービスの活用と、仕事との両立

認知症の方を介護する上で、介護保険サービスの活用は非常に重要です。介護保険サービスを利用することで、ご家族の負担を軽減し、認知症の方のQOLを向上させることができます。

3-1. 介護保険サービスの申請と利用

介護保険サービスを利用するためには、まず市区町村の窓口で介護保険の申請を行う必要があります。申請後、調査員による聞き取り調査が行われ、要介護度が認定されます。要介護度に応じて、利用できる介護保険サービスの種類や、利用できる費用の上限が決まります。

• 申請窓口：お住まいの市区町村の介護保険課
• 申請に必要なもの：介護保険被保険者証、印鑑、本人確認書類など
• 認定までの流れ：申請→調査→審査→認定
• 利用できるサービス：訪問介護（ホームヘルプサービス）、訪問看護、通所介護（デイサービス）、短期入所生活介護（ショートステイ）、認知症対応型共同生活介護（グループホーム）など

3-2. 仕事との両立を支援する制度

介護と仕事を両立するためには、様々な制度やサービスを活用することが重要です。

まずは、会社の制度を確認しましょう。

介護休業、介護休暇、時短勤務などの制度を利用できる場合があります。

また、自治体や民間企業が提供する、介護に関する相談窓口や、情報提供サービスも活用しましょう。

• 介護休業： 介護が必要な家族を介護するために、最長93日まで取得できる休業制度です。
• 介護休暇： 介護が必要な家族を介護するために、年間5日まで取得できる休暇制度です。
• 時短勤務： 介護と仕事を両立するために、勤務時間を短縮できる制度です。
• 企業内の相談窓口： 介護に関する悩みや相談をできる窓口が設置されている場合があります。
• 外部の相談窓口： 介護に関する専門家（ケアマネージャー、社会福祉士など）に相談できる窓口があります。

3-3. ケアマネージャーとの連携

ケアマネージャーは、介護保険サービスを利用するための窓口となり、介護に関する様々な相談に乗ってくれます。ケアマネージャーとの連携は、介護と仕事を両立する上で非常に重要です。

• ケアプランの作成： ケアマネージャーは、利用者の状況やニーズに合わせて、ケアプランを作成します。
• サービス事業者の選定： ケアマネージャーは、適切なサービス事業者を紹介してくれます。
• サービス利用の調整： ケアマネージャーは、サービス事業者との連絡調整を行います。
• 相談対応： 介護に関する悩みや疑問について、相談に乗ってくれます。

ケアマネージャーと密に連携し、お祖母様の状況や、ご自身の状況を共有することで、より適切な介護サービスを利用し、仕事との両立を図ることができます。

4. 将来を見据えた準備：長期的な視点での対応

認知症は、進行性の病気です。将来を見据え、長期的な視点での対応を準備しておくことが重要です。

4-1. 家族間の情報共有と協力体制の構築

認知症の介護は、一人で抱え込むと心身ともに疲弊してしまいます。ご家族で協力し、情報共有を行い、互いに支え合う体制を構築することが重要です。

• 情報共有： お祖母様の状態、利用しているサービス、今後の対応などについて、家族間で情報を共有しましょう。
• 役割分担： 介護に関する役割分担を決め、それぞれの負担を軽減しましょう。
• 定期的な話し合い： 定期的に集まり、介護に関する悩みや課題について話し合いましょう。
• 家族会の活用： 同じような状況にある家族が集まる家族会に参加し、情報交換や交流を行いましょう。

4-2. 成年後見制度の検討

認知症が進むと、本人の判断能力が低下し、財産管理や契約行為が難しくなることがあります。そのような場合に備えて、成年後見制度の利用を検討しましょう。

• 成年後見制度とは： 認知症などにより判断能力が低下した方を支援する制度です。
• 後見人： 本人の財産管理や、身上監護を行います。
• 種類： 後見、保佐、補助の3種類があります。本人の判断能力に応じて、適切な制度を選択します。
• 手続き： 家庭裁判所に申し立てを行います。

4-3. 施設入居の選択肢

自宅での介護が難しくなった場合、施設入居も選択肢の一つとなります。様々な種類の施設があり、それぞれ特徴が異なります。お祖母様の状況や、ご家族の状況に合わせて、適切な施設を選びましょう。

• 特別養護老人ホーム： 介護を必要とする高齢者のための施設です。
• 介護老人保健施設： 医療ケアやリハビリテーションを提供する施設です。
• グループホーム： 認知症の高齢者が、少人数で共同生活を送る施設です。
• 有料老人ホーム： 様々な種類の有料老人ホームがあります。

施設見学を行い、施設の雰囲気や、サービス内容を確認し、お祖母様にとって最適な施設を選びましょう。

お祖母様の介護は、大変なことも多いと思いますが、決して一人ではありません。この記事でご紹介した情報や、専門家のサポートを活用し、ご自身と、お祖母様のQOLを大切にしながら、より良い未来を築いていきましょう。

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