介護とキャリアの両立：遠距離介護における家族の負担軽減と、あなたができること

この記事では、介護と仕事の両立という、多くの方が直面する可能性のある課題について、特に遠距離介護という状況に焦点を当てて解説します。ご家族の介護をしながら、ご自身のキャリアや生活をどのように両立させていくか、具体的な方法や考え方、そして利用できるサポートについて、詳しく見ていきましょう。

父の介護疲れ、祖母の状況について、改善策がありましたら教えてください。

家族構成です。

• 祖父（85歳）病気なし、要介護3、現在有料ホーム滞在
• 祖母（85歳）今年に入ってから食欲不振、激痩せ（これがきっかけで祖父がホームへ）。小さめの胃癌発見、抗癌剤治療中。5週あけて2週間投薬を繰り返しています。現在は入院中。
• 父（60歳）祖父母同居。働いています。
• 姉（25歳）実家から車で1時間の距離で婚約者と同棲中。働いています。
• 妹（24歳、私）新幹線4時間の遠方で専業主婦。6ヶ月の娘がいます。

母は5年前に病死。

父の弟（叔父）は子どもがいなく、一時間ほどの距離に奥さんと二人暮らしです。二人とも働いています。週1くらいでお見舞いにくるそうです。

祖母は半年前まで元気で、家事はもちろん祖父と父の面倒を一人でみていました。そんな元気だった祖母の変わり様に家族はとてもショックを受けています。

祖母は自宅にいる時、自分の身の回りのこと（ほとんど寝てますが）は自分でしています。食事はうどんやおかゆだけですが自分で用意します。トイレも一人で行けます。入浴はせず体を拭いてるそうです。洗濯と買い物は父がしています。

ただ、父の話によると、最近は物忘れが多いらしく、引き出しが開けっ放し、食べこぼしがそのまんま、火のつけっぱなし（自動で消えていたそうです）があり、気になるそうです。姉もお見舞いにいったとき同じ話を何度もされたと言っていました。

私は認知症を疑っていますが、父や姉は歳のせいだと思っていて、すぐに病院へ連れて行くことはちょっと､､と言います。祖母になんといって病院へいくか、ショックを受けるのではないか、と不安だそうです。

介護認定はしていないので介護サービスは受けていません。祖父のホーム入居前、祖母は頑なにヘルパーさんを拒否（他人が家に入るのが嫌）していたそうで、外部の助けを受けるのは難しそうです。

私は遠方に住んでいて子どもがいて、何か出来る訳ではないと若干蚊帳の外で、父と姉がメインで考えてくれていますが、祖母にはとても感謝しているので、何か出来ないかと思っています。子どもを連れて実家へ帰り、祖母の介護をすることも可能ではあります。頻繁な往復は出来ないので、長期的にみて夫に理解してもらう必要がありますが…

あと一週間ほどで祖母が退院します。
よろしくお願いします。

1. 状況の整理と問題点の明確化

ご相談ありがとうございます。まずは、置かれている状況を整理し、問題点を明確にすることから始めましょう。ご家族の状況を詳細に教えていただき、ありがとうございます。以下に、現状を整理し、考えられる問題点をまとめました。

• 祖母の健康状態： 胃がんの治療中であり、食欲不振と激痩せが見られます。認知機能の低下も疑われ、今後の生活に大きな影響を与える可能性があります。
• 介護体制の現状： 祖父は有料ホームに入居、父が中心となり、姉がサポート。遠方に住む相談者様は、物理的な距離から直接的な介護には参加しにくい状況です。
• 介護サービスの利用状況： 祖母はヘルパーの利用を拒否しており、外部のサポートを受けにくい状況です。介護保険の申請も行われていないため、公的なサービスの利用も難しい可能性があります。
• 家族間の認識のずれ： 祖母の認知機能低下について、父や姉は「歳のせい」と考えており、医療機関への受診に消極的です。
• 相談者様の心情： 遠方に住んでいること、幼いお子様がいることから、直接的な介護が難しいと感じています。祖母への感謝の気持ちはあるものの、何もできないことに葛藤を感じています。

これらの問題点を踏まえ、具体的な解決策を検討していく必要があります。まずは、祖母の健康状態の把握と、適切な医療・介護サービスの導入を目指しましょう。

2. 祖母の健康状態への対応

祖母の健康状態を把握し、適切な医療・介護サービスに繋げることが重要です。以下に具体的なステップと、その際の注意点について解説します。

2-1. 認知症の可能性と医療機関への受診

祖母の物忘れや同じ話を繰り返すなどの症状は、認知症の初期症状である可能性があります。認知症の早期発見と適切な治療は、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持するために非常に重要です。ご家族に理解を求めることは難しいかもしれませんが、以下の点を伝え、受診を促しましょう。

• 客観的な情報提供： 祖母の症状を具体的に伝え、認知症の可能性について説明します。例えば、「最近、〇〇を忘れることが多くなった」「同じ話を何度もするようになった」といった具体的なエピソードを共有し、専門家の意見を聞く必要性を訴えます。
• 本人の気持ちへの配慮： 祖母が病院に行くことに抵抗を感じる可能性もあるため、不安を取り除くような言葉をかけましょう。「心配しないでね。おばあちゃんのことをもっとよく知るために、先生に相談してみよう」など、優しく語りかけることが大切です。
• 受診のハードルを下げる： 認知症専門医だけでなく、かかりつけ医への相談も検討しましょう。かかりつけ医であれば、祖母も安心感を持って受診できる可能性があります。
• 検査の重要性： 認知症の診断には、問診や認知機能検査、画像検査などが行われます。これらの検査を通して、認知症の種類や進行度合いを把握し、適切な治療方針を立てることができます。

2-2. 胃がん治療と生活への影響

胃がんの治療は、体力的にも精神的にも大きな負担となります。抗がん剤治療の副作用として、食欲不振、吐き気、倦怠感などが現れることがあります。これらの症状を緩和し、日常生活を支えるために、以下の点を検討しましょう。

• 栄養管理： 食欲不振が続く場合は、栄養補助食品や、食べやすい食事の工夫が必要です。医師や管理栄養士に相談し、適切な栄養指導を受けましょう。
• 服薬管理： 薬の飲み忘れを防ぐために、服薬カレンダーや、薬の整理整頓などの工夫が必要です。
• 休息： 治療中は体力が低下しやすいため、十分な休息と睡眠を確保することが大切です。
• 精神的なサポート： がん治療は、精神的な負担も大きいため、家族や友人とのコミュニケーション、または専門家への相談など、心のケアも重要です。

3. 介護体制の構築と遠距離介護の課題

遠距離介護の場合、直接的な介護が難しい分、情報共有や連携が重要になります。以下に、介護体制の構築と、遠距離介護の課題への対応策をまとめました。

3-1. 家族間の情報共有と連携

遠距離介護では、家族間の情報共有が不可欠です。定期的な連絡を取り合い、祖母の状況や介護に関する情報を共有しましょう。以下に、具体的な方法を提案します。

• 連絡手段の確立： 電話、メール、LINE、ビデオ通話など、家族が利用しやすい連絡手段を確立しましょう。週に一度、または必要に応じて、定期的な連絡を取り合う時間を設けましょう。
• 情報共有ツールの活用： 家族間で情報を共有できるツール（例：共有カレンダー、情報共有アプリ）を活用するのも有効です。祖母の体調や服薬状況、通院記録などを共有し、必要な情報をスムーズに把握できるようにしましょう。
• 役割分担： 家族それぞれが得意なこと、できることを考慮し、役割分担を決めましょう。例えば、姉は通院の付き添い、父は食事の準備、あなたは情報収集や相談役など、それぞれの負担を軽減できるように工夫しましょう。
• 定期的な家族会議： 定期的に家族会議を開き、現状の問題点や今後の対応について話し合いましょう。遠方に住んでいる場合は、オンライン会議システムなどを活用すると便利です。

3-2. 介護サービスの検討

祖母がヘルパーを拒否している場合でも、他の介護サービスを検討する余地はあります。また、状況によっては、祖母の気持ちが変わる可能性もあります。以下に、検討できる介護サービスと、その導入方法について解説します。

• 訪問看護： 医療的なケアが必要な場合に、看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療処置を行います。
• デイサービス： 日中に、食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを提供します。他の利用者との交流を通して、社会的な刺激を得ることもできます。
• ショートステイ： 短期間、施設に入所し、介護サービスを受けられます。家族の負担軽減や、レスパイトケア（介護者の休息）に役立ちます。
• ケアマネージャーへの相談： 介護保険サービスの利用を検討する際には、ケアマネージャーに相談しましょう。ケアマネージャーは、個々の状況に合わせたケアプランを作成し、適切なサービスを紹介してくれます。
• 本人の意向を尊重： 介護サービスの利用は、本人の意向を尊重することが重要です。祖母の気持ちを理解し、できる限り希望に沿ったサービスを選びましょう。

3-3. 遠距離介護におけるあなたの役割

遠方に住んでいるからといって、何もできないわけではありません。あなたの状況に合わせて、できることはたくさんあります。以下に、具体的な役割と、その方法を提案します。

• 情報収集と情報提供： 介護に関する情報を収集し、家族に提供しましょう。介護保険制度や、利用できるサービス、地域の情報などを調べ、家族と共有することで、適切なサポートに繋げることができます。
• 精神的なサポート： 家族の悩みや不安を理解し、精神的なサポートを提供しましょう。話を聞き、励ますだけでも、家族の負担を軽減することができます。
• 一時的な介護： 状況に応じて、実家に帰省し、一時的に介護を手伝うことも検討しましょう。
• 金銭的なサポート： 介護費用の一部を負担することも、家族の負担を軽減する一つの方法です。
• 専門家との連携： 介護に関する悩みや不安は、一人で抱え込まずに、専門家に相談しましょう。

4. 介護とキャリアの両立支援

介護と仕事の両立は、多くの人が抱える課題です。以下に、両立支援制度や、キャリアへの影響について解説します。

4-1. 介護に関する制度の活用

介護と仕事を両立するために、利用できる制度はたくさんあります。これらの制度を活用し、負担を軽減しましょう。

• 介護休業： 介護が必要な家族を介護するために、最長93日まで休業できます。
• 介護休暇： 介護が必要な家族のために、年間5日まで休暇を取得できます。
• 勤務時間の変更： 勤務時間の短縮や、時差出勤、テレワークなど、働き方を変えることができます。
• 介護保険制度： 介護保険サービスを利用することで、介護の負担を軽減できます。
• 自治体の支援制度： 各自治体では、介護に関する様々な支援制度を設けています。

4-2. キャリアへの影響と対策

介護は、キャリアに影響を与える可能性があります。しかし、事前に準備し、対策を講じることで、キャリアへの影響を最小限に抑えることができます。

• キャリアプランの見直し： 介護と仕事の両立を考慮し、キャリアプランを見直しましょう。
• スキルアップ： 介護と両立しながら、スキルアップを目指しましょう。
• 情報収集： 介護と仕事の両立に関する情報を収集し、対策を講じましょう。
• 相談： 会社の上司や同僚、キャリアコンサルタントに相談し、アドバイスを受けましょう。

5. 介護とキャリアの両立に向けた具体的なステップ

これまでの内容を踏まえ、介護とキャリアの両立に向けて、具体的なステップを整理します。

5-1. 現状の把握と目標設定

1. 家族の状況を正確に把握する： 祖母の健康状態、介護体制、家族の状況を改めて整理し、現状の問題点を明確にします。
2. 目標を設定する： 介護と仕事の両立に関する目標を設定します。例えば、「祖母の生活の質を維持し、家族の負担を軽減する」「自分のキャリアを継続する」など、具体的な目標を設定しましょう。

5-2. 計画の立案と実行

1. 情報収集： 介護保険制度や、利用できるサービス、地域の情報などを収集します。
2. 家族との連携： 家族と協力し、情報共有や役割分担を行います。
3. 介護サービスの検討： 祖母の意向を尊重しつつ、適切な介護サービスを検討します。
4. キャリアプランの見直し： 介護と仕事の両立を考慮し、キャリアプランを見直します。
5. 制度の活用： 介護休業や、介護休暇、勤務時間の変更など、利用できる制度を活用します。
6. スキルアップ： 介護と両立しながら、スキルアップを目指します。

5-3. 評価と改善

1. 定期的な評価： 定期的に、介護と仕事の両立状況を評価します。
2. 問題点の洗い出し： 問題点があれば、原因を分析し、改善策を検討します。
3. 計画の見直し： 必要に応じて、計画を見直します。

6. まとめ：あなたができること、そして未来への希望

今回は、遠距離介護という状況下で、ご家族の介護とご自身のキャリアを両立させるための具体的な方法について解説しました。祖母の健康状態の把握、介護体制の構築、介護サービスの検討、そして、あなたができることについて、具体的なステップを提示しました。

遠距離介護は、多くの課題を伴いますが、決して乗り越えられないものではありません。家族間の情報共有と連携を密にし、利用できる制度やサービスを最大限に活用することで、負担を軽減し、より良い生活を送ることができます。そして、あなたの優しさと行動力は、必ず祖母とご家族を支える力となります。困難な状況ではありますが、諦めずに、一つ一つ課題を解決していくことで、未来への希望を見出すことができるでしょう。

今回のケースでは、祖母の健康状態の悪化と、認知機能の低下が懸念されます。まずは、医療機関への受診を促し、適切な治療とケアに繋げることが重要です。同時に、家族間の情報共有と連携を密にし、介護サービスの利用を検討しましょう。遠方に住んでいるあなたも、情報収集や精神的なサポート、一時的な介護など、できることはたくさんあります。そして、介護と仕事の両立を支援する制度を積極的に活用し、キャリアへの影響を最小限に抑えましょう。

最後に、あなたの優しさと、ご家族への愛情が、困難な状況を乗り越える力となることを信じています。そして、あなたのこれからの活躍を心から応援しています。

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