自賠責保険の後遺障害認定、覆すことは可能?専門家が教える異議申し立てのポイント
自賠責保険の後遺障害認定、覆すことは可能?専門家が教える異議申し立てのポイント
この記事では、自賠責保険における後遺障害認定に関する疑問にお答えします。特に、高齢者の介護状況と事故による脊髄損傷が重なった場合の、後遺障害等級の判断や異議申し立てについて、専門的な視点から解説します。自賠責保険の仕組み、後遺障害等級の認定基準、異議申し立ての具体的な方法について、詳しく見ていきましょう。
自賠責、後遺障害認定についての質問です。
被害者は特別養護介護施設に入っている95歳、要介護4の認定を受けていたものです。
外出のため家族の運転の元、被害者を助手席に乗せていて事故に遭いました。
脊髄損傷し、寝たきりになりました。
自賠責には後遺障害1級1号の認定はうけましたが、「元々1級1号のレベルの方であるため自賠責の支払いはない」との回答がきました。
異議申し立てを今準備していますが、覆らない可能性はありますか?
補足
回答者さんのご指摘もありましたので追記します。
被害者の事故前の介護状態ですが、医学的に「前立腺肥大、神経因性膀胱の既往があり、ADL全介助」となっています。
「介護保険の概況調査における身体機能、起居動作、生活機能に関する内容を踏まえれば生命維持に必要な動作について常時介護を要するものと捉えられる」と自賠責側は結論付けています。
この状態は元々後遺障害1級1号程度なのでしょうか?
それと「自賠法施行令第2条第2項に定める加重障害に該当するかどうかが問題になります。」となっています。
よろしくお願いします。
1. 自賠責保険の仕組みと後遺障害認定の基本
自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するための保険です。交通事故によって人が死傷した場合に、加害者の過失割合に関わらず、被害者の損害を補償します。後遺障害が残った場合には、その程度に応じて等級が認定され、保険金が支払われます。
後遺障害の等級は、その障害の程度によって1級から14級に分類されます。1級が最も重く、14級が最も軽度です。今回のケースでは、脊髄損傷により後遺障害1級1号と認定されています。1級1号は、介護を要する最も重い障害の一つです。
2. 後遺障害1級1号の認定基準と今回のケースの問題点
後遺障害1級1号は、具体的には、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」と定義されています。今回のケースでは、被害者は事故前から要介護4の認定を受けており、ADL(日常生活動作)全介助の状態でした。自賠責保険側は、この状態を「生命維持に必要な動作について常時介護を要するもの」と判断し、事故前の状態がすでに1級1号に該当すると結論付けています。
この判断が問題となるのは、以下の点です。
- 加重障害の考え方: 事故によって症状が悪化したのか、それとも事故前から既に1級1号の状態だったのか、という点が重要です。
- 因果関係の証明: 事故と後遺障害との因果関係を明確に説明する必要があります。
- 異議申し立ての必要性: 自賠責保険側の判断に対して、異議申し立てを行い、新たな証拠を提出する必要があります。
3. 異議申し立ての準備とポイント
異議申し立てを行うためには、以下の準備が必要です。
- 医学的根拠の収集: 事故による脊髄損傷が、被害者の既存の症状を悪化させたことを示す医学的証拠を収集します。主治医の意見書や、事故前後の状態を比較できる医療記録などが重要です。
- 専門家の意見: 交通事故に詳しい弁護士や、後遺障害に詳しい専門医に相談し、意見を求めることも有効です。
- 詳細な資料の作成: 事故状況、被害者の既往歴、事故後の症状の変化などを詳細にまとめた資料を作成します。
- 異議申立書の作成: 収集した証拠に基づき、自賠責保険側の判断の誤りを具体的に指摘し、保険金の支払いを求める異議申立書を作成します。
4. 異議申し立てが覆る可能性と成功のポイント
異議申し立てが覆る可能性は、提出する証拠の質と、異議申立書の説得力によって大きく左右されます。成功のポイントは以下の通りです。
- 客観的な証拠の提出: 医学的根拠に基づいた客観的な証拠を提出することが重要です。
- 因果関係の明確化: 事故と後遺障害との因果関係を、論理的に説明する必要があります。
- 専門家のサポート: 弁護士や専門医のサポートを得ることで、異議申し立ての成功率を高めることができます。
- 丁寧な説明: 被害者の状況や事故による影響を、丁寧に説明することが大切です。
5. 加重障害の判断と自賠法施行令第2条第2項
自賠法施行令第2条第2項は、加重障害に関する規定です。これは、事故前にすでに障害があった場合に、事故によってその障害が悪化したかどうかを判断するためのものです。今回のケースでは、被害者は事故前にADL全介助の状態であったため、この規定が適用される可能性があります。
加重障害と判断されるためには、以下の点が考慮されます。
- 事故による症状の悪化: 事故によって、既存の障害がどの程度悪化したのかを評価します。
- 介護の必要性の変化: 事故によって、介護の必要性が増したかどうかを検討します。
- 医学的評価: 専門医の意見や、医学的検査の結果に基づいて判断します。
6. 異議申し立てにおける具体的な対策
異議申し立てを成功させるためには、具体的な対策を講じる必要があります。
- 主治医との連携: 主治医に、事故による症状の悪化について、詳細な意見書を作成してもらいましょう。
- 医療記録の収集: 事故前後の医療記録をすべて収集し、比較検討します。
- 専門家への相談: 交通事故に詳しい弁護士に相談し、異議申立書の作成を依頼しましょう。
- 追加の検査: 必要に応じて、MRIなどの追加検査を行い、客観的な証拠を収集します。
7. 成功事例と専門家の視点
過去の事例では、事故前の状態が重度であったとしても、事故によって症状が悪化したことが認められ、保険金が支払われたケースがあります。専門家は、以下のようにアドバイスしています。
- 詳細な調査: 事故状況、被害者の既往歴、事故後の症状の変化について、詳細な調査を行うことが重要です。
- 医学的根拠の重視: 医学的根拠に基づいた証拠を収集し、異議申立書に添付しましょう。
- 専門家のサポート: 弁護士や専門医のサポートを得ることで、異議申し立ての成功率を高めることができます。
8. 異議申し立ての注意点とリスク
異議申し立てには、いくつかの注意点とリスクがあります。
- 時間と費用: 異議申し立てには、時間と費用がかかります。
- 結果の不確実性: 異議申し立てが必ず成功するとは限りません。
- 精神的負担: 異議申し立ては、精神的な負担を伴うことがあります。
これらのリスクを考慮し、専門家と相談しながら、慎重に進めることが大切です。
もっとパーソナルなアドバイスが必要なあなたへ
この記事では一般的な解決策を提示しましたが、あなたの悩みは唯一無二です。
AIキャリアパートナー「あかりちゃん」が、LINEであなたの悩みをリアルタイムに聞き、具体的な求人探しまでサポートします。
無理な勧誘は一切ありません。まずは話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなるはずです。
9. まとめ:異議申し立て成功への道
自賠責保険の後遺障害認定に関する異議申し立ては、専門的な知識と綿密な準備が必要です。今回のケースでは、事故前の状態と事故後の状態を比較し、事故による症状の悪化を医学的に証明することが重要です。主治医との連携、専門家のサポート、詳細な資料の作成を通じて、異議申し立ての成功を目指しましょう。
異議申し立てが成功し、適切な保険金が支払われることを願っています。
“`