介護と不動産、お金の悩み…80代のお母様とご家族が抱える不安への具体的な解決策

この記事では、80代のお母様の介護と、それに伴う経済的な問題に直面しているご家族の皆様が抱える不安を解消するための具体的な方法を、ケーススタディ形式で解説します。介護費用の目安、利用できる制度、そして不動産を所有している場合の注意点など、具体的な情報を提供し、将来への準備をサポートします。

80代の母親に、急に認知症の症状が出始めました。父は早くに他界しており、長年、飲食業を営んできました。人前に出る仕事でしたので、同年代の方より若く、知識もあるような印象のようですが、生活する上で困るような事象が一気に表れてきました。

先日、大学病院へも受診し、ＭＲＩ画像で海馬の萎縮も確認されました。

数年前に大病も患い、その時主治医から施設への入所を勧められましたが、当人が拒否した為、自宅で生活してきて現在に至ります。

コロナの影響もあり、自営業の売上も激減し、非課税世帯です。でも、父の良い時代に築いたものとして、自宅ビルと店舗を所有してる状態で、いずれも母親名義のようです。

今後、症状が進んだ場合に備えて、準備をしておきたいと思っています。同居する義姉が地域支援包括センター？から資料を頂いてきており、今後、デイケア通所や介護認定などについて、手続きを進めていこうとしています。

もしも介護認定を受けたり、施設に入所するとなった場合、発生する費用はどのようなものがありますか？また、最低毎月いくら掛かるなど目安となる金額などありますでしょうか。

父も母も、外で働いた期間は若い頃の一時期で、ほぼ国民年金しか受給していないと思います。当人が嫌がる為、金額を把握していません。通帳関係は、兄が保管し、義姉に管理させています。

おそらくですが、高額な有料老人ホームに入居するような預貯金はありません。私も難病を抱えており、毎月、支援できるよう余裕は全くありません。

義姉が、不動産を所有してることで、安い施設には申込み出来ないだろうと話してましたが、やはりそうなりますか？間もなく年度が変わりますが、翌年以降、早めに生前贈与しておいた方が良いなどあるでしょうか。

また、今後の事を調べるには、どのような手順を踏むのが有効でしょうか。オススメの情報サイトなども教えて頂けると幸いです。

ご相談ありがとうございます。80代のお母様の認知症発症、そして介護と経済的な問題、本当に大変な状況ですね。ご家族皆様の不安を少しでも軽減できるよう、具体的な解決策を提示させていただきます。今回のケースでは、特に以下の3つのポイントに焦点を当てて解説します。

• 介護費用の全体像： 介護保険制度の利用方法、費用、そして自己負担額について詳しく解説します。
• 不動産を所有している場合の注意点： 不動産が介護サービスの利用に与える影響、生前贈与のメリットとデメリット、そして具体的な対策について説明します。
• 情報収集と相談窓口： 信頼できる情報源と、専門家への相談方法を紹介し、将来への準備をサポートします。

1. 介護費用の全体像：介護保険制度と自己負担額

まず、介護保険制度について理解を深めましょう。介護保険は、40歳以上の方が加入し、介護が必要になった場合にサービスを受けられる制度です。お母様が介護保険サービスを利用するためには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。

1-1. 要介護認定の申請方法

要介護認定の申請は、お住まいの市区町村の介護保険窓口で行います。申請後、調査員による訪問調査や、主治医の意見書をもとに、介護度が認定されます。介護度は、要支援1～2、要介護1～5の7段階に分かれており、受けられるサービスや自己負担額が異なります。

1-2. 介護保険サービスの利用と費用

介護保険サービスには、自宅で受けられる訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイなど、さまざまな種類があります。また、施設に入所する場合には、特別養護老人ホーム（特養）や介護老人保健施設（老健）、有料老人ホームなどがあります。それぞれのサービスによって、費用や利用条件が異なります。

1-3. 自己負担額の目安

介護保険サービスの自己負担額は、原則として費用の1割～3割です。所得に応じて負担割合が決定されます。非課税世帯の場合は、自己負担額が軽減される場合があります。具体的な費用は、利用するサービスや介護度によって異なりますが、以下に目安を示します。

• 訪問介護（ホームヘルプサービス）： 1時間あたり数百円～数千円
• デイサービス： 1日あたり数百円～数千円
• ショートステイ： 1泊あたり数千円～数万円
• 特別養護老人ホーム（特養）： 月額数万円～10万円程度（食費、居住費、その他費用を含む）
• 介護老人保健施設（老健）： 月額数万円～15万円程度（食費、居住費、その他費用を含む）
• 有料老人ホーム： 月額15万円～50万円以上（サービス内容、施設のグレードにより大きく変動）

これらの費用に加えて、おむつ代や医療費などの実費も発生します。また、施設によっては、入居一時金が必要となる場合があります。

2. 不動産を所有している場合の注意点：生前贈与と資産管理

お母様が自宅ビルと店舗を所有している場合、介護サービスの利用や相続に影響を与える可能性があります。ここでは、不動産に関する注意点と、具体的な対策について解説します。

2-1. 不動産が介護サービスの利用に与える影響

不動産を所有していることは、必ずしも介護サービスの利用を妨げるわけではありません。しかし、一部の施設では、入居費用や利用料が高くなる可能性があります。特に、有料老人ホームなどでは、資産状況が入居の可否や費用に影響することがあります。

2-2. 生前贈与のメリットとデメリット

生前贈与は、相続税対策として有効な手段の一つです。しかし、認知症が進んでいる状態での贈与は、無効となるリスクがあります。また、贈与税が発生する場合もあります。生前贈与を行う場合は、専門家（税理士、弁護士）に相談し、慎重に進める必要があります。

2-3. 具体的な対策

1. 専門家への相談： 不動産の評価額、相続税の見込み、生前贈与の可否などについて、税理士や弁護士に相談しましょう。
2. 成年後見制度の利用： 認知症が進んだ場合に備えて、成年後見制度の利用を検討しましょう。成年後見人は、本人の財産管理や身上監護を行います。
3. 任意後見契約： 本人の判断能力があるうちに、将来の財産管理や身上監護について、任意後見契約を結んでおくことも有効です。
4. 不動産の活用： 不動産を売却して、介護費用に充てることも検討できます。ただし、売却には時間と手間がかかるため、早めに準備を始めることが重要です。

3. 情報収集と相談窓口：信頼できる情報源と専門家

介護に関する情報は、多岐にわたるため、信頼できる情報源から情報を収集することが重要です。また、専門家への相談も積極的に行いましょう。

3-1. 信頼できる情報源

• 地域包括支援センター： お住まいの地域の地域包括支援センターは、介護に関する相談窓口として、様々な情報を提供してくれます。
• 市区町村の介護保険窓口： 介護保険制度やサービスに関する情報、申請手続きについて相談できます。
• 介護保険情報サービス： 厚生労働省が運営するウェブサイトで、介護保険制度やサービスに関する情報を確認できます。
• NPO法人や市民団体： 介護に関する相談会やセミナーを開催している団体もあります。

3-2. 専門家への相談

• ケアマネジャー： 介護保険サービスの利用に関する相談、ケアプランの作成などを行います。
• 社会福祉士： 福祉制度や介護保険に関する相談、生活上の問題に関する相談を行います。
• 税理士： 相続税や贈与税に関する相談、資産管理に関するアドバイスを行います。
• 弁護士： 法律問題に関する相談、成年後見制度に関する手続きを行います。

これらの専門家に相談することで、個別の状況に合わせた適切なアドバイスを受けることができます。

4. ケーススタディ：具体的な事例と解決策

ここでは、同様の状況にある方の事例を紹介し、具体的な解決策を提示します。

ケーススタディ：

Aさん（75歳、女性）は、認知症の母親（90歳）と同居しています。母親は自宅ビルを所有しており、賃貸収入があります。Aさんは、母親の介護と、ビルの管理に追われており、経済的な不安も抱えています。

解決策：

1. 介護保険サービスの利用： まずは、要介護認定を受け、訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを利用しました。
2. 成年後見制度の利用： 母親の判断能力が低下しているため、成年後見制度を利用し、財産管理と身上監護を専門家に委託しました。
3. 不動産の有効活用： ビルの賃貸収入を介護費用に充てるとともに、将来的な売却も視野に入れ、専門家と相談しました。
4. 地域包括支援センターの活用： 地域包括支援センターに相談し、介護に関する情報や、利用できる制度についてアドバイスを受けました。

この事例のように、専門家と連携し、介護保険サービスや成年後見制度などを活用することで、経済的な不安を軽減し、より良い介護環境を整えることができます。

5. まとめ：将来への準備と、今できること

80代のお母様の介護と、経済的な問題は、非常に複雑で、多くの不安を伴うものです。しかし、適切な情報収集と、専門家への相談、そして早めの準備を行うことで、将来への不安を軽減し、より良い生活を送ることができます。

今すぐできること：

1. 地域包括支援センターに相談する： 介護に関する情報や、利用できる制度について相談しましょう。
2. 要介護認定の申請： 介護保険サービスの利用に向けて、要介護認定の申請を行いましょう。
3. 専門家への相談： 税理士、弁護士、ケアマネジャーなど、専門家に相談し、個別の状況に合わせたアドバイスを受けましょう。
4. 情報収集： 信頼できる情報源から、介護に関する情報を収集しましょう。

これらのステップを踏むことで、将来への準備を進め、ご家族皆様が安心して生活できる環境を整えることができます。困難な状況ではありますが、諦めずに、一つ一つ問題を解決していくことが大切です。応援しています。

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